日産・ウイングロード
ウイングロード(WINGROAD )は、
- 日産車体が製造、日産自動車が販売していたステーションワゴン。後述。
- タイ王国のタイ日産(旧:サイアムニッサンオートモービル /Siam Nissan Automobile Co., Ltd.) で生産されている小型ピックアップトラック。日産・ADバン#2代目 Y10型(1990年-1999年)(フロントデザインがADワゴンと共通しているモデルもある。)をベースとしている。
概要編集
サニーをベースとしたステーションワゴンであり、1996年にそれまでのサニー・カリフォルニアとADバンの乗用仕様であるADワゴンを統合、外板パネルを大幅に変更し、リアオーバーハングを延長するなど、大掛かりなマイナーチェンジを施した新規車種として登場したが、室内空間の狭さなどが原因でこの時の評判は芳しいものではなかった。
1999年にフルモデルチェンジされたものの、市場の評価は好転せず、2001年に行われたマイナーチェンジで外観および内装を一新し、3代目(P12型)プリメーラにも似た「鋭い目つき」のヘッドランプを採用し、毎月販売台数で20位以内にランクインされるようになった。国産の小型ステーションワゴンの分野に於てはトヨタのカローラフィールダーと人気を二分した。
また、3代目のY12型はC11型ティーダをベースに開発され、以前はニュージーランドでも販売されていた(先代のY11型も「パルサーワゴン」の名で販売されていた)が、2018年3月地点で国内専売であった。2007年6月に3ナンバーステーションワゴンの不振によってステージアが生産終了したことにより、 同社の日本国内ラインナップの中で唯一のステーションワゴンとなっていた。
Y11、Y12型は共に茨城県警察に警邏用パトカーとして県費導入されているほか、自衛隊においてもY11型、Y12型は業務車1号、Y12型は業務車2号として導入実績がある。また、東京都内では過去にY10型がタクシーとして、現在はY12型がハイヤーとしての導入実績がある。
歴史編集
初代 Y10型(1996年 - 1999年)編集
日産・ウイングロード(初代) Y10型 | |
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前期型 1.5 JS 後期型 1.5 JS Limited | |
販売期間 | 1996年 - 1999年 |
乗車定員 | 5人 |
ボディタイプ | 5ドアステーションワゴン |
エンジン |
SR18DE GA15DE CD20 |
駆動方式 | FF / 4WD |
変速機 |
4速AT 5速MT |
全長 | 4,295mm |
全幅 | 1,665mm |
全高 | 1,525mm |
ホイールベース | 2,400mm |
姉妹車 |
日産・ADバン(2代目) 日産・アベニール(初代) ※後期型のみ |
販売終了前月までの新車登録台数の累計 | 10万2972台[1] |
先代 |
Y10型サニーカリフォルニア Y10型ADワゴン |
-自動車のスペック表- |
1996年5月、サニー・カリフォルニアと、ADバンの乗用仕様であるADワゴンを統合すべく、ボディ後半のデザインを大幅に変更するなどの大掛かりなマイナーチェンジを受けたY10型が登場。テレビCMには江角マキコ[2]とナインティナインの矢部浩之 と岡村隆史[3]が出演。ウイングロードの名は、もともとU11型ブルーバードワゴンのグレード名だったものをそのまま車名としたものである。またサニー時代の「カリフォルニア」をサブネームに付け、サニー店(後にサティオ店)向けに設定していた。
このY10型は、マツダに対して8代目ファミリアワゴンとしてOEM供給され、ファミリアバンも同時にADバンのOEMとなっている。その後、ワゴンはマツダ自社製に切り替えられたが、バンはY12型に至るまで継続供給されていた。
エンジンはSR18DE型、GA15DE型の各ガソリンエンジンとCD20型ディーゼルエンジンの3機種を設定。
この車は同年の「FNSの日」で視聴者クイズの優勝賞品として使用された。
なお、商用車のADバンは、従来ボディーのまま1999年6月まで継続生産された。
1997年5月、マイナーチェンジ。フロントグリルのデザインを変更したほか、シート表皮の変更、インパネを2DINサイズ機器(オーディオ、ナビ)対応のものに変更するなどの改良を行った。
1999年4月、生産終了。
1999年5月、2代目と入れ替わって販売終了。
2代目 Y11型(1999年 - 2005年)編集
日産・ウイングロード(2代目) Y11型 | |
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前期型(1999年5月 - 2001年10月) 後期型(2001年10月 - 2005年11月) | |
販売期間 | 1999年5月 - 2005年11月 |
乗車定員 | 5人 |
ボディタイプ | 5ドアステーションワゴン |
エンジン |
SR20VE → QR20DE QG18DE QG15DE |
