日本競輪選手養成所

日本競輪選手養成所(にほんけいりんせんしゅようせいじょ、以下養成所)とは、静岡県伊豆市(旧修善寺町)に所在する、日本における競輪選手を養成するための研修施設。英語表記は「Japan Institute of KEIRIN」、短期表記は「JIK」。旧称は日本競輪学校(略称競輪学校NKG[2]

日本競輪選手養成所
Japan Institute of KEIRIN(JIK)
Japan Institute of KEIRIN 2011.jpg
基本情報
所在地 静岡県伊豆市大野1827
座標 北緯35度0分7.7秒 東経139度0分23.5秒 / 北緯35.002139度 東経139.006528度 / 35.002139; 139.006528座標: 北緯35度0分7.7秒 東経139度0分23.5秒 / 北緯35.002139度 東経139.006528度 / 35.002139; 139.006528
開設 1950年(昭和25年)9月15日
1968年7月10日現在地に移転
所有者 公益財団法人JKA
走路 屋内木製250m・屋外333m[1]・屋外400m
公式サイト http://keirin-jik.jp/index.html
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所長は瀧澤正光(旧競輪学校時代から通算して第23代・2010年4月より。名誉教諭兼務)。

概要編集

競輪選手になるためには、国家試験である競輪選手資格検定(以下、資格検定)[注 1]に合格しなければならない。日本競輪選手養成所とは、その資格検定の合格(競輪選手)を目指す人に対し、指導・教育を行う施設である。

養成所に入所した者は「(選手)候補生」と呼ばれ(旧競輪学校時代は「生徒」)、同所で原則として10ヶ月間(101期以降の現状では、毎年5月中旬入所・翌年3月下旬卒業)[注 2]の訓練を受けることとなる。

なお、資格検定の受験資格には「養成所」に関する項目はないため、実際には養成所に入所せずとも競輪選手になることは可能である。ただ、養成所へ入所せずに合格することは非常に厳しく、過去に旧競輪学校時代も含めて養成所に入所せず資格検定の受験だけで競輪選手になった者はいない。そのため、競輪選手になるためには、まず養成所の入所試験に合格し、入所後は同所にて一定期間教育・訓練を受けることが大前提となっている[注 3]

このほか、競輪における走路審判員(JKAの職員)の養成および研修、短期登録制度で来日した外国人選手に対する講習及び訓練[4]も、養成所にて行われている。

2019年5月1日付で、『競輪選手養成に特化した施設であること』を明確にするため、日本競輪選手養成所へ名称を変更した(但し公表は9日付)。また、授業カリキュラムの大幅見直しを行ったほか、受験制度なども変更されている[2]

募集要綱と試験編集

養成所の募集要綱では、男子・女子ともに受験資格として以下の事項が定められており、以下の条件を満たした受験者に対し、年に1回入所試験が行なわれる(2020年5月入学の119期<男子>・120期<女子>より適用)[5][6]。なお、以下の各号の応募資格を有しないものは応募書類を受理しないことになっている。

  • 日本国内に居住する者(国籍は不問)で、受験する年の4月1日時点で満17歳以上の者(年齢の上限は無し)
旧競輪学校時代では、92期までは受験時に満24歳未満という年齢制限もあったが、93期以降は年齢制限のうち上限が撤廃され満24歳以上でも受験が可能となった[注 4]
  • 以下のいずれにも該当しないこと
ア. 競輪選手として登録された者(消除者を含む)
イ. 禁錮(きんこ)以上の刑に処せられた者
ウ. 自転車競技法小型自動車競走法競馬法日本中央競馬会法又はモーターボート競走法の規定に違反して罰金以上の刑に処せられた者
エ. 成年被後見人被保佐人又は破産者で復権を得ない者
オ. 反社会的勢力との関係が疑われる者
カ. 2018年度以前に旧日本競輪学校に在籍したことがある者で、日本競輪選手養成所規則第15条(旧日本競輪学校校則第18条)に定める在籍期間(最初に入所を許可され在籍する回のほか次回又は次々回まで)相当の期間を経過しない者、また前述の期間を経過した者であっても日本競輪選手養成所(旧日本競輪学校)に在籍中に懲戒により退所(退学)を命ぜられた者
キ. 2019年度以降、日本競輪選手養成所に在籍したことがある者で退所を命ぜられた者
ク.規定により明らかに試験に合格しないと思われる者
ケ.初回受験の日から8年が経過した者(2018年度以前の試験は初回受験に数えない)
コ.2019年度以降に5回受験した者(2019年度以降に試験を辞退、欠席した者についても受験回数に数えるものとする)
サ.タトゥー、入れ墨、アートメイクその他の身体に直接施術された物によって医療検査を受けられない可能性のある者
シ.その他上記に準ずる事実がある者

養成所となった現在は学歴不問となり中卒でも受験可能となった[注 5]が、旧競輪学校時代から引き続き「満17歳以上」という年齢制限は設けられているため中卒直後に即受験することは従来通りできない。また、以下の通り第2次試験ではSPIを用いた適性検査が課されるため、学歴不問ではあるものの実質は高卒と同等程度の学力は必要である[5][6]。一方で、旧競輪学校時代には無かった受験年数・受験回数に制限が加えられた[注 6]。他にも、いわゆる暴力団関係者や、身体にタトゥー、入れ墨を入れている者は受験できないことが明記された。また、かつては自主退所(自主退学)した者は再受験・再入所は認められなかったが、現在は上記の条件を満たせば可能となっている[注 7]

願書の提出方法、試験内容は男子・女子ともに同じ。受験希望者は、受験料5,000円と受験に必要な書類を、養成所に直接持参ないし受験料を指定口座に振込した上で郵送する(締切日必着)。なお、願書の受付期間は毎年7月上旬から8月下旬であり、参考に119期・120期では2019年7月1日午前10時から2019年8月21日午後5時までであった[5][6]

試験は第1次・第2次と2回行なわれ、第1次試験の合格者のみが第2次試験を受験可能となっている。なお、実技試験における合格者の最低タイムは公表されていないが、合格者の最高タイムと平均タイムは毎回公表されており[10][11]、これが合格への目安となる。

