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日本の交通信号機

本項では、日本における交通信号機(こうつうしんごうき)について記述する。

目次

概要編集

海外との比較編集

日本の交通信号機の設置位置は交差点の出口に設ける方式が最も一般的である[1]。また、道路に対して水平(横型)に設置するのも一般的である[1]

信号機の配列・意味・点灯パターン編集

配列編集

信号機の配列は道路交通法施行令第3条に定めがある。

信号機の灯火の配列は、赤色、黄色及び青色の灯火を備えるものにあつては、その灯火を横に配列する場合は右から赤色、黄色及び青色の順、縦に配列する場合は上から赤色、黄色及び青色の順とし、赤色及び青色の灯火を備えるものにあつては、その灯火を横に配列する場合は右から赤色及び青色の順、縦に配列する場合は上から赤色及び青色の順とする。 — 道路交通法施行令第3条

意味編集

信号機が表示(現示)する信号の意味は道路交通法施行令第2条に定めがある。

信号の種類 信号の意味
青色の灯火 一 歩行者は、進行することができること。

二 自動車、原動機付自転車(右折につき原動機付自転車が法第三十四条第五項本文の規定によることとされる交差点を通行する原動機付自転車(以下この表において「多通行帯道路等通行原動機付自転車」という。)を除く。)、トロリーバス及び路面電車は、直進し、左折し、又は右折することができること。

三 多通行帯道路等通行原動機付自転車及び軽車両は、直進(右折しようとして右折する地点まで直進し、その地点において右折することを含む。青色の灯火の矢印の項を除き、以下この条において同じ。)をし、又は左折することができること。

黄色の灯火 一 歩行者は、道路の横断を始めてはならず、また、道路を横断している歩行者は、すみやかに、その横断を終わるか、又は横断をやめて引き返さなければならないこと。

二 車両及び路面電車(以下この表において「車両等」という。)は、停止位置をこえて進行してはならないこと。ただし、黄色の灯火の信号が表示された時において当該停止位置に近接しているため安全に停止することができない場合を除く。

赤色の灯火 一 歩行者は、道路を横断してはならないこと。

二 車両等は、停止位置を越えて進行してはならないこと。

三 交差点において既に左折している車両等は、そのまま進行することができること。

四 交差点において既に右折している車両等(多通行帯道路等通行原動機付自転車及び軽車両を除く。)は、そのまま進行することができること。この場合において、当該車両等は、青色の灯火により進行することができることとされている車両等の進行妨害をしてはならない。

五 交差点において既に右折している多通行帯道路等通行原動機付自転車及び軽車両は、その右折している地点において停止しなければならないこと。

人の形の記号を有する青色の灯火 一 歩行者は、進行することができること。

二 普通自転車(法第六十三条の三に規定する普通自転車をいう。以下この条及び第二十六条第三号において同じ。)は、横断歩道において直進をし、又は左折することができること。

人の形の記号を有する青色の灯火の点滅 一 歩行者は、道路の横断を始めてはならず、また、道路を横断している歩行者は、速やかに、その横断を終わるか、又は横断をやめて引き返さなければならないこと。

二 横断歩道を進行しようとする普通自転車は、道路の横断を始めてはならないこと。

人の形の記号を有する赤色の灯火 一 歩行者は、道路を横断してはならないこと。

二 横断歩道を進行しようとする普通自転車は、道路の横断を始めてはならないこと。

青色の灯火の矢印 車両は、黄色の灯火又は赤色の灯火の信号にかかわらず、矢印の方向に進行することができること。この場合において、交差点において右折する多通行帯道路等通行原動機付自転車及び軽車両は、直進する多通行帯道路等通行原動機付自転車及び軽車両とみなす。
黄色の灯火の矢印 路面電車は、黄色の灯火又は赤色の灯火の信号にかかわらず、矢印の方向に進行することができること。
黄色の灯火の点滅 歩行者及び車両等は、他の交通に注意して進行することができること。
赤色の灯火の点滅 一 歩行者は、他の交通に注意して進行することができること。

二 車両等は、停止位置において一時停止しなければならないこと。

備考 この表において「停止位置」とは、次に掲げる位置(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前)をいう。

一 交差点(交差点の直近に横断歩道等がある場合においては、その横断歩道等の外側までの道路の部分を含む。以下この表において同じ。)の手前の場所にあつては、交差点の直前

二 交差点以外の場所で横断歩道等又は踏切がある場所にあつては、横断歩道等又は踏切の直前

三 交差点以外の場所で横断歩道、自転車横断帯及び踏切がない場所にあつては、信号機の直前

右折をしている途中の車両等は、たとえ右折先で対面する信号機が赤色の灯火だったとしてもそのまま進行できる(ただし、多通行帯道路等で右折する通行原動機付自転車及び軽車両は該当しない)[2]

青色の右折の矢印が出ていても二段階右折をしようとしている車両が直接右折することはできない[3]。また、青色の右折の矢印が出ている場合、道路標識等によって禁止されていない場合は転回することができる[4]。青色の矢印で示していない方向に進行することは当然、さらに直進の矢印で転回することも信号無視となる[4]

黄色の灯火の点滅の場合、必ずしも徐行や停止しなければならないわけではなく、他の交通に注意し事故の恐れがないときはそのままの速度で直進することができる(昭和43年4月9日東京高裁より)[5]。一方で、信号が設置されている位置の道路状況によって、この黄色の灯火の点滅が道路を通行するときの義務を果たす場合により一層の留意を喚起するものとして解釈されている(昭和48年9月27日最高裁より)[5]

