新潟焼山(にいがたやけやま)は、新潟県西部の糸魚川市妙高市にまたがる頸城山塊標高2,400 m活火山。通常「焼山」と呼ばれ[2][5][6][7]同名の山と区別する際に「新潟焼山」の名称が用いられることがある[注釈 1]気象庁が24時間体制で観測を行う全国47の常時観測火山の一つである[8]

新潟焼山
Yakeyama from Hiuchidake 1999-9-5.jpg
新潟焼山の東、火打山から望む
標高 2,400.26[1] m
所在地 日本の旗 日本
新潟県糸魚川市妙高市
位置 北緯36度55分15秒
東経138度02分09秒
[2]
山系 頸城山塊
種類 成層火山
活火山ランクB[3]噴火警戒レベル1(平常)[4]・常時観測火山
最新噴火 2016年
焼山の位置
Project.svg プロジェクト 山
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目次

概要編集

 
北麓から望む新潟焼山(2006年5月上旬)

妙高山火打山と共に頸城三山と呼ばれ、周辺の山域は妙高戸隠連山国立公園の特別保護地区および特別地域の指定を受けている[9]。東には火打山、西には富士見峠を隔てて金山が連なっている日本山岳会により日本三百名山の一つに選定されている[6]。山の大部分は火山体ではなくフォッサマグナ由来の第三紀層である。これを基盤とした火山体は比高約400 mの2,400 mの安山岩デイサイト(SiO2 58-64%)からなる成層火山で、山頂は溶岩ドームからなる。その活動史はかなり新しく、約3,000年前に活動が始まった若い火山[10]である。また、山頂部は森林限界の高山帯で、日本におけるライチョウの分布北限である[11]

火山活動編集

現在までの活動は4期に分けられ、第1期は3000年前頃に活動が始まり、第2期はその後の約1000年間、第3期は約650年前からで、1773年からは第4期の活動とされている[12][13]。過去の活動では火砕流は主に山体北面に向かって流出しており、1773年の活動では日本海まで達したと考えられる[14]。現在でも2つの噴気口からガスを吹き出している。火山活動度ランクはB[3]気象庁は、2011年(平成23年)3月31日に火山活動に特段の変化はなく、火口周辺に影響を及ぼす噴火の兆候は認められないとして、噴火予報(噴火警戒レベル1、平常)を発表した[4]。2013年(平成25年)2月現在も、その噴火予報を継続している[4]

火山史編集

記録に残る噴火は、887年、989年、1361年、1773年[15]など。20世紀に入ってからも水蒸気爆発を数回記録している。最新の噴火活動は2016年5月6日である。

  • 887年仁和3年) - 記録に残されている最古の噴火[6]
  • 989年永祚元年) - 噴火[15]
  • 1361年康安元年) - 山頂部に溶岩ドームが形成され[15]、大谷火砕流堆積物Iの地層が形成された[16]火山爆発指数:VEI3
  • 1773年安永2年) - マグマが噴出したと推定される最新の噴火で[15]、北側に火砕流が発生し大谷火砕流堆積物IIの地層が形成された[16][17]。火山爆発指数:VEI3
  • 1852年嘉永5年)11月1日夜 - 1854年安政元年)- この期間の噴火では大量の硫黄を噴出させた[17]
  • 1949年(昭和24年)
  • 1962年(昭和37年)3月14日 - 小規模な噴火により降灰した[17]
  • 1963年(昭和38年)2-3月 - 小規模な爆発により、山頂付近に降灰した[17]
  • 1974年(昭和49年)7月28日未明 - 水蒸気爆発により泊岩付近にいた千葉大学の学生登山者3名が火山弾の直撃を受けて死亡し[15][6][18][19]、約65万トンの降灰があり北東100 kmまで到達した[17]。火山爆発指数:VEI1
  • 1983年(昭和58年)4月14-15日 - 極小規模な爆発により、山頂付近に降灰した[17]
  • 1987年(昭和62年) - 積雪の変色を記録。
  • 1989年(平成元年) - 積雪の変色を記録。
  • 1998年(平成10年) - 積雪の変色を記録[20]。火山爆発指数:VEI1
  • 2016年(平成28年)5月6日 - 同日午後に気象庁が上空から調査したところ、東西およそ200m、南北およそ400mの範囲で火山灰が積もっていたことが確認され、「新潟焼山でごく小規模な噴火が発生したもようだ」と発表した[21]。噴火の時期については不明[21]