合格発表は、男子・女子ともに毎年1月中旬に行われる[12][注 8](後述する特別選抜試験受験者の合格発表は3月下旬に行われる[13])。

第1次試験

実技のみ。願書提出の際には、以下にある技能試験または適性試験のいずれか1つを選択する(但し、選択後の変更は認められていない)。

技能試験 - 主に自転車競技経験者が対象。自転車によるスタンディングスタートでの1000m走行時間(男子)/500m走行時間(女子)、および400mフライングスタートからの200m走行時間を、男子は小倉競輪場北九州メディアドーム)にて、女子は養成所にて、それぞれ計測[5][6]
  • 受験で使用できる自転車は、JKAに登録されたスチール製フレーム及び認定部品を使用した、競輪に使用できる自転車のみ。受験時点で競輪に使用できる自転車の登録がなされていない自転車では受験ができないことになっている[14]。また、ヘルメットは競輪用ヘルメットとされている。なお、女子においては、上記に加え、車輪一式については認定部品であるハブ、スポーク、リム及びタイヤで構成されたものを使用し、バトンホイールとディスクホイールの装着は認めないことになっている[6]
  • 男子は、1000m走行時間は1分10秒が一般的に合否のボーダーラインと言われている[15]。参考に、119期生入所試験1次試験における1000m走行時間の平均は1分09秒83、200m走行時間タイムの平均は11秒45であった[10]。また、競輪選手資格検定における合格ラインは、1000m走行時間が1分15秒以内、200m走行時間が12秒8以内とされている[16]
  • 女子は、参考に、120期生入所試験1次試験における500m走行時間の平均は38秒99、200m走行時間の平均は12秒99であった[11]。また、競輪選手資格検定における合格ラインは、500m走行時間が42秒以内、200m走行時間が14秒0以内とされている[16]
適性試験 - 自転車競技未経験者が対象。垂直跳びの跳躍高と、背筋力計による背筋力、長座体前屈による柔軟性を、養成所で計測[5][6]
  • 「団体競技[注 9]も含む他競技において優秀な成績を収めた者」においては、第1次試験の免除を申請することができる[5][6][注 10]。これを利用し松谷秀幸らが旧競輪学校に合格し、のち競輪選手として活躍している。なお、この規定を周知させるため、旧競輪学校時代にはプロ野球トライアウト会場にブースを設営して入学願書を配布するなど、より優秀な選手を獲得しようとスカウト活動にも取り組んだこともあった[注 11]
第2次試験
身体検査 - 業務規程別表第1の「身体検査合格基準」で定める検査項目[5][6]
人物考査 - 口頭試問、適性検査・作文等の筆記試験、受験態度など[5][6]。口頭試問では面接で志望動機などが問われ、また適性検査ではSPIを用いた基礎学力(国語力、数学力。高卒程度の学力の内容)が問われる。養成所となって以降は『受験態度』も考査の対象となった。
実技試験(適性受験者のみ) - 養成所で、固定式自転車を用いて、6秒間の走行時の最大パワー及び最大回転数、45秒間(男子)/30秒間(女子)の走行時の平均パワーを計測[5][6]

このほか、自転車競技ないし自転車競技以外の競技における直近での世界規模の大会(JKAが認めた大会に限る)において優秀な成績を収めた者、および世界自転車競技センター(WCC)における訓練受講者に対しては、上記の一般入試とは別枠で特別選抜入試制度が設けられており、一般入試と比べて願書受付期間が大幅に延長されているほか、試験内容が大幅に緩和されている[17][18]

ほとんどの受験者は自転車競技経験者、または自転車競技未経験でも師匠(主に現役選手)の下で猛練習を積んできた者であるため、技能試験の受験者が圧倒的に多く、現状では男子・女子ともに適性試験での合格枠は基本的に毎回5名とされているが、回により前後することもある[20][21][22][23]。ただ、史上最年長となる45歳でGIレース優勝を果たした松本整、「怪物」滝澤正光(現養成所所長)、「中部の帝王」山田裕仁(元年間獲得賞金額最高記録保持者)、ガールズケイリン特別レース4つを制覇した小林優香[注 12]、2018年・2019年の賞金女王児玉碧衣などは適性受験者(俗に『適性組』とも呼ばれる)であり、男女ともに自転車競技は未経験でも競輪界でトップレーサーに上り詰めた者も存在する。

  • 入所時には競走で使用するピスト(但し男子と女子ではフレームの材質が異なる)とロード走行用のロードレーサーの2種類の自転車を用意しなければならないが、適性試験で合格した者に対しては入所前に購入に向けて別途ガイダンスが行われる[24]
  • 技能試験では、かつては国体などで自転車競技(トラックレース)において優秀な成績を収めている者は第1次試験を免除する制度があったが、現在は男女ともに免除する制度はない[25][26][注 13]
  • 適性試験では、かつては第1次試験で持久力走、100m走、立ち幅跳びなどが行われていたが、これらは鍛え方(努力)次第でタイムを縮めることができることから廃止された。

候補生の生活編集

候補生の養成所での在学期間は、原則として毎年5月中旬から翌年3月下旬までの10ヶ月間である。なお、入所予定者は、入所式前の4月中旬から下旬にかけて、技能試験合格者は2泊3日で、適性試験ないし特別選抜試験合格者は14泊15日[注 14]で、それぞれガイダンスを兼ねた事前研修を受けることになっている。

競艇選手を志望する者を教育・訓練するボートレーサー養成所とは異なり、よほどのことがない限り在所中に強制退所させられることはない[注 15]。ボートレーサー養成所では入所者の大半がモーターボート未経験であるのに対し、競輪選手養成所の場合、現在では小学校一輪車の授業もあるなど(競技歴の有無はあるが)全員が(何かしらの)自転車経験者であるため、ボートレーサー養成所のように大量の脱落者が出ることはない。そのため、競輪選手養成所の候補生はほぼ全員が卒業するが、年次によっては何らかの理由で中途退所ないし卒業延期となる者が若干見られる[9][30]。但し、日本競輪選手養成所に改称した2019年の117期・118期から、それまで年1回だった卒業認定試験が年3回へと増加しており、旧競輪学校時代と比べて卒業へのハードルは上がっている[31]

養成所での生活はまさに「軍隊」、「ネイビーシールズアメリカ海軍特殊部隊)」並みの厳しさと言われる[32]

基本的な1日のスケジュールは以下の通り[33][34]

時刻 内容 備考
05:00 - 06:30 早朝自主練習 希望者のみ
06:30 起床 自主練習組はここで合流
06:45 - 07:10 点呼・錬成 ストレッチ体操[注 16]を行う
07:10 - 07:20 清掃 手分けして養成所内を掃除
07:30 - 08:05 朝食
09:00 課業整列
09:05 - 09:45 第1時限 学科講習がメイン
09:55 - 10:35 第2時限
10:45 - 11:25 第3時限
11:25 - 12:05 昼食
12:05 - 12:45 訓練準備時間
12:50 課業整列
12:55 - 13:35 第4時限 実科講習(競走訓練など)がメイン
(午前に実科・午後に学科とする日もある)
13:45 - 14:25 第5時限
14:35 - 15:15 第6時限
15:25 - 16:05 第7時限
16:15 - 16:55 第8時限
17:00 - 18:00 自主練習 希望者のみ
17:00 - 19:00 入浴 どちらを先に行うかは候補生次第
17:45 - 18:45 夕食
19:15 - 19:45 自習
19:45 - 20:55 自由時間
21:00 点呼
21:45 消灯準備
22:00 消灯