駆動方式 | FF / 4WD |
変速機 |
4速AT(E-ATx) ハイパーCVT-M6 5速MT |
全長 | 4,410mm |
全幅 | 1,695mm |
全高 | 1,500mm |
ホイールベース | 2,535mm |
車両重量 | 1,150 - 1,310kg |
姉妹車 | 日産・ADバン(3代目) |
販売終了前月までの新車登録台数の累計 | 25万6406台[4] |
-自動車のスペック表- |
歴代で唯一、PCDが114.3となっていた。
1999年5月31日、フルモデルチェンジでY11型となる。エアロシリーズ、ベーシックシリーズ、ビジネスシリーズの3系統展開となる。搭載エンジンはすべて直列4気筒DOHCガソリンエンジンで、QG15DE型、QG18DE型、および可変バルブリフトおよびバルブタイミング機構(NEO VVL)付SR20VE型の3機種を採用。フロントサスペンションは全車ストラット式。リアにはSR20VE搭載車および4WD車はワゴン専用マルチリンクサスペンションを採用し、2WD車はトーションビーム式サスペンションを採用。トランスミッションは5速マニュアル、4速オートマチックに加え、SR20VE搭載車に6速スポーツモード付無段変速機「ハイパーCVT-M6」を搭載。(前期のみ)CM出演者は、ユアン・門田祥穂・鈴木貴男・江川芳文・小池葵・市川実和子。
1999年6月21日、Y11型4WD車発売開始。オートコントロール4WDとマルチリンクサスペンションを採用。
2000年10月24日、仕様および装備を変更し、グレード体系を見直し。同時に、期間限定車「Gエアロエクストラ」、「Gエクストラ」と、後席テレビ(テレビ無しも選択可能)などを装備した「Kid'sバージョン」を発売。
2001年3月末をもって日産車体京都工場での生産を終了。生産を日産車体湘南工場に移管。
2001年10月22日、マイナーチェンジ。フロントデザインおよび内装意匠を大きく変更した。リヤバンパーの形状がベーシックグレードとエアログレードで共通となり、細かいところではドアミラーのデザインもP12型プリメーラと同じものに変更されている。また車名ロゴが「Wingroad」からNE-01の「WINGROAD」に変更され、あわせてボンネット先端にあったウイングロードのエンブレムが廃止され、グリル内の日産CIエンブレムに変更された。搭載するエンジンはSR20VE型に替わりQR20DE型 (2000cc/150ps) が新たに設定され、QG15DE型 (1500cc/106ps) 、および4WD用のQG18DE型 (1800cc/122ps) と合わせて3機種となる。このマイナーチェンジ以降、販売台数を大きく伸ばした。販促ビデオ用作品として、ショートフィルム「wake☆up!~遊びゴコロ、持ってる?」が作られた。同時にヘッドライトバルブの規格をIH01からごく一般的なH4に変更された。
2002年1月7日、前年10月のマイナーチェンジにより一時廃止されていた、「ライダー (Rider) 」が復活。ビレットグリル、エアロパーツなどが装備された。
2002年11月5日、QG型エンジンに改良を加えたほか、グレード体系の見直しを実施。「ライダー」とはフロント周りの意匠が異なる「ライダープラス」を追加設定。
2003年5月8日、日産自動車が同年12月に創立70周年を迎えるにあたり、「70周年記念特別仕様車」を発売。特別装備としてETC車載機が装備された。
2003年10月14日、一部改良。内外装のデザインを一部変更したほか、ボディカラーの入れ替え、エルグランド、プレサージュ、ティアナとともにインテリジェントキーを採用するなど、装備を向上。「ライダー」のデザインを変更。同時に、「70周年記念特別仕様車 第2弾」を発売。プラズマクラスターイオンエアコン等が装備された。
2004年4月7日、グレード、装備体系の見直し。同時に特別仕様車「Sエアロスポーティリミテッド」、「Sリミテッド」を発売。Sエアロスポーティーリミテッドにはフォグランプや16インチアルミホイールが装備され、Sリミテッドにはインテリジェントキーなどが装備された。尚、5速MTはこの改良を機に廃止された。
2005年1月6日、特別仕様車「Sエアロ Vエディション」を発売。インテリジェントキーやフォグランプなどを装備した。
2005年10月、生産終了。
2005年11月、3代目と入れ替わって販売終了。
3代目 Y12型(2005年 - 2018年)編集
日産・ウイングロード(3代目) Y12型 | |
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販売期間 | 2005年11月 - 2018年3月 |
乗車定員 | 5人 |
ボディタイプ | 5ドアステーションワゴン |
エンジン |
HR15DE MR18DE |
駆動方式 | FF / e-4WD |
変速機 | 4速AT / エクストロニックCVT |
全長 | 4,415mm |
全幅 | 1,695mm |
全高 | 1,495 - 1,505mm |