災害対策編集

新潟焼山は気象庁が24時間体制で観測を行う全国47の常時観測火山の一つに指定されている[22]気象庁地震計を、新潟県が監視カメラなどを設置しているが、山頂付近はほぼ通年、雲がかかっているため、目視による観測は難しいとされる。北面側に位置する糸魚川市では火山防災マップ(ハザードマップ)を作成・配布している。北面の火打山川と焼山川では土石流などの対策として砂防施設の整備が行われている[23]。2011年3月31日、噴火警戒レベルを導入した[24]2012年(平成24年)に、「新潟焼山火山防災協議会」が設立され、8月に新潟焼山火山噴火緊急減災砂防計画が策定された[16]

登山編集

1974年の噴火後入山規制が行われ、1981年(昭和56年)にいったん登山解禁となった[18]1987年(昭和62年)に再度登山禁止となった[18]2006年(平成18年)12月4日に入山規制が解除された[25]。山頂からは日本海白馬岳などの北アルプスの山並みを望むことができる[6]

登山ルート編集

笹倉温泉からのルート編集

糸魚川市側からは、笹倉温泉方面からの登山道が北面に開設されている[25]。山頂の西約800 mには、岩穴を利用した避難小屋(泊岩)があるが、荒廃している[6][25]

  • 笹倉温泉 - 林道 - 登山口 - 展望台 - 大曲 - 大谷 - 地獄谷 - 坊々抱岩 - 富士見峠分岐 - 泊岩 - 焼山

雨飾山からの縦走路編集

雨飾山から尾根伝いに登山道が開設されている[26][27]

  • 雨飾山 - 笹平 - 大曲 - 白倉峰 - 茂倉峰 - (シゲクラ尾根) - 金山 - 裏金山 - 富士見峠 - 富士見峠分岐 - 泊岩 - 焼山

妙高山と火打山からのルート編集

 
高谷池と高谷池ヒュッテ

妙高市側の妙高山と火打山からの登山道が開設されている[26][27]。笹ヶ峰からのルートの一例を以下に示す。

  • 笹ヶ峰 - 黒沢出合 - 十二曲 - 富士見平 - 高谷池ヒュッテ - 天狗の庭 - 雷鳥平 - 火打山 - 影火打 - 胴抜け - 胴抜けキレット - 焼山

周辺の山小屋編集

登山道の途中に、山小屋キャンプ指定地がある[28]。登山シーズン中の一部の期間に有人の営業を行っている。

名称 所在地 標高
(m)
焼山からの
方角と距離 (km)
収容
人数
キャンプ
指定地
備考
泊岩 山頂直下西 約2,080  西 0.8 10 避難小屋、荒廃[25]
高谷池ヒュッテ 高谷池畔 2,110  東南東 4.5 80 テント30張 [29]
黒沢池ヒュッテ 黒沢池の東 2,000  東南東 6.1 100 テント10張

地理編集

周辺の山編集

妙高火山群の北端に位置する[15]

山容 山名 標高
(m)[1][2]
三角点の等級
基準点名[1]
焼山からの
方角と距離 (km)
備考
  火打山 2,461.77  三等
「火打山」
 東 2.9 頸城山塊最高峰
日本百名山
  焼山 2,400.26  二等
「焼山」
  0 活火山
日本三百名山
  妙高山 2,454 (一等)「妙高山」
(2,445.90 m)
 東南東 7.6 日本百名山
  雨飾山 1,963.21  二等
「雨飾山」
 西南西 6.9 日本百名山
  黒姫山 2,053  南東 14.4 日本二百名山
  高妻山 2,357.79  二等
「高妻山」
 南 13.5 日本百名山

周辺の峠編集

  • 富士見峠 - 山頂の西南西0.8 kmに位置する裏金山(標高2,122 m)との鞍部。
  • 胴枝切通 - 山頂の東南東0.6 kmに位置する影火打(標高2,384 m)との鞍部。
  • 乙見山峠 - 山頂の南南西6.1 kmに位置する薬師岳(標高1,801.7 m)と松尾山(標高1,677.8 m)との鞍部、新潟県道39号妙高高原公園線の起点の笹ヶ峰高原から長野県北安曇郡小谷村林道妙高小谷線が通じる。

