月の囁き』(つきのささやき)は、谷崎潤一郎映画脚本。映画化を企図して書かれたが、実現できずに終わった作品である[1]1921年(大正10年)、雑誌『現代』(大日本雄弁会講談社刊行)の1月・2月号、4月号に連載された[2][1][注釈 1]

月の囁き
作者 谷崎潤一郎
日本の旗 日本
言語 日本語
ジャンル 映画脚本
発表形態 雑誌掲載
初出情報
初出 『現代』1921年1月号・2月号、4月号
出版元 大日本雄弁会講談社
刊本情報
収録 『AとBの話』
出版元 新潮社
出版年月日 1921年10月
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アマチュア倶楽部』に続き、大正活映の製作で上山珊瑚を主演に撮られることが決まっていたが延期されてしまい、そのまま製作されなかった[3][注釈 2]

撮影用の台本をそのまま掲載したのか、読者用に手を加えたのかは不明。セリフの字幕化を想像させるような、サイレント映画を念頭においた記述もあるが、登場人物が音声を発しているように読める記述もある。当時トーキーは普及以前であり、あまりシナリオとしての実践性にこだわらずに書かれたようにも読める。

あらすじ編集

御茶ノ水の橋の近くで、首に鎖を巻いた青年の死体が発見された。場面は塩原町温泉宿に移り、麹町から来た美女、彼女に魅せられる青年、女を見守る乞食の老人などが織り成すドラマが始まる。

おもな収録本編集

  • 『AとBの話』(新潮社、1921年10月)
    • 収録作品:「私」「途上」「不幸な母の話」「倹閲官」「鶴唳」「月の囁き」「蘇東坡」
  • 『無明と愛染』(プラトン社、1924年5月)
    • 収録作品:「無明と愛染」「腕角力」「月の囁き」「蘇東坡」
  • 『谷崎潤一郎全集第7巻』(中央公論社、1967年)
    • 収録作品:「途上」「鮫人」「蘇東坡」「月の囁き」「私」「不幸な母の話」「鶴唳」「AとBの話」「廬山日記」「生れた家」「検閲官」「或る調書の一節」
  • 『谷崎潤一郎全集第7巻』(中央公論社、1981年11月)
    • 収録作品:「途上」「検閲官」「鮫人」「蘇東坡」「月の囁き」「私」「不幸な母の話」「鶴唳」「AとBの話」「廬山日記」「生れた家」「或る調書の一節」

関連作品編集

  • 月光の囁き喜国雅彦の漫画およびそれを原作とした塩田明彦監督の映画。喜国は谷崎ファンで、谷崎の世界観を目指したとされる[4]。ストーリー的には無関係だが、温泉宿周辺の情景には共通点がある。

脚注編集

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注釈編集

  1. ^ ちなみに、『現代』は、この出版社が「講談社」に社名変更された後に発刊された同名の月刊誌とは別の雑誌である。
  2. ^ 川本三郎は『大正幻影』(岩波現代文庫)のなかで、「(谷崎が)映画を空想して書いた」のではないかとしている。

出典編集

  1. ^ a b 「谷崎潤一郎略年譜」(太陽 2016, pp. 153-158)
  2. ^ 小谷野敦「谷崎潤一郎詳細年譜」
  3. ^ 文豪の映画礼讃~谷崎潤一郎の映画製作~
  4. ^ 喜国のHPから

参考文献編集

  • 笠原伸夫編 『新潮日本文学アルバム7 谷崎潤一郎』 新潮社、1985年1月。ISBN 978-4-10-620607-8 
  • 文藝別冊 谷崎潤一郎――没後五十年、文学の奇蹟』 河出書房新社〈KAWADE夢ムック〉、2015年2月。ISBN 978-4309978550 
  • 千葉俊二監修 『別冊太陽 日本のこころ236 谷崎潤一郎――私はきつと、えらい芸術を作つてみせる』 平凡社、2016年1月。ISBN 978-4-582-92236-3 
  • 千葉伸夫 『映画と谷崎』 青蛙房、1989年12月。ISBN 978-4790503408 
  • 佐藤未央子「谷崎潤一郎「月の囁き」考─映画を書く/読む行為の諸相から─」(同志社国文学83号)[1]

関連項目編集