日本応用数理学会
1990年に設立された学会であり、応用数学の研究に関する交流の場
一般社団法人日本応用数理学会(いっぱんしゃだんほうじんにほんおうようすうりがっかい、英語: The Japan Society for Industrial and Applied Mathematics、略称 : JSIAM)は、1990年4月1日に設立され、2012年7月1日に一般社団法人に移行した学会であり、応用数学の研究に関する交流の場である。SIAM(米国の工学と応用数学の学会)の日本版に相当する。
団体種類 | 一般社団法人 |
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設立 | 1990年4月1日 |
所在地 |
日本 東京都新宿区山吹町358-5 アカデミーセンター 北緯35度42分32.6秒 東経139度43分45.8秒 / 北緯35.709056度 東経139.729389度座標: 北緯35度42分32.6秒 東経139度43分45.8秒 / 北緯35.709056度 東経139.729389度 |
法人番号 | 5010005019146 |
主要人物 | 会長 速水謙 |
活動地域 | 日本 |
主眼 | 応用数学に関する研究の発展と普及 |
活動内容 | 学術的会合の開催、論文誌の編集・刊行 |
ウェブサイト |
jsiam |
部会
編集研究分野ごとに次の部会が設けられている[1]。
- ウェーブレット
- 応用カオス
- 応用可積分系[2] (可積分アルゴリズム、可積分幾何学 (英: Integrable geometry)、超離散 (英: Ultradiscrete)ソリトンモデル、セル・オートマトンなどを扱う)
- 折紙工学
- 科学技術計算と数値解析 (PDE/ODEの数値解法を主に扱う)
- 機械学習
- 行列・固有値問題の解法とその応用 (数値線形代数を扱う)
- 計算の品質 (精度保証付き数値計算、計算機援用証明、区間演算を主に扱う)
- 産業における応用数理
- 数理医学
- 数理政治学
- 数理設計
- 数理的技法による情報セキュリティ
- 数理ファイナンス
- 数論アルゴリズムとその応用
- CAEモデリングとデータ活用
- 離散システム
- 連続体力学の数理
- 若手の会
- 環瀬戸内応用数理
学術的会合
編集年会・研究部会連合発表会
編集毎年3月に研究部会連合発表会、9月に年会が行なわれる。会場は各大学の持ち回りである。年会では会員の申込により行われる口頭発表の他に、ポスター発表も行われる。
その他の会合
編集三部会連携応用数理セミナー
編集「科学技術計算と数値解析」、「行列・固有値問題の解法とその応用」、「計算の品質」の三部会が連携し、 学部生・大学院生、企業の研究者・技術者を対象にした応用数理セミナーを毎年実施している[3][4][5]。
学生研究発表会
編集「若手の会」が毎年3月に行っている学生によるポスター発表会である。
出版物
編集日本応用数理学会による出版物として以下がある[6]。
賞
編集日本応用数理学会の授与する賞には次のようなものがある[15]。
- 論文賞、ベストオーサー賞
- 業績賞
- 若手優秀講演賞
- 優秀ポスター賞
- 研究部会連合発表会優秀講演賞
関連項目
編集関連・類似団体
編集- 応用数学分科会 (日本数学会で応用数学を管轄する分科会)
- 日本シミュレーション学会
- EASIAM
- ANZIAM
- SIAM (en)
- 応用数理国際会議 (en)
- Association for Computing Machinery
賛助会員
編集- アイシン
- 伊藤忠テクノソリューションズ
- AGC
- キヤノン
- 神戸製鋼所
- 新日鐵住金
- ダイキン工業
- 電力中央研究所
- トヨタ自動車
- 豊田中央研究所
- 日産自動車
- 日本電気
- 日本電信電話
- 日立製作所
- 富士通
- 三菱電機
- リコー
(2022年4月現在)[16]
過去に会長を務めた人物
編集カッコ内は会長を務めた年度[17]
- 近藤次郎 (1990年)
- 藤田宏 (1994年)
- 伊理正夫 (1996年)
- 森正武 (1998年)
- 河原田秀夫 (2000年)
- 三村昌泰 (2002年)
- 矢川元基 (2004年)
- 岡本龍明 (2007年)
- 薩摩順吉 (2010年)
- 萩原一郎 (2011年)
- 大石進一 (2015年, 2016年)
- 岡本久 (2019年, 2020年)
- 速水謙 (2023年)
過去に業績賞を授与された人物
編集- 大石進一 (2011年、実用的な精度保証付き数値計算法の確立に対して)
- 三村昌泰 (2013年、現象数理学の方法論の確立と実践に対して)
- 森正武 (2014年、二重指数関数型数値積分法の創始と実用化に至る発展の先導に対して)
- 杉原正顯 (2014年、二重指数関数型数値積分法の創始と実用化に至る発展の先導に対して)
- 岡本龍明 (2016年、公開鍵暗号の基礎理論と応用技術の研究に対して)
- 萩原一郎 (2017年、計算科学・数理科学援用折紙工学の創設と展開に対して)
過去に論文賞・ベストオーサー賞を授与された人物
