ニップン
株式会社ニップン(英: NIPPN CORPORATION)は、製粉業、食品業を営む会社。製粉分野では日清製粉に次いで日本国内シェア2位。欧米式機械を利用した日本初の製粉会社である。2020年までの社名は日本製粉株式会社(英: NIPPON FLOUR MILLS CO., LTD.)。「ニップン」「オーマイ」「REGALO(レガーロ)」ブランドで知られる。
![]() ニップン本社ビル(東京都千代田区麹町) | |
種類 | 株式会社 |
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市場情報 |
大証1部(廃止) 2001 2013年7月12日上場廃止 |
略称 | nippn、ニップン |
本社所在地 |
![]() 〒102-0083 東京都千代田区麹町4丁目8 |
設立 |
1896年12月31日 (日本製粉株式会社) |
業種 | 食料品 |
法人番号 |
9011001017684 ![]() |
事業内容 | 製粉、食品、ペットフード、健康食品、食品関連機械装置製造、レストラン等 |
代表者 |
代表取締役会長 澤田浩 代表取締役社長兼社長執行役員 前鶴俊哉 |
資本金 | 122億4000万円 |
売上高 |
連結:3448億39百万円 単体:2114億45百万円 |
経常利益 |
連結:127億40百万円 単体:104億94百万円 |
純資産 |
連結:1585億81百万円 単体:1326億15百万円 |
総資産 |
連結:2904億28百万円 単体:2275億08百万円 |
従業員数 | 連結:3,737人、単体:1,025人 |
決算期 | 3月31日 |
主要株主 |
取引先持株会 5.9% 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 5.7% 大樹生命保険 4.6% 三井物産 4.4% ダスキン 3.3% 日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口)3.2% |
主要子会社 |
オーケー食品工業 ナガノトマト |
関係する人物 |
雨宮敬次郎(創業者) 安川雄之助(初代会長) 南条新六郎(初代社長) 伴素彦(元社長) 八尋敏行(元社長) 香木正雄(元社長) 澤田浩(元社長) 小寺春樹(元社長) |
外部リンク | https://www.nippn.co.jp/ |
特記事項:財務データ等は2020年3月末現在[1] |
概要編集
製粉業界最古参。第一次大戦後の不況による経営不振のおり三井物産の支援を受けたことから、三井グループの製粉会社となった。創業以来、小麦粉・ふすま・そば粉等の業務用製粉事業を行っている。家庭用小麦粉・プレミックス粉(ホットケーキ用ミックス等)・パスタ・冷凍食品の食料品事業も大きな柱となっており、2012年(平成24年)現在では業務用製粉事業の売上高を上回る。その他、グループでペットフード、健康食品、食品関連の機械装置の製造、ミスタードーナツなどの外食事業も行っている。2013年3月期の連結売上高の構成は製粉事業35.4%、食品事業54.4%、その他10.1%。1982年から2017年までイタリアの有名パスタブランド『バリラ (Barilla)』のライセンス契約を保有し日本国内の独占販売を行っていた[注釈 1] 。
食料品事業の強化が進んでいく中で、"製粉"の名がつく特定の事業を表現した社名では、当社並びにグループ会社の実情を十分に表せなくなったことから、2021年1月に設立以来初の商号変更が行われ、1996年からコミュニケーションネームとして用いていたニップンが正式社名となった(2020年5月の社名変更発表時は2021年4月を目途としていたが、同年7月に行われた取締役会で変更日が3ヶ月早まった)[3][4]。
沿革編集
前史(1879年 - 1896年)編集
- 1879年(明治12年) - 実業家の雨宮敬次郎がアメリカ製石臼製粉器を導入して[5]、東京府南葛飾郡八右衛門新田(現在の江東区扇橋)で製粉会社を起業[注釈 2]。社名は泰靖社。水車製粉全盛の時代のなか、民間人として日本初の機械製粉事業であった[7]。
- 1886年(明治19年) - 大蔵省の製粉場[注釈 3]を譲り受け、泰靖社と合わせて有限責任日本製粉会社を築地南小田原町(現・中央区築地6-7丁目)に設立[6]。
