日経「星新一賞」(にっけい「ほししんいちしょう」、英語: The Hoshi Awards[1][注釈 1])は、2013年より始まった日本経済新聞社が主催する理系的な発想に基づいたショートショート、および短編小説を対象とした公募文学賞。ショートショート作品で知られた作家・星新一の名を冠している。

概要

編集

一般部門、ジュニア部門に分けて募集されている[2]。ジュニア部門は中学生以下が対象。応募は日本語による作品に限られ、一般部門とジュニア部門に同じ作品を重複して応募することはできない。なお、第3回から第9回までは学生部門[注釈 2] が別に設けられていたが、第10回の作品募集の際に一般部門に統合された[3](学生部門は専門学校を含む学校に在学中の25歳以下が対象[2])。日経新聞社と電通の協力による無料の「超ショートショートの書き方講座」などを開催し[4]テレビCMも放映された[2]

一般部門は人工知能など人間以外からの応募も可能[2]。その際は、連絡可能な保護者か代理人を立てる必要がある。受賞作は、日本経済新聞社より無料で電子書籍配信される。

賞創設の経緯

編集

2009年に「小松左京賞」「日本SF新人賞」が相次いで休止されたことに危機感を抱いた日本SF作家クラブが、何らかの新人賞の創設を企図し「星新一賞」を前提にスポンサーを探していたところ、星新一の次女でハワイ在住の星マリナの紹介により電通CDC(コミュニケーション・デザイン・センター)[注釈 3]と接触、電通CDCプロデューサーの吉崎圭一も理系文学の構想を持っていたため、日経新聞社を主催者として2013年から応募が始まった[5][6]

人工知能(AI)との関係

編集

主催者と公立はこだて未来大学の間で賞新設を前提にした接触があり、これが経緯となって「人工知能など人間以外からの応募」も可能なものとなった[6]。現在は公立はこだて未来大学と、鳥海不二夫東京大学教授)などによる「きまぐれ人工知能プロジェクト 作家ですのよ」のプロジェクトが進行している[6][7]

第3回では、人工知能(AI)による小説の創作に取り組んでいる研究者らが、4編の応募を行い、1次審査を通過した作品もあったことを報告した[7]。ただし、現在の人工知能ではあらかじめストーリーを決めるなど人間の手助けが必要な部分が多く、松原仁によれば、AIの貢献度の点は「AIが2割で人間が8割」の評価である[8]。執筆に際して人工知能が関わった(題材としてでなく)小説は、合わせて11作品の応募があった[8]

選考委員

編集
最終選考委員
中間選考委員

受賞作

編集

一般部門は優秀賞以上、ジュニア部門・学生部門はグランプリのみ記載。

応募総数 部門 受賞者 受賞作
第1回[9]
 
(応募締切
2013年9月30日)
 
(審査結果発表
2014年3月12日)
3057 2546 一般 グランプリ(星新一賞) 遠藤慎一 「恐怖の谷」から「恍惚の峰」へ ~ その政策的応用
準グランプリ(IHI賞) 相川啓太 ピロウ
優秀賞(JBCCホールディングス賞) 春名功武 認証
優秀賞(東京エレクトロン賞 窓川要 朝に目覚ましの鳴る世界
511 ジュニア グランプリ(星新一賞) 松田知歩 おばあちゃん
第2回[10]
 
(応募締切
2014年9月30日)
 
(審査結果発表
2015年3月4日)
1954 1187 一般 グランプリ(星新一賞) 相川啓太 次の満月の夜には
準グランプリ(IHI賞) 岩田レスキオ 墓石
優秀賞(JBCCホールディングス賞) 本間かおり ママ
優秀賞(東京エレクトロン賞) 馬場万番 世界が2019年を勝ち取るためのアイデアを募集します
優秀賞(アマダ賞) 遠無計太 神の双曲線
767 ジュニア グランプリ(星新一賞) 利根悠司 回路
第3回[11]
 
(応募締切
2015年9月30日)
 
