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日本語能力試験(にほんごのうりょくしけん、英語: Japanese Language Proficiency Test、略称JLPT日能試)は、公益財団法人日本国際教育支援協会独立行政法人国際交流基金が主催の、日本語母語としない人を対象に日本語能力を認定する検定試験である。

日本語能力試験
英名 Japanese Language Proficiency Test
略称 JLPT、日能試
実施国 世界の旗 世界
資格種類 公的資格
分野 日本語
試験形式 筆記試験マークシート
認定団体 公財法人日本国際教育支援協会
独立行政法人国際交流基金
認定開始年月日 1984年 -
等級・称号 N1
N2
N3
N4
N5
(2009年まで1級、2級、3級、4級)
公式サイト www.jlpt.jp
ウィキプロジェクト ウィキプロジェクト 資格
ウィキポータル ウィキポータル 資格
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目次

概要編集

 
台湾で開催された日本語能力試験のポスター

日本を含め世界86カ国・地域(2018年)で実施し、日本語を母語としない人を対象とした日本語の試験としては最も受験者の多い試験である。原則として日本語を母語としない人であれば誰でも受験でき、日本国籍の有無は問わない。最上級のN1から最下級のN5まで5段階のレベルがある。一部の受験地を除き、7月上旬12月上旬の年2回試験が実施されている。日本国内では日本国際教育支援協会が、日本国外では国際交流基金が現地の機関と共同で試験を実施している。2018年は年間のべ約101万人が受験した。

解答はほとんどが4択、一部が3択のマークシート方式である。問題文は実施するにかかわらず全て日本語で書かれている。また、試験後に問題冊子を持ち帰る事は認められていない。

韓国のYBM Si-saが実施しているJPT日本語能力試験とは異なる。

大学編集

日本語を母語としない者の場合、日本の国立大学への派遣国費留学には、日本語能力試験N1を要求される(日本人アメリカ留学に際して、TOEFLで高得点を獲得した証明を要求される場合があることと同様)。なお、正規留学私費留学等には日本語能力試験ではなく日本留学試験が課されることも多い。ただし、日本留学試験を行わない国の志望者に対して日本語能力試験の成績を認めるなど例外措置もある。また、大学専門学校での入学にあたって、「日本語能力試験N2以上合格、または日本留学試験の日本語(記述を除く)得点が200点以上」という基準が、独自の日本語試験が免除されるなどの目安となっている。

就労ビザ編集

出入国在留管理庁高度人材ポイント制による出入国管理上の優遇制度のポイント計算において、日本語能力試験N1[1]を有する者または外国の大学において日本語を専攻した者は15点を、日本語能力試験N2[2]を有する者は10点を加算する[3]。この制度は、学歴、職歴、年収研究実績等により合計70点以上を獲得し高度外国人材に認定された者が、出入国管理上の様々な優遇措置[4]を得られる制度である。

医療編集

外国において医科大学医学部)を卒業した者、または医師免許を取得した者が、日本で医師国家試験又は医師国家試験予備試験の受験資格を得るための書類審査において、審査基準の1つである日本語能力として、日本の中学校および高等学校を卒業していない者は日本語能力試験N1の認定を受けていることが条件である[5][6]。また医師国家試験以外にも医療保健に関する多くの国家試験都道府県が実施する試験で日本語能力試験N1が受験資格になっている[7]

経済連携協定に基づき、インドネシアフィリピンおよびベトナムからの外国人看護師介護福祉士候補者の受入れについて、訪日前日本語研修において一定レベル(相手国により日本語能力試験N3程度以上またはN5程度以上)の日本語習得を入国条件としている。また訪日前研修以前にN2程度以上の日本語能力を有する者は日本語研修が免除となる[8]

歴史編集

1984年昭和59年)に年1回(12月)の試験として開始した。2002年(平成14年)に日本留学試験が開始されるまでは、日本の大学への正規留学・私費留学等に日本語能力試験が私費外国人留学生統一試験(現在は廃止)と共に課されていた。2009年(平成21年)に試験を年1回から年2回(7月、12月)に増やした。2010年(平成22年)に試験を改定し、1級~4級の4段階からN1~N5の5段階に変更した他、試験科目等を再編した。