信号機が故障していることが何人が見ても明らかな場合は、仮に信号機が何らかの表示をしていてもこれに従う義務は無いと解されている[6]。1つのサイクルに則って信号機が作動している以上、3色の内1色でも故障が生じた場合は信号機の表示の効力は失うと解するのが妥当とされている[7]

歩行者用信号機に自転車も対象に含む旨の標示板がある場合、その歩行者用信号機の示す信号の意味は道路交通法施行令第2条第4項に定めがある。

信号の種類 信号の意味
人の形の記号を有する青色の灯火 一 歩行者は、進行することができること。

二 自転車は、直進をし、又は左折することができること。

人の形の記号を有する青色の灯火の点滅 一 歩行者は、道路の横断を始めてはならず、また、道路を横断している歩行者は、速やかに、その横断を終わるか、又は横断をやめて引き返さなければならないこと。

二 自転車は、道路の横断を始めてはならず、また、当該信号が表示された時において停止位置に近接しているため安全に停止することができない場合を除き、停止位置を越えて進行してはならないこと。

人の形の記号を有する赤色の灯火 一 歩行者は、道路を横断してはならないこと。

二 自転車は、道路の横断を始め、又は停止位置を越えて進行してはならないこと。

三 交差点において既に左折している自転車は、そのまま進行することができること。

四 交差点において既に右折している自転車は、その右折している地点において停止しなければならないこと。

備考 この表において「停止位置」とは、第一項の表の備考に規定する停止位置をいう。

「特定の交通に対する信号機の標示板」が取り付けられた信号機がある場合、その対象となる交通はその信号機の意味に従わなくてはならない(道路交通法施行令第2条第5項)。

通常、道路交通法施行令第1条第3項によって横断歩道の道路標示を設置する場合は、道路標識または信号機を設置しなければならない。 しかし、歩行者用信号機が消灯した場合でも、その信号機による横断歩道は適法のものとされている[8]

点灯パターン編集

点灯パターンは道路交通法施行令第2条に定めがある。

信号機が表示する信号の順序は、次の各号に掲げる区分に従い、それぞれ当該各号に定めるとおりとする。

一 青色の灯火、黄色の灯火及び赤色の灯火の信号を連続して表示する場合 青色の灯火、黄色の灯火及び赤色の灯火の信号の順とすること。
二 人の形の記号を有する青色の灯火、人の形の記号を有する青色の灯火の点滅及び人の形の記号を有する赤色の灯火の信号を連続して表示する場合 人の形の記号を有する青色の灯火、人の形の記号を有する青色の灯火の点滅及び人の形の記号を有する赤色の灯火の信号の順とすること。

— 道路交通法施行令第2条

右折矢印信号を設ける場合は、黄色信号を表示してから赤信号と右折矢印の表示を行い、その後黄色信号を再び表示してから赤信号のみの表示を行うよう規定されている[9]。従来は右折矢印信号を表示するときの信号機の点灯パターンは4通りあったが、事故を招くとして1994年(平成6年)7月に先述の通りにするよう通達を出した[10]。なお、時差式による制御を行う場合でも、全ての矢印を出して青信号と同じ意味の表示を行う点灯パターンは行ってはならないと通達が出されている[11]

法律上の扱い編集

道路交通法に信号機に関する定めがある。

  • 信号機の定義
電気により操作され、かつ、道路の交通に関し、灯火により交通整理等のための信号を表示する装置 — 道路交通法第2条第14項
  • 設置義務・権利
都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、又は交通公害その他の道路の交通に起因する障害を防止するため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、信号機又は道路標識等を設置し、及び管理して、交通整理、歩行者又は車両等の通行の禁止その他の道路における交通の規制をすることができる。この場合において、緊急を要するため道路標識等を設置するいとまがないとき、その他道路標識等による交通の規制をすることが困難であると認めるときは、公安委員会は、その管理に属する都道府県警察の警察官の現場における指示により、道路標識等の設置及び管理による交通の規制に相当する交通の規制をすることができる。 — 道路交通法第4条第1項
公安委員会は、交通の煩雑な交差点その他交通の危険を防止するために必要と認められる場所には、信号機を設置するようにつとめなければならない — 道路交通法第4条第3項
 
駒場車庫前における、北海道函館方面公安委員会より信号の委任を受けた旨の表示板(2017年4月撮影)

信号機の設置は公安委員会が行う。しかし、公安委員会が他の者に信号機の設置又は管理を委任することがある。

公安委員会は、信号機の設置又は管理に係る事務を政令で定める者に委任することができる。 — 道路交通法第5条第2項
法第5条第2項の政令で定める者は、道路に敷設する軌道に係る軌道経営者その他公安委員会が適当であると認める者とする。 — 道路交通法施行令第3条の2第2項
  • 遵守義務
道路を通行する歩行者又は車両等は、信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等に従わなければならない。 — 道路交通法第7条

この条文より、道路を通行する歩行者、又は自動車、原動機付自転車、軽車両、トロリーバス及び路面電車は信号機が表示する信号に従わなければならない[12]。なお、道路工事の現場で設置されている工事用信号機は公安委員会、または公安委員会の委任を受けた道路管理者が設置したものではないため、信号の意味に従わなくても道路交通法による信号無視にはならないとされている[13]

  • 手信号
警察官又は第104条の4第1項に規定する交通巡視員(以下「警察官等」という。)は、手信号その他の信号(以下「手信号等」という。)により交通整理を行なうことができる。この場合において、警察官等は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため特に必要があると認めるときは、信号機の表示する信号にかかわらず、これと異なる意味を表示する手信号等をすることができる。