(審査結果発表
2016年3月7日)
2561 1449 一般 グランプリ(星新一賞) 佐藤実 ローンチ・フリー
準グランプリ(IHI賞) 人鳥暖炉 その空白を複製で
優秀賞(JBCCホールディングス賞) 相川啓太 第37回日経星新一賞最終審査 -あるいは、究極の小説の作り方-
優秀賞(東京エレクトロン賞) 佐原淘 プロテイナ
優秀賞(アマダホールディングス賞) 月立淳水 ビットフリップ
優秀賞(日本精工賞) 鈴木創 プラスチドα
763 ジュニア グランプリ(星新一賞) 新井清心 無色の美しさ
349 学生 グランプリ(星新一賞) 松尾泰志 2045年怪談
第4回[12]
 
(応募締切
2016年9月30日)
 
(審査結果発表
2017年2月23日)
2572 1510 一般 グランプリ(星新一賞) 之人冗悟 OV元年
優秀賞(JBCCホールディングス賞) 良野一 天資に手を伸ばす
優秀賞(東京エレクトロン賞) 澤英明 パーフェクト・ケア
優秀賞(アマダホールディングス賞) 木山省二 水仙
優秀賞(日本精工賞) 本間かおり 赤い靴
807 ジュニア グランプリ(星新一賞) 上西那智 ボクのしょうかい。
255 学生 グランプリ(星新一賞) 佐久間真作 バベル以後
第5回[13]
 
(応募締切
2017年9月30日)
 
(審査結果発表
2018年2月21日)
2209 1766 一般 グランプリ(星新一賞) 八島游舷 Final Anchors
優秀賞(JBCCホールディングス賞) 小竹田夏 Q.E.D.の後で
優秀賞(東京エレクトロン賞) 弓永端子 終末のハスラー
優秀賞(アマダホールディングス賞) 積木一棋 帰る旅
優秀賞(日本精工賞) 白木レン 20X3年のため息
優秀賞(旭化成ホームズ賞) 加瀬信行 ひとめぼれ
優秀賞(スリーボンド賞) 八島游舷 蓮食い人
281 ジュニア グランプリ(星新一賞) 天波 シズク
162 学生 グランプリ(星新一賞) 松尾泰志 冷蔵庫狩り
第6回[14]


(応募締切

2018年10月1日)


(審査結果発表

2019年2月15日)

2489 1564 一般 グランプリ(星新一賞) 梅津高重 SING×レインボー
優秀賞(JBCCホールディングス賞) 安野貴博 コンティニュアス・インテグレーション
優秀賞(東京エレクトロン賞) 竹内正人 KANIKAMA
優秀賞(アマダホールディングス賞) 揚羽はな Meteobacteria
優秀賞(日本精工賞) 神谷敦史 アルティメットパッション
優秀賞(旭化成ホームズ賞) マウチ 不安
優秀賞(スリーボンド賞) 代哲安 ピピの物語
765 ジュニア グランプリ(星新一賞) 岩井太佑 クローン
160 学生 グランプリ(星新一賞) 藤田健太郎 創訳する少女
第7回[15]


応募締切

2019年9月30日)


(審査結果発表

2020年2月13日)

1878 1459 一般 グランプリ(星新一賞) 白川小六 森で
優秀賞(JBCCホールディングス賞) 荒金新也 テツノオトシゴ
優秀賞(東京エレクトロン賞) 鵜川龍史 パペットと生ペット
優秀賞(アマダホールディングス賞) 東一眞 ニューロマンザイ
優秀賞(日本精工賞) 関元聡 Black Plants
優秀賞(旭化成ホームズ賞) 人鳥暖炉 ムーンショット研究申請書
優秀賞(スリーボンド賞) 山﨑夏梳 プラスチックのない島で
238 ジュニア グランプリ(星新一賞) 池田玲亜 折り紙
181 学生 グランプリ(星新一賞) 松尾泰志 就活人間
第8回[16]


応募締切

2020年9月30日)


(審査結果発表

2021年2月17日)

2339 1867 一般 グランプリ(星新一賞) 村上岳 繭子
優秀賞(東京エレクトロン賞) 松樹凛 『ペンを取ってくれませんか?』
優秀賞(アマダ賞) 明野海 詠人不知 よみびとしらず
優秀賞(旭化成ホームズ賞) 大木裕史 インテリ金次郎
優秀賞(スリーボンド賞) 鵜川龍史 時の器
優秀賞(図書カード賞) 鈴木夢翔 犬。
217 ジュニア グランプリ(星新一賞) 窪田美空 ケラの幸福論
255 学生 グランプリ(星新一賞) 橋口創一 二〇五〇年度 K大学 入学試験問題(オンライン型・文理融合学類)
第9回[17]