土曜は、旧競輪学校時代では講習は午前のみで午後は自由時間であったが、養成所となった現在では講習を行っており、英会話講習が行われている[35]。日曜・祝日は休み(終日自由時間)であり[36]、日曜は基本的に隔週で日中の外出も可能である[37]

学科講習は、国語や社会といった一般教養科目の他に、自転車競技法や競輪規則などが主体。

実科講習(競走訓練など)は、主に養成所内の施設で行なわれるが、姉妹施設である隣接の日本サイクルスポーツセンターや公道にて中・長距離ロード訓練などを行なうこともある。なお、競輪は基本的に雨天決行であるため、競走訓練もそれに準じて雨天でも実施される(台風などで訓練に大きな支障をきたす恐れがある場合は除く)。

養成所となってから初となる117期生・118期生からは、実科では科学的トレーニングが導入されたほか、学科でもメンタルトレーニング、SNSの使用方法、外国人選手と円滑なコミュニケーションが図れるよう英会話などといった、時代を反映した講習も行われるようになった[2]

記録会で特に優秀な成績を収めた者(エリート)に対しては、『T教場』と呼ばれる瀧澤所長による直接指導を受けることができる[38]

養成所は全寮制であり、既婚者であっても自宅からの通所は一切認められておらず、また帰省できるのは8月のお盆休み(夏季休暇)と年末年始(正月休暇)の、それぞれ二週間程度のみとなっている[37]。登下所や外出の際には制服着用が義務付けられており[24]、また怪我の治療のための通院など特別な事情がある以外の私用の外出は男子・女子交互で隔週日曜の8:30 - 17:30のみ[37]、かつ静岡県内に限定されて許可されているが、帰所が門限を1分でも過ぎれば退所処分を含む厳罰が下される[32]

旧競輪学校時代では生徒を代表する生徒会長がいたが、養成所となった現在では選手候補生自治会長という肩書に変わっており、男女それぞれ1名ずつが選ばれる[39](同時に副自治会長も男女それぞれ1名ずつが選ばれる)。

2011年5月より女子が入所したため、現在寮ではフロアにより男子限定・女子限定と隔てられている。男子は2階・3階フロアで、女子は4階フロアでそれぞれ宿泊し、4階には監視カメラと赤外線センサーが設置されている。寮の階段も男女別とされており、異性用の階段を使用すればペナルティーが科せられる[32]。入浴施設は、既存の大浴場の室内に新たに仕切りの壁を設置して、男子用・女子用とで隔てた[32]。なお、食事は食堂にて男子と女子とでエリアと時間帯を分けて摂っている[24]

養成所では、以下の項目が禁止事項として定められている[40]

  1. 飲酒
  2. 喫煙
  3. 暴力・窃盗その他刑罰法規に違反する行為
  4. 無断外出、無断外泊
  5. 賭事またはこれに類する行為
  6. 携帯電話、スマートフォンを始めとした通信可能な電子機器の構内への持ち込み及び使用
    • 但し、日曜外出時及び帰省時、または特別に許可した時は養成所外のみで使用が可能。
    • 持ち込みは1台のみとし、養成所内では電源を切り選手候補生宿舎事務室に預けることになっている。
  7. 教官への重大な反抗行為
  8. 異性間での身体接触及び男女各規制区域への出入り
    • 但し、訓練中(ウエイトトレーニングの補助、ホルダー等)で教官の指示があった場合を除く。
  9. 重大な虚偽の申告
  10. タトゥー、入れ墨、アートメイクその他医療検査を受けられない可能性のある物を身体に施術すること。または、施術した状態で入所すること
  11. 養成所の秩序を乱し、その他著しく選手候補生としての本分に反する行為

養成所内では携帯電話など通信機器は原則使用禁止であり、電話(発信)は夜間の自由時間ないし日曜日に限り養成所内の公衆電話のみ使用が許可されている[41]ため、養成所では未だにテレホンカードが大人気である[32]。その他、飲酒、喫煙はもちろんのこと、ドライヤー、化粧品など不必要な私物も一切禁止である[32]。実際に、102期生(女子1期生)では夏季休暇後の帰校の際にパソコンと携帯電話を隠し持っていた候補生がおり、一人は退学処分、一人は停学・留年(のちに104期生としてデビュー)の処分が下った。また私物のドライヤーを持ち込んだ候補生に対しては、暫くの間外出禁止とされた[32]。但し、養成所となって以降は、携帯電話は養成所外では使用が認められるようになった[42][31]ほか、候補生によってはDVDプレイヤーを持ち込んで自由時間に鑑賞する者もいる[43]など、旧競輪学校時代と比べて緩和されているところもある。

髪型については、在所中は「訓練に支障がない程度の短髪」とされており[42]、具体的には、男子は「髪が耳に掛からない程度で、染髪せず清潔感ある髪型」、女子は「髪ゴム等で纏められ、染髪せず清潔感があり訓練に支障をきたさない髪型」、と明記されている[37]。養成所となって最初の候補生である117期・118期候補生では、髪を伸ばしている候補生もそれなりに見られており、旧競輪学校時代よりは緩和されている[44][注 17]。また、礼節にも非常に厳しく、所内の人間に対しては全員に大きな声で「こんにちは」と挨拶し[32]、教官に対する反抗的な態度や、候補生同士でツケ・オゴリも含めた金銭の貸し借りなどが発覚した場合は即刻退所処分となる[注 18]。同様に、在所中は男女間の候補生同士の交流も厳禁である[40][45](但し、英会話など一部の授業では男女合同で行うこともある[35])。

公営競技の選手は命賭けの職業でもあることから、養成所における教官の指導は厳しいが、それでも「自ら鍛えないと強くなれない」という意識が徹底しており、早朝や放課後または休日に学校から課せられた訓練とは別のトレーニングを自主的に取り組む候補生もいる。

いわゆる学費は無料だが、それ以外の食費や制服・ウェア代、競輪仕様の車輪やタイヤなど諸々の費用については自己負担であり、3月下旬の卒業まで在籍した場合、費用は120万円ほど(男子の場合。女子は男子より食事の量を少なめにしているため、それよりはやや安い)が必要である[注 19]。食費のみ毎月、その他は入所後養成所が指定した日に一括して入金することになっている。なお、この120万円ほどの諸費用についてはJKAから無利子で貸し付けを受けることも可能であり、貸し付けを受けた場合、競輪選手としてデビュー後に獲得賞金の中から源泉徴収によって分割払いし、1年間かけて返済することになっている[37][24]

所内には売店[注 20]や飲料の自動販売機がある。売店やマッサージにかかる費用はチケット制としており、利用分は月締めで後日登録した銀行の預金口座から引き落とし精算となる[24]

