日本児童文学学会(にほんじどうぶんがくがっかい、: Japan Society for Children's Literature)は、児童文学児童文化の研究者による学術研究団体である。

にほんじどうぶんがくがっかい
日本児童文学学会
英語名称 Japan Society for Children's Literature
専門分野 文学
設立 1962年10月6日
会長 宮川健郎[1]
事務局 日本の旗 日本
400-0802
山梨県甲府市横根町888 山梨英和大学井上征剛研究室 ※事務局長勤務先
会員数 362人(2016年8月現在)[2]
刊行物 紀要『児童文学研究』
会報『日本児童文学学会会報』
表彰 日本児童文学学会賞、同奨励賞、同特別賞
ウェブサイト http://www.jscl.internet.ne.jp/
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概要 編集

目的を「児童文学・児童文化の研究を促進し、会員相互の連絡を密にし、その研究調査の便宜をはかり、もって児童文学・児童文化の発展に資すること」に置き[3]、年1回の研究大会および全会員を対象にした研究例会を東京で年4回(東京例会)開催している。学会誌(紀要)として『児童文学研究』(年1回)を定期刊行し[4]、また会報「日本児童文学学会会報」(年2回)を発行している[5]。また1977年(昭和52年)以来、一年間に刊行された児童文学・児童文化の研究書や研究業績を対象として日本児童文学学会賞、および新人を対象とする同奨励賞、また同特別賞を設けて毎年表彰をおこなっている[6]

1962年10月6日設立[5]。初代会長は石森延男。事務局長・村松定孝、常任理事は猪熊葉子神宮輝夫鳥越信滑川道夫福田清人藤田圭雄、村松定孝、渡辺茂男であった。

会長 編集

日本児童文学学会賞 編集

受賞作は学会公式ウェブサイト掲載の「日本児童文学学会学会賞の記録」[7]に拠る[注 1]

第1回から第10回 編集

  • 第1回(1977年)
    • 学会賞: 藤田圭雄 『解題戦後日本童謡年表』東京書籍
    • 学会賞: 鳥越 信 『日本児童文学史年表 II』明治書院
    • 奨励賞: 勝尾金弥 『黎明期の歴史児童文学 : 「歴史読本」から「日本お伽噺」まで』アリス館
  • 第2回(1978年)
    • 学会賞: 『校本 宮澤賢治全集』全14巻、筑摩書房
    • 奨励賞: 二上洋一 『少年小説の系譜』幻影城〈幻影城評論研究叢書〉
  • 第3回(1979年)
    • 学会賞: 故 恩田逸夫の宮澤賢治研究の業績 に対して
  • 第4回(1980年)
  • 第5回(1981年)
    • 学会賞: 『校定 新美南吉全集』全12巻、大日本図書
    • 奨励賞: 上野浩道 『芸術教育運動の研究』風間書房
  • 第6回(1982年)
  • 第7回(1983年)
  • 第8回(1984年)
  • 第9回(1985年)
  • 第10回(1986年)
    • 学会賞: ※該当作なし
    • 奨励賞: 佐藤通雅 『日本児童文学の成立序説』大和書房
    • 特別賞: 木坂俊平 「関西の童謡運動史」(『こどものうた』第6号–第39号連載)