ホイールベース | 2,600mm |
車両重量 | 1180 - 1300kg |
姉妹車 | 日産・AD/150AD |
2014年末までの新車登録台数の累計 | 14万9588台[5] |
後継 | 既存の2代目ノート、および3代目キューブ、NV200バネットワゴン、デイズルークスに統合 |
-自動車のスペック表- |
2005年10月、第39回東京モーターショーに「ウイングロード プレビュー」を出展。
2005年11月14日、フルモデルチェンジでY12型となる。国内目標月間販売台数は3500台(当時)と発表されている。搭載するエンジンは直列4気筒DOHC 1.5L HR15DE型、および1.8L MR18DE型の各ガソリンエンジンの2機種。4WDシステムにはマーチ、ティーダと同様のe-4WDを採用する。SHIFT_ワードは「SHIFT_FUNction」(後にSHIFT_functionに)、機能で遊びをシフトする。「functionにFUNという文字が隠れているように、たくさんの機能 (function) から遊び (FUN) を作り出す。」としている。1800cc車のCVTはパドルシフトによる6速マニュアルモード付である。
2006年5月29日、ライダーシリーズに「ライダーα II」を追加。インテリジェントキー、専用スポーティフロアカーペットなどを装備した。
2006年9月11日、特別仕様車「スタイリッシュセレクション」、「Vセレクション」を発売。スタイリッシュセレクションはルーフスポイラーやフォグランプなどを装備し、Vセレクションは、インテリジェントキー、プライバシーガラスなどを装備した。
2006年12月25日、一部改良。HDD方式カーウイングスナビゲーションシステムをオプション設定し、HR15DEエンジンとCVTの見直しにより、燃費向上[6]。同時に、オーテック架装車種「アクシス」を追加設定[7]。
2007年6月、前述の通り、折からの3ナンバーステーションワゴンの不振によってステージアが生産終了したため、同社の日本国内ラインナップの中で唯一のステーションワゴンとなった。
2008年1月23日、一部改良。15MはHR15DEエンジンとエクストロニックCVTの改良によりJC08モードに対応。グレード体系の見直しおよび変更。エアロパーツ装着車は「15S」・「15M」・「18G」に名称変更し、ビジネス向けグレードの「15B」は設定色を白、シルバーの2色に限定。「18G」、「15M」のエアロパーツ未装着車は「authentic(オーセンティック)」という名称が加えられた。これに伴い、オーテック架装車種のライダーとアクシスもベースグレードが「authentic」シリーズへと変更されると同時に、それらに沿った改良が施された[8]。
2008年10月1日、一部変更。これまでオプションで設定していたプライバシーガラス(UVカット断熱機能付き)が全グレードに標準装備となりインテリジェントキーが「15S」「15S FOUR」を除く全グレードに標準装備(15S/15SFOURはメーカーオプション)、カーウイングスナビゲーションシステムとETCユニットがセットでオプション設定となった。
2008年12月17日、期間限定車「Plus Navi HDD Safety」を発売。2009年3月末まで販売。
2009年4月23日、燃費性能を向上。HR15DEエンジン+CVT車(15M・15M authentic)は「平成22年度燃費基準+25%」を達成した。
2010年8月23日、仕様向上。「15M」・「15M FOUR」・「18G」のシート生地を変更すると共に、装備内容の見直しを行った。ボディカラーに「スチールブルーメタリック」を追加すると共に、インテリジェントエアコンシステムにプラズマクラスターイオン発生器を採用した。今回の仕様向上を機にメーカーオプションとして設定されていたカーウイングスナビゲーションシステムは省かれ、全車にCDチューナーが標準装備された。
2010年12月7日、「15M」をベースに、通常はメーカーオプションとなっているバイキセノンヘッドランプ(ハイ/ロービーム、プロジェクタータイプ、オートレベライザー付)+アクティブAFS、ウォッシャブルラゲッジボード、イージーラゲッジベンチを装備しつつ、オーディオレス仕様(4スピーカー、ハーネス、アンテナは装備)としたことで価格を抑えた特別仕様車「15M V Limited」を発売。
2012年6月20日、一部改良。同年7月以降の生産車に適用される安全法規に対応し、後席中央シートELR付3点シートベルトと後席ISO-FIXチャイルドシートアンカーを採用。併せて、自立式シートベルトバックルも採用した。なお、オーテックジャパン扱いのカスタムカー「ライダー」とライフケアビークル「アンシャンテ 助手席スライドアップシート」もベース車同様の改良を受けたが、「アクシス」は販売を終了した。また、HR15DEエンジン+CVT車(15M・15M authentic・15M V Limited)は「平成27年度燃費基準」を達成した。
