文殊皇帝(もんじゅこうてい、チベット文字འཇམ་དབྱངས་གོང་མ་ཆེན་པོワイリー方式vjam dbyangs gong ma chen po)は、チベット仏教圏における皇帝に対する敬称である。 皇帝は満州人にはハーン、漢人社会の中国に対しては天子モンゴルに対しては大ハーン、チベット仏教徒に対しては文殊皇帝として政に臨んだ。

文殊菩薩の化身仏法を奉じて世界を安寧に導く「王の中の王」たる転輪聖王を一身に体現した存在とみなされた。

清の支配民族である満洲人の民族名となったマンジュは、よくサンスクリット語のマンジュシュリー(文殊師利、文殊菩薩のこと)に由来すると言われているが、実際は不明である。元来は16世紀までに女真と呼ばれていた民族のうち、建州女真に分類される5部族(スクスフ、フネヘ、ワンギヤ、ドンゴ、ジェチェン)の総称であった。岡田英弘ダライ・ラマが「マンジュと言われるからには、清朝皇帝は文殊菩薩の化身である」と宣伝したものを乾隆帝が利用したことから文殊菩薩が民族名の由来となったという俗説が生まれたのではないかとしている。[1]

脚注編集

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参考文献編集

  • 宮脇淳子他『清朝とは何か』岡田英弘編、藤原書店〈別冊環 16〉、2009年5月。ISBN 978-4-89434-682-6