- 1887年(明治20年) - 工場操業認可される[6]。軍納で業績を上げる[5]。
- 1888年(明治21年) - 本社・工場を八右衛門新田の旧工場に移転[7]。
- 1889年(明治22年) - 経営を志摩万次郎[注釈 4]へ譲渡[6]。
- 1892年(明治25年) - 軍納品の競争入札制度開始により業績不振となり[7]、経営を第四十国立銀行頭取の南条新六郎と弁護士の境豊吉へ譲渡[6]。
- 1893年(明治26年) - 有限責任日本製粉会社解散し、南条、境らで東京製粉合資会社創立[6]。日清戦争特需で業績急成長する[7]。
日本製粉(1896年 - 2020年)編集
- 1896年(明治29年)
- 1907年(明治40年) - 明治製粉株式会社を合併。日露戦争特需で乱立した新設の製粉会社が供給過剰で業績不振となり、以降、日本製粉との合併が相次いだ[7]。
- 1909年(明治42年) - 帝国製粉株式会社を合併。
- 1920年(大正9年) - 東洋製粉株式会社、大里製粉所、札幌製粉株式会社、東北製粉株式会社を合併。
- 1925年(大正14年)- 東亜製粉株式会社を合併。
- 1926年(大正15年)10月 - 鈴木商店の主導により日清製粉と合併仮契約が締結されたが土壇場で破談となる[9][10]。
- 1927年(昭和2年)
- 1949年(昭和24年)5月11日 - 東京証券取引所第1部、大阪証券取引所第1部上場、名古屋証券取引所上場[9]。
- 1955年(昭和30年) - 子会社の日粉食糧が、小麦粉で作ったオーマイライス(人造米)を発売[注釈 6]。
- 1957年(昭和32年) - 『オーマイロングスパゲッチ』を発売。
- 1960年(昭和35年)3月 - 大阪製粉株式会社を合併。
- 1966年(昭和41年)7月 - 城北工業株式会社を合併。
- 1982年(昭和57年) - イタリア・バリラ社とライセンス契約、『バリラ』ブランドを独占販売開始。
- 1990年(平成2年)10月 - オーマイ株式会社を合併。
- 1995年(平成7年) - 阪神・淡路大震災により神戸工場が被災し閉鎖。
- 1996年(平成8年) - コミュニケーションネームを『NIPPN(ニップン)』とし、コーポレートロゴを導入。
- 1998年(平成10年)- 新規設立したオーマイ株式会社にパスタ製造部門を分割。
- 2003年(平成15年)- オーケー食品工業株式会社の株式を取得し子会社化。
- 2013年(平成25年)9月 - 株式会社ナガノトマトの株式を取得。
- 2014年(平成26年)8月 - 東福製粉株式会社の株式を公開買付けにより取得。
- 2016年(平成28年)8月 - 本社を千代田区麹町4丁目の新本社ビルに移転[注釈 7]。
- 2017年(平成29年)4月 - 『バリラ』のライセンス契約が三菱食品へ移動する[2]。
- 2019年(令和元年)9月 - コーポレートブランドロゴを改定。"i"の上の赤の楕円を引き継ぎつつ、黒の大文字表記から丸みを帯びたオレンジ色の小文字表記(『nippn』)に改められ、スローガンとして、『いつも食卓に、ニップン』(日本語表記)/『Enjoy every meal.』(英語表記)が制定された[13]。
ニップン(2021年 - )編集
工場編集
現在の主な工場編集
- 横浜工場(神奈川県横浜市神奈川区千若町2-1)
- 千葉工場(千葉県千葉市美浜区新港229-4)
- 伊勢崎工場(群馬県伊勢崎市国領町217-1)
- 竜ヶ崎工場・竜ヶ崎冷食工場(茨城県龍ケ崎市向陽台1-7)
- 名古屋工場(愛知県名古屋市港区入船1-1-34)
- 大阪工場(大阪府大阪市大正区平尾1-4-29)
- 神戸甲南工場(兵庫県神戸市東灘区深江浜町41)
- 福岡工場(福岡県福岡市東区箱崎ふ頭6-11-5)
- 福岡那の津工場(福岡県福岡市中央区那の津4-9-20)
- 小樽工場(北海道小樽市高島1-1-3)
- オーマイ株式会社 厚木工場(神奈川県厚木市緑ケ丘5-1-2)
- オーマイ株式会社 加古川工場(兵庫県加古川市平岡町高畑830-1)
閉鎖した工場編集
主な関係会社編集
日本国内編集
- エヌピーエフジャパン:ペットフードの製造・販売(100%子会社)。
- オーケー食品工業:JASDAQ上場企業。株式所有51.3%。味付け油揚げ等の製造・販売。
- オーマイ:パスタ及び各種麺類の製造・販売(100%子会社)。
- ジャックス:「パンの花」用材料販売。
