朝鮮民主主義人民共和国の最高指導者

朝鮮民主主義人民共和国の最高指導者(ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこくのさいこうしどうしゃ)とは、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の事実上の元首とも目される最高指導者である。

概要編集

北朝鮮の歴代最高指導者は、執政政党である朝鮮労働党においては党首(中央委員会委員長→中央委員会総書記[注釈 1][1]→総書記[注釈 1]→第一書記[注釈 1]→党委員長→総書記[注釈 1])を歴任し、軍においては事実上の国軍たる朝鮮人民軍の最高司令官(2019年以降は朝鮮民主主義人民共和国武力最高司令官)の地位を保持している。また国家機関においては、1972年制定の朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法で設置された朝鮮民主主義人民共和国主席、次いで1998年以後は国防委員会委員長が事実上の最高指導者と規定され、さらに2009年の改正で正式に国防委員会委員長(2016年以降は国務委員会委員長)が憲法上も明記されるとともに権限を拡大し、「朝鮮民主主義人民共和国の最高領導者(조선민주주의인민공화국의최고령도자)」とする規定を導入し、事実上の北朝鮮の国家元首となった。[注釈 2][4][5][6]

歴代最高指導者の一覧編集

金正恩金正日金日成

      金日成       金正日       金正恩

  • 太字表記の役職は北朝鮮の最高ポストと見なされる。
肖像 氏名 役職 任期 指導思想
  金日成
김일성
(1912年 – 1994年英語版
 
内閣英語版首相 1948年9月9日 – 1972年12月28日 1948年9月9日

1994年7月8日 †
(45年 + 302日)
主体(チュチェ)思想
十大原則
朝鮮労働党中央委員会委員長英語版[注釈 3] 1949年6月30日 – 1966年10月11日
朝鮮労働党中央軍事委員会委員長 1950年6月26日 – 1994年7月8日
朝鮮人民軍最高司令官 1950年7月4日 – 1991年12月24日
朝鮮労働党中央委員会総書記[注釈 1] 1966年10月11日 – 1994年7月8日
国家主席 1972年12月28日 – 1994年7月8日
国防委員会委員長 1972年12月28日 – 1993年4月9日
永遠の国家主席英語版 1998年9月5日 – 現職
  金正日
김정일
(1941年/1942年 – 2011年[注釈 4]
 
朝鮮人民軍最高司令官 1991年12月24日 – 2011年12月17日 1994年7月8日

2011年12月17日 †
(17年 + 162日)
主体(チュチェ)思想
先軍政治
十大原則
国防委員会委員長 1993年4月9日 – 2011年12月17日
朝鮮労働党総書記[注釈 1] 1997年10月8日 – 2011年12月17日
朝鮮労働党中央軍事委員会委員長
永遠の総書記英語版 2012年4月11日 – 2021年1月10日(事実上)
永遠の国防委員会委員長 2012年4月13日 – 現職
  金正恩
김정은
(1983年/1984年 - )[注釈 5]
 
朝鮮人民軍最高司令官 2011年12月30日 – 2019年4月15日 2011年12月17日

現職
10年 + 198日)
主体(チュチェ)思想
先軍政治
金日成・金正日主義
十大原則
武力最高司令官 2019年4月15日 – 現職
朝鮮労働党第一書記英語版 2012年4月11日 – 2016年5月9日
朝鮮労働党中央軍事委員会委員長 2012年4月11日 – 現職
国防委員会第一委員長 2012年4月13日 – 2016年6月29日
朝鮮労働党委員長 2016年5月9日 – 2021年1月10日
国務委員会委員長英語版[注釈 6] 2016年6月29日 – 現職
朝鮮人民の最高代表者[11] 2019年4月11日 – 現職
朝鮮労働党総書記[注釈 1] 2021年1月10日 – 現職

