方鉛鉱(ほうえんこう、英語: galena[4])は、鉱物硫化鉱物)の一種。化学組成は PbS(硫化鉛(II))、結晶系等軸晶系

方鉛鉱
方鉛鉱
分類 硫化鉱物
シュツルンツ分類 2.CD.10
Dana Classification 2.8.1.1
化学式 PbS
結晶系 等軸晶系
へき開 三方向に完全
モース硬度 2.5
光沢 金属光沢
鉛灰色
条痕 鉛灰色
比重 7.6
文献 [1][2][3]
プロジェクト:鉱物Portal:地球科学
テンプレートを表示

産出地 編集

日本国内でも産出する鉱山は非常に多く、神岡鉱山豊羽鉱山花岡鉱山小坂鉱山などの亜鉛鉱山で主要鉱石として採掘されていたが、日本国内で鉛を採掘する鉱山は全て閉山してしまった。海外ではアメリカ合衆国オーストラリアボリビアなどの生産量が多い。

低 - 高温熱水鉱床スカルン鉱床黒鉱鉱床に産する他、含銅硫化鉄鉱床に産出することもある。

性質・特徴 編集

比重は 7.5 - 7.6、モース硬度は2.5。

は銀白色、新鮮なものは強い金属光沢があるが、などに晒されるとだんだん光沢がなくなる。これは表面が硫酸鉛鉱(PbSO4硫酸鉛(II))に変化するためである。完全な劈開を持つため、割るとさいころのように立方体の形に割れることが特徴的である。また、結晶は多くの場合、六面体であるが、まれに八面体結晶も見られる。

用途・加工法 編集

の最も重要な鉱石鉱物。 また、方鉛鉱はほとんど常に数百ppm程度のを含み、銀も回収される。この銀含有量が多いものは含銀方鉛鉱と呼ばれる。この他、、亜鉛、銅、カドミウム、砒素、ビスマスアンチモンテルルなどを微量含む。

閃亜鉛鉱黄鉄鉱黄銅鉱などと伴って産出し、特に閃亜鉛鉱とは密接に伴って産する。そのため、鉛鉱床、亜鉛鉱床はこれらを一括して鉛・亜鉛鉱床と呼ばれることも多い。

トルコで紀元前6500年に作られた鉛のビーズが発見されている。また、ローマ人は製錬された鉛から銀を分離することができた[5]

1904年にジャガディッシュ・チャンドラ・ボースによって天然の方鉛鉱を使用した鉱石検波器が開発され、鉱石ラジオに使用されて普及した。

方鉛鉱グループ 編集

脚注 編集

  1. ^ 国立天文台 編『理科年表 平成20年』丸善、2007年、637頁。ISBN 978-4-621-07902-7 
  2. ^ Galena (英語), MinDat.org, 2011年10月5日閲覧
  3. ^ Galena (英語), WebMineral.com, 2011年10月5日閲覧
  4. ^ 文部省 編『学術用語集 地学編』日本学術振興会、1984年。ISBN 4-8181-8401-2 
  5. ^ ロナルド・ルイス・ボネウィッツ著、青木正博訳『ROCK and GEM 岩石と宝石の大図鑑』誠文堂新光社 2007年 130ページ

参考文献 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集