第11回から第20回 編集

  • 第11回(1987年)
    • 学会賞: ※該当作なし
    • 奨励賞: 永田桂子 『絵本観・玩具観の変遷』高文堂出版社
    • 奨励賞: セント・ニコラス研究会 編 『アメリカの児童雑誌「セント・ニコラス」の研究』セント・ニコラス研究会
  • 第12回(1988年)
  • 第13回(1989年)
  • 第14回(1990年)
    • 学会賞: 本田和子 『フィクションとしての子ども』新曜社〈ノマド叢書〉、ほか
    • 奨励賞: ニュー・ファンタジーの会 『翔くはばたくロビン』透土社〈イギリス女流児童文学作家の系譜〉
    • 奨励賞: 竹内オサム 『マンガと児童文学の〈あいだ〉』大日本図書
    • 特別賞: 光吉夏弥 『絵本図書館 : 世界の絵本作家たち』ブック・グローブ社
  • 第15回(1991年)
    • 学会賞: 石澤小枝子 『フランス児童文学の研究』久山社
    • 奨励賞: 畑中圭一 『童謡論の系譜』東京書籍
  • 第16回(1992年)
    • 学会賞: 植田敏郎巖谷小波とドイツ文学 : 〈お伽噺〉の源』大日本図書
    • 奨励賞: 藤本芳則 『巖谷小波お伽作品目録稿』(私家版)
    • 奨励賞: 中川素子 『絵本はアート : ひらかれた絵本論をめざして』教育出版センター
  • 第17回(1993年)
    • 学会賞: 矢崎節夫 『童謡詩人 金子みすゞの生涯』JULA出版局
    • 奨励賞: 岡本定男 『子ども文化の水脈 : 近代日本児童文化史研究論考』近代文芸社
  • 第18回(1994年)
    • 学会賞: ※該当作なし
    • 奨励賞: 横川寿美子 『「赤毛のアン」の挑戦』宝島社
    • 特別賞: 江戸子ども文化研究会 編 『浮世絵のなかの子どもたち』くもん出版
  • 第19回(1995年)
    • 学会賞: ※該当作なし
    • 奨励賞: 桑原三郎・松井千恵 監修 『巖谷小波「十亭叢書」の註解』ゆまに書房
    • 特別賞: 佐藤光一 『日本の少年詩・少女詩』全2巻、大空社
  • 第20回(1996年)

第21回から第30回 編集

  • 第21回(1997年:)
    • 学会賞: ※該当作なし
    • 奨励賞: 仲村 修 編訳 『韓国・朝鮮児童文学評論集』明石書店
    • 奨励賞: 加藤 理 『〈めんこ〉の文化史』久山社〈日本児童文化史叢書〉
    • 特別賞: 弥吉菅一 研究と活動 に対して
  • 第22回(1998年)
    • 学会賞: ※該当作なし
    • 奨励賞: 河原和枝 『子ども観の近代 : 『赤い鳥』と「童心」の理想』中央公論社〈中公新書〉
    • 奨励賞: 中村悦子・岩崎真理子 編 『「コドモノクニ」総目次』上下、久山社〈日本児童文化史叢書〉
    • 特別賞: 桑原三郎 (研究と活動 に対して)
  • 第23回(1999年)
  • 第24回(2000年)
    • 学会賞: 勝尾金弥 『伝記児童文学のあゆみ : 1891から1945年』ミネルヴァ書房〈Minerva 21世紀ライブラリー〉
    • 奨励賞: 和田典子三木露風 : 赤とんぼの情景』神戸新聞総合出版センター
    • 特別賞: 中京大学文化科学研究所 「愛知の児童文化研究」
  • 第25回(2001年)
  • 第26回(2002年)
  • 第27回(2003年)
    • 学会賞: 井辻朱美 『ファンタジーの魔法空間』岩波書店
    • 特別賞: スーザン・J・ネイピア 『現代日本のアニメ : 『AKIRA』から『千と千尋の神隠し』まで』中央公論新社〈中公叢書〉(神山京子 訳)
    • 特別賞: 鳥越 信 『はじめて学ぶ日本の絵本史 I・II・III』(ミネルヴァ書房)の企画・編集 に対して
  • 第28回(2004年)
  • 第29回(2005年)
    • 学会賞: ※該当作なし
    • 奨励賞: 浅岡靖央 『児童文化とは何であったか』つなん出版
    • 奨励賞: 中野晴行 『マンガ産業論』筑摩書房
    • 特別賞: 筒井清忠西條八十』中央公論新社〈中公叢書〉
  • 第30回(2006年)