編集脚注
編集- ^ “研究部会”. 日本応用数理学会. 2019年4月26日閲覧。
- ^ 解析学百科II 可積分系の数理、朝倉書店、中村佳正 et al. (2018) では「応用可積分系」を次のように位置付けている。
- ^ 三部会連携「応用数理セミナー」2018、東京大学大学院数理科学研究科で開催
- ^ 三部会連携「応用数理セミナー」2016、東京大学工学部で開催
- ^ 三部会連携「応用数理セミナー」2015、東京大学工学部で開催
- ^ “刊行物”. 日本応用数理学会. 2019年4月26日閲覧。
- ^ Japan Journal of Industrial and Applied Mathematics, SpringerLink ISSN 0916-7005
- ^ 数理的技法による情報セキュリティ, 日本応用数理学会 監修・萩谷昌己・塚田恭章編
- ^ 公開鍵暗号の数理, 日本応用数理学会 監修・森山大輔・西巻陵・岡本龍明著
- ^ 折紙の数理とその応用, 日本応用数理学会 監修・野島武敏・萩原一郎編
- ^ 有限要素法で学ぶ現象と数理―FreeFem++数理思考プログラミング― 日本応用数理学会 監修・大塚厚二・高石武史著
- ^ 応用のためのウェーブレット, 日本応用数理学会 監修・山田道夫・萬代武史・芦野隆一著
- ^ 数値線形代数の数理とHPC, 日本応用数理学会 監修・櫻井鉄也・松尾宇泰・片桐孝洋編
- ^ (岩波オンデマンドブックス) 応用数理の遊歩道, 岩波書店, ISBN 9784007304385.
- ^ “学会賞”. 日本応用数理学会. 2019年4月26日閲覧。
- ^ “賛助会員 : 日本応用数理学会”. 日本応用数理学会. 2023年6月23日閲覧。
- ^ “会長 : 日本応用数理学会”. 日本応用数理学会. 2023年6月23日閲覧。
- ^ Cahn-Hilliard方程式の差分法による数値的解析, 日本応用数理学会論文誌 Vol.3,No.3,1993,pp.217-228, 降旗大介, 恩田智彦, 森正武.
- ^ 高次と低次のモードの省略可能なモーダル周波数応答感度解析手法の開発, 日本応用数理学会論文誌 Vol.4,No.2,1994,pp.141-164, 小机わかえ, 萩原一郎, 馬正東.
- ^ 等角写像とその円錐殻折り紙構造物設計への応用, 日本応用数理学会論文誌 2012, vol.22, No.4, pp.301-318, 石田祥子, 野島武敏, 亀井岳行, 萩原一郎.
- ^ 分布関数の再帰方程式による確率論的破壊力学の解法の提案, 日本応用数理学会論文誌 Vol.5,No.4,1995,pp.445-461, 秋葉博, 吉村忍, 矢川元基.
- ^ Bessel関数の零点を標本点に持つ補間および数値積分公式, 日本応用数理学会論文誌 Vol.6,No.1,1996,pp.39-66, 緒方秀教, 杉原正顯.
- ^ 特異な係数行列をもつ連立一次方程式に対するCR法の収束性, 日本応用数理学会論文誌 Vol.9,No.1,1999,pp.1-13, 阿蔀邦美, 緒方秀教, 杉原正顯, 張紹良, 三井斌友.
- ^ 特異値計算のためのdqds法とmdLVs法の収束性について, 日本応用数理学会論文誌 Vol.17, No.2, 2007, pp.97-131, 相島健助, 松尾宇泰, 室田一雄, 杉原正顯.
- ^ 第二種積分方程式に対するSinc選点法の改良とその理論解析, 日本応用数理学会論文誌 Vol.20, No.2, 2010, pp.71–113, 岡山友昭, 松尾宇泰, 杉原正顯.
- ^ Hawkes過程による信用リスク伝播のモデリングとその応用, 応用数理 2017, Vol.27, No.1, pp.5-12, 山中卓,中川秀敏, 杉原正顯
- ^ 悪条件連立一次方程式の精度保証付き数値計算法, 日本応用数理学会論文誌 Vol.15, No.3, 2005, pp.269-286, 太田貴久, 荻田武史, Siegfried M. Rump, 大石進一.
- ^ 有向丸めの変更を使用しないタイトな行列積の包含方法, 応用数理 Vol.21, No.3, 2011, pp.186–196, 尾崎克久, 荻田武史, 大石進一.
- ^ 劣決定逆問題に対する Cluster Newton 法とその薬物動態モデルへの応用, 応用数理2014,Vol.24,No.4,pp.7-15, 青木康憲, 速水謙, 小長谷明彦.
- ^ 小野隼, 友枝明保, 杉原厚吉、「フットステップ錯視アートの設計法(応用)」 『日本応用数理学会論文誌』 2013年 23巻 4号 p.585-600, doi:10.11540/jsiamt.23.4_585, 日本応用数理学会
- ^ A new type of impossible objects that become partly invisible in a mirror, Japan Journal of Industrial and Applied Mathematics 2016, Vol.33, pp.525-535, Kokichi Sugihara(杉原厚吉)