2014年9月12日、一部改良[9]。全車にVDC(横滑り防止装置)を標準装備したほか、メーターパネル内に燃費計を追加し「15B」と「15S」はトランスミッションをE-ATxからエクストロニックCVTに変更したことで燃費を向上し、「平成27年度燃費基準」を達成した。また、グレード体系の見直しにより1.5L・4WD車(「15M V Limited」以外の全グレードに設定)及び1.8L車(「18G」・「18G authentic」)を廃止し、1.5L・2WD車の5グレードのみに集約。ホイールも14インチが廃止され、「15M」「15M V Limited」は16インチアルミホイールが標準装備となり、それ以外のグレードは15インチスチールホイール&ホイールカバー(セレナ、NV350キャラバン、シルフィなどと同一)となった。また、オーテックジャパン扱いのカスタムカー「ライダー」はベース車に準じた改良に加え、バイキセノンヘッドランプが新たに標準装備されたほか、ベース車グレードを「15M authentic」のみに集約。ライフケアビークル「アンシャンテ 助手席スライドアップシート」もベース車同様の改良とグレード体系の集約を行い、ベース車グレードは既存の「15M authentic」と新設の「15M V Limited」の2グレードとした。
2016年6月1日、一部改良[10]。全車にリアヒーターダクト、ヒーター付ドアミラー、スチール製リアワイパーを標準装備した。また、オーテックジャパン扱いの「ライダー」と「アンシャンテ 助手席スライドアップシート」もベース車同様にリアヒーターダクト、ヒーター付ドアミラー、スチール製リアワイパーの標準装備を行った。
2018年2月、一部グレードの注文が出来ない旨が公式ホームページに掲載される(事実上の生産終了扱い)。
2018年3月24日、販売終了に伴い、ホームページへの掲載を終了。ウイングロードは3代22年の歴史[11]に幕を閉じた。これに伴い、日産の3/5ナンバー登録のステーションワゴンがすべて消滅となり、ステーションワゴン市場から撤退することとなった。なお、派生車種のNV150ADは生産販売を継続する。また、インテリジェントキー搭載車にイグニッションノブを装備する最後の車種でもあった(ほかの車種はフルモデルチェンジに伴って押しボタン式のスターターに置き換えられた)。なお、ウイングロードの間接的な代替車種として個人向けは既存の小型ハッチバックの2代目ノート、およびトールワゴンの3代目キューブ(2020年3月に販売終了)、軽ハイトワゴンのデイズルークスが、法人向けは小型ワンボックスワゴンのNV200バネットワゴンがそれぞれの受け皿となる。
海上自衛隊の業務車
車名の由来編集
市街地からアウトドアまで、ライフエリアの大きな広がりをイメージさせる英語の「翼(WING)」と「道(ROAD)」をかけあわせた造語である。
参照・注釈編集
- ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第23号21ページより。
- ^ 江角はのちにトヨタ・ハイラックスサーフ(2000年)を経て三菱・eKワゴン(2006年)のCMに出演。
- ^ ナインティナインの2人はのちにスバル・ステラ(2011年)、およびスバル・プレオ+(2012年)のCMに出演。
- ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第31号17ぺーじより。
- ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第61号11ページより。
- ^ 日産自動車、低燃費と低排出ガスを両立した「改良型1.5Lエンジン (HR15DE) +エクストロニックCVT」をコンパクトカー6車種に搭載 NISSAN PRESS RELEASE
- ^ 専用アルミホイールは先行登場していたブルーバードシルフィアクシスとは全く同じデザイン・サイズであるが、タイヤはウイングロードが195/55R16を履くのに対し、シルフィは195/60R16と異なる。
- ^ アクシスを例にとると、ベースグレードが「15RS」「15RX」「18RX」「15RX FOUR」だったものが、「15M オーセンティック」「18G オーセンティック」「15M FOUR オーセンティック」に変更された。
- ^ “「ウイングロード」の仕様を一部変更” (プレスリリース), 日産自動車株式会社, (2014年9月12日) 2014年9月12日閲覧。
- ^ “「ウイングロード」の一部仕様を向上” (プレスリリース), 日産自動車株式会社, (2016年6月1日) 2016年6月1日閲覧。
- ^ 源流車種のサニーカリフォルニア時代から通算した場合だと7代39年、およびADワゴン時代から通算した場合だと4代27年となる。
関連項目編集
- 日産・サニー - 初代、2代目のベースとなった車
- 日産・ティーダ - 3代目のベースとなった車
- 日産・NV150AD
- 日産・MSプラットフォーム - 2代目が使用するプラットフォーム
- 日産・Bプラットフォーム - 3代目が使用するプラットフォーム