卒業直前の翌年3月上旬に資格検定を受験し、資格検定に合格すれば養成所を卒業となり[注 21]、競輪選手になる資格を得られる。そして下旬には二日間かけて「卒業記念レース」が行われ卒記チャンプが決定する。卒業記念レース決勝戦の翌日が卒業式[47]で、卒業式当日は、講堂で卒業証書授与のあと一斉に外に駆け出し、集合写真の撮影と恒例の帽子投げ[48][49]が行われる。

養成所(旧競輪学校)での生活については、漫画『Odds -オッズ-』『閃光ライド』に詳しい描写があるほか、漫画『ギャンブルレーサー』でも少し触れられている[注 22]

また、『競輪三十年史』では冒頭のカラーグラビアページにクラブ活動の写真があったことから、競輪学校時代はかつて部活も行われていた[注 23]

このほか、在所中に国民体育大会自転車競技に代表選手として参加する候補生もいる[50]

デビューについて編集

資格検定に合格し養成所を卒業したあと、全国各地にある選手会のいずれかの支部に所属することを条件に[注 24]選手登録され、また併せて身分証を兼ねた選手登録証(現在はICカード[51])を交付されることで、晴れて競輪選手となれる。従来は卒業後少し間を空けて5月1日に選手登録されていたが、現在は卒業式翌日に選手登録されている[39]

旧競輪学校としての末期は男女ともに、卒業後は5月中旬ごろに宇治市にある萬福寺にて3泊4日の新人宿泊研修を受けたあと、下半期期初となる7月以降にデビューしていた[注 25]

2020年からは、新人選手のPRを目的として、5月から6月にかけての3開催で新人選手(早期卒業者は除く)のみで行う『競輪ルーキーシリーズ』[注 26]が行われており[52]、これが実質のデビュー戦となる。この『競輪ルーキーシリーズ』の競走成績を基に競走得点が算出され、7月からの正式デビュー時には出走表にそれが反映されることになっている。なお、7月以降の正式デビュー戦については極力登録地近辺の競輪場が斡旋されるよう配慮されるが、配分と開催の関係で必ずしもそうなるとは限らない。以後、基本的に月2開催(稀に3開催)のあっせんを受ける。

男子

S級(S班・1班・2班)、A級(1班・2班・3班)の2クラス6班制のクラス分けがされている。デビュー時は最下位の「A級3班」の格付けで、A級3班のみで行われる「チャレンジ戦」に出場する。その後は競走成績に基づいてトップクラスたるS級への昇級、果てはGIGPなどのタイトル獲得、賞金王を目指す。

過去には、大相撲でいう前相撲のようにデビュー直後の選手のみで行われる『新人リーグ』が39期から開始され、51期からはデビュー直後の1期4ヶ月間は新人リーグのみに出走しその競走成績に基づいて次期の格付けが決められていたが、「新人リーグは車券が買いにくい」[注 27]とファンに不評であったため、76期を最後に廃止された。そのため、77期以降の新人選手は1開催3人程度、通常の競走に斡旋されている。なお、117期からは上記の通り『競輪ルーキーシリーズ』が創設されたため、実質的には『新人リーグ』の復活となる。また、デビュー年の10月のGIII開催の2か所で、『競輪ルーキーシリーズ』にて上位成績を残した14名を対象とした企画レース『競輪ルーキーシリーズ プラス』が実施される(7名ずつ2開催に分かれて実施)[53]

女子

ガールズケイリン選手として、男子とは異なる競走プログラム・ルールでレースを行い、ガルコレガールズグランプリなどのタイトル獲得、賞金女王を目指す。2017年7月1日より新たに「L級1班」が創設されたため、2017年デビューの112期以降は全員が「L級1班」の格付けとなっている[注 28]。118期からは上記の通り『競輪ルーキーシリーズ』3開催のいずれかに出場したあと、7月以降の斡旋については男子同様、1開催につき2名(稀に3名)が通常の競走に斡旋される。

早期卒業制度

訓練競走・学業ともに成績優秀かつ養成所が特別に認めた候補生においては、その候補生に対してのみ特別に実施される資格検定(各年度12月の第1回資格検定)に合格すれば年内で早期卒業でき、通常より半年早く1月にデビューすることも可能である[55]。実際に、日本競輪選手養成所となって初の候補生である117期・118期(2019年5月入所)では、旧競輪学校時代を含めて初となる早期卒業者が117期で2名誕生し、この2名(寺崎浩平菊池岳仁)は同年12月25日に他の候補生に先駆けて早期卒業証書授与式が行われ早期卒業を果たし[3]、翌2020年1月中旬に他の同期より一足早くデビューを果たした[56]

なお、117期2名が早期卒業した実績を踏まえ、119期・120期以降では早期卒業制度の一部が改正され、早期卒業するためには、各年度の第1回資格検定受験までにゴールデンキャップ獲得のみならず、候補生自身に早期卒業する意思があるかどうかの確認など以下の条件も満たすことが必要となった[57]

  1. 従来のゴールデンキャップ獲得に加え、新たに制定した独走タイム基準をクリアすること
  2. 候補生自身の早期卒業に対する意欲等の意思確認
  3. 競走実技訓練における基準について、最終周回に入るホームストレッチ及び最終周回バックストレッチを先頭で通過した回数を基に養成所が適否を判定
  4. 競走実技訓練における基準について、女子では勝率及び二連対率により適否を判定

沿革編集

競輪が創設された当初は爆発的な競輪人気を受けて全国各地に競輪場が新設されたが、その分選手の絶対数が不足しており、本人が自転車振興会連合会(当時)を直接訪ねて申し出れば即座に選手登録ができ即プロの競輪選手になれるというような状況にあった[58]。のちに各地の支部単位でプロテストが実施されるようになったが、プロテストを受けずに競輪選手になった者の中には素質に問題がある選手も含まれており、昭和20〜30年代に各地の競輪場で頻発した事故・事件の原因の中に選手の未熟さが占める部分も大きかった。そこで、競輪選手としてふさわしい人物の養成のため、また登録選手への再訓練機関として、1950年に現在の東京都調布市小島町に、現在の日本競輪選手養成所の前々身となる『日本サイクリストセンター』(NCC)が設立された[58]

『日本サイクリストセンター』設立当初は登録選手の再訓練と新人教育が行われ、1951年にはセンターの1期生として135名が入学した[58]。この135名が旧『日本競輪学校』(NKG)の1期生であり、のち日本サイクリストセンターは1955年に日本競輪学校へと改称し、25期生まで同地で新人選手を輩出した[58]。だが、調布市にあった当時は生徒(当時の呼称)専用の施設がなく、競走訓練など実科は近隣の京王閣競輪場に出向いて行っていたものの、競輪開催で京王閣が使えない日もあり、その場合は西武園競輪場など周辺の競輪場までバスないし輪行で移動を強いられるなど満足な訓練ができなかったことや、施設が手狭になったことなどもあり、1968年に現在地の静岡県修善寺町(現在の伊豆市)へと移転した[58]