警察官交通巡視員手信号によって交通整理を行っている場合、信号表示より手信号の遵守が優先される。

  • 信号無視

信号無視をした車両等の運転者は、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金が罰則となる(道路交通法第119条)。歩行者の場合は、2万円以下の罰金又は科料に処される(同121条)。

設置基準編集

日本では『信号機設置の指針』に基づいて、「必要条件」の全てに該当し、「択一条件」のいずれかに該当する場合のみ原則として信号機を設置するものとしている[14]

  • 必要条件
    • 一方通行の場合を除き、車道に十分な幅員があること
    • 横断歩道を設ける場合は歩行者の滞留場所を確保できること
    • 交差点における主道路の交通量が十分に多いこと
    • 隣接する信号機と十分離れていること(信号灯器を誤認するおそれがなく、交通の円滑に支障が及ばない場合はこの限りではない)
    • 信号柱を設置する場合は設置場所を確保できること
  • 択一条件
    • 人身事故の発生状況から信号機の必要性・適切性があること
    • 学校・福祉施設・病院などに近く、特に交通安全の確保が必要であること
    • 交差点における従道路の交通量が十分に多いこと
    • 歩行者の横断需要が多く、かつ直近に立体横断施設がないこと

制御システム編集

信号制御方式編集

留意事項

交差点での交通制御方式の一種であり、他の交通制御方式として「一時停止制御」「ラウンドアバウトによる環道優先制御」がある[15]ライフサイクルコストは信号灯器や制御器を作動させるために高くなるため、限られた財政状況の中で持続可能な交通安全施設を維持するためには必要性の十分な検討が欠かせない[15]

交通信号機の制御は以下の点を目標として検討される[16]

  • 交差点内の交通流の交錯を最小限にする。
  • 道路上に安全な横断路を確保する。
  • 車両の速度を適正な値にする。

これらの目標を達成するために、最も一般的な指標として「遅れ時間」が挙げられる[16]。車両の実際の旅行時間と信号制御の影響を受けないで走行する旅行時間の差であり、交差点を通過する全車両の遅れ時間の総和(総遅れ時間)の最小化が信号制御の最適化の基本である[16]。なお、交差点を通過する交通量が少ない場合は遅れ時間が他の制御方式と比べ大きくなるが、交通量が多い場合は遅れ時間が小さくなる[17]

現示

信号機が一組の交通流に与える通行権のことを「現示」と呼ぶ[18]。交差点の形状が複雑になれば現示方式も複雑になり、現示数が増加する傾向にある[18]。 標準的な三枝または十字交差点で、かつ歩行者や右折交通量が少ない交差点では2現示で処理することが可能である[19]。特に、交通信号機は可能な限り矢印・点滅表示を使わないで交通整理(三色整理)を行うことが望ましい[20]。こうした交通信号機の現示の出し方を「標準二現示方式」と呼ぶ[19]

右折交通流が多い交差点では、時差式によって右折交通流の多い交通の青表示を長時間取る方法[21]や、右折専用現示方式によって右折の青矢印表示で交差点の交通処理が行われる[22]。また、歩行者交通が多い交差点では、斜め横断の歩行者需要が多い交差点ならばスクランブル現示の導入を行い、歩行者と車両で動線の交錯を生じないようにする歩車分離式信号制御の導入が行われる[23]

上述で挙げた歩車分離式や時差式、青矢印信号の設置などで3現示以上出す場合は「多現示方式」と呼ぶ[19]。こうした多現示方式の場合、交通整理の方法に道路利用者が納得できる合理的理由が無いなら信号無視を誘発するおそれがある[24]

交差点間での信号機の制御

交通信号機を制御するために用いられる変数は以下の3種類である[25]

  • サイクル長:信号表示が一巡する時間
  • スプリット:各現示に割り当てられる時間または割合
  • オフセット:隣接する交差点どうしで系統制御するために、系統方向の各交差点における青の開始時間の差

信号の制御方式は、制御対象の信号交差点の関連性から以下の分類に分けられる[26]

  • 点制御(地点制御) : 信号交差点を単独で制御する。
  • 線制御(路線制御) : 一連の隣接する交差点を相互に連動させて制御する。
  • 面制御 : 面的に堀がる道路網に設置された複数の信号機を一括して制御する。

日本の信号制御は大きく分けてマクロ制御とミクロ制御に分けられている[27]。前者(マクロ制御)は感知器によって収集・予測されたデータに基づきサイクル・スプリット・オフセットを制御する[27]。後者(ミクロ制御)は感知器から得られたデータを処理したものと、マクロ制御で得られた各種のパラメータに基づき、事故の危険性などを考慮して各信号の表示時間を秒単位で制御している[27]

一方で、制御パラメータの設定(サイクル、スプリット、オフセット)から、以下の分類に分けられる[26]

  • 定周期制御:時間帯に応じてあらかじめ信号制御のパラメータが設定されているもの。
    • 一段周期制御
    • 多段周期制御
  • 交通感応制御
    • 端末感応制御:車両感知器などの感知器を用いて制御するもの。
      • 全感応制御
      • 半感応制御
    • 中央感応制御:線制御・面制御される複数の交差点に対して、制御パラメータを変化させて制御させるもの。
      • プログラム選択制御
      • プログラム形成制御

信号制御装置編集

交通信号機に用いられる制御器は振動や湿度・温度などの環境条件に対して長期的に機能低下しないように設計されていると同時に、交差する方向の交通を同時に対して青表示を出さないよう安全性の確保も実現されるよう設計されている[28]