第31回から第40回 編集

  • 第31回(2007年)
    • 学会賞: 畑中圭一 『日本の童謡 : 誕生から九〇年の歩み』平凡社
    • 奨励賞: 尾崎るみ若松賤子 : 黎明期を駆け抜けた女性』港の人〈港の人児童文化研究叢書〉
    • 奨励賞: 今田絵里香 『「少女」の社会史』勁草書房〈双書ジェンダー分析〉
    • 特別賞: 私市保彦 『名編集長エッツェルと巨匠たち : フランス文学秘史』新曜社
  • 第32回(2008年)
    • 学会賞: ※該当作なし
    • 奨励賞: 石原 剛 『マーク・トウェインと日本 : 変貌するアメリカの象徴』彩流社
    • 奨励賞: 石山幸弘 『紙芝居文化史 : 資料で読み解く紙芝居の歴史』萌文書林
    • 特別賞 加藤暁子 『日本の人形劇 1867–2007』法政大学出版局
  • 第33回(2009年)
    • 学会賞: ※該当作なし
    • 奨励賞: 水間千恵 『女になった海賊と大人にならない子どもたち : ロビンソン変形譚のゆくえ』玉川大学出版部
    • 特別賞: 加古里子 『伝承遊び考』全4巻、小峰書店
  • 第34回(2010年)
    • 学会賞: ※該当作なし
    • 奨励賞: 金 成妍 『越境する文学 : 朝鮮児童文学の生成と日本児童文学者による口演童話活動』花書院
    • 奨励賞: 村瀬 学長新太の絵本の不思議な世界 : 哲学する絵本』晃洋書房
    • 特別賞: 西田良子 (これまでの業績に対して)
    • 特別賞: 三宅興子、香曽我部秀幸 編 『大正期の絵本・絵雑誌の研究 : 少年のコレクションを通して』翰林書房
  • 第35回(2011年)
    • 学会賞: ※該当作なし
    • 奨励賞: 高橋律子 『竹久夢二 : 社会現象としての〈夢二式〉』ブリュッケ 発行(星雲社 発売) (のちに美学出版より電子書籍化)
    • 特別賞: 阿部紀子 『「子供が良くなる講談社の絵本」の研究 : 解説と細目データベース』風間書房
    • 特別賞: 「函館児童雑誌コレクション及び北海道児童雑誌データベース」作成委員会
    • 特別賞: 武藤清吾芥川龍之介編『近代日本文芸読本』と「国語」教科書教養実践の軌跡』溪水社
  • 第36回(2012年)
    • 学会賞: ※該当作なし
    • 奨励賞: ※該当作なし
    • 特別賞: 鷺只雄 『【評伝】壺井栄』翰林書房〈比較社会文化叢書〉
    • 特別賞: 桝居 孝 『日本最初の少年少女雑誌『ちゑのあけぼの』の探索 : 「鹿鳴館時代」の大阪、京都、神戸』かもがわ出版
  • 第37回(2013年)
    • 学会賞: ※該当作なし
    • 奨励賞: 相川美恵子 『児童読物の軌跡 : 戦争と子どもをつないだ表現』龍谷学会
    • 特別賞: 久米依子 『「少女小説」の生成 : ジェンダー・ポリティクスの世紀』青弓社
  • 第38回(2014年)
    • 学会賞: ※該当作なし
    • 奨励賞: 竹内美紀石井桃子の翻訳はなぜ子どもをひきつけるのか : 「声を訳す」文体の秘密』ミネルヴァ書房
    • 特別賞: 府川源一郎 『明治初等国語教科書と子ども読み物に関する研究 : リテラシー形成メディアの教育文化史』ひつじ書房
  • 第39回(2015年)
    • 学会賞: 加藤 理 『「児童文化」の誕生と展開 : 大正自由教育時代の子どもの生活と文化』港の人
    • 奨励賞: 大橋眞由美 『近代日本の〈絵解きの空間〉 : 幼年用メディアを介した子どもと母親の国民化』風間書房
    • 特別賞: 千森幹子 『表象のアリス : テキストと図像に見る日本とイギリス』法政大学出版局
  • 第40回(2016年)
    • 学会賞: ※該当作なし
    • 奨励賞: 周東 美材 『童謡の近代 : メディアの変容と子ども文化』岩波書店〈岩波現代全書〉
    • 奨励賞: 朴 美暻韓国の「鬼」 : ドッケビの視覚表象』京都大学学術出版会
    • 特別賞: 高橋明彦楳図かずお論 : マンガ表現と想像力の恐怖』青弓社