  • 1951年 1期生徒(当時の呼称)135名入学。新人選手の育成訓練開始。
  • 1955年 日本競輪学校に改称。
  • 1968年 現在地に移転。
  • 1972年 29期入学試験より、学歴は高卒・高卒見込みないし高卒同等資格保持者(但し学科試験に合格すれば中卒でも入学できた)が入学条件となる。29期・30期より年2回入学開始。
  • 1976年 39期入学試験より、高卒・高卒見込みないし高卒同等資格保持者を対象とした適性試験開始。
  • 1979年 46期入学試験より、技能・適性試験ともに学歴は高卒・高卒見込みないし高卒同等資格保持者が条件となる。
  • 1999年 85期より、年1回入学に変更(5月入学)。
  • 2000年 86期より、特別選抜入学制度(特別選抜入試)開始。
  • 2003年 89期より、一般入試の技能試験においてギア比制限を導入[59]
  • 2006年 93期より、学力・小論文試験廃止。年齢制限のうち上限を撤廃。92期・93期より年2回入学復活。
  • 2008年 97期より、該当自転車競技大会において優秀な成績を収めた者に対する技能試験免除(1次、2次とも)が1次のみとなる。
  • 2011年 101期より、再び年1回入学に変更。および102期(女子第1回生)[60]と同時養成(5月入学、翌年3月卒業)。
  • 2014年 109期の合格枠を50名に増員[61]
  • 2015年 111期より、男子の合格枠を70名に増員[62]
  • 2018年 115期・116期より、記録会の成績に応じた報奨金制度を新設[63]
  • 2019年
    • 5月1日付で、名称を日本競輪選手養成所に、併せて英語表記を「Japan Institute of KEIRIN」に、短期表記を「JIK」に、生徒を「候補生」に、それぞれ改称。入所試験において学歴を撤廃、45期以来となる中卒での受験も可能となった(但し満17歳以上という年齢制限は継続)。また、117期・118期候補生から、科学的トレーニングや英会話講座の導入など抜本的なカリキュラム改革を実施[2]
    • 7月17日、敷地内に屋内木製250mバンク「JKA250(にーごーまる)」竣工[64]
    • 12月25日、初となる早期卒業者2名(いずれも117期)が養成所を卒業[3]
  • 2020年
    • 3月 117期・118期卒業記念レースについて、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、3月23日から24日にかけて伊東温泉競輪場での実施予定を、養成所において無観客で23日の1日のみの実施に変更。また、卒業式も25日から24日に変更し、併せて来賓及び選手候補生の親族の招待も見合わせることとなった[65]
    • 5月 当初14日に予定していた、119期・120期の入所式を新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から延期[66]。その後、29日に来賓及び選手候補生の親族の招待を見合わせるなど規模を縮小した上で実施した[67]

男子については、昭和の時代では期ごとに100名以上もの入所者を抱えたこともあったが、平成に入ってから期ごとに定員75名程度(年間で150名程度)となり、更に85期から92期までは売り上げ減など昨今の競輪界の低迷を反映して年1回の募集となった。その後、新人がデビューする機会の増加による競輪の活性化を求める声が相次いだため、93期からは年2回の募集が復活(93期より100期までは各期とも技能60名・適性15名[68]の計75名)し、同時に従来から行なわれていた国語・数学・社会などの学力試験・小論文試験や年齢制限(上限のみ)なども廃止し、選手としての実力を持った候補生が入所しやすいよう配慮された。しかし101期より選手の増加抑制や女子選手の募集を見据えて再び年1回募集に変更の上、定員は男子36名・女子20名程度(102期のみ35名)と再び大幅に削減された[69]。ただ、やはり新陳代謝を求める声も強く、また受験者自体が減少傾向にあった(受験者は、101期では453名であったが109期は280名にまで減少した)ことを受けて、その後は再び合格枠を増やしており、109期は50名(技能43名・適性7名)[61]とし、2015年度の111期以降は70名程度(技能65名・適性5名が基本)[62][70]としている。また、受験者も増加傾向にあり、117期では341名が受験し(応募は370名)[20]、121期では391名の応募があった[25]。なお、合格倍率は、直近10年で見ると100期までが5倍程度、101期 - 105期が10〜12倍、107期が9倍であった[71]が、合格枠を増員した109期以降は4〜5倍程度となっている[20]。とは言え容易に合格できるものではないため、現役の競輪選手の中には複数回受験して漸く合格した、というケースも多い。

女子については、合格枠は104期以降では20名程度(技能15名・適性5名が基本。但し、114期では技能17名・適性3名の計20名、118期では技能14名・適性7名の計21名[22]であった)としている。応募者は毎回40〜50名程度で、合格倍率は2倍程度であったが[72]、122期では過去最多となる57名が応募した[26]

施設編集

練習用の走路は、JKA400(旧南400m)と呼ばれる屋外400mバンク[37]・JKA250と呼ばれる屋内型木製250mバンク[37]をメインに、日本サイクルスポーツセンターの管理扱いである北400ピスト(屋外400m)[1]・333ピスト(屋外333m)[1]伊豆ベロドローム(屋内型木製250m)[1]がある。なお、伊豆ベロドロームは主に日本国外へ遠征するナショナルチームの練習用拠点となっている(日本国外の走路は屋内型木製250mが主のため)こともあり、新たに敷地内に伊豆ベロドロームに次ぐ屋内型木製250mバンクの建設を進め[31][73]2019年7月17日に竣工式が行われ「JKA250(にーごーまる)」と命名された[64]。最大傾斜は42.8度(伊豆ベロドロームは45度)で、基本は養成所の候補生が使用するが、伊豆ベロドロームが東京オリンピックに向けて改修工事を行う間は自転車ナショナルチームも練習拠点として使用する[74]

他にも、走路では登坂訓練で有名な330mの登坂走路(最大斜度13度58分12秒、直線200m、登坂部80m、高低差約19m)や330mの水平走路、1,000mないし3,000mのサイクリングロードコースがある[75]ほか、教室・体育館・自転車整備室・ローラー練習場や測定室など屋内練習施設・宿舎(寮)などがある[37]

施設の一般使用は原則として認めていないが、一部の競技大会については養成所側が趣旨と目的を判断し特別に使用を認めることもあり、2018年インターハイでは、養成所の333mバンクを使用してトラック種目が行われた[76]。また、このインターハイ開催期間中はオープンキャンパスも実施し、食堂も一般開放して学食を数量限定で有料にて提供した[76]。ほかにも、養成所近くの伊豆総合高校自転車競技部が朝練でバンクを使用している。

