救難訓練中のUS-2救難飛行艇(第71航空隊)

救難飛行隊(きゅうなんひこうたい :Rescue Squadron)は、海上自衛隊の航空救難部隊の俗称。以前は正式な部隊名として存在したものの、度重なる部隊改変により、現在正式には他の飛行隊と同じような「ナンバー飛行隊」となっており、慣習的に以前の呼称が用いられているものである。

概要編集

US-2救難飛行艇
UH-60J回転翼救難機
第71航空隊の隊員(左端)

1960年(昭和35年)に海上自衛隊捜索救難を担う部隊として編成。

2008年(平成20年)3月の海上自衛隊体制移行による部隊改編により、第71航空隊(固定翼)、第72航空隊73航空隊(回転翼)に再編。

2018年(平成30年)3月23日、航空部隊改編。これにより、4月2日付で第72航空隊が廃止となり、第22航空隊に第224飛行隊及び鹿屋航空分遣隊を新編[1]。 同日、第73航空隊が廃止、第21航空隊に第213飛行隊及び硫黄島航空分遣隊が新編[2][3]された。

海上自衛隊救難飛行隊は、航空自衛隊航空救難団救難隊と同様24時間待機状態にある。外洋での海難救助に重点を置き、「海難救助最後の砦」とも呼ばれる。航空自衛隊の航空救難団救難隊と異なり、固定翼捜索機U-125Aを配備していないが、共同での捜索・救難活動を行なっている。

各飛行隊にはUS-2救難飛行艇(第71航空隊)、UH-60J回転翼救難機(第224飛行隊及び鹿屋航空分遣隊、第213飛行隊及び硫黄島航空分遣隊)が配備され、HRS(Helicopter Rescue Swimmer)資格を有する航空士が搭乗する。HRSは准看護師や救急救命士等の公的資格も有するほか、積極的に機から離れて遊泳し確保・救助にあたる救助のスペシャリストであり[4]、飛行中もある程度の医療処置が可能で、通常の降下救助員とは異なる。

航空自衛隊航空救難団救難隊との違いは、入水時、必ずライフライン(命綱)もしくはホイストを身体に接続したままで、救難活動にあたる点である。なおこれは、艦艇部隊における水難救助でも同様であり、海上自衛隊内共通の取り決めとなっている。また現場状況により、HRSとは別に看護師や救急救命士の資格を持つ機上救護員が搭乗する場合もある。

なお、海上自衛隊ではP-3CP-1も捜索救難任務を負っているほか、哨戒ヘリコプターSH-60J/K、掃海輸送ヘリコプターMCH-101にも、降下救助員資格を持つ航空士が搭乗しており、捜索救難を副次任務としていて、護衛艦搭載中の哨戒ヘリコプターも必要があれば捜索救難活動を行う。ただしこの場合、降下救助員は要救助者の至近にホイスト降下し確保するのみで、遊泳して確保することはできない。

部隊編成編集

第71航空隊編集

第31航空群隷下、岩国航空基地所在。US-2を運用する。厚木航空基地にも1機を分派して救難待機(2時間待機)についている。
コールサイン:IVOLY/RESCUE SEAGULL(救難任務・災害派遣)

第213飛行隊編集

第21航空隊(第21航空群)隷下部隊。UH-60J回転翼救難機を運用する。

※UH-60Jの機種別コールサイン「RESCUE LARK」を使用することがある(救難任務・災害派遣時)。

第224飛行隊編集

第22航空隊(第22航空群)隷下部隊。UH-60J回転翼救難機を運用する。

  • 第224飛行隊(大村航空基地
    • ・海・空自衛隊で、もっとも多数の災害派遣に出動する部隊として知られている。
  • 鹿屋航空分遣隊(鹿屋航空基地

※UH-60Jの機種別コールサイン「RESCUE LARK」を使用することがある(救難任務・災害派遣時)。

航空救難区域編集

航空救難(捜索救助)では、1960年(昭和35年)12月24日付け「航空救難に関する訓令」(昭和35年防衛庁訓令第56号)により、航空自衛隊と海上自衛隊に日本の領域での航空救難区域(SRR:Search and Rescue Region)が航空自衛隊と海上自衛隊が担当区域を重複しないように区域がに割り当てられ、区域指揮官に航空自衛隊は各航空方面隊司令官が、海上自衛隊は各航空群司令が充てられ、航空救難に対して円滑な共同・協力体制が組まれていたが、2017年(平成29年)3月に海上自衛隊が管轄する救難区域が廃止された。

2017年3月31日以後は、9区域となっていた救難区域が4区域に改定され[5][6]、区域指揮官は航空方面隊司令官が、専任部隊には硫黄島航空分遣隊及び航空自衛隊の救難隊があてられている。

救難飛行隊(第71航空隊・第213飛行隊・第224飛行や隷下航空分遣隊)は、主に外洋や離島などの急患輸送の出動が多い。

2017年(平成29年)3月までの海上自衛隊の区域指揮官と担当区域
  • 第1航空群司令(鹿屋航空基地)の担当区域
    • 第7救難区域(南九州および九州西部の周辺海域)
  • 第2航空群司令(八戸航空基地)の担当区域
  • 第31航空群司令(岩国航空基地)の担当区域
    • 第5救難区域(日本海南部、中国、四国沖)
  • 第4航空群司令(厚木航空基地)の担当区域
    • 第4救難区域(房総沖、小笠原諸島、硫黄島)
  • 第5航空群司令(那覇航空基地)の担当区域

関連項目編集

  1. ^ 第22航空隊指揮官便り
  2. ^ 館山航空基地HP トピック
  3. ^ 館山航空基地HP 編成
  4. ^ UH-60Jに搭乗する救助員は准看護師や救急救命士等の公的資格の他、海上自衛隊内の資格であるHRS(Helicopter Rescue Swimmer)資格を有し、洋上、艦(船)上及び陸上において機外に展開し、遭難者等を救助する
  5. ^ 文林堂 航空ファン No.794 2019年2月号 94頁-95頁 「航空救難団活動記録 第80回 航空救難団60年概史(中編の3)」杉山潔
  6. ^ 自衛隊の航空救難に関する達平成30年自衛隊統合達第14号