制御器の設置場所は交差点全体が見通せる場所が最も望ましく、やむを得ず見通せない場合は主道路(交通量が多い道路)を見通せる位置に設置する[29]。また、歩道がある場合は歩道内に設置し、歩道が無い場合は車両が接触するおそれのない場所に設置する[29]。いずれの場合も、通常時・制御器筐体開扉時にかかわらず歩行者の通行の支障にならないように設置し、車両の進行方向に対して信号柱の陰となる位置に設置しなければならない[29]

制御方法によって以下の通り分類される[30]

  • 地域制御
    • 集中制御用信号制御器
  • 系統制御
    • 集中制御用信号制御器
    • 多段系統制御用信号制御器
  • 地点制御
    • 感応制御用信号制御器
    • 押ボタン制御用信号制御器
    • 多段制御用信号制御器

集中制御用信号制御器はマイクロプロセッサと交通信号制御専用LSIの階層構成を用いることで信頼性の向上を図っている[31]。マイクロプロセッサによって、車両感知器などからの感応制御を行うほか、交通管制センターからの遠隔操作時のサイクル・スプリット・現示の切り替えなどの制御内容について学習して交通管制センターとの回線が断線しても信号制御が乱れないようになっている[31]。交通信号制御専用LSIは、マイクロプロセッサが異常状態になっても信号制御が安全に行えるよう構成されている[31]

多段制御用信号制御器は万年カレンダーを内蔵しており、曜日・時刻に応じて信号制御のパターンを設定することができる[31]

警察庁によると、日本国内の制御機の約2割にあたる4万基超が更新時期を過ぎており、このままのペースで更新すると10年以内に3割を超える見通しで、警察庁は故障すると事故に繋がる恐れがあるとして、2020年度までに重点的に更新するよう各都道府県警に指示した[32]

車両用信号編集

車両用交通信号灯器の表示面は丸型が採用され、表示面の直径は一般道路用の250 mmと300 mm、高速道路用の450 mmが使用されている[33]。かつては視認性確保のため一般道路でも450 mmのものが取り付けられていたが、LED化に伴う信号機そのものの視認性向上によって小型の信号機に戻している例が多い[34]。取り付ける際は地盤面から灯器底部まで5,100 mm以上とし、交差点進入方向から見やすい位置に設置しなければならない[35]

黄色、赤色といった特定の灯火しか使用しない場合でも、青・黄・赤の三色の車両用信号機を用いることが望ましいとされている[36]

矢印灯器を配置する場合、横型灯器の場合は三色灯器の下に、縦型灯器の場合は三色灯器の右に配置する[9]。いずれの場合も、青の隣に左折矢印、黄の隣に直進矢印、赤の隣に右折矢印を配置する[9]

日本では一般的に横型であるが、東北地方北陸地方などでは信号機に付いた雪が表示面を隠してしまわないように縦型の信号機が採用されている[37]

2017年(平成29年)度から警察庁は表示面の直径の標準を300 mmから250 mmに変更した[38]。この変更により、庇が省略され、横幅は200 mm縮まりスリムな筐体となる[39]。明るさはそのままで、製造コストが17%削減できる[38]。さらに、6割近く軽量化されるため、台風の影響も受けにくくなる[39]。2017年6月22日大阪市鶴見区の交差点で初めて新型の信号機が導入され、将来的には全国126万基の灯器を交換する方針である[40]

車両用信号機のアーム

車両用信号機の取り付けられるアームの長さは2.0 m(メートル)を標準とし、最長は3.5 mとしなければならない[41]。アームの形状は梁が2本の「平行アーム」、1本の「直線アーム」などがある[41]。アーム長や矢印灯が設置されている数などによって支持棒や補強金具の取付方法が異なってくる[41]。信号交差点が連続する場合は誤認を防ぐため、手前の信号灯器のアームを短くして遠近法による錯覚を防ぐなど、設置上の配慮が必要とされる[42]

車両用信号機の識別の問題と改善策

他の流入路などの信号機を誤認するおそれがある場合は、方かくしフード・筒形のフード・ルーバーなどを取り付ける[43][44]。そのほか、停止線の位置を見直す、側柱式の縦型灯器の設置などのことも検討しなければならない[44]

また、信号が設置された交差点が隣接する場合は可能な限り近接交差点相互の灯器の設置間隔を開ける必要がある[44]。そして、下流側の交差点の灯器の取付角度を下向きに調整しなければならない[44]

視認性を向上する目的として、背面板が設けられることがある[1]。日本では通常、幅が10-15 cmの黒または緑と白の斜めの縞が設けられる[1]。なお、例えばオレンジなどの明るい色彩は信号機ではなく背面板自体に注意を引き付けることになるため避けられる[1]

交通信号機に3色のフィルターを設けて1灯のみとすることも可能であるが、色覚障害者に考慮した場合は好ましいものではなく、一般的には採用されづらい交通信号機の形態である[1]。 灯火の灯色については、1970年代以降のものは、色覚障害に配慮して青表示が緑から青味の強い緑色に変更されている[45]。また、信号機の表示を分かりやすくするために赤表示の部分に「×」印を付けた信号機が考案され、2012年福岡市で試験設置された[46]。この「×」印は色覚障害者のみ見えるものである[46]。この信号機は「色覚異常者に優しいユニバーサルデザインLED信号灯」として2011年度にグッドデザイン賞を受賞している[47]。 なお、2001年(平成13年)には青を「〇」、黄を「△」、赤を「×」とした「〇×△灯器」の実験が行われたが、視認実験に明確な効果が現れなかった[48]

自動運転を行う車両はカメラなどで信号機の表示を認識しているが、逆光時などで正確に判断できないことがある[49]。そのため、信号機に取り付けた通信機や交通管制センターからの情報によって信号機の表示を識別することが検討されている[49]