2020年公開の映画『弱虫ペダル』(実写版)では、ローラー場、食堂、養成所内の道路にて撮影が行われた[77]ほか、スキマスイッチのセレクションアルバム『スキマノハナタバ ~Smile Song Selection~』のコンセプトムービーがJKA400(400mバンク)で撮影される[78]など、ロケにも協力している。

記録会編集

養成所では、卒業までに記録会が3回、数日かけて行われる。種目は200mフライングダッシュ、400mフライングダッシュ、1000mタイムトライアル(男子)/500mタイムトライアル(女子)、3000mタイムトライアル(男子)/2000mタイムトライアル(女子)だが、第3回記録会は室内(JKA250)で実施されるため、3000mタイムトライアル(男子)/2000mタイムトライアル(女子)は省略される。

旧競輪学校時代の最後の卒業生となった115期・116期生までは、卒業までに試走記録会、卒業認定考査を含めて計5回の記録会[79]が行われたが、養成所に名称変更して最初の入所者となった117期・118期では、上記の通り3回に変更されている。但し、旧競輪学校時代では卒業認定考査は1回のみであったが、養成所となった現在ではカリキュラムの変更とともにこの3回の記録会全てが卒業認定考査を兼ねており、各記録会ごとに規定タイムをクリアできなければその時点で落第(強制退所)となる[80]。なお、特別選抜試験を含む適性受験での入所者に限り、第1回記録会のみ考査の対象から除外されることになっている[81]

各記録ごとに基準タイムがそれぞれ設けられており、候補生はこの記録会で出した記録を基に、次の記録会ないし卒業までの間、能力の高い者順に金・白・黒・赤・青で班分けされ、競走訓練の際にはそれぞれの決められた色のカバーがかけられたヘルメットを着用する。最高位である金は一般的にゴールデンキャップと呼ばれているが、スピード、持久力の両方で高い基準をクリアした候補生だけに与えられるもので毎回出るものではなく、獲得者は1990年9月(67期生)の制定以降、119期生・120期生まででは男子25名・女子7名(他に1名いたが中途退学したため抹消)のみで、かつ複数回獲得したのは小林優香菊池岳仁(養成所初の早期卒業者)、町田太我(養成所初の男子3回連続獲得者)、永塚祐子木村皆斗吉川美穂の6名のみである。なお、着用するヘルメットは原則養成所からの貸与だが、ゴールデンキャップに限り本人に授与されることになっている[82]

沿革で述べた通り、115期生・116期生以降を対象に、各回ごとにA評価(金または白)を獲得した候補生には報奨金が支給される。報奨金のほかにボーナス制度もあるため、合わせて最高で160万円が卒業時に一括で支給される(なお、記録会を欠席したり、途中休学となるなどした場合には、支給額の減額または不支給となることがある)[83]

  • 報奨金の制度は以下の通り。
    • 「金」 - 1回ごとに20万円
    • 「白」 - 1回ごとに10万円
    • 但し、最低のD評価(青)を獲得した場合は、1回ごとに報奨金が50%カットされる(順不同)。
      • 「白」2回・「青」1回 - 10万円×2回だが50%カットされ10万円支給
      • 「白」1回・「青」2回 - 10万円だが50%カットの上に更に50%カットされ2万5千円支給
  • ボーナスの制度は以下の通り(順不同)。
    • 「金」3回 - 20万円×3回とボーナス100万円で計160万円支給
    • 「金」1回・「白」2回 - 20万円+10万円×2回とボーナス30万円で計70万円支給
    • 「白」3回 - 10万円×3回とボーナス10万円で計40万円支給

115期生・116期生以降はゴールデンキャップのヘルメットのデザイン[注 29]と男子の能力区分基準タイムが変更されており、男子は旧基準と比べて200mFDと400mFDはタイムが短くなり厳しくなった一方、1000mTTと3000mTTではタイムが緩和されたことで、115期による第2回記録会で達成した2名はともに旧基準では3000mTTをクリアしておらずゴールデンキャップに該当しなかったものであった。なお、女子においても、2019年度の118期生から全体的にタイムが短くなり厳しくなったが、1000mTTは500mTTに変更された。さらに、117期・118期以降では第1回記録会または第2回記録会でゴールデンキャップ獲得者は『早期卒業制度対象者』とされ、一定の条件[57]を満たした上で12月中旬に実施される各年度の第1回資格検定に合格すれば、同年12月下旬にて養成所を早期卒業でき、翌年1月に通常より半年早く競輪選手としてデビューすることが可能となっている[55][3]

能力区分基準タイム編集

いずれも2019年5月1日制定[83]

男子
評価 帽子色 200mFD 400mFD 1000mTT 3000mTT 備考1 備考2 備考3
A上 11.20以内 23.00以内 1.08.00以内 3.49.50以内 スピード◎ 持久力◎ 報奨金20万円支給
A下 11.50以内 23.70以内 1.10.50以内 3.58.50以内 スピード○ 持久力○ 報奨金10万円支給
B 11.50以内 23.70以内 上記以外 上記以外 スピード○ 持久力×
C 上記以外 上記以外 1.10.50以内 3.58.50以内 スピード× 持久力○
D 上記以外 上記以外 上記以外 上記以外 スピード× 持久力× 報奨金50%カット
女子
評価 帽子色 200mFD 400mFD 500mTT 2000mTT 備考1 備考2 備考3
A上 12.30以内 25.50以内 38.30以内 2.41.50以内 スピード◎ 持久力◎ 報奨金20万円支給
A下 12.80以内 26.20以内 39.40以内 2.49.00以内 スピード○ 持久力○ 報奨金10万円支給
B 12.80以内 26.20以内 上記以外 上記以外 スピード○ 持久力×
C 上記以外 上記以外 39.40以内 2.49.00以内 スピード× 持久力○
D 上記以外 上記以外 上記以外 上記以外 スピード× 持久力× 報奨金50%カット