- ジュンコ・フローラ・スクール:「パンの花」スクール事業。
- 末広興業:火災保険等の保険代理店。
- 鈴木:小麦粉・砂糖・調味料・酒類等の販売。
- ナガノトマト:トマト製品・なめ茸製品・調理製品・ジュース等の製造・販売(51%子会社)。
- ニップンインターナショナル:加工食品・酒類の販売および輸出入。
- ニップンエンジニアリング:プラント工事・機械・機器の設計・製作・販売(100%子会社)。
- ニップン商事:小麦粉・砂糖・飼料等の販売。
- ニップン商事コーポレーション:小麦粉・砂糖・油脂等の販売。
- ニップンスポーツ:スポーツ施設経営、スポーツ用品販売。
- ニップンドーナツ:飲食店の経営(100%子会社)。
- ニップンドーナツ関西:飲食店の経営。
- ニップンドーナツ九州:飲食店の経営。
- 大和フーヅ:飲食店の経営(孫会社、ニップンドーナツの100%子会社)。
- ニップンビジネスシステム:情報処理業。
- ニップン不動産:不動産管理及び賃貸。
- ニップンライフイノベーション:健康食品の販売、自然化粧品の製造・販売。
- ニップンロジス:貨物運送業。
- 日本リッチ:冷凍食材の販売(100%子会社)。
- ファーストフーズ:弁当等中食関連製品の製造・販売。
- ファーストフーズ名古屋:弁当等中食関連製品の製造・販売。
- ファーストフーズ福島:弁当等中食関連製品の製造・販売。
- ファスマック:遺伝子組換え食品の検査、特定原材料含有検査。
- 福岡陽晃運輸:貨物運送業。
- 松屋製粉:そば粉の製造販売、小麦粉の販売(100%子会社)。
- 丸七商事:小麦粉・砂糖・雑穀等の販売。
- 瑞穂食品:上新粉の製造・販売。
海外現地法人編集
- アメリカ合衆国
- NIPPN California Inc.(ニップンカルフォルニア):業務用食材・加工食品の販売。
- Pasta Montana, L.L.C(パスタ・モンタナ):パスタ及び各種麺類の製造・販売。
- タイ
- NIPPN (Thailand) Co.,Ltd.(ニップン(タイランド)):プレミックス類等の製造・販売。
- NIPPON FLOUR MILLS (THAILAND) LTD.(ニッポン・フラワー・ミルズ(タイランド)):業務用食材・加工食品の販売。
- インドネシア
- PT.NIPPN FOODS INDONESIA(ニップンフーズインドネシア):食品等の販売。
- 中華人民共和国
- 上海金山日粉食品有限公司:プレミックス類等の製造・販売。
- 上海日粉食品有限公司:プレミックス類等の製造・販売。
- 上海日粉総合貿易有限公司:業務用食材・加工食品の販売。
主な製品編集
- ニップン ハート(薄力小麦粉)
- ニップン たけ(中力小麦粉)
- ニップン イーグル(強力小麦粉)
- ニップン アマニ(亜麻仁油・ドレッシング・マヨネーズなど)
- ニップン ほめDELI(調味料)
- オーマイ(パスタ・パスタソース・冷凍食品)
- REGALO(レガーロ、パスタ・パスタソース・冷凍食品)
- ニップン いまどきごはん(冷凍食品)
なお、2019年9月のコーポレートブランドロゴ改定を機に、「オーマイ」から「ニップン」へブランド変更した製品があり、2020年春発売の新製品・リニューアル品からパッケージ正面に「nippn」ロゴの表記(「REGALO」は除く)が開始され、小麦粉の「ニップン ハート」(スティックタイプ・ミニパックを除く)、「ニップン たけ」、「ニップン イーグル」は2020年2月のリニューアルに合わせ、「nippn」ロゴに加え、「いつも食卓に、ニップン」の日本語表記のスローガンも表記されている。
外食事業編集
ニップンドーナツと大和フーヅがミスタードーナツ、築地銀だこ、モスバーガーの店舗を運営している。同時に日本製粉が両社に原料を供給している。日本製粉はミスタードーナツの国内最大級FCである。1980年代後半にはワタミフードサービスに出資していた時期があり、共同でお好み焼きを主力商品とした各種飲食店(宅配サービス、イートインスタンド)を展開していた。後に、株式公開に関する考え方などの事業戦略面での相違から関係を解消した。
スポンサー提供編集
現在のスポンサー番組編集
- ヒルナンデス!(火・木曜12時台前半、日本テレビ系)
- ズームイン!!サタデー(日本テレビ系)
- DRAMATIC BASEBALL(BS日テレ)
- 旬感レシピ〜最高の贈り物〜(BS日テレ)- 2020年10月まではレガーロ名義