予告信号機

予告信号機は交差点の手前がカーブや坂になっているなどして交差点を見通す視距が十分に取れない場合に設置される[50]。しかし、日本では予告信号機に関して明確な規定が無く、多種類の表示方法が混在しているためドライバーの混乱を招くと指摘されている[51]。その中で、交差点で青現示の時は青を表示し、それ以外の現示では黄点滅を表示する方式が視認性の上で効果があるとしている[52]。道路利用者が予告信号機に使われる灯器の意味を理解するために「予告信号灯」などの標示板が取り付けられる[53]

一灯点滅式信号機

一灯点滅式信号機は通常の信号機が設置できない細街路の交差点で、優先・非優先を明確にし出会い頭事故を防止するために設置される[54]。赤・黄が相互に点滅し、点滅周期は0.4 - 0.6 である[54]。 。1975年(昭和50年)に福岡県で導入されて以降、2012年(平成24年)度には全国で6,224基が設置された[55]。しかし、設置から数年で効果が薄れるなどの声があり、この信号機の効果は疑問視されている[55]。また、一時停止規制の方がかえって分かりやすいとの声があり、一時停止規制へ変更した場合はかえって人身事故が減少した事例が多い[56]。さらに、一時停止の標識の視認性も向上している[56]。そのため、一灯点滅式信号機は撤去が進んでおり、警察庁も撤去を促進している[56]

多雪地域でのLED式信号機の問題点

LEDのものは旧来の物に比べ発熱が少ない事から雪が解けずに付着し見づらい・見えないという問題も起こっている[57][58]。この場合、警察官や工事業者が除雪作業を行わなければならない[59]。北海道警察では特製の「交通信号機用雪落とし棒」を道内各警察に配布し、雪を払うようにしている[60]

対策として、お椀型の透明な着雪防止フードを灯器に取り付けて視認性を確保する場所や、約6 cm(センチメートル)の薄い板状にした「フラット型信号灯器」を斜め下に向けて設置して対策を行う場所が見られる[61]。また、ロータス効果による撥水効果がある灯器の開発が進められている[62]

自転車用信号編集

日本国内では基本的に自転車も原則としては車両用灯器に従って通行する[63]

日本における自転車用信号の運用は次の通り大きく3通りに分類される[63]

  • 1)「歩行者・自転車専用」の標示板を歩行者用灯器に設置したもの
  • 2)「自転車専用」等の標示板を車両用灯器に設置したもの
  • 3)一方通行の出口等で自転車等を対象に「自転車専用」の標示板を併設したもの

いずれも「自転車専用」と書かれた標示板が設置される[64]

自転車も法令上車両として扱われるため3色の車両用灯器を用いることになっているが、自動車向けに設置された灯器と区別するために2色の灯器を用いることもある[65]

歩行者用信号編集

表示面は一辺の長さが200 - 250 mmの正方形である[66]。信号交差点に横断歩道が設置されている場合は原則として歩行者用信号機を設置しなければならない[44]。歩行者用灯器の高さは地盤面から灯器底部までを2,5 m以上(通常は2.7 m-3.2 m)とし、対岸の横断歩道の中央から見て正対するように設置される[44][67]。特に柱頭式(自立式)の歩行者用信号機は地盤面から灯器の底面までを3 m程度とする[44]。視認性を確保するため、横断歩道の幅が広い場合や中央分離帯が存在する場合などは歩行者用信号機の増設を検討すべきである[44]

初期の信号機は車両用と歩行者用の区別がなく、同一の信号機によって交通整理が行われてきた[68]1936年(昭和11年)に五反田駅前交差点に車両用と区別するためレンズの直径が150mmの歩行者用信号機が設けられた[69]。その後、1963年(昭和38年)頃にレンズに人形を入れた歩行者用信号機が設置されたが、これらは青点滅しないものであった[70]。そして、1964年(昭和39年)12月15日に歩行者用信号灯器の研究開発することが決定した[70]1965年(昭和40年)に警視庁が新宿追分交差点に試験設置し、アンケートを実施した[70]。このアンケートの結果に基づき見当が加えられ、人形型の歩行者用信号灯器は1966年(昭和41年)2月9日に仕様書が作られ正式化された[70]。そして、1996年(平成8年)に「U型歩行者用交通信号灯器」としてLED式の仕様が制定された[71]。1996年制定の仕様では電球式とLED式で同じ寸法の筐体が用いられていた[72]。しかし、電球式では必要な筐体内部の反射板が不要となり、車両用灯器と同様に薄型化された[73]。薄型化によって軽量化や作業性向上の効果の他に歩行者用信号機においては車両との接触事故を防止する効果もある[73]

現在でも歩行者用信号機が設置されていない交差点では車両用信号機に従わなければならない。


歩行者用のものは縦型で、下が青、上が赤の配置となっている物が多いが、横型のものも存在する。歩行者用のものは信号機の中にイラストが描かれていて、青は歩いている人、赤は立っている人のイラストとなっている。

表示は基本的に青→青点滅(車両用信号機の黄と同じ役割)→赤の順で切り替わる。車両用信号機と連動のものは基本的に先に歩行者信号機側から切り替わるが、一部例外として先に車両用信号から切り替わる所もある。

電球式では人形が白で、周囲が赤または青として全体が発光している[74]。その一方で、LED式は人形のみが赤または青に発光し、周囲は発光しない[74]。これに伴いLED式では発光面の面積が縮小したため、発光面積の確保のため人形の大型化が行われている[74]

歩行者用信号機を設置する際、電柱からのびるアームで上下から抱え込む形式を標準とする[41]。また、歩行者用信号機のみを設置する場合において柱の先端に歩行者用信号灯器を取り付ける柱頭式が設置されることもある[75]

