新京成電鉄8900形電車

新京成電鉄8900形電車(しんけいせいでんてつ8900がたでんしゃ)は、1993年(平成5年)に登場した新京成電鉄通勤形電車。8両編成3本(24両)が製造された。

新京成電鉄8900形電車
Shinkeisei8900pink.jpg
新塗装の8900形電車
(2014年9月 みのり台駅
基本情報
製造所 日本車輌製造
製造年 1993年 - 1996年
製造数 24両(在籍18両)
主要諸元
編成 6両編成(2014年9月まで8両編成)
軌間 1,435 mm
電気方式 直流1,500V (架空電車線方式
最高運転速度 新京成線内:85 km/h
設計最高速度 120 km/h
起動加速度 3.3 km/h/s
減速度(常用) 4.0 km/h/s
減速度(非常) 4.5 km/h/s
編成定員 1,006(座席372)人
車両定員 先頭車:122(座席42)人
中間車:127(座席48)人
車両重量 先頭車:25.0t
電動車:33.0t
付随車:23.0t
編成重量 228t
全長 先頭車:18,700mm
中間車:18,000 mm
全幅 2,800 mm
全高 パンタ無(冷房キセ):4,115mm
パンタ有(パンタ折畳):4,140 mm
車体 ステンレス鋼
台車 住友金属工業製ボルスタレス
ダイレクトマウント形空気ばね台車
電動車 (M):SS134型
付随車 (T):SS034型)
主電動機 三菱電機製MB-5018-C形
かご形三相誘導電動機
出力135kW、端子電圧1,100V
駆動方式 WNドライブ
歯車比 101:15 (6.43)
編成出力 2,160kW
制御装置 三菱電機製MAP-148-15V37形
GTOサイリスタ素子
VVVFインバータ制御
制動装置 三菱電機製MBSA形
回生ブレーキ併用
電気指令式空気ブレーキ
純電気ブレーキ
保安装置 1号型ATS・C-ATS
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概要

8800形に続きVVVFインバータ制御を採用し、新京成では初の軽量オールステンレス車体とされた。車体構造は京成電鉄3700形を基本にしているが、独自の仕様も多い。

2009年にAE形が登場するまでは、京成グループの標準軌電化路線全体では唯一のボルスタレス台車採用形式であった。京成車は乗り入れ先である京浜急行電鉄の車両規定でボルスタレス台車を採用できないため、現在でも京成グループの通勤形車両としては唯一の存在である。

車体

新京成初のステンレス製車体であり、唯一のワイドドア(幅1,500mm)採用形式である。そのため、車端部の座席定員は従来の新京成車と同じ4人掛けなのに対し、中間の座席定員は京成車と同じ8人掛けとなっている。前面は普通鋼製で非常扉が設けられ、さらにこれも新京成で初採用となる排障器(スカート)を設置している。

前面鋼板部はの花をイメージしたミスティピンク、車体の帯色は社内公募によるもので、「クール&ファイン」をテーマとして太帯がクリアブルー、細帯はチェリーピンクとした。後に細帯は褪色が問題になったため、[要出典]1999年5月下旬頃よりのチェリーピンクより濃いルビーレッドに変更された[1]

なお2014年(平成26年)8月以降、同年6月に制定されたコーポレートカラーを用いた新デザインへの変更が実施され[2][3]、本形式では6両編成化と機器更新を行った8918編成から新デザインに変更された。2015年10月には8928編成、2016年には8938編成が新デザインで出場し、8938編成は機器更新と車内照明LED化(コイト電工製)も行われている。

 
2代目塗装の8900形(2014年12月)

車内

客室内装は暖色系をベースにしており、カーテンなどには新京成線沿線の特産品であるぶどうイラストが描かれている。扉間の側窓は北総9000形同様の大・小・大の三分割となっており、中央の小窓は固定式となっている。

以下は当形式で初めて採用されたものである。

  • 自動放送装置を搭載。次駅の音声案内などを行う(英語放送は行われていなかった)。
  • ドア上部にLED式旅客案内表示器・デジタル時計を設置していた。
  • 車体前面・側面行先表示器はLED式である。
  • 車外スピーカーを設置。京成3700形や後継のN800形、8800形更新車と異なり、乗降促進放送を搭載していないのが特徴であった[要出典]

機器類

制御方式はGTOサイリスタ素子によるVVVFインバータを採用し、装置構成は1C4M(インバータ装置1基で4個の電動機を制御)×2群(三菱電機製MAP-148-15V37形制御装置)となっている。主電動機は三菱電機製MB-5018-C型かご形三相誘導電動機(出力135kW、端子電圧1,100V、相電流90A、回転数1,860rpm、周波数64Hz、すべり3.1%)を採用した。補助電源はGTOサイリスタ2重チョッパ併用3レベルIGBTインバータ(三菱電機製MELSIV-4500形)を採用した。

