新ピツィカート・ポルカ
(新ピチカート・ポルカから転送)
『新ピツィカート・ポルカ』(ドイツ語: Neue Pizzicato-Polka)作品449は、ヨハン・シュトラウス2世が1892年に作曲したピッツィカートのためのポルカ。
解説
編集1869年に弟ヨーゼフと合作した『ピツィカート・ポルカ』に対して、この『新ピツィカート・ポルカ』は、1892年の春頃に作曲されたヨハン2世単独での作品である。1893年のオペレッタ『ニネッタ侯爵夫人』第3幕の冒頭3曲目に弦楽器のピッチカート奏法で演奏される間奏曲(インテルメッツォ)として作曲された。
Samstag, 2 April.
Lieber Eduard!
Ich habe für Deine Concerte in Hamburg eine neue Pizzicato-Polka skizzirt. Sie ist dem Zeitgeschmack gemäß diesmal etwas interessanter gehalten (ohne eigentlich concertant in Bezug auf musikalischen Gehalt). Sie läßt manierirte Vortragsweise zu - dies die Hauptsache einer Pizzicatonummer. Dort wo der Ton nicht singt - kann nur in einer ich möchte sagen koketten Vortragsweise ein Erfolg liegen ― da weder Piano noch Forte in einer solchen aparten Piece genügende Abwechslung bieten. 土曜日、4月2日。
親愛なるエードゥアルト!
君のハンブルクでのコンサートのために、新しいピチカート・ポルカの草稿を作ってみたんだ。ポルカは今回流行に合わせて、関心を引くようなものを取り入れてみた(音楽的な内容に関しては、ほんとうに協奏曲風なものがないのだけれど)。このポルカは、気取ったような演奏形式を可能にしてくれる。――このことが、ピチカートという曲目の最も重要なことだ。そこで音が歌わなければ、色っぽい演奏方法でしか成功しない、と私は言いたい。――だから、そのような独特の魅力をもった作品では、弱い音でもなく、強い音でもなく、十分な変化をもたせて演奏する。 — 1892年4月2日、弟エドゥアルト・シュトラウス1世に宛てたヨハン2世の手紙より[1]
演奏時間3分弱ほどの、軽快でユーモラスなタッチの曲想の佳作小品である。とはいえ、1869年夏に弟ヨーゼフと編作した、より単純な曲想の質素で地味な響きに覆われた『ピツィカート・ポルカ』より音楽的内容の度合いは応用化されている。中間部のトリオで、鉄琴とトライアングルの演奏が加わる点は、基本的に既作『ピツィカート・ポルカ』の雰囲気とそう変わらず、むしろそれを踏襲した平易な作品構成となっている。現在では本来のオペレッタ中の間奏曲としてよりも、単独で演奏会などでコンサート・ピースとして演奏・録音される例が多く目につく。
『ピツィカート・ポルカ』に比べると演奏されることは少ないが、1992年のカルロス・クライバー指揮と1997年のリッカルド・ムーティ指揮、それに2006年のマリス・ヤンソンス指揮のニューイヤーコンサートで演奏されたことがある。2006年にはバレエに合わせて演奏された。
構成
編集音楽・音声外部リンク | |
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全曲を試聴する | |
Neue Pizzicato Polka - イヴァン・メイルマンズ指揮Het Kamerorkest演奏。公式YouTubeチャンネル。 | |
Neue Pizzicato Polka - Junge Philharmonie Freistadt演奏。公式YouTubeチャンネル。 |
『ピツィカート・ポルカ』と同じゆっくりとしたポルカであり、弦楽器奏者は弓を置いて、ピツィカートだけで演奏する。弦を弾く軽やかな効果と、テンポの動かし方の妙で気の効いた作品となっている。
参考文献
編集- 鯨岡さつき「19世紀後半における「オーストリアの標準ドイツ語」 : 音楽家J.シュトラウスとG.マーラーの書簡に基づく分析」『学習院大学ドイツ文学会研究論集』第21号、学習院大学ドイツ文学会、2017年、65-96頁、ISSN 1881-7351、NAID 120006029074。