待時間表示と歩行者信号機

赤信号でのイライラやフライング横断を防ぐ目的として待時間表示装置を併設した歩行者用信号機が設置されることがある[41]。この信号機は1988年東京都で試験設置が開始され[76]、1996年(平成8年)から正式に設置されるようになった[77]。その後、2006年から赤信号・青信号の残り時間を同時に表示できる「経過時間表示付きLED式歩行者用交通信号灯器」の設置が開始された[78][79]。この信号は「ゆとりシグナル」とも呼ばれている[80]。歩行者の多くが赤信号開始までに横断完了できる効果があった[81]。青信号になる直前のフライング横断を抑止する効果も見られた[82]。その一方で、赤信号時の横断に対する抑制は見られなかった[82][83]

音響信号機

視覚障がい者が安全に横断歩道を横断するため音響式信号機が設置される[84]。この信号機は1976年(昭和51年)から設置が開始され[85]盲学校や公共施設など視覚障がい者の利用頻度が高い場所から優先的に設置されている[84]。歩行者用信号機が青の時にスピーカーより誘導音(「ピヨ」や「カッコー」など)が鳴動される[84]。なお、音量は近隣住民の生活に考慮して設定しなければならない[86]

その他のバリアフリー対応の歩行者信号機

2.5 m以上の高さで、横断歩道の対岸に設置されている歩行者用信号機は弱視者や高齢者が信号を確認するのが困難という指摘がある[87]。そのため、音響信号機に用いられる音響装置に長方形の赤と円形の緑のLEDを配置した「高齢者・視覚障がい者用LED付き音響装置」が開発されている[87]。地面から90 cmの位置に存在するので高齢者や子供にとっても信号確認がしやすい[87]

視覚障がい者や盲ろう者が安全に横断歩道を横断するための触知式信号機(振動ポール)が設置される[88]。昭和40年頃に三重県大阪府香川県で設置されていたが本格的な普及をせずに消滅した[88]。しかし、2006年(平成18年)に新しい装置として復活した[88]

歩行者等支援情報通信システム(PICS)による信号機も整備されている[89]。この信号機は歩行者が端末を携帯し(白杖に取り付けることもある)、端末と信号機で相互に通信することで交差点の情報や信号機の現示を知ることができる[89]

路面電車用信号編集

日本の路面電車道路上では道路交通法施行令によって定められた信号機の意味に従い運転しなければならない。しかし、車両用信号機と共用では円滑な電車の運行が困難と判断されたため、1954年(昭和29年)4月1日より軌道運転規則によって定められた信号機も利用されている[90]。意味は以下の通りである(軌道運転規則第82条)。

方式 色灯式
信号の種類 停止信号 赤色の×印灯
進行信号 黄色の矢印灯

灯器は車両用交通信号灯器を使用することが一般的であるが、歩行者用交通信号灯器を利用することもある[91]。電球式交通信号灯器を使用する場合は黄色矢印と赤×印を施したレンズを取り付ける。LED式交通信号灯器の場合、最初から黄色のLEDを矢印形に、赤色のLEDを×印形に配置した専用の物と、一灯式のLED式信号灯器の黄色・赤にそれぞれ矢印形・×印形に切り抜いたレンズを取り付けた物とがある。

路面電車用信号機は道路上においては、通常は車両用信号機の下部に取り付ける事が多いが、青矢印信号がすでに設置されている場合などでは路面電車用信号機のみをアーム上の別の場所などに取り付ける事もあり、その場合「電車専用」等と書かれた表示板を合わせて取り付ける事もある。[要出典]

黄矢印信号によって進める路面電車は他の交通と交錯しないようにしなければならない[92]

路面電車の定時運行と速達性を確保するため、路面電車を優先する信号制御を行うことがある[93]架線に取り付けられたトロリーコンタクター光ビーコンによって路面電車を感知する[94]。導入事例として広島市[95]熊本市[96]が挙げられる。

信号機の製造編集

製造編集

反射鏡の研磨作業

電球式信号機の場合、内部の反射鏡は光を均等かつ正しい方向に反射するために研磨作業が重要である[97]。複数回バフによって研磨された後[98]電解研磨で反射鏡をリン酸溶液につけ、表面を溶解させることで更に光沢をつける[99]。そして、陽極酸化処理硫酸溶液につけ、反射鏡に不働態被膜を形成させて劣化しづらくさせる[100]。そして、封孔処理として酢酸ニッケル溶液につけ、不働態被膜の間にできた表面の孔を塞ぎ、保護作用を高める[101]。最後に乾燥を行い、研磨作業は完了である[102]

レンズの製造

原料であるポリカーボネートを摂氏300度で溶かし、金型でプレスし成型する[103]。その後、成型具合を確認してから、余分な部分を取り除く[104]

本体の塗装

はじめに、灯器本体の加工時に付着した油分を摂氏70度程度のアルカリ水で除去し[105]。その後、水洗いして[106]から、十分に水切り乾燥を行う[107]。そして、表面のゴミを取り除いから下塗りを行う[108]。次に中塗りで均等に塗装する[109]。その次に静電塗装によって上塗りを行う[110]。最後に人の手で仕上げる[111]。塗装を灯器本体になじませるため、摂氏130度程度の熱で焼き付ける[112]

組み立て工程

水やほこりが入り込まないように、部品どうしの接合部にはシール材が塗られる[113]。そして、ゴム製のパッキンによってレンズや反射鏡などの部品どうしを固定する[114]。レンズと反射鏡は組み立てられると前枠に固定される[115]。そして、ネジを用いて完全に密着される[116]。その一方で、後枠にもランプソケットが取り付けられ[117]、前枠に取り付けられる[118]。そして、庇を取り付け[119]、電圧を加えて漏電などの異常がないか確認される[120]