- たまむすび(13:35頃からのコーナー「ニュースたまむすB」)(TBSラジオ)
- 山形純菜 プレシャスサンデー(7:30頃からのコーナー「ニップン レガーロpresents プレシャスな贈り物」)(TBSラジオ)
過去のスポンサー番組編集
- みごろ!たべごろ!笑いごろ!(テレビ朝日系)
- 徹子の部屋(テレビ朝日系)
- クイズタイムショック(テレビ朝日系) - オーマイ名義
- 三井奥さま劇場(TBS) - 三井物産食品グループの一社として
- JNN報道特集(TBS)
- 火曜サスペンス劇場(日本テレビ系)
- ピュア島の仲間たち(日本テレビ系)
- 1億人の大質問!?笑ってコラえて!(日本テレビ系)
- ZIP!(火・金曜、日本テレビ系)
- クイズ赤恥青恥(テレビ東京系)
- 大学ラグビー中継・社会人ラグビー中継 (テレビ神奈川)
脚注編集
注釈編集
- ^ 三菱食品がライセンス契約を引き継ぎ、2017年4月1日から『バリラ』ブランドの商品を販売している[2]。
- ^ 同年末もしくは翌年春[6]。
- ^ 松方正義が輸入したフランス式石臼製粉機で1879年5月操業[5][6]。
- ^ 志摩万次郎は、隣接する日本製鐵の創立事務を手掛けた人物で雨宮の知人[8]。利根運河の建設に関係したことでも知られる。
- ^ 1889年の関税法改訂により輸入小麦粉に関税がかけられるようになりさらに競争力を増した[5]
- ^ 米の中の王様との意味から「王米」とし、オーマイという商標が誕生した。その後、日粉食糧はニップン食糧、オーマイと社名を変更した。
- ^ 渋谷区千駄ヶ谷5丁目の旧本社は三菱地所保有の日本ブランズウィックビル、新宿パークビル跡地と共に、「千駄ヶ谷五丁目北地区第一種市街地再開発事業」により、リンクスクエア新宿として2019年8月に竣工した[11][12]。
出典編集
- ^ “第196期有価証券報告書 (PDF)”. 日本製粉株式会社 (2020年6月26日). 2021年1月14日閲覧。
- ^ a b 三菱食品、バリラと代理店契約 パスタ、ソースを販売(日本食糧新聞)2020年11月21日閲覧。
- ^ a b “会社名(商号)の変更に関するお知らせ” (PDF) (プレスリリース), 日本製粉株式会社, (2020年5月25日) 2021年1月24日閲覧。
- ^ a b “商号の変更日決定に関するお知らせ” (PDF) (プレスリリース), 日本製粉株式会社, (2020年7月27日) 2021年1月24日閲覧。
- ^ a b c d 『パンの明治百年史』第二編 第五章 第一節「製粉業近代化の曙」 パンの明治百年史刊行会、1970年
- ^ a b c d e f g 日本製粉(株)『日本製粉株式会社七十年史』(1968.06) 渋沢社史データベース
- ^ a b c d e 二ップンの歴史1879年(明治12年) 日本製粉株式会社
- ^ 『日本製粉社史: 近代製粉 120年の軌跡』日本製粉株式会社, 2001, p40
- ^ a b c d e f 『日本製粉社史 : 近代製粉120年の軌跡』(2001.04)(日本製粉)2020年11月28日閲覧。
- ^ 鈴木商店系製粉会社と日本製粉との統合、救済融資(鈴木商店記念館)2020年11月28日閲覧。
- ^ 千駄ヶ谷五丁目北地区第一種市街地再開発事業(東京都都市整備局)2020年11月21日閲覧。
- ^ リンクスクエア新宿(日本の超高層ビル)2020年11月21日閲覧。
- ^ “コーポレートブランドロゴを改定” (PDF) (プレスリリース), 日本製粉株式会社, (2019年9月26日) 2021年1月24日閲覧。
- ^ 連結子会社の吸収合併(簡易合併・略式合併)に関するお知らせ(ニップン)2021年2月21日閲覧)
- ^ “冷凍食品事業強化のための機構改革を実施” (PDF) (プレスリリース), 株式会社ニップン, (2021年3月1日) 2021年4月20日閲覧。
関連項目編集
外部リンク編集
- 株式会社ニップン 公式サイト
- 日本製粉(株)『日本製粉株式会社七十年史』(1968.06)
- 日本製粉(株)『九十年史』(1987.02)
- 日本製粉(株)『日本製粉社史 : 近代製粉120年の軌跡』(2001.04)
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