新潮ドキュメント賞(しんちょうドキュメントしょう)は、財団法人新潮文芸振興会が主催するノンフィクションを対象とした文学賞である。ノンフィクションの既刊に与えられる文学賞としては最も後発である。もともとは新潮学芸賞として1988年から2001年の第14回まで続いたものであったが、2002年からノンフィクションを対象とする新潮ドキュメント賞と、評論・エッセイを対象とする小林秀雄賞とに分離した。

2002年平成14年)を第一回として、毎年8月に受賞作が発表される。発表誌は『新潮45』、同誌休刊後は『週刊新潮』。副賞100万円。過去の受賞作としては、賞が設立された2002年から2017年までの17の受賞作中、新潮社から発行された作品が8作品と5割近くを占める。

歴代受賞作 編集

第1回から第10回 編集

第11回から第20回 編集

  • 第11回 (2012年)
  • 第12回 (2013年)
    • 佐々木実『市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像』(講談社)
  • 第13回 (2014年)
    • 清水潔『殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件―』(新潮社)
  • 第14回 (2015年)
  • 第15回 (2016年)
  • 第16回 (2017年)
  • 第17回 (2018年)
    • 古川勝久『北朝鮮 核の資金源 「国連捜査」秘録』(新潮社)
  • 第18回 (2019年)
    • 河合香織『選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子』(文芸春秋)
  • 第19回 (2020年)
  • 第20回 (2021年)
    • 石井光太『こどもホスピスの奇跡 短い人生の「最期」をつくる』(新潮社)

第21回から 編集

  • 第21回(2022年)
    • 鈴木忠平『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』(文藝春秋)
  • 第22回(2023年)
    • 三浦英之『太陽の子 日本がアフリカに置き去りにした秘密』(集英社)

候補作 編集

  • 第1回 (2002年)
    • 『特捜検察の闇』魚住昭(文藝春秋)
    • 『政治家やめます。』小林照幸(毎日新聞社)
    • 『スターリン 家族の肖像』福田ますみ(文藝春秋)
    • 鈴木宗男研究』加藤昭(新潮社)
    • 『たまもの』神蔵美子(筑摩書房)
  • 第2回 (2003年)
    • 『北のサラムたち 日本ジャーナリストが見た、北朝鮮難民の“真実”』石丸次郎(インフォーバン)
    • 『東海村臨界事故 被曝治療83日間の記録』NHK取材班(岩波書店)
    • 『さびしいまる、くるしいまる。』中村うさぎ(角川書店)
    • 『食肉の帝王 巨富をつかんだ男 浅田満溝口敦(講談社)
  • 第3回 (2004年)
    • 『年金大崩壊』『年金の悲劇 老後の安心はなぜ消えたか』岩瀬達哉(講談社)
    • 『歪んだ正義 特捜検察の語られざる真相』宮本雅史(情報センター出版局)
    • 『壊れた脳 生存する知』山田規畝子(講談社)
  • 第6回 (2007年)
  • 第8回 (2009年)
    • 『なぜ君は絶望と闘えたのか―本村洋の3300日―』門田隆将(新潮社)
    • 『ケニア!―彼らはなぜ速いのか―』忠鉢信一(文藝春秋)
    • 『自治体クライシス―赤字第三セクターとの闘い―』伯野卓彦(講談社)
    • 『戦争詐欺師』菅原出(講談社)
  • 第11回 (2012年)
    • 『雪男は向こうからやって来た』角幡唯介(集英社)
    • 『絶望の国の幸福な若者たち』古市憲寿(講談社)
    • 『遺体―震災、津波の果てに』石井光太(新潮社)
    • 『なぜ院長は「逃亡犯」にされたのか―見捨てられた原発直下「双葉病院」恐怖の7日間』森功(講談社)
  • 第15回 (2016年)
    • 『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』三浦英之(集英社
    • 『外道クライマー』宮城公博(集英社インターナショナル
    • 『失われた甲子園 記憶をなくしたエースと1989年の球児たち』赤坂英一 (講談社)
    • 『ロケット・ササキ―ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正―』大西康之(新潮社)
  • 第16回 (2017年)
    • 『勝ち過ぎた監督 駒大苫小牧 幻の三連覇』中村計(集英社)
    • 『バブル―日本迷走の原点―』永野健二(新潮社)
    • 『新宮沢賢治の真実―修羅を生きた詩人―』今野勉 (新潮社)
    • 『バッタを倒しにアフリカへ』 前野ウルド浩太郎光文社新書
  • 第18回 (2019年)
    • 『記者、ラストベルトに住む トランプ王国、冷めぬ熱狂』金成隆一(朝日新聞出版
    • 『吃音―伝えられないもどかしさ―』近藤雄生(新潮社)
    • 『孤独の意味も、女であることの味わいも』三浦瑠麗(新潮社)
    • 『安楽死を遂げた日本人』 宮下洋一(小学館)
  • 第20回(2021年)
    • 『一八〇秒の熱量』山本草介(双葉社)
    • 『エクソダス―アメリカ国境の狂気と祈り―』村山祐介(新潮社)
    • 『起業の天才!―江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男―』大西康之(東洋経済新報社)
    • 『災害特派員』三浦英之(朝日新聞出版)
  • 第21回(2022年)
    • 『2030 半導体の地政学 戦略物資を支配するのは誰か』太田泰彦(日本経済新聞出版)
    • 防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』川口穣(平凡社
    • 『あの胸が岬のように遠かった―河野裕子との青春―』永田和宏(新潮社)
    • 『マイホーム山谷』末並俊司(小学館)
  • 第22回(2023年)
    • 『親愛なるレニー―レナード・バーンスタインと戦後日本の物語―』 吉原真里(アルテスパブリッシング)
    • 『黒い海―船は突然、深海へ消えた―』伊澤理江(講談社)
    • 『北関東の異界 エスニック国道354号線―絶品メシとリアル日本―』室橋裕和(新潮社)
    • 『ルポ 国際ロマンス詐欺』水谷竹秀(小学館)

選考委員 編集

その他のノンフィクション賞 編集

脚注 編集

外部リンク 編集