応募締切

2021年9月30日)


(審査結果発表

2022年2月18日)

2603 2022 一般 グランプリ(星新一賞) 関元聡 リンネウス
優秀賞(東京エレクトロン賞) 武藤大貴 思い出は残り香に
優秀賞(アマダ賞) Mouki 味覚転送システムの未来について
優秀賞(旭化成ホームズ賞) 中村有理 問われている。
優秀賞(図書カード賞) 葦沢かもめ あなたはそこにいますか?
235 ジュニア グランプリ(星新一賞) 小林宗太 カーテンコール
346 学生 グランプリ(星新一賞) 紺せまる Love is free
第10回[18]


応募締切

2022年9月30日)


(審査結果発表

2023年2月22日)

2767 2225 一般 グランプリ(星新一賞) 関元聡
[注釈 4]
楕円軌道の精霊たち
優秀賞(東京エレクトロン賞) 井本尚登 エターナル・エンプレス
優秀賞(アマダ賞) 亀山建太郎 五億年越しのパートナーシップ
優秀賞(旭化成ホームズ賞) 青庭遠 春発つ日
優秀賞(図書カード賞) 木口まこと おじいちゃんの樹
542 ジュニア グランプリ(星新一賞) 本宮笙太 電動と手動

脚注

編集

注釈

編集
  1. ^ ほかに"Nikkei Hoshi Shinichi Literary Award"など。
  2. ^ 下記の受賞作一覧を参照。
  3. ^ 2021年1月組織改編により電通zeroとなった。
  4. ^ 第9回に続き2年連続のグランプリ受賞[19]

出典

編集
  1. ^ The Hoshi Awards” (英語). The Hoshi Library. 2023年5月20日閲覧。
  2. ^ a b c d 日本経済新聞社 第4回日経「星新一賞」作品募集 15秒 CM - CM Fun。
  3. ^ 第10回日経「星新一賞」募集について - ウェイバックマシン(2023年5月20日アーカイブ分)
  4. ^ 御茶ノ水大学図書館 ニュース
  5. ^ AIが小説を書く時代の「創作」とは April 25, 2016 電通報 アーカイブ
  6. ^ a b c 瀬名ニュース 2014年3月26日 日経「星新一賞」の想い出(その1) アーカイブ
  7. ^ a b 人工知能創作小説、一部が「星新一賞」1次審査通過 2016年3月21日 日経新聞。
  8. ^ a b 人工知能が小説執筆 文学賞で選考通過 3月21日 NHK NEWS WEB アーカイブ
  9. ^ 日経「星新一賞」公式ウェブサイト”. 2021年4月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月18日閲覧。
  10. ^ 第2回 日経「星新一賞」公式ウェブサイト”. 2021年4月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月18日閲覧。
  11. ^ 第3回 日経「星新一賞」公式ウェブサイト”. 2021年4月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月18日閲覧。
  12. ^ 第4回 日経「星新一賞」公式ウェブサイト”. 2021年4月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月18日閲覧。
  13. ^ 第5回 日経「星新一賞」公式ウェブサイト”. 2021年4月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月18日閲覧。
  14. ^ 第6回 日経「星新一賞」公式ウェブサイト”. 2021年4月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月18日閲覧。
  15. ^ 第7回 日経「星新一賞」公式ウェブサイト”. 2021年4月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月18日閲覧。
  16. ^ 第8回 日経「星新一賞」公式ウェブサイト”. 2023年4月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月18日閲覧。
  17. ^ 第9回 日経「星新一賞」”. 「星新一賞」実行委員会. 2023年4月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月20日閲覧。
  18. ^ 第10回 日経「星新一賞」”. 「星新一賞」実行委員会. 2023年5月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月20日閲覧。
  19. ^ 第10回日経「星新一賞」、グランプリに関元聡氏」『日本経済新聞』2023年2月22日。オリジナルの2023年3月19日時点におけるアーカイブ。