新京成電鉄N800形電車
新京成電鉄N800形電車(しんけいせいでんてつN800がたでんしゃ)は、2005年(平成17年)に登場した、新京成電鉄の通勤形電車。
新京成電鉄N800形電車 | |
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新京成電鉄N800形電車・新塗装 (2019年1月23日) | |
基本情報 | |
運用者 | 新京成電鉄 |
製造所 | 日本車輌製造 |
製造年 | 2005年 - 2018年 |
製造数 | 5編成30両 |
運用開始 | 2005年5月29日 |
主要諸元 | |
編成 | 6両編成(MT比4M2T) |
軌間 | 1,435 mm |
電気方式 |
直流1,500V (架空電車線方式) |
最高運転速度 |
新京成線内:85 km/h 京成千葉線内:95 km/h |
設計最高速度 | 120 km/h |
起動加速度 | 3.5 km/h/s |
減速度(常用) | 4.0 km/h/s |
減速度(非常) | 4.5 km/h/s |
編成定員 | 776(座席294)人 |
車両定員 |
先頭車122(座席43)人 中間車133(座席52)人 |
車両重量 |
33.0 t(電動車) 27.0 t(付随車) |
編成重量 | 186.0t |
全長 | 18,000 mm |
全幅 | 2,768 mm |
全高 | 4,050 mm |
車体 | ステンレス鋼 |
台車 |
住友金属工業製ボルスタ付 モノリンク式ダイレクトマウント形空気ばね台車 FS-564S形(電動車) FS-064S形(付随車) |
主電動機 |
三菱電機製MB-5117-A形 かご形三相誘導電動機 出力125kW、端子電圧1,100V |
駆動方式 | WN駆動方式 |
歯車比 | 85:14 (6.07) |
編成出力 | 2,000kW |
制御装置 |
東洋電機製造製RG-692-A-M形 2レベルIGBT素子VVVFインバータ制御 |
制動装置 |
三菱電機製MBSA形 回生ブレーキ併用 電気指令式空気ブレーキ 純電気ブレーキ |
保安装置 | 1号型ATS、C-ATS |
概要
老朽化した800形・8000形の置き換えと2006年(平成18年)12月10日に開始された京成千葉線への片乗り入れに伴い、「京成・新京成直通車両規格」に準拠した車両として製造された。落成直前までは仮称であった「新800形」と呼ばれることもあった。2005年(平成17年)4月に竣工し、同年5月28日の試乗会を経て[1]、翌5月29日より営業運転を開始した[2]。
新京成電鉄では、1971年(昭和46年)の800形・8000形・8800形・8900形と4世代に渡って新京成オリジナル設計の車両を導入してきたが、本形式ではモハ250形およびサハ550形以来の京成電鉄の車両を基本とした設計に戻った形となった。
形式のN800形のNはNewを意味する。なお、数字の前に「N」を冠した鉄道車両の主な形式・系列としては、他に新幹線N700系電車(車両番号にはNは付かない)や名古屋市交通局N1000形電車/N3000形電車等がある。
車体
製造コストの低減のため、車体構造や基本的な性能などは京成新3000形を基本とした「京成グループ標準車体」を採用し、車体帯を新京成電鉄のラインカラーの一つとされるマルーン(上)と白色(下)としている[注 1]。車体側面の4本のマルーン帯は、新京成線沿線の4つの自治体(松戸市・鎌ケ谷市・船橋市・習志野市)をイメージしたものである。また、白色帯は新京成電鉄を表し、クリーンでオープンな企業イメージを表現している。車体外部窓枠の色は本形式のみ黒色処理としている。
なお2014年(平成26年)8月以降順次、新京成が保有する全車両に対して同年6月に制定されたコーポレートカラーを用いたデザインへの変更が実施されることに伴い[3][4]、本形式では2015年2月にN828編成が新デザインで登場しており、N848編成以降は新製時から新デザインで登場している[5]。
列車無線は新京成線用の空間波無線(SR)方式のほか、京成線乗り入れに対応するため誘導無線(IR)方式も搭載している(N818編成は登場当時IR無線は準備工事で台座のみ設置。2006年夏に本体・アンテナを設置。以降の編成は最初から設置)。これに加え、非常用貫通路、運転台の機器配置、保安装置等も京成3000形に準じているため、京成線以外にも京成線と直通運転を行っている北総線や都営浅草線・京急線などでも車両の構造上は走行が可能である。またベース車の京成3000形が京浜急行電鉄対応仕様であるがゆえに、本形式でも先頭車が制御電動車 (Mc) となっている。起動加速度などは京成の仕様に合わせているため、従来の車両より若干加速力が高くなっている。
冷房装置はN818編成・N828編成が東芝製RPU-11018形、N838編成以降が三菱電機製CU-718形を採用している。いずれも屋根上集中式で、能力46.52kW(40,000kcal/h)となる。
パンタグラフは集電舟がくぬぎ山車両基地に設置の自動計測装置に対応したものを搭載していることから他とは形態が異なり、このため形式名称も異なる(PT7155-B。京成・北総はPT7131-B)。また、パンタグラフ脇のランボードは未設置となっている。