材質編集

信号機の筐体はかつて金属製が主に用いられてきたが、現在はアルミニウム製およびポリカーボネイト樹脂製が主流である[121]。電球式信号機内部の反射鏡はアルミ製のものが用いられる[122]。また、レンズはポリカーボネートが用いられる[123]

信号機の光源編集

電球式信号機

電球式の信号機は内面にプリズムを持つレンズと、回転放物面をなした反射鏡が一体化されたセミシールド型の構造であった[121]。その焦点に電球のフィラメントを置くことで平行光線を得ることができ、さらにレンズが持つプリズムによって左右および下方にを拡散させた[121]。電球には白熱タングステン電球が用いられ、消費電力が60 Wと100 Wのものには「道路交通信号用電球」としてJIS規格が定められている[121]。なお、道路交通信号用電球は家庭用電球と比べ振動に強く[124]、家庭用電球の約12倍の12000時間もの寿命を持つ[125]。この電球は約1年(9000時間)を目安に交換される[126]

電球は最初は100 W(ワット)の白熱電球が用いられてきた[127]。その後、オイルショックなどにより信号機にも省エネルギー化が必要となり、レンズの改良や電球の高効率化によって60 W(一部は70 W)の電球も用いられるようになった[127]。この高効率化で生まれた電球がバンドミラー型交通信号用電球であり、1980年(昭和50年)に仕様化されている[128]。光の輻射効率を向上させた電球であり、従来の30%の電力削減となった[128]。その後、1987年(昭和61年)にバンドミラー型交通信号用電球から消費電力を15%削減した交通信号用電球が松下電器によって開発された[129]

一方で、電球の改良による反射効率の改善により、太陽光が反射してあたかも点灯しているように見える「疑似点灯」の問題が顕在化した[130]。そのため、この疑似点灯を防止する方策が様々考えられてきたが、電球式信号機での決定的な対策方法は見つからず、LED式信号機の誕生によって全面的に解決された[130]

LED式信号機

LED式信号機はLED素子を光源とする「プロジェクタ型」と、LED素子を全面に直接配置した「全面素子型」の2種類がある[121]。「全面素子型」の方が視認性に優れ、主に用いられている[121]

電球によって日中に確実に信号を伝えることは限界に達しつつあり、光源の変更が検討されてきた[127]。そこで、1993年に屋外での使用にも耐えうる青色LEDが開発され、信号機にもLEDの使用が開始された[131]。信号機のLED化によって、消費電力が60 Wの白熱電球のものと比べ、3分の1から10分の1程度にまで抑制できるようになった[132]。また、LEDは電球と比べ長寿命であり、電球と比べると頻繁にメンテナンスをする必要がない[132]。そのため、メンテナンス費用の削減にも繋がった[133]。さらに、電球はフィラメントが1個しかなく、このフィラメントが切れると完全に点灯しなくなる欠点があった[34]。しかし、LED式は回路を工夫することで1つのLEDが切れても他のLEDが点灯するようになっており、安全性が向上している[34]。 視認性も改善され、LEDそのものが色を含めて発光するため、表示面の着色レンズや内部の反射鏡を不要となった[132]。そのため、本来点灯していない色が点灯しているように見える疑似点灯現象が生じないようになった[127]。また、LED式は、電球式と異なり、表示面から均一に光が放出されるため、信号機そのものの視認性も改善された[34]

歴史編集

創始期

道路用の信号機は、1919年大正8年)に、東京・上野広小路交差点に試験的に「信号標板」が設置されたのが日本初である[134]。このときは「進メ」「止レ」と書かれた板を警察官が操作する手動式であった[134]。この方式は多くの通行者が戸惑うこととなり、時期尚早として警察官による交通整理の方が良好と判断され本格採用は見送られた[134]。3年後の1922年(大正11年)に上野公園で開催された平和博覧会の会場入り口交差点付近に再登場した[135]。その後、「信号標板」は改良が重ねられ全国の都市に普及した[135]。普及の背景は、大都市での交通事故の増加が顕著であり、更に手信号での適切な交通整理が難しいと判断されていたことであった[135]

発祥期

自動式信号機は、1930年(昭和5年)3月23日に東京市(当時)の日比谷交差点に設置されたものが最初である[136]。灯器は交差点の中央部に設置され、緑・黄・赤3色の意味を知らせるために、あえて信号灯のガラスの上から「ススメ」「チウイ」「トマレ」と文字が書かれていた[137]。これは米国のレイノルズ社製[136]で、同年に国産の信号機も製造開始されている[138]。1930年の交通に関する法令では「緑信号」と書かれていたが、信号機の設置を紹介する当時の新聞記事などで「青」と記された事により青の呼び方が広まったと考えられ、その後、法令も1947年に「青」と書き換えられた経緯がある[139][140]

交通信号機が警察で仕様化されたのは1933年(昭和8年)[141]。この当時の配列は道路中心から赤、橙黄、緑の順と定められ、表示面の直径も185 mmから230 mmと定められた[141]

太平洋戦争に入ると信号機も灯火管制の対象となり、空襲警報発令時はスイッチを切り換えて減光した[142]。その一方で、1942年(昭和17年)5月から1947年(昭和22年)12月まで、赤色の灯火の点滅(赤点滅)は空襲警報を告げる表示として用いられた[143]。空襲警報を知らせる役割を担ったため、道路標識金属類回収令による回収の対象となったが、信号機は回収を免れた[142]。しかし、空襲に伴い大半の信号機は被害を受けた[144]

