日産・パラメディック

日産自動車製の高規格救急自動車
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パラメディック (PARAMEDIC) は、日産自動車が製造している高規格救急車である。

歴史編集

初代(1993年-1998年)編集

日産・パラメディック(初代)
前期型
後期型(エルフOEM版アトラス20)
リア
販売期間 1993年 - 1998年
ボディタイプ 4ドア1ボックス(トラックベース改造車)
エンジン FD42型 直4 OHC 4214cc 125PS
駆動方式 FR/4WD
変速機 4速AT
全長 5,510mm
全幅 1,995mm
全高 2,770mm
車両重量 4,540kg (2WD)
備考 スペックはエルフOEM前
ベース車 日産・アトラス20
-自動車のスペック表-
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1993年
アトラス20をベースとして発売。
電動格納式防振架台が特徴的な機能として知られた。この装備は後のパラメディックIIと2代目パラメディックにも引き継がれている。
初代トヨタ・ハイメディックと同様、第一線から退いて廃車又は海外に譲渡されるなどしており、配備から20年以上が経過した現在、日本国内で目にする機会は激減している。
1995年
ベースのアトラス20がいすゞエルフのOEM版に変更された。
この年からいすゞもエルフをベースにした高規格救急車スーパーメディックを発売したが、ベース車両が同じだけで全く別の高規格救急車であり、パラメディック(初代)とは関係はない。


パラメディックII (1994年-1998年)編集

日産・パラメディックII
ボディタイプ 4ドア1.5ボックス(改造車)
エンジン VG30E型 V6 OHC 2960cc 155PS
駆動方式 FR/4WD
変速機 4速AT (E-AT)
全長 5,195mm
全幅 1,690mm
全高 2,500mm
車両重量 2,610kg (2WD)
ベース車 日産・キャラバン
-自動車のスペック表-
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1994年
パラメディックでは取り回しが悪いとの声があがることを想定[注釈 1]し、E24型キャラバンをベースにしたパラメディック-IIを登場させた。
4ナンバーサイズの全幅と短い全長を持ったコンパクトな車体とギリギリのスペースを有効に活用して作られた。
なおこのサイズはすべての高規格救急車において一番小さく、この記録を抜いた車種はまだ存在していない。
大都市を中心に配備されていた。現在は廃車が進み、日本国内で目にする機会は激減している。
なお、いすゞへ「スーパーメディックII」としてOEM供給がされたが、極少数である。こちらも廃車が進み、目にする機会がない状況になっている。
製造終了後は同じベースの2B救急車と患者搬送車のみ販売・製造は継続されたが、2001年にE25型キャラバンのフルモデルチェンジを契機に、オーテックジャパンが2B型救急車の開発・製造・発売を中止した[注釈 2][注釈 3]


