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旭酒造 (山口県)

山口県岩国市にある酒造メーカーで獺祭(だっさい)を製造

旭酒造株式会社(あさひしゅぞう)は、山口県岩国市にある酒造メーカーである。全国にいくつか存在する同名の酒造会社とは無関係。

旭酒造株式会社
Asahi Shuzo Co., Ltd.
種類 株式会社
本社所在地 日本の旗 日本
742-0422
山口県岩国市周東町獺越2167番地の4
設立 1948年1月
業種 食料品
法人番号 4250001011843
事業内容 日本酒の製造・販売等
代表者 代表取締役社長 桜井一宏(四代目蔵元)
外部リンク http://asahishuzo.ne.jp/
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目次

概要編集

 
獺祭

2017年現在では、日本酒獺祭」(だっさい)のみを製造している。醸造アルコールなどの副原料を用いず、精米歩合が50%以下の日本酒(つまり純米大吟醸酒)のみを造るというのが、旭酒造の特徴である。

いわゆる普通酒を作らないという、酒造メーカーとしてはリスクの高い経営方針を採っているが、これは元々酒処ではなかった山口県内でも、小規模な酒蔵であった家業を34歳で継いだ三代目の桜井博志が、それまで醸造していた普通酒「旭富士」の醸造をやめ、「酔うため 売るための酒ではなく 味わう酒を求めて」とのポリシーの下で純米大吟醸を醸造したところ、これが東京都で山口県出身者の口コミをきっかけに広まり、年間売り上げ100億円を超えるまでに伸びた[1]

「獺祭」の名は、蔵元の地名が元々「玖珂郡周東町獺越(おそごえ)」であったため「獺」の一字を用い、「獺祭」の号を用いたとされる[注 1]

製法の特色として、日本酒醸造に欠かせない杜氏が居ないことが挙げられる。旭酒造でも、元々は杜氏が醸造に携わっていたが、杜氏の経験と勘を徹底的に数値化しデータ化することで、杜氏なしでの酒造りを実現した[1]。現在は、米の吸水量を頻繁な計量により管理し、日々発酵状態のデータを社員が分析しながら醸造管理を行っている[2]。また酒蔵に空調設備を完備し、温度・湿度を調整できるようにした結果、冬期に限らず一年を通して酒造り(四季醸造)が可能になり、生産能力が2倍以上になった[3]

他にも、酒米の王様と呼ばれる山田錦を最大168時間かけて精米し、日本最高水準の精米歩合23%の純米大吟醸を作ったり、もろみから圧搾せず遠心分離器にかけて無加圧状態で酒を分離した日本酒など、ほかでは見られない製法による酒を製造している(通常の圧搾による抽出の酒も造っている)。また、シャンパン以上に発泡性が高い発酵途上の濁り酒(発泡日本酒)や、燗酒に適した醸造を施した純米大吟醸(吟醸酒は本来は冷酒で飲まれるのが一般的)などの変わり種も製造している。

販売方法(流通)も他の日本酒とやや異なっており、酒問屋(酒販卸)を通さず、販売時の品質管理を適正に行うことが出来ると認定した正規取扱店約630店舗に直接卸す方法を採用している。しかし、人気に比して流通量が潤沢でなかったこともあり、正規取引店でない酒販店や百貨店、スーパーなどが希望小売価格の数倍の値段で販売している実態があり、そうした販売店に対して法的手段を執ることが困難である(販売店が希望小売価格と異なる価格設定を行うことは法的に問題ない)ことから、2017年12月10日付の読売新聞朝刊に「お願いです。高く買わないでください」と、適正価格での購入を訴え、正規取扱店全店の一覧を掲載した全面広告を出す事態となった[4]

2017年12月、アメリカ合衆国料理学校カリナリー・インスティテュート・オブ・アメリカと提携してニューヨークに酒蔵を建築する事を発表。現地生産の米を使用し、「獺祭」とは別ブランドの中間価格帯の日本酒の生産を目指す[5][6]

2018年平成30年)7月7日、前日よりの豪雨(平成30年7月豪雨)の影響で、酒蔵の一部が浸水するなどの被害を受けた。停電の被害もあり、冷蔵設備も稼働出来ないことから、獺祭の製造を全て停止した[7]。7月28日に製造を再開し、被災した直営店も仮店舗で営業再開した[8]

また、醸造中に被災し本来の品質が確保できなくなった製品を「獺祭 島耕作[注 2]」として販売したところ予定分を完売し、売り上げの一部は被害地の四県の義援金に充てられた[9]。なお「獺祭 島耕作」の中身(品質が確保されていれば販売されていた商品)には、普及品の「純米大吟醸50」から最高級品の「磨き その先へ」まで数種類が入っており、どれに該当するかは明らかにされない[9]

脚注編集

注記編集

  1. ^ 「獺祭魚」あるいは「獺祭」とは、カワウソ(獺)が捕らえた魚を岸に並べる様がまるでそれらを供物にして祭りをするようにみえることを指す。また転じて、詩文をつくる時多くの参考資料等を広げちらす様を指す。
  2. ^ 島耕作シリーズ」の作者である弘兼憲史は旭酒造と同じ山口県岩国市出身で、以前より旭酒造との交流が深く、島耕作の版権利用を許諾した[9]

出典編集

  1. ^ a b がっちりマンデー!! 人気急上昇! 日本酒「獺祭」を作る旭酒造”. TVでた蔵 (2017年7月16日). 2017年7月18日閲覧。
  2. ^ 杜氏のいない「獺祭」、非常識経営の秘密”. 東洋経済ONLINE (2014年7月13日). 2014年7月13日閲覧。
  3. ^ 杜氏制を廃止! 日本酒業界の風雲児「獺祭」桜井社長の「逆境経営」とその真意”. マイナビニュース (2014年2月13日). 2014年7月13日閲覧。
  4. ^ 加納由希絵 (2017年12月11日). “「獺祭」蔵元が「高く買わないで」 異例の広告に込めた思いとは?”. ITmediaビジネスオンライン. http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1712/11/news070.html 2017年12月24日閲覧。 
  5. ^ “旭酒造ニューヨーク酒蔵プロジェクトについて” (プレスリリース), (2017年12月16日), https://www.asahishuzo.ne.jp/info/information/item_2797.html 2017年12月24日閲覧。 
  6. ^ “「獺祭」名乗らず米国生産 旭酒造、NY州に酒蔵”. 日本経済新聞. (2017年12月12日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24521400S7A211C1AM1000/ 2017年12月24日閲覧。 
  7. ^ “日本酒「獺祭」の蔵が浸水被害 山口の旭酒造、製造を停止”. 共同通信. (2018年7月7日). https://this.kiji.is/388261617966466145 2018年7月7日閲覧。 
  8. ^ “「獺祭」生産再開 豪雨被害の岩国・旭酒造”. 山口新聞. (2018年7月29日). http://www.minato-yamaguchi.co.jp/yama/news/digest/2018/0729/1p.html 2018年8月2日閲覧。 
  9. ^ a b c “「獺祭 島耕作」で豪雨復興を支援 弘兼氏や旭酒造”. 日本経済新聞. (2018年8月2日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3371324002082018HE6A00/ 2018年8月2日閲覧。 

関連項目編集

外部リンク編集