脚注編集

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注釈編集

  1. ^ a b c d e f g 北朝鮮では総書記を総秘書朝鮮語: 총비서、チョンビソ)と呼ぶが、日本のマスメディアは中華人民共和国や旧ソビエト連邦の呼称と合致させるため、総書記と呼称している。
  2. ^ なお、国家を代表して外国使節の信任状および召喚状を接受するという対外的な国家元首としての権能は最高人民会議常任委員会委員長が有しており、2019年4月の憲法改正によって国務委員会委員長が国家元首と位置づけられた[2][3]後も、最高人民会議常任委員会委員長の対外的な職務に関しては変更が加えられていない。
  3. ^ 金正恩が就いていた朝鮮労働党委員長とは異なる。
  4. ^ 金正日の誕生した年について、北朝鮮は1942年2月16日に白頭山密営で誕生した[7]としているが、正確には1年前の1941年2月16日生まれである[8]
  5. ^ 金正恩の誕生した年は1983年説と1984年説があるため両論併記。なお、韓国統一省は2015年に金正恩の誕生した年を「1984年」と認定した[9]
  6. ^ 英語表記は2016年から2021年までは「the Chairman of the State Affairs Commission of the Democratic People's Republic of Korea」、2021年からは「the President of the State Affairs Commission of the Democratic People's Republic of Korea」に変更されている[10]

出典編集

  1. ^ 重村(1997年)、72ページ。
  2. ^ “北朝鮮が憲法改正、金正恩氏は国家元首に-外交活発化への意思示唆か”. bloomberg.co.jp. ブルームバーグ. (2019年7月12日). https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-07-11/PUHH7Y6JIJUP01 2019年7月12日閲覧。 
  3. ^ ネナラ - 朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法第6章第2節”. 朝鮮民主主義人民共和国外国文出版社. 2019年7月12日閲覧。
  4. ^ Petrov, Leonid (2009年10月12日). “DPRK has quietly amended its Constitution”. Leonid Petrov's KOREA VISION. 2015年9月12日閲覧。
  5. ^ North Korea Revamps Its Constitution”. thediplomat.com. DIPLOMAT MEDIA INC.. 2020年4月27日閲覧。
  6. ^ “Article 100” (PDF). Socialist Constitution of the Democratic People's Republic of Korea. Amended and supplemented on April 1, Juche 102 (2013), at the Seventh Session of the Twelfth Supreme People's Assembly. Pyongyang: Foreign Languages Publishing House. (2014). p. 22. ISBN 978-9946-0-1099-1. http://www.naenara.com.kp/en/book/download.php?4+4047 
  7. ^ 金日成回顧録『世紀とともに』 「革命の根をつちかい」
  8. ^ 李相哲 (2015年3月3日). “【秘録金正日(14)】旧日本軍から逃走中「できちゃった婚」 物心つけば、独りで「軍人ごっこ」”. 産経新聞 (産経新聞社). https://www.sankei.com/smp/premium/news/150303/prm1503030003-s.html 2021年3月6日閲覧。 
  9. ^ “金正恩氏誕生日…本当は何歳なの? 「亥年」めぐり混乱も韓国は32歳認定”. SankeiBiz. (2016年1月8日). https://www.sankeibiz.jp/smp/macro/news/160108/mcb1601082022029-s1.htm 2021年3月6日閲覧。 
  10. ^ “金正恩氏の肩書=英語表記を「プレジデント」に変更=北朝鮮”. Wow!Korea. (2021年2月17日). https://s.wowkorea.jp/news/read/288471/ 2021年2月18日閲覧。 
  11. ^ Josh Doyle (2019年4月16日). “Is Kim Jong Un 'supreme representative of all the Korean people'?”. アルジャジーラ. https://www.aljazeera.com/news/2019/04/kim-jong-supreme-representative-korean-people-190416023730477.html 2020年8月17日閲覧。 

参考文献編集

  • 重村智計『北朝鮮データブック』(講談社〈講談社現代新書〉、1997年)

関連項目編集