2代目(E50型 1998年-2017年)編集

日産・パラメディック(2代目)
FLGE50/FLWGE50/FPGE50/FPWGE50型[1]
前期型(1998年5月-2005年12月)
後期型(2006年1月-2017年12月)
後期型 リア
ボディタイプ 4ドア1.5ボックス
エンジン VG33E型 3.3L V6 OHC 170PS
VQ35DE型 V6 3.5L DOHC 240PS
駆動方式 FR/4WD
変速機 4速AT (E-ATx)
全長 5,640mm
全幅 1,900mm
全高 2,480mm
車両重量 2,600kg (2WD)
2,680kg (4WD)
姉妹車 いすゞ・スーパーメディックII
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日本の自動車市場において、軽自動車スズキ・ジムニーと並び、1998年の登場から20年間フルモデルチェンジされていない異例の長寿モデルだったが、2017年末で受注・生産を終了し、3代目へバトンタッチされた。
1998年5月15日
初代パラメディックとパラメディックIIを統合する形で登場。初代エルグランドのフロントセクションとBピラーより後ろはE24型キャラバンのリアを流用して製作された。
その為、この代は初代エルグランドと同じE50型(車両型式では初代エルグランドとは異なる)の系列。
キャラバンのボディを流用するだけでなく、フロントドアより後ろをエルグランド比で125mm、キャラバン比で210㎜拡幅した専用ボディとなっている。
このボディは「エルグランド ジャンボタクシー」や前席以外のシートが全て取り払われてキャンピングカーのベース車として販売されていた、
「エルグランド特装車」のベースにもなったが、パラメディック以外は全て生産中止になった。
搭載するエンジンはV型6気筒2カムOHC3274cc VG33E型のみ。
駆動方式は、これまでの2WDだけでなく初代には設定されていなかった4WD(オールモード4X4)の両方が設定された。
エクステリアのデザインは競合他社がワンモーションフォルムを2代目・ハイメディックに用いたのに対し、パラメディックは角型のデザインを用いた。
OEM車としていすゞ自動車に「いすゞ・スーパーメディックII」を供給開始。スーパーメディックIIの販売台数は、パラメディックに比べて少数となっている[注釈 4]
2000年秋頃
小改良を実施。フロントタイヤの位置にオーバーフェンダーが装着された。
2001年8月6日
マイナーチェンジによりエンジンをVG33Eから3,498ccのVQ35DEに変更[注釈 5]カーナビゲーションは従来のCDナビゲーションからDVDナビゲーションに変更された。
また、専用オルタネータ容量を140Ahから150Ahに向上し、電動巻上げ装置付防振ベッドをオプション設定し、仕様向上を図った。
2002年
いすゞ自動車の国内における乗用車市場撤退や事業の見直しにより、スーパーメディックIIの供給を終了[注釈 6]
2003年9月17日
マイナーチェンジにより良ー低排出ガス車に認定される。同時にフロントグリル・リアゲート用のLED方式の点滅警光灯をオプション設定に追加。
ルーフに貼り付けられる「NISSAN PARAMEDIC」の標準ロゴの文字色を初代から採用している青色から日産自動車のコーポレートカラーである赤色に変更し、ハイメディックとの差別化を図った。(オプションで青色にも変更可能)
2004年9月
メーカーオプションのカーナビゲーションをE50エルグランドから装備されていたポップアップ型モニター搭載のDVDナビゲーションから据え置き型モニター搭載のHDDナビゲーションに変更される。
2005年4月
オートワークス京都が同社の湘南事業所で製造を開始する。
2006年1月
マイナーチェンジを実施。新灯火器規制などに対応するため、フォグランプ(ビルトインタイプ)とサイドウィンカーランプが追加。
同時にフロントヘッドランプ、フロントグリルのデザインをベースとなったE50型エルグランド後期型の顔つきに変更した。
2007年9月
一部改良。平成17年排出ガス規制適合。
2008年7月4日
一部改良。平成17年基準排出ガス50%低減レベル、八都県市低公害車指定制度平成17年優低公害車、京阪神七府県市低排出ガス車指定制度の17LEVに適合。
2016年2月18日
長期生産による弊害として基本設計の古さからブレーキ、エンジン、ミッション関連などの走行系不具合でリコールが生じていたが、2015年12月、北海道でエンジンがかからず出動できない重大なトラブルが発生。
調査の結果、運転席側ステップ内に配索されているハーネスの防水処理が不適切なためハーネスのジョイント部が浸水し腐食したことで断線したことがわかり、
日産自動車はエンジンが始動できなくなるおそれがあるとしてパラメディックなど計2車種・ 1,931台のリコール[2]を公表した。

3代目(E26型 2018年 - )編集

日産・パラメディック(3代目)
CS8E26型[3]
東京モーターショー2017展示車
乗車定員 8名
ボディタイプ 救急車
エンジン QR25DE 2.5L 直4
駆動方式 4WD
変速機 5AT
全長 5,330mm
全幅 1,880mm
全高 2,490mm
ホイールベース 2,940mm
車両重量 2,770kg
ベース車 日産・NV350キャラバン
-自動車のスペック表-
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2017年10月25日から開催された『東京モーターショー2017』にてお披露目された。