冷房装置三菱電機製CU-715型集約分散式冷房装置(能力18,000kcal/h(75.6kWh))×2基/両(1両36,000kcal/h≒151.2kWh)を採用している。

運転台主幹制御器は、新京成初採用となるT形ワンハンドル式である。段数は8800形に準じた力行4段・ブレーキ7段である。また、デシタル表示される計器類(速度計・架線電圧計・制御電圧計・元ダメ空気圧計・ブレーキシリンダー空気圧計のみ)もまた新京成初採用である。なお、後年の機器更新でデジタル表示の計器類はアナログ表示のものに更新され、合わせて主回路電流計と制御電圧計は位置が交換された。

パンタグラフには当時普通鉄道用車両では珍しかったシングルアーム式をいち早く採用した。パンタグラフの形状はヨーロッパの鉄道車両や日本貨物鉄道(JR貨物)EF200形電気機関車が搭載するものに類似し、京成グループで採用例の多い東洋電機製造製(PT系)ではなく工進精工所製 (KP91) である[要出典]。なお、8918、8928編成は後に東洋電機製造製に交換された。8938編成も機器更新と同時に交換された。

付記

  • 車両番号の付番方式は、上2桁が8900形を示す「89」となり、十の位が編成番号、一の位が号車となり、第1編成の場合、京成津田沼寄りから8911・8912…8918の順となる。編成は松戸寄りの先頭車の車両番号を用いて「8918編成」などと呼称される。この方式は京成3700形に準じるが、十の位の編成番号を京成では0から始めている(3700形の第1編成は3708編成)のに対し、新京成では1より始めているなどの違いがある。
  • 2008年(平成20年)に検査出場した8928編成・8938編成は客用ドアがすべて交換され、ドア番号も京成車にあわせたものになっている[注 1][要出典]。どちらの編成とも客用ドアの形状がN800形に準じており、客用ドアの室内側もN800形と同様のステンレス無塗装仕上げとされた。
  • 8918編成は2003年に京成電鉄津田沼第二工場の跡地に建設されたイオン津田沼ショッピングセンター(現・イオンモール津田沼)と、新鎌ヶ谷駅前に立地するイオン鎌ケ谷ショッピングセンターのPRのため全面ラッピング広告を施されていた。このラッピングは2008年11月に撤去された。その後、客用ドアが交換されている。
  • 2014年から他形式と同様に6両編成化が開始され、8918編成は同年8月22日に、8928・8938編成も同年9月30日までに6両化された。なお、捻出された中間付随車は8月から9月にかけて廃車された[4]

編成表

全車両日本車輌製造が新造。

 
松戸
 
号車 製造当初 8 7 6 5 4 3 2 1 導入時期 機器更新
組成変更後 6 5 4 (廃車) 3 2 1
形式 クハ
8908形
(Tc2)
モハ
8907形
(M2)
モハ
8906形
(M1)
サハ
8905形
(T)
サハ
8904形
(T)
モハ
8903形
(M2)
モハ
8902形
(M1)
クハ
8901形
(Tc1)
機器 BATT PT
VVVF
SIV
CP
PT
VVVF
SIV
CP
BATT
編成 8918 8917 8916 8915 8914 8913 8912 8911 1993年9月 2014年9月
8928 8927 8926 8925 8924 8923 8922 8921 1996年2月 2015年10月
8938 8937 8936 8935 8934 8933 8932 8931 1996年6月 2016年8月
  • VVVF:主制御機(VVVFインバータ)
  • PT:パンタグラフ(シングルアーム型2基)
  • SIV:補助電源(静止型インバータ)
  • CP:空気圧縮機
  • BATT:蓄電池
  • 数字が灰色の車両は除籍された車両

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ 変更前は奇数偶数で車両の進行方向から見て左右が区別できた。ただし、京成およびその直通先とは異なり、両開きドアの左右でABの区別がある。

出典

  1. ^ 交友社鉄道ファン』1999年8月号 通巻460号 p.128
  2. ^ 新京成線の「車両デザイン」が新しくなります(8/29〜) - 新京成電鉄 2014年7月14日
  3. ^ “新京成車、ピンクの新デザインに…8月29日から運転開始 レスポンス”. Response. (2014年7月15日). http://response.jp/article/2014/07/15/227663.html 2014年7月25日閲覧。 
  4. ^ 『鉄道ファン』編集部、2014、「新京成電鉄車両塗装変更続報」、『鉄道ファン』54巻12号(2014年12月号(通巻644号))、交友社 pp. 74

参考文献

関連項目