既製服(きせいふく)とは、衣料事業者商品化し大量生産した衣料品のこと、あらかじめ特定のサイズの服を用意しておく既製品(レディメイド)の服のことである。

ハンガーで吊るした状態で売られていることから「吊るし」と呼ばれることもある[1][注釈 1]

対義語は着る人のサイズを測ってから作る「注文服」、「オーダーメイド」。

既製服のサイズについて

編集

既製服は、あらかじめ特定のサイズの服を用意するわけであるが、そのサイズの設定方法には様々な種類がある。具体的な数値は各事業者ごとに異なるため、表は一例である。ただし、JIS規格など様々な規格が国ごとに定められている場合が多い。

体型の違いを考慮しないサイズ

編集

標準体型を基準として1つの身長に1つのサイズのみを対応させた設定方法。標準体型の場合はぴったりのサイズとなるが、大多数の人にとってはずれが生じる。ただ、ほとんどの服ではぴったりしたサイズの服である必要性が薄いため、最も一般的な方法である。サイズが小さいほうからS (small), M (medium), L (large) の順に設定されていることが多く、その場合さらにSより小さいサイズとしてSSなどが、Lより大きいサイズとしてXLや2Lなどが設定されていることもある。なお、子供服などではおおむね10cm刻みで身長を表記したものが用いられる。

(例:単位はcm)
サイズ 身長 胸囲 胴囲
S 165 90 78
M 175 94 82
L 185 98 86

「S・M・L」よりも小刻みに設定されたものに「号」がある。この場合は「号」の前に付く数字の大小がサイズの大小を表している。「S・M・L」などに比べてサイズの数が多いため、比較的体にフィットした服に用いられることが多い。紳士服と婦人服とではサイズの分け方が異なり、紳士服の場合は身長の違いでサイズが分けられており、婦人服の場合は胴囲の違いでサイズが分けられている。

(婦人服の例:単位はcm)
サイズ 胸囲 胴囲 腰囲
7号 76 58 86
9号 82 63 90
11号 88 72 98

体型の違いを考慮したサイズ

編集

男性用のスーツなど体にフィットした服では上記のサイズに加えて体型の違いが考慮されたサイズが用いられる。具体的には、標準体型をA体とし胸囲と胴囲との差が大きいものをY体、逆に差が小さいものをB体とする。また、より厳密にY体とA体の中間としてYA体、A体とB体との間にAM体やAB体、B体より差が小さいものとしてO体などが用いられることがあり、その場合B体はBB体と表記されることもある。ただし、体型を考慮したとしてもすべての人にフィットする服は作れないため、スーツなどでは今なおオーダーメイドで作られることも珍しくない。以下、表では胸囲の違いで行を分けているが、量販店などでは分かりやすくするために便宜上身長の違いを号で分けていることが多く、タグも身長・胸囲・胴囲の三元表示といわれる表記法が一般的である。なお、スーツにおいて表記されている身長は着丈×2+25(cm)で計算されたものである。

(例:単位はcm)
胸囲 Y A AM AB
身長 胴囲 着丈 身長 胴囲 着丈 身長 胴囲 着丈 身長 胴囲 着丈
(前略)
92 171 75 73 169 78 72 167 81 71 165 84 70
94 173 77 74 171 80 71 169 83 72 167 86 71
96 175 79 75 173 82 74 171 85 73 169 88 72
98 177 81 76 175 84 75 173 87 74 171 90 73
100 179 83 77 177 86 76 175 89 75 173 92 74
102 181 85 78 179 88 77 177 91 76 175 94 75
(後略)

体型の違いを考慮するとサイズの数が膨大になるため、量販店などでは該当者が少ないサイズを省いた品揃えが一般的である。

(量販店の品揃えの例:単位はcm)
胸囲 Y A AB B
身長 胴囲 着丈 身長 胴囲 着丈 身長 胴囲 着丈 身長 胴囲 着丈
90 165 74 70 165 78 70
92 170 76 72.5 170 80 72.5
94 175 78 75 175 82 75 165 84 70
96 180 80 77.5 180 84 77.5 170 86 72.5
98 175 88 75 165 92 70
100 180 90 77.5 170 94 72.5
102 175 96 75
104 180 98 77.5

その他のサイズ

編集

特定の服に関連したサイズもある。たとえばワイシャツでは首周りと袖丈とでサイズ分けされていることが多い。

関連項目

編集

脚注

編集

注釈

編集
  1. ^ 既製服が一般的となる1960年代以前は、既製服は低く見られ、「吊るし」という言葉も否定的な意味を持つものであった[2]

出典

編集
  1. ^ コトバンク
  2. ^ 「“吊るし”という考えは捨てましょう」『家庭全科』第2-1巻、国際情報社、1960年1月。 

外部リンク

編集