源流の河川編集

以下の源流となる河川日本海へ流れる[30]

交通・アクセス編集

関連画像編集

脚注編集

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注釈編集

出典編集

  1. ^ a b c 基準点成果等閲覧サービス”. 国土地理院. 2013年3月22日閲覧。
  2. ^ a b c 日本の主な山岳標高(新潟県の山)”. 国土地理院. 2013年3月22日閲覧。
  3. ^ a b 火山噴火予知連絡会による活火山の選定及び火山活動度による分類(ランク分け)について (PDF)”. 気象庁 (2003年1月21日). 2013年3月25日閲覧。
  4. ^ a b c 新潟焼山の火山活動解説資料(平成25 年2月) (PDF)”. 気象庁 (2013年2月). 2013年3月25日閲覧。
  5. ^ a b コンサイス日本山名辞典 (1992)、526頁
  6. ^ a b c d e f 日本三百名山 (1997)、200頁
  7. ^ 妙高・戸隠を歩く(2000)
  8. ^ 気象庁サイト 地図参照 「火山監視・情報センターにおいて火山活動を24時間体制で監視している火山(常時観測火山)
  9. ^ 上信越高原国立公園の西部の区域図 (PDF)”. 環境省. 2013年3月25日閲覧。
  10. ^ 日本の主要第四紀火山の積算マグマ噴出量階段図 新潟焼山火山 地質調査総合センター研究資料集、no.613
  11. ^ 中村浩志 『日本動物大百科 鳥類II』 日高敏隆(監修)、平凡社1997年3月、10-11頁。ISBN 4582545548
  12. ^ 新潟焼山(新潟県)気象庁
  13. ^ 新潟焼山の噴火活動と岩石化学的研究日本火山学会講演予稿集 2003 pp.76 20031011
  14. ^ 新潟焼山火山の中世における火砕流噴火火山. 第2集 Bulletin of the Volcanological Society of Japan. Second series 32(1) pp.77-80 19870430
  15. ^ a b c d e f 早津賢二 (1993). “新潟焼山火山の歴史時代のマグマ噴火 古記録と噴出物との対応関係” (PDF). 地學雜誌 (公益社団法人東京地学協会) 102 (5): 611-613. http://dx.doi.org/10.5026/jgeography.102.611. 
  16. ^ a b c 新潟焼山火山噴火緊急減災対策砂防計画(概要版) (PDF)”. 新潟県 (2013年1月16日). 2013年3月25日閲覧。
  17. ^ a b c d e f g h i 新潟焼山 記録に残る火山活動”. 気象庁. 2013年3月25日閲覧。
  18. ^ a b c 山と高原地図 (1992)、20-21頁
  19. ^ 焼山火山って何だろう”. 糸魚川市. 2013年3月25日閲覧。
  20. ^ 新潟焼山1997年〜1998年の小規模噴火活動 日本火山学会 火山 Bulletin of the Volcanological Society of Japan 45(3) pp.181-186 20000710
  21. ^ a b “新潟焼山「ごく小規模な噴火発生のもよう」 気象庁”. NHK (日本放送協会). (2016年5月6日). http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160506/k10010511311000.html 2016年5月6日閲覧。 
  22. ^ 気象庁サイト 地図参照 「火山監視・情報センターにおいて火山活動を24時間体制で監視している火山(常時観測火山)
  23. ^ 新潟焼山の状況 (PDF)”. 新潟県. 2013年3月25日閲覧。
  24. ^ 新潟焼山、焼岳及び伊豆東部火山群に噴火警戒レベルを導入します 気象庁
  25. ^ a b c d 焼山登山案内”. 新潟県 (2009年7月21日). 2013年3月25日閲覧。
  26. ^ a b 日本登山図集 (1986)、114-117頁
  27. ^ a b 山と高原地図 (1992)、地図表面
  28. ^ 『山と溪谷2011年1月号付録(山の便利手帳2011)』 山と溪谷社、2010年12月、112頁、ASIN B004DPEH6G。
  29. ^ 高谷池ヒュッテについて”. 妙高市観光協会. 2013年3月25日閲覧。
  30. ^ 『妙高・戸隠・雨飾』 昭文社〈山と高原地図2011年版〉、2011年3月。ISBN 9784398757586

参考文献編集

関連項目編集

外部リンク編集