受験者数については、1984年(昭和59年)開始当時は世界15カ国・地域で約7,000人の受験者であったが、2009年(平成21年)まで継続して増加した。特に2000年代に入ってからの増加はめざましく、2009年(平成21年)には試験回数を年2回に増やした事と、試験改定前の年であった事から年間のべ約77万人が受験した。試験改定を行った2010年(平成22年)以降は年間のべ60万人前後で推移していたが、2010年代後半になると再度大幅に増加しており、2017年(平成29年)には年間のべ約89万人で8年ぶりに記録を更新し、さらに2018年(平成30年)には年間のべ約101万人を記録した。

受験級編集

2010年以降編集

2010年(平成22年)の改定から、N1 - N5の5段階になっている。2010年(平成22年)7月はN1-N3のみ実施したが、2010年(平成22年)12月以降は全レベルを実施している。「N」は「Nihongo(日本語)」「New(新しい)」を表している。

なお、出題語彙の少ないN3・N4・N5では、「文字・語彙」と「文法・読解」を分割して試験を行う。

レベルと概要[9]
レベル 認定の目安  旧試験との比較
N1 幅広い場面で使われる日本語を理解することができる。 旧試験の1級よりやや高めのレベルまで測れる。合格ラインは旧試験とほぼ同じ。
N2 日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる。 旧試験の2級とほぼ同じレベル。
N3 日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる。 旧試験の2級と3級の間のレベル。
N4 基本的な日本語を理解することができる。 旧試験の3級とほぼ同じレベル。
N5 基本的な日本語をある程度理解することができる。 旧試験の4級とほぼ同じレベル。
試験科目と時間
レベル 言語知識(文字・語彙・文法)・読解 聴解 合計
N1 110分 60分 170分
N2 105分 50分 155分
レベル 言語知識(文字・語彙) 言語知識(文法)・読解 聴解 合計
N3 30分 70分 40分 140分
N4 30分 60分 35分 125分
N5 25分 50分 30分 105分

日本語能力試験側は CEFR との対応関係を発表していない。TOPJ実用日本語運用能力試験[10]およびJ.TEST実用日本語検定[11]は自身の検定試験および日本語能力試験と CEFR との対応関係が以下の関係であると主張している。

CEFR 日本語能力試験 TOPJ実用日本語運用能力試験 J.TEST実用日本語検定
C2 N/A 上級A A級
C1 N1 上級C~上級B 準B級
B2 N2 中級B~中級A C級
B1 N3 中級C D級
A2 N4 初級A-4 E級
A1 N5 初級A-5 F級

2009年まで編集

2009年までの旧試験の級は以下の通り[12]

語彙数 漢字数 学習時間の目安 能力の目安 対応する新試験
1 10000 2000 900時間 社会生活をする上で必要な総合的な日本語能力 N1
2 6000 1000 600時間 一般的な事柄について、会話ができ、読み書きできる能力 N2
3 1500 300 300時間 日常生活に役立つ会話ができ、簡単な文章が読み書きできる能力 N4
4 800 100 150時間 簡単な会話ができ、平易な文または短い文章が読み書きできる能力 N5

得点区分と合格点編集

2010年(平成22年)の改定より、得点はすべて点数等化による「尺度点」によって出されている。このため、試験の難易に関わらずどの回で受験しても同じ能力であれば同じ得点になるとされる。また、得点区分は試験時の試験科目(時間割)と異なっている。N4とN5の得点区分が「言語知識(文字・語彙・文法)」と「読解」で一つになっているのは、2つの能力で重なる部分が多いため、「読解」単独で得点を出すよりも「言語知識(文字・語彙・文法)」とまとめて得点を出す方が良いからとされている。

各級とも総合得点が合格点以上かつ、各得点区分が基準点以上であれば合格となる。合格点は、N1-N3は2010年(平成22年)8月30日に、N4-N5は2011年(平成23年)1月31日に発表された。

N1-N3

  • 言語知識(文字・語彙・文法)(0点-60点)
  • 読解(0点-60点)
  • 聴解(0点-60点)

N4~N5

  • 言語知識(文字・語彙・文法)・読解(0点-120点)
  • 聴解(0点-60点)
各級の合格点・基準点
総合得点 言語知識(文字・語彙・文法) 読解 聴解
得点範囲 0点-180点 0点-60点 0点-60点 0点-60点
N1 100点 19点 19点 19点
N2 90点 19点 19点 19点
N3 95点 19点 19点 19点
総合得点 言語知識(文字・語彙・文法)・読解 聴解
得点範囲 0点-180点 0点-120点 0点-60点
N4 90点 38点 19点
N5 80点 38点 19点

