昆虫産業(こんちゅうさんぎょう)とは昆虫を利用する産業

歴史 編集

昆虫を利用することはミツバチの飼育のように有史以前から実施されてきた経緯がある。それらは第一次産業に分類されていたが、遺伝子組換えカイコのように遺伝子を組み替えることにより、従来の手法では製造が困難、或いは生産効率の低かった有用な物質の製造等を実施するようになり第二次産業化が進められる[1][2][3]。"昆虫産業"という語彙1970年代から用いられるようになった[4][5]

優位性 編集

バイオテクノロジー分野において有用物質を生産する場合、大腸菌酵母等の菌類を利用した培養ではバイオリアクターを使用したり雑菌の混入を防ぐために滅菌されたクリーンルームが必要だった。昆虫の飼育であればクリーンルームは必ずしも必須ではなく、虫かごのような環境下でも生育が可能。

問題点 編集

飼育される遺伝子が組み換えられた昆虫が何らかの理由で逃亡して環境に放出された場合、自然界の土着の生物の生態系に甚大な悪影響を与える可能性が懸念される。生殖能力を維持した品種の飼育環境は完全に外界とは隔絶された閉鎖系で飼育することが望ましいとされる。

用途 編集

脚注 編集

  1. ^ 矢内顯、植田吉純、後藤基治郎 ほか「カイコによるネコインターフェロンの大量生産システムの開発」(PDF)『農林水産技術研究ジャーナル』第25巻第2号、農林水産技術情報協会、2002年2月1日、30-33頁、NAID 100082435862020年9月29日閲覧 
  2. ^ 植田吉純「シルクの新しい世界 インターフェロン生産への蚕の利用」『シルク情報』第79号、農畜産業振興機構、2006年10月、4-8頁、NAID 40007482202 
  3. ^ 帯刀益夫「蚕ウイルスベクターを用いたインターフェロンの生産」『繊維学会誌』第45巻第8号、繊維学会、1989年、355-358頁、doi:10.2115/fiber.45.8_P355ISSN 0037-9875NAID 130004204712 
  4. ^ マルハナバチと昆虫産業”. 東海物産. 2020年9月29日閲覧。
  5. ^ 前田泰生, 真木芳助, 早川力夫「野生花蜂類によるアルファルファの採種 : 第1報 アルファルファハキリバチの巣の構造と葉片裁断による被害」『日本草地学会誌』第19巻第2号、日本草地学会、1973年、161-170頁、doi:10.14941/grass.19.161ISSN 0447-5933NAID 110006464686 
  6. ^ カイコからコロナワクチン候補 「食べて接種」も? 九大など開発”. 西日本新聞 (2020年6月27日). 2020年9月29日閲覧。
  7. ^ カイコの体内で生成 新型コロナのワクチン候補、来年度にも治験へ 九大”. 毎日新聞 (2020年6月30日). 2020年9月29日閲覧。
  8. ^ 梅谷献二「昆虫の産業的利用 : 技術開発の現状と展望」『化学と生物』第31巻第8号、日本農芸化学会、1993年、537-543頁、doi:10.1271/kagakutoseibutsu1962.31.537ISSN 0453-073XNAID 1300036336142020年10月8日閲覧 
  9. ^ (pdf) Edible insects Future prospects for food and feed security. ISBN 9789251075951. http://www.fao.org/3/i3253e/i3253e.pdf 

書籍 編集

文献 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集