第41回から第50回 編集

  • 第41回(2017年)
    • 学会賞: ※該当作なし
    • 奨励賞: ミンガド・ボラグ 『「スーホの白い馬」の真実 : モンゴル・中国・日本それぞれの姿』風響社〈アジア・グローバル文化双書〉
    • 奨励賞: 森下 達 『怪獣から読む戦後ポピュラー・カルチャー : 特撮映画・SFジャンル形成史』青弓社
    • 特別賞: 武田雅哉 『中国のマンガ〈連環画〉の世界』平凡社
  • 第42回(2018年)
    • 学会賞: ※該当作なし
    • 奨励賞: 橋本外記子村山籌子の人間像と童話』南の風社
    • 特別賞: 是澤博昭 『軍国少年・少女の誕生とメディア : 子ども達の日満親善交流』世織書房
    • 特別賞: 神奈川大学日本常民文化研究所非文字資料研究センター「戦時下日本の大衆メディア」研究班(代表・安田常雄)編著 『国策紙芝居からみる日本の戦争』勉誠出版〈非文字資料研究叢書〉
  • 第43回(2019年)
  • 第44回(2020年)
    • 学会賞: ※該当作なし
    • 特別賞: 赤羽茂乃 『絵本画家 赤羽末吉 : スーホの草原にかける虹』福音館書店
  • 第45回(2021年)
    • 学会賞: 齋木喜美子 『沖縄児童文学の水脈』関西学院大学出版会
    • 奨励賞: ナーヘド・アルメリ 『金子みすゞの童謡を読む : 西條八十と北原白秋の受容と展開』港の人
    • 特別賞: 鵜野祐介 『子どもの替え唄と戦争 : 笠木透のラスト・メッセージ』子どもの文化研究所〈叢書 文化の伝承と創造〉
  • 第46回(2022年)
    • 学会賞: ※該当作なし
    • 奨励賞: ※該当作なし
    • 特別賞: 西口拓子 『挿絵でよみとくグリム童話』早稲田大学出版部〈早稲田大学学術叢書〉
  • 第47回(2023年)
    • 学会賞: ※該当作なし
    • 奨励賞: 柿本真代 『児童雑誌の誕⽣』⽂学通信
    • 奨励賞: ⼩林夏美 『「語る⼦ども」としてのヤングアダルト―現代⽇本児童⽂学におけるヤングアダルト⽂学のもつ可能性』⾵間書房
    • 特別賞: 浅岡靖央 『「⽇本少国⺠⽂化協会」資料集⼤成』⾦沢⽂圃閣
    • 特別賞: ⽵内オサム 『ビランジ』
    • 特別賞: 福島可奈⼦ 『混淆する戦前の映像⽂化―幻燈・玩具映画・⼩型映画』思⽂閣出版

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 書籍(単行本)・論文いずれも日本児童文学学会賞の授賞対象で(特別賞については人も対象となる)、候補作・候補者は会員から一年ごとに推薦を募る[8]。選考基準は「学会会則第4条第6号に関わる内規」に定めており、学会賞は「児童文学・児童文化領域において、特に高い学術的価値を有する研究」に、奨励賞は「児童文学・児童文化領域において、高い学術的価値を有し、将来の進展が期待される研究」に、特別賞は「児童文学・児童文化領域の研究活動等において、永年にわたる顕著な功績が認められる人。または、児童文学・児童文化に接点を有する周辺領域における優れた研究。その他、特別に意義が認められる研究」に対して与えられる[8]

出典 編集

  1. ^ 役員一覧|日本児童文学学会”(pdf). 日本児童文学学会. 2023年7月8日閲覧。
  2. ^ 公開情報|日本児童文学学会”(pdf). 日本児童文学学会. 2023年7月8日閲覧。
  3. ^ 日本児童文学学会会則(1962年10月6日施行/2019年11月23日改正)”(pdf). 日本児童文学学会. 2023年7月8日閲覧。第3条参照。
  4. ^ 『児童文学研究 Bulletin of children's literature』、NCID AN00106144ISSN 0914-6059。第1号から第43号(2011年)までの目次は公式ウェブサイトで、“日本児童文学学会紀要「児童文学研究」総目次”(pdf)として公開している。
  5. ^ a b 沿革と活動”. 日本児童文学学会. 2023年7月8日閲覧。 ※リンク元は公式ウェブサイトのトップページ
  6. ^ 日本児童文学学会 編『児童文学研究の現代史 : 日本児童文学学会の40年』小峰書店、2004年4月。ISBN 4-33801025-8
  7. ^ 日本児童文学学会学会賞の記録” (pdf). 日本児童文学学会 (2022年). 2023年7月8日閲覧。 ※pdf配布元は日本児童文学学会ウェブサイト。
  8. ^ a b 学会賞アンケート” (pdf). 日本児童文学学会 (2021年6月). 2021年9月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年7月12日閲覧。 ※pdf配布元は日本児童文学学会ウェブサイトの「学会賞アンケート」項。

関連項目 編集

外部リンク 編集