3代目はNV350キャラバンのスーパーロング・ワイドボディがベースとなり[4]、パワートレインは直列4気筒・QR25DEガソリンエンジンと四輪駆動、5速ATの組み合わせとなる[5]
このため、ベースとなったNV350キャラバンと同じE26型の系列となった。 2代目に比べて全長と全幅が短くなったことで、最小回転半径が6.0mとなった。
一方で全高は2代目よりも高くなったほか、通路幅を400mm以上確保。
患者室にはプラズマクラスター搭載リアクーラー・リアヒーターや防水シートが備えられ、付添人が最大3人まで同乗可能となった。
ヘッドランプ・リアコンビランプがLED化され、常時点灯型のシグネイチャーを採用、赤色灯も車両後部中央にビルドインタイプを4灯増設し、
周囲の車両からの被視認性を向上させている[6]。 2代目では左側(助手席側)のみだったスライドドアは右側(運転席側)にも設けられて両側となり、各種収納庫が設けられた。
また、電気自動車リーフの技術を応用した1.6kWhのリチウムイオン補助バッテリー搭載モデルでは、
消費電力の高い機器を安定して利用する事ができ、停車中のエンジン回転数を抑制して低燃費、低騒音を実現する。
2018年11月26日に正式にフルモデルチェンジされ、同月末から消防本部救急指定病院への納車を開始することが発表された[7]


車名の由来編集

「paramedic」(パラメディック)とは救急救命士等の(医師を除く)医療従事者のことである(日本では和製英語の「コ・メディカル」が浸透している)。また、「paramedic」は米国などでは高度な救命緊急医療処置が可能である救急隊員(日本でいう救急救命士だが、日本の救急救命士と比べても圧倒的に行える処置が多い)を指す事が多く、さらに日本の救急救命士の英語訳に使われる。詳細はパラメディックを参照。

艤装・製造・販売編集

脚注編集

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注釈

  1. ^ 商用ワンボックスカーベースのトヨタ・ハイメディックに対抗するため
  2. ^ オーテックジャパンでの製造・販売中止と同時にいすゞにOEM供給していたE24型ファーゴベースの2B型救急車についても販売終了となった。
  3. ^ その後、日産車体の子会社であるオートワークス京都の手により小型サイズの救急車のコンセプトが引き継がれ、E25型キャラバンをベースとした2B型救急車を発売。2012年に登場したNV350キャラバンについても、引き続き同社の手によって2B型救急車架装が施された上で販売が続いている。
  4. ^ 静岡市消防局横浜市消防局などに配備されていた。現在は廃車などになっている。
  5. ^ 使用燃料も無鉛レギュラーガソリンから無鉛プレミアムガソリンに変更された。
  6. ^ 同時期に、トラックのエルフベースであるスーパーメディック、ベースのエルグランドのOEM車であるフィリーも販売終了となった。

出典

  1. ^ パラメディックのリコールについて”. 日産自動車株式会社 (2010年12月17日). 2018年11月26日閲覧。
  2. ^ “日産、救急車に使われる「パラメディック」など対象にリコール”. FNNニュース. (2016年2月19日16時56分). オリジナルの2016年2月19日時点によるアーカイブ。. https://archive.is/20160219090913/http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00316756.html 2016年2月19日閲覧。 
  3. ^ パラメディック主要諸元”. 日産自動車株式会社 (2018年11月26日). 2018年11月26日閲覧。
  4. ^ 日産、高規格救急車「パラメディック」を20年ぶりにフルモデルチェンジへ【東京モーターショー2017】”. オートックワン (2017年10月19日). 2017年12月8日閲覧。
  5. ^ 日産、高規格”救急車”20年ぶりの刷新でハイエース独占市場にリベンジを挑む【東京モーターショー2017】(1/2)”. オートックワン (2017年10月27日). 2017年12月8日閲覧。
  6. ^ 【キャラバン】新型高規格救急車「 #日産パラメディック 」徹底解剖!”. YouTube(日産自動車株式会社公式チャンネル). 2018年11月9日閲覧。
  7. ^ “日産自動車、高規格準拠救急車「パラメディック」をフルモデルチェンジ” (プレスリリース), 日産自動車株式会社, (2018年11月26日), https://newsroom.nissan-global.com/releases/181126-02-j?lang=ja-JP 2018年11月26日閲覧。 

関連項目編集