車内設備
基本的なレイアウトは新3000形に準じているが、カラースキームは座席表地がワインレッド色・ピンク系化粧板と8800形・8900形に近いものとなった。客用扉脇には新京成独自となる鏡を設置、側窓のロールアップカーテンは沿線名産の梨やぶどうの柄が入っている。つり革は8800形更新車・8900形と同型の三角形を使用している。
乗務員室の遮光幕は、京成新3000形では助士席側には設置されていないが、新京成の従来形式では助士席側にも遮光幕が設置されているのに合わせて本形式にも設置された。乗務員室の運転士側と中央はスモークガラスとされたのも従来形式と同一である。
8900形と同様に客用ドア上部にはLED式車内案内表示器を設置する。本形式では千鳥配置だが、京成新3000形と同一仕様であり、8900形に存在したデジタル時計は設置されていない。
新京成では初めて乗降促進放送を装備した。8900形で搭載された車内自動放送は本形式では当初搭載されておらず、後日自動放送装置が設置された(N848編成以降は導入当時から設置)。
編成表
← 松戸
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||||||||
号車 | 6 | <5> | 4 | 3 | <2> | 1 | 竣工時期 | |
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形式 | モハN808形 (Mc8) |
モハN807形 (M7) |
サハN806形 (T6) |
サハN803形 (T3) |
モハN802形 (M2) |
モハN801形 (Mc1) | ||
機器 | CP・BT | VVVF | SIV | SIV | VVVF | CP・BT | ||
車両重量 | 33.0t | 33.0t | 27.0t | 27.0t | 33.0t | 33.0t | ||
編成 | N818 | N817 | N816 | N813 | N812 | N811 | 2005年4月 | |
N828 | N827 | N826 | N823 | N822 | N821 | 2010年12月 | ||
N838 | N837 | N836 | N833 | N832 | N831 | 2012年9月 | ||
N848 | N847 | N846 | N843 | N842 | N841 | 2015年12月 | ||
N858 | N857 | N856 | N853 | N852 | N851 | 2018年8月 |
- VVVF:主制御機(VVVFインバータ)
- <>:パンタグラフ
- SIV:補助電源(静止形インバータ)
- CP:空気圧縮機
- BT:蓄電池
- 構造上は3・4号車間に中間電動車2両(松戸方からM5+M4(京成のM1'+M2に相当)のユニット)が挟めるようになっているが、2015年12月現在、中間電動車を増備する計画はない。
その他
- 搬入時は京成新3000形や北総7500形・千葉ニュータウン鉄道9200形と異なり、逗子駅・東急車輛製造経由ではなく千葉貨物駅まで甲種輸送し北総の印旛車両基地まで陸送してからくぬぎ山車両基地まで回送された。N818編成は自走ではなく千葉ニュータウン鉄道9000形9008編成[注 2]に挟まれ2両ずつ3日間にわけて回送された。N828編成以降は自走で回送されている。
- N818編成は2008年3月から1年間、ビッグホップガーデンモール印西のラッピング車両「BIG HOPトレイン」とされた。松戸方の2両は青系、中央の2両は緑系、千葉方の2両は赤系のラッピングとなっていた。
- 2010年度にN828編成が増備され、当該編成は2011年1月28日より営業運転を開始した[6]。機器の一部が京成新3050形準拠に変更されている。
- 千葉テレビ放送とのコラボ企画により、N838編成がラッピング電車「チュバチュバワンダーランド号」として2013年6月3日から8月29日まで運行された。
脚注
注釈
出典
- ^ N800形新造車両の導入について(新京成電鉄プレスリリース - 2005年4月20日・インターネットアーカイブ・2005年時点の版)。
- ^ 鉄道ジャーナル社『鉄道ジャーナル』2005年8月号新型車両プロフィールガイド「新京成電鉄N800形」pp.96 - 97。
- ^ 新京成線の「車両デザイン」が新しくなります(8/29〜) (PDF) - 新京成電鉄、2014年7月14日
- ^ “新京成車、ピンクの新デザインに…8月29日から運転開始 レスポンス”. レスポンス鉄道ニュース. (2014年7月15日) 2014年7月25日閲覧。
- ^ 「当社で平成24年度以来の新車 N800形(4次車)」 (PDF) - 2015年12月11日 新京成電鉄プレスリリース
- ^ 「N800形2次車導入について(鉄道車両新造)」 (PDF) - 2010年12月16日 新京成電鉄プレスリリース
参考文献
関連項目
- 北総鉄道7500形電車・千葉ニュータウン鉄道9200形電車 - 京成3000形および本形式と共通設計の京成グループ標準車体の車両。
外部リンク