日本数学会

1877年に設立された東京数学会社を起源とする1946年に設立された数学の学会

一般社団法人日本数学会(いっぱんしゃだんほうじんにほんすうがっかい、英語: The Mathematical Society of Japan、略称 : MSJ)は、1877年明治10年)に設立された東京数学会社を起源とする1946年昭和21年)に設立された学会である。応用数学等を含む数学研究に関する交流の場であり、数学を一般社会へ普及することを図る。また、関係諸方面と協力して学術文化の向上発展に寄与することを目的とする。会員約 5,000 名を擁する組織である。日本国内および国際的に、数学の進歩・発展のために力をつくしている。

一般社団法人日本数学会
The Mathematical Society of Japan
団体種類 一般社団法人
設立 1946年6月2日
(前身の東京数学会社としては1877年)
所在地 日本の旗 日本 東京都台東区台東1-34-8
北緯35度42分8秒 東経139度46分44秒 / 北緯35.70222度 東経139.77889度 / 35.70222; 139.77889座標: 北緯35度42分8秒 東経139度46分44秒 / 北緯35.70222度 東経139.77889度 / 35.70222; 139.77889
法人番号 8010505002094 ウィキデータを編集
起源 日本数学物理学会
主要人物 理事長 鎌田聖一
活動地域 日本の旗 日本
主眼 数学 (数学基礎論, 代数学, 幾何学, 複素解析, 実解析, 函数解析学, 統計数学, 応用数学, トポロジー, 可積分系など) に関する研究の発展と普及、学術文化の向上発展
会員数 5,097人(2019年現在)[1]
ウェブサイト www.mathsoc.jp ウィキデータを編集
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沿革 編集

組織 編集

研究分野ごとに次の10の分科会が設けられている[4]

  1. 数学基礎論および歴史
  2. 代数学
  3. 幾何学
  4. 函数論
  5. 函数方程式論
  6. 実函数論
  7. 函数解析学
  8. 統計数学
  9. 応用数学 (数値解析数理モデル等を扱う)
  10. トポロジー

また所属大学などの所在地別に次の支部がある。

学術的会合 編集

年会・秋季総合分科会 編集

毎年3月に年会、9月に秋季総合分科会がそれぞれ4日間の日程で行われる。会員の間ではそれぞれ「春の学会」、「秋の学会」と呼ばれることが多い。会場は各大学の持ち回りである。

年会・秋季総合分科会では次のような講演が行われる。

総合講演
2名が各1時間の講演を行う。うち一名は春季賞・秋季賞の受賞者である。
企画特別講演
1時間の講演が並行して数件ずつ行われる。
分科会特別講演
分科会ごとに分かれて1時間の講演が行われる。
一般講演
会員の申し込みにより行われる講演である。分科会ごとに分かれて行われる。なお「無限可積分系」セッションは独立した分科会でないが、分科会特別講演および一般講演では分科会と同様に扱われる。時間は各5分から20分程である。
市民講演会
一般市民向けの講演。

このほか、後述する各賞の受賞者の発表、表彰、学会の運営や研究・教育上の諸問題を話し合うための会議が行われる。

その他の会合 編集

日本数学会国際研究集会 (MSJ-IRI) が2005年までに14回開催されている (その後はMSJ-SIに移行した[5])。また各分科会の主催するシンポジウム・研究集会なども行われている。例えば応用数学分科会は応用数学合同研究集会を開催している[6]

出版物 編集

定期的な刊行物としては以下がある。

数学 (sugaku)
1947年創刊の日本語機関誌。日本語論文、企画記事、書評、学会ニュースなどを掲載する。
数学通信
1996年創刊。数学会報など会員向けの情報を掲載する。
Journal of the Mathematical Society of Japan (JMSJ)[7]
1948年創刊の欧文機関誌。世界中から投稿された最新研究論文を、各分野の第一線の専門家による査読を経て掲載する日本を代表するジャーナルである。
Japanese Journal of Mathematics (JJM)[8][9]
1924年創刊の欧文誌。1975年以降 (2nd series) 数学会の公式の出版物となる。2006年third series として、概説 (survey) を中心に掲載するようになった。

このほか不定期に Publications of the Mathematical Society of Japan[10]Advanced Studies in Pure Mathematics[11]MSJ Memoirs[12][13] として数学書、講義録などを出版している。

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日本数学会の授与する賞には次のようなものがある。

日本数学会賞 春季賞
40歳未満の優れた研究者に与えられる。
日本数学会賞 秋季賞
優れた研究を行った研究者、または研究グループに与えられる。年齢の制限はない。
日本数学会賞 建部賢弘特別賞、建部賢弘奨励賞
総称して建部賞ともいう。若手の数学者(特別賞は35歳以下,奨励賞は30歳以下)を対象にしており、特別賞は毎年3名程度、奨励賞は毎年5名程度に与えられる。
関孝和
数学の研究業績以外の功績によって数学の発展に寄与した個人・団体に与えられる。関孝和の出身地である藤岡市[14]から副賞が贈られる。
出版賞
出版・著作により数学の研究・教育・普及に業績をあげた個人・団体に与えられる。2005年に新設された賞である。
弥永賞
弥永昌吉からの寄付金を基金として若手研究者に与えられていた賞。1987年に日本数学会賞が新設されたことにより、その春季賞に役目を譲った。

この他、分科会などにより与えられる賞として、幾何学賞代数学賞解析学賞、応用数学研究奨励賞[15]がある。

理事長 編集

調査 編集

  • 大学生数学基本調査[16] - 2011年4~7月、国公立私立48大学の新入生中心の約6000人に、小中高校で学んだ統計や代数、解析など数学5分野から基礎学力を問う試験を実施。この調査により、数学の基礎学力や論理的思考力が十分身についていないことが明らかになった。(例えば、大学生の24%が、小学6年で習う「平均」の考え方を問う問題を間違えた。)[17]

出典 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集