ゴールデンキャップ獲得者編集

2020年6月時点[85]は適性試験受験者。

男子
氏名 記録会名 年月日 200mFD 400mFD 1000mTT 3000mTT 備考
67 金古将人 第2回記録会 1990/09/11 - 13 11秒20 23秒21 1分06秒76 3分44秒27
69 稲村成浩 試走記録会 1991/05/09 - 13 11秒11 22秒99 1分07秒22 3分43秒69
豊岡弘 第3回記録会 1991/10/29 - 31 11秒27 23秒29 1分07秒47 3分41秒57
74 小嶋敬二 第2回記録会 1993/11/16 - 18 11秒08 23秒10 1分07秒73 3分42秒86
88 武田豊樹 第2回記録会 2002/08/19 - 21 10秒86 22秒75 1分06秒62 3分44秒69
91 金澤竜二 第1回記録会 2005/07/11 - 12 10秒98 22秒95 1分07秒87 3分41秒31
93 上野真吾 第3回記録会 2007/06/18 - 19 11秒29 23秒26 1分08秒42 3分43秒33
宮島聖悟 第4回記録会 2007/09/10 - 11 11秒27 23秒16 1分08秒36 3分45秒22
95 金子哲大 第4回記録会 2008/09/01 - 02 11秒28 22秒89 1分07秒80 3分45秒35
103 杉森輝大 第1回記録会 2012/08/21 - 22 11秒20 22秒59 1分08秒03 3分41秒19
107 吉田拓矢 第1回記録会 2014/09/03 - 04 11秒25 23秒02 1分07秒52 3分44秒19
111 松本貴治 第1回記録会 2016/07/04 - 05 11秒03 22秒66 1分06秒95 3分45秒06
115 坂井洋 第2回記録会 2018/09/03 - 04 10秒89 22秒54 1分07秒25 3分47秒86
藤井侑吾 11秒05 22秒69 1分07秒40 3分46秒17
117 町田太我 第1回記録会 2019/05/23 - 24 11秒14 22秒88 1分06秒80 3分45秒79
菊池岳仁 11秒09 22秒80 1分07秒44 3分47秒92
町田太我 第2回記録会 2019/09/02 - 04 10秒88 22秒29 1分07秒74 3分45秒87 2回目
菊池岳仁 10秒56 21秒88 1分04秒05 3分39秒43 2回目
坂本紘規 10秒90 22秒47 1分07秒93 3分48秒64
寺崎浩平 10秒33 21秒99 1分07秒53 3分48秒00
町田太我 第3回記録会 2020/02/03 - 04 11秒18 22秒85 1分06秒43 (実施せず) 3回目
青柳靖起 11秒06 22秒91 1分07秒35
山口拳矢 10秒90 22秒85 1分06秒18
119 木村皆斗 第1回記録会 2020/06/15 - 17 10秒96 22秒80 1分07秒95 3分49秒05
第2回記録会 2020/08/31 - 09/02 10秒83 22秒40 1分06秒87 3分49秒05 2回目
北井佑季 10秒94 22秒50 1分07秒25 3分45秒46
志田龍星 10秒95 22秒48 1分06秒17 3分47秒91
山根将太 10秒82 22秒10 1分04秒99 3分43秒51
渡口勝成 11秒00 22秒80 1分07秒56 3分48秒67
女子
氏名 記録会名 年月日 200mFD 400mFD 500mTT
(118期〜)
1000mTT
(〜116期)
2000mTT 備考
106 小林優香 試走記録会 2013/05/10 - 11 12秒10 25秒37 - 1分15秒58 2分37秒64
第1回記録会 2013/07/29 - 30 12秒13 25秒00 - 1分12秒98 2分37秒41 2回目
第2回記録会 2013/09/24 - 25 11秒94 24秒08 - 1分12秒65 2分33秒85 3回目
112 梅川風子 第1回記録会 2016/07/04 - 05 12秒45 25秒36 - 1分14秒92 2分39秒10
太田りゆ 第2回記録会 2016/09/12 - 13 12秒28 25秒21 - 1分15秒28 2分39秒78
112 三澤杏奈 第2回記録会 2016/09/12 - 13 12秒44 25秒22 - 1分14秒42 2分36秒11 中途退学により抹消
114 日野未来 第1回記録会 2017/07/03 - 04 12秒22 25秒10 - 1分15秒48 2分40秒96
118 永塚祐子 第2回記録会 2019/09/02 - 04 12秒28 25秒50 37秒47 - 2分41秒32
第3回記録会 2020/02/03 - 04 12秒16 25秒36 37秒33 - (実施せず) 2回目
尾方真生 11秒67 25秒33 38秒15 -
120 吉川美穂 第1回記録会 2020/06/15 - 17 12秒12 25秒42 36秒66 - 2分40秒08
第2回記録会 2020/08/31 - 09/02 11秒95 25秒23 36秒16 - 2分37秒73 2回目

卒業記念レース歴代優勝者編集

卒業記念レースは、日本サイクリストセンター時代に模擬レースという名前で行われていたものが発祥となっている[58]。19期までは模擬レースのみが行われていた。20期からは卒業記念レースと模擬レースがともに実施され、当時の競輪学校が修善寺に移った26期からは卒業記念レースとして一本化された[58]。競輪選手としてデビューした後に実施されるルーキーチャンピオンレース、ガールズ フレッシュクイーンヤンググランプリにも繋がるレースでもある。

卒業式直前に2日間の日程で実施され、初日に予選(男子は2回戦・女子は3回戦[58])が、2日目に決勝戦が、それぞれ行われる。レースは、400mバンクでは4周、333mバンクでは5周で行われる。会場は、かつては殆どがJKA400(周長400m)にて開催されてきたが、早く競輪選手としての身構えをつけてもらおうという意味合いや、養成所の身内など関係者のみならず競輪ファンの関心も高いなどの理由から、現在は南関東のいずれかの競輪場で開催されており、特に養成所から最も近い伊東温泉競輪場[86]での開催が多い。また、SPEEDチャンネル[87]YouTubeによるストリーミング配信による生中継も行われている。なお、2020年の117期・118期に関しては、COVID-19拡大防止の観点から、会場は当初の伊東温泉競輪場から養成所内のJKA400に、日程も23日の1日のみとして無観客での実施に、勝ち上がりもポイント制に、それぞれ変更して実施された[65][58]

男子は1 - 100期までと101期以降の奇数期、女子は102期以降の偶数期。

は完全優勝。は適性試験受験者。太字GP・GI(男子)、グランプリコレクションフェスティバルいずれか(女子)優勝者。

参考:21期〜25期の卒業記念レース優勝者
優勝者 登録地
21 伊藤繁 神奈川
22 福島正幸 群馬
23 丹波秀次 岡山
24 班目秀雄 福島
25 畔蒜啓次 東京

交通アクセス編集

伊豆箱根鉄道駿豆線修善寺駅より東海バスサイクルスポーツセンター」行きに乗車、「日本競輪選手養成所入口」バス停から徒歩10分ないし「日本競輪選手養成所」バス停(候補生送迎のため、日曜・祝日の一部の便のみが経由)すぐ

現在、バス路線が運休中(但し、養成所に向かう途中までは運行がある)[97]であり、マイカー以外で直接アクセスすることは不可能である。日本サイクルスポーツセンターの遊園地ゾーン「自転車の国」が東京オリンピック開催に合わせて休園しており、再開するまで(再開時期未定[98])は運休が続く見込みである。

脚注編集

[脚注の使い方]