出願編集

日本国内で受験する場合の出願は、第1回(7月)試験は3月後半から4月後半に、第2回(12月)試験は8月後半から9月後半に受け付ける。受験料は5,500円。出願にはインターネットによる方法(個人申込と団体申込の2種)と、『受験案内』を大手書店等で購入(500円)し特定記録郵便にて郵送する方法(2019年をもって廃止予定)がある。いずれの方法でも協会から受験票を返送するための日本国内の住所を記入する必要があるため、住所がない場合は日本国内に住所を持つ代理人に受験票等の受け取りを依頼する必要がある。どの級も同じ時間帯に試験を行うので、複数級の受験はできない。受験会場は受験者が願書に記入した「希望受験地区」と住所欄の郵便番号を基に協会が指定する。

日本国外で受験する場合は現地機関が独自に受付を行うため、申し込み方法や締切日などが日本国内で受検する場合と異なる。また、出願先の国と異なる国で受験することは出来ない。

合否結果編集

試験の結果は、試験の翌々月上旬に日本から発送される。国内受験者でインターネット出願者は試験の翌月下旬から結果をウェブサイトで見ることができる。日本国外で受験した場合は到着に多くの日数を要する。日本国内の受験者の場合、圧着はがきにて「合否結果通知書」が送られ、合格者の場合は同じはがきに「日本語能力認定書」が印刷されている。

この他、学校や会社などへ提出するための証明書であるA4サイズの「認定結果及び成績に関する証明書」があり、インターネット出願の場合はウェブサイトから手続きをし、所定の手数料を支払えば発給される。郵送出願もしくは2011年以前の受験については、合否結果通知書または日本語能力認定書のコピーと所定の手数料を払って請求する。

日本国外の受験者の場合は成績書類の様式や手続きの方法が異なる。

国別受験者数編集

2018年(平成30年)に実施された日本国外での受験者数は以下の通りである[13]。あくまで受験地別の分布であり、受験者の国籍を表したものではない。

2018年 国別海外受験者数
国・地域 受験者数 構成比
7月 12月 合計
中国 123,233 118,912 242,145 37.6%
(内訳) 中国本土 116,995 112,163 229,158 35.6%
香港マカオ

台湾

45,219 34,553 89,772 13.9%
韓国 38,990 41,972 80,962 12.6%
ベトナム 33,989 35,854 69,843 10.8%
ミャンマー 12,232 16,923 29,155 4.5%
タイ 11,966 14,664 26,630 4.1%
インド 10,072 11,707 21,779 3.4%
インドネシア 7,846 11,868 19,714 3.1%
その他 23,594 53,537 77,131 12.0%
海外計(85カ国) 300,903 343,241 644,144 100%
日本国内 169,176 195,754 364,930 -
合計 470,079 538,995 1,009,074 -

出典・脚注編集

  1. ^ またはBJTビジネス日本語能力テスト480点以上
  2. ^ またはBJTビジネス日本語能力テスト400点以上
  3. ^ 高度人材ポイント制による出入国管理上の優遇制度出入国在留管理庁、2019年2月7日閲覧
  4. ^ どのような優遇措置が受けられる?出入国在留管理庁、2019年2月7日閲覧
  5. ^ 医師国家試験受験資格認定について厚生労働省、2019年2月7日閲覧
  6. ^ 「医師国家試験等の受験資格認定の取扱い等について」(平成17年3月24日医政発第0324007号厚生労働省医政局長通知)
  7. ^ 日本語能力試験のメリット日本語能力試験公式ページ、2019年2月7日閲覧
  8. ^ インドネシア、フィリピン及びベトナムからの外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて厚生労働省、2019年2月17日閲覧
  9. ^ (財)日本国際教育支援協会2010年 第1回 日本語能力試験 実施案内により作成
  10. ^ 認定能力|TOPJ 実用日本語運用能力試験
  11. ^ J.TEST情報 | J.TEST実用日本語検定
  12. ^ 旧試験 新試験 認定の目安 認定基準 - 日本語能力試験 JLPT
  13. ^ 日本語能力試験公式ページを参考に作成

関連項目編集

外部リンク編集