復興期

戦後は被災した信号機を修理するなどして応急処置を行ったが、手信号による交通整理に頼らざる得ない状態であった[145]光度が下がり視認性が悪い信号機が多かったため、鉄道信号に倣い背面板の設置が始められた[146]。この背面板は視認性が確保された現在では風害や景観破壊の可能性があるため使用が限定的となっている[129]

戦災前まで東京、大阪、京都などの8府県でしか信号機は見られなかったが、自動車の普及などを背景に全国の地方都市でも信号機の導入が進んだ[147]

1947年(昭和23年)には配列が右側から赤色、黄色、青色と定められ、表示面の直径も20 cmから30 cmとなった[141]

1953年(昭和28年)頃から関西地区で「注意信号の予告として車両に停止準備をさせ、黄信号時における交差点内の進入を抑制する」ことを目的に、車両用信号機に青色の灯火の点滅(青点滅)が導入された[148]。当時黄色の灯火(黄信号)は、交差点へ既に進入した車両等・歩行者は交差点の外に出なければならないこと以外は赤色の灯火(赤信号)と同じ意味であった[148]1970年(昭和45年)7月25日に道路交通法施行令が改正され、黄信号の意味が改正されて青点滅信号が廃止された[148]

普及期・IT期

1961年に両面に信号機を取り付ける方式が国内で初めて導入される[149]

1966年(昭和41年)に歩行者用信号機が導入された[70]

交通信号機が初めて仕様化されたのは1973年(昭和48年)であり、「警交仕規第9号」として定められた[141]

1975年(昭和50年)に新潟県で初めて多雪でも視認性を確保するために縦型の信号機が導入される[37]

1994年(平成6年)に世界初のLED式信号灯器が愛知県に設置され[150]、その直後に徳島県で設置された[151]。その後、2000年(平成12年)に正式に仕様化された[152]

脚注編集

出典編集

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参考文献編集

書籍
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  • 交通信号50年史編集委員会 『交通信号五十年史』 交通管制施設協会、1975年5月31日
  • 交通工学研究会 『交通信号の制御技術』 交通工学研究会、1983年5月
  • 交通工学研究会 『改訂交通信号の手引き』 丸善出版、2006年7月
  • 交通工学研究会 『道路交通技術必携2007』 建設物価調査会、2007年8月
  • 施行ハンドブック編集委員会(編) 『交通信号工事施工ハンドブック』 全国交通信号工事普及協会、2015年4月、2版。
  • 交通工学研究会 『平面交差の計画と設計 自転車通行を考慮した交差点設計の手引』 丸善出版、2015年7月ISBN 978-4-905990-84-0
  • 交通信号工事士技能検定委員会ハンドブック編纂作業部会(編) 『交通信号施設保守点検ハンドブック』 全国交通信号工事普及協会、2016年2月
  • UTMS協会 『日本の交通信号史 : その後の40年』、2016年9月
  • 道路交通執務研究会(編)、野下文生 『執務資料道路交通法解説』 東京法令出版、2015年2月27日
  • 交通信号工事品質向上研究委員会設計作業部会・ハンドブック編纂作業部会(編) 『交通信号工事施工ハンドブック』 全国交通信号工事普及協会、2018年1月、平成30年度版。
  • 交通工学研究会 『道路交通技術必携2018』 丸善出版、2018年5月30日
記事
  • 宮城紘一「信号機による交通整理」、『月刊交通』第8巻第6号、1977年、 8-17頁。
  • 桐生典男「交通信号の高度化の歴史」、『交通工学』第35巻第6号、2000年、 15-20頁。
  • 安井一彦・越正毅・宮田晋・浅野栄吉「予告信号灯の表示方式と車両挙動に関する研究」、『交通工学研究発表会論文報告集』第22巻、2002年10月、 5-8頁。
  • 高橋聡「雪と信号機」、『交通工学』第38巻第1号、2003年、 112-113頁。
  • 斎藤威「これからの信号制御 第2回 信号制御の基本(1)」、『交通工学』第40巻第2号、2004年、 82-89頁。
  • 村田啓介・浅野美帆・田中伸治・桑原雅夫「歩行者青信号の残り時間表示方式の導入に伴う横断挙動分析」、『国際交通安全学会誌』第31巻第4号、2007年、 76-83頁。
  • 渡辺章彦・下原祥平・島崎敏一「ゆとりシグナルの歩行者行動への影響 (PDF) 」 、『土木学会関東支部技術研究発表会講演概要集』第36巻、2009年、 IV-73。
  • 横田好明「路面電車からLRTシステムに向けた 広島電鉄の取り組み」、『ITASS Review』第34巻第2号、2009年、 47-55頁。
  • 中井誠一「視覚障がい者音声誘導と様々な信号機 (PDF) 」 、『電気設備学会誌』第30巻第12号、2010年12月、 1002-1005頁。
  • 伊藤伸哉「道路交通信号灯器のLED化について」、『電気設備学会誌』第31巻第10号、2011年、 783-786頁。
  • 牛木隆匡・鹿田成則・小根山裕之・石倉智樹「歩行者用信号の赤残り時間表示に着目した歩行者のフライング横断に関する研究 (PDF) 」 、『土木計画学研究・講演集』第46巻、2012年
  • 梨森武志「路面電車の信号保安設備」、『鉄道ピクトリアル』第882巻、2013年、 56-67頁。
  • 吉崎昭彦「「信号機設置の指針」の改正,試行について」、『交通工学』第50巻第2号、2015年、 46-51頁。
通達
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関連文献編集

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関連項目編集

外部リンク編集