注釈編集

  1. ^ 毎年度12月中旬と翌年3月上旬の2回実施され、原則として養成所の候補生は卒業間近である3月上旬の第2回試験を受験する。但し、早期卒業制度対象者のうち養成所が特に認めた候補生のみ、12月中旬の第1回試験を受験することができる(詳細は後述)。
  2. ^ なお、旧競輪学校時代の募集要項の改訂に合わせて、93期以降の候補生のうち、学業・訓練競走共に成績優秀かつ養成所が特別に認めた候補生においては早期卒業できる制度が設けられている。旧競輪学校時代ではこの制度の適用を受けた者はいなかったが、現在の養成所となってからは初めて適用者が誕生し、実際に早期卒業した[3]
  3. ^ 資格検定は欠格条項があるものの満16歳以上であれば、誰でも受験が可能。ただ、資格検定では面接、身体検査、実技(時間計測や走行技能、自転車整備技能)のほか、学科(ペーパーテスト)として自転車競技法および同法施行規則といった法規に関する問題や自転車競走実施規則に関するガイドライン、一般教養、スポーツに関する医学知識などが多岐にわたり出題されるため、独学での合格は難しい。資格検定の受験資格・受験方法・試験内容については広報KEIRIN(5ページ目)に詳しい記述がある。
  4. ^ 年齢制限の上限が撤廃された93期では、1979年生まれ(当時27歳)の西谷岳文1971年生まれ(当時35歳)の奥平充男(ともに京都)、1977年生まれ(当時29歳)の南原照也千葉)などといった、これまでの制度では受験資格のなかった異色の合格者が誕生した。101期以降でも、合格者は20代前半以下が圧倒的に多いものの、毎回30代の合格者も少なからずおり、特に女子では102期で当時48歳高松美代子が合格した。
  5. ^ 旧競輪学校時代は、「高卒(以上)」ないし「高卒見込み」、「大検(現在は廃止)または高認合格者」が受験資格に定められていたため『学歴』も必要であり、内村竜也日野未来ら高卒資格を持っていなかった選手は、予め大検または高認に合格してから旧競輪学校を受験した。なお、45期までは筆記試験に合格することを条件に中卒でも入学できた(谷津田陽一山口国男ら)。
  6. ^ 92期までは「受験時点で満24歳未満」という年齢制限があったため、実質的に10回程度(かつては年2回募集もあった)が受験回数の上限であった。
  7. ^ 山口幸二の次男である山口拳矢は当初、旧競輪学校113期生として入学した[7][8]が遅刻などが原因で停学となり卒業できず、その後日本競輪選手養成所117期生として再入所し卒業[9]、競輪選手となった。
  8. ^ 実際には、合格発表前日に日本競輪選手会各支部宛に内々で合格者が通知される。
  9. ^ 具体的な記述はないが、プロ野球(NPB)Jリーグなどを指す。
  10. ^ 但し、対象となる成績等は受験年次より遡って2年以内とされている。プロ野球などの団体競技では、退団後2年以内となる。
  11. ^ 2008年11月11日横浜ベイスターズ総合練習場で行われたトライアウトでは、当時の競輪学校時代は年2回募集であったことから会場に競輪学校のブースを設営して入学願書を配布したが、年1回募集となった現状では入所試験まで1年待たせることになる(現在は入所試験を毎年11月以降に実施している)ため、プロ野球トライアウト会場でブースを設営したのはこの一度きりに留まっている。
  12. ^ 小林は「ガールズグランプリ」、「ガールズケイリンコレクション」、「ガールズケイリンフェスティバル」、「ガールズグランプリトライアル」を制覇。これらに「ガールズ フレッシュクイーン」を加えた5レースが『ガールズケイリン特別レース』とされている。但し「ガールズ フレッシュクイーン」はデビュー間もない選手が対象の新人女王戦である。
  13. ^ 過去には、神山雄一郎金古将人稲村成浩などが第1次試験を免除された。
  14. ^ 適性試験ないし特別選抜試験合格者に対しては、事前研修のほかに競技用自転車に早く慣れてもらうため、基本教育訓練が課されるため14泊となっている[27][28]
  15. ^ ボートレーサー養成所では、毎回入所者の半数程度が中途で強制退所させられており、卒業までのハードルは高い[29]
  16. ^ 2018年度の115期・116期までは凡そ1500mのランニングが行われていた[32]が、JCFブノワ・ベトゥ(フランス語版)ヘッドコーチの意見を採り入れ、ストレッチ体操に変更された。
  17. ^ 旧競輪学校時代は、男子には丸刈り(摘まんだ手の指と指の間からはみ出ない程度の長さまで。但し丸坊主は禁止)が、女子にはショートカット(両耳が見える程度のベリーショート)かつ化粧の禁止が、それぞれ義務付けられていた。
  18. ^ これは、卒業後競輪選手となった時に金銭関係のトラブルが公正な競走を阻害する事を未然に防止するため。
  19. ^ 但し、特別選抜試験による合格者は食費も無料となる[17][18]。また、ゴールデンキャップを3回獲得すれば、卒業時に報奨金とボーナスとで合計160万円が支給されるため、実質的に無料となる。
  20. ^ 日用品、お菓子などの食料品、自転車部品などを販売している。
  21. ^ 資格検定の合格発表は卒業式当日である[46]。なお、資格検定に不合格だと卒業延期となる(例として、110期生では入学試験の合格者は20名であったが、卒業者は22名であった)。
  22. ^ 但し、『Odds -オッズ-』『ギャンブルレーサー』については女子候補生が入所する前の時代、また『閃光ライド』は旧競輪学校時代であったため、作中での描写は現在とは異なる部分もある。
  23. ^ カラーグラビアでは、ゴルフ、卓球、弓術、ブラスバンド、書道、華道のクラブ活動が確認できる。
  24. ^ 選手会に所属しなければJKAからレースへの斡旋を拒否され、出走できない。
  25. ^ かつては期によっては5月にデビューしていたこともあった。
  26. ^ 1開催につき、男子35名・女子14名をあっせんし、男女とも1レース7名で男子5レース・女子2レースを実施。初日・2日目で行う予選2レースで獲得したポイント(ポイントの詳細はこちらを参照)を基に、最終日の決勝進出者を決める。なお、この『競輪ルーキーシリーズ』では9連勝しても特別昇班の対象にはならない。
  27. ^ 基本的に新人選手はほぼ全員無名でファンからすれば誰が誰か分からず特徴も掴めないことや、デビュー時は全員が20歳代前半以下(当時は旧競輪学校の受験資格に「満24歳未満」という年齢制限があったため)であり力量差が少なく誰が1着になってもおかしくないため予想しづらい、という意見が多かった。
  28. ^ 現状は女子には昇降級の制度が無いため、当面は110期以前を含め全員が「L級1班」の格付けである[54]。なお、110期までの全ての選手は2017年6月30日まで「A級2班」の格付けであった。
  29. ^ 従来は白色のヘルメットに金色の破線でストリームラインが描かれていた[82]が、現在は単一の金色となっている[84]

出典編集

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関連項目編集

外部リンク編集