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未熟児網膜症(みじゅくじもうまくしょう、: Retinopathy of prematurity, ROP)は、新生児の網膜血管の未熟性に関連し、病態の悪化に伴い増殖性変化をきたし、重症例では網膜剥離を併発し失明にいたる疾患

主に2500g以下の低体重出生児[1]の酸素療法に関連し発生する障害で、32週未満 1500g以下の極小未熟児の失明が多発し社会問題にもなった[2][3]。特に、出生体重1000g未満の新生児では 47〜80%に発生し、21〜43% が重症である[4]

目次

概要編集

網膜血管の未熟性に関連し、網膜血管の進展不足により、網膜周辺部の無血管野が生じる。その境界部より新生血管・線維性増殖を生じ、網膜剥離に進展する。出生体重1800g以下、在胎週数34週以下の未熟児に対しては定期的な観察が必要である。初回検査時期は生後3週目又は修正在胎週数29週を目処にする。

未熟児網膜症のスクリーニング時期について、2013年の米国のガイドラインでは、在胎週数30週以下、出生体重1,500g以下が対象とされるが、日本においては、34週未満、1,800g以下の児が対象となっている。初診時期も、米国は生後4週、早くても31週からとされているが、日本では、生後3週、早くても29週とされている[5]

新生児医療の進歩により未熟児生存率が上昇した時代、未熟児医療施設に未熟児網膜症に対するリスク管理の知識が行き渡らず、1950年前後のアメリカでは小児失明原因のトップとなり、日本でも1970年前後には多発した。現在は経皮的酸素分圧モニターで未熟児の動脈酸素管理を行う[6]。高濃度酸素投与以外にも、極低出生体重(1500g未満)[7]で在胎期間が短い場合の未熟性、呼吸窮迫症候群、脳室内出血、輸血・敗血症などが発症に複雑にからむと考えられている[8]

分類編集

活動期の分類には厚生省分類と国際分類がある。厚生省分類では発展段階を主に、比較的ゆるやかな経過のI型と、段階的な進行を経ず比較的早く進行して網膜剥離に至るII型に分類し、国際分類にはない瘢痕期分類が存在する。国際分類は病期(Stage ステージ)と病変位置・範囲(Zone ゾーン)の2つに分けた上でそれぞれを分類している。[9]

段階的に比較的ゆっくり進行するI型2期(厚生省分類)までは自然治癒することが多いので経過観察となる。次の段階に進行すれば治療的介入が検討される。[10]

治療編集

ベバシズマブの投与。無血管野領域に対し、レーザー光凝固[11]、網膜(キセノン)光凝固術[12]や網膜冷凍凝固術を行うことがある。また硝子体手術を行うこともある。

合併症編集

視力障害[13][14]

参考文献編集

出典編集

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  1. ^ [1] (PDF) 厚生労働省
  2. ^ 中嶋唯夫、未熟児網膜症 (RLF) 日本医科大学雑誌 1981年 48巻 4号 p.567-570, doi:10.1272/jnms1923.48.567
  3. ^ 田中豊穂、未熟児網膜症の発生過程に関する社会医学的研究 日本衛生学雑誌 1977年 32巻 5号 p.613-623, doi:10.1265/jjh.32.613
  4. ^ 未熟児網膜症 MSDマニュアル プロフェッショナル版
  5. ^ 松本 直『眼科』、60(13)、未熟児網膜症の検査法の実際、P1589-1597、金原出版、2018年
  6. ^ (『周産期医学』2015年2月号)「我が国における未熟児網膜症の歴史」仁志田博司。pp.129-130
  7. ^ 低出生体重児保健指導マニュアル <表1 出生児の分類>(平成24年 厚生労働省) (PDF) 閲覧.2015-11-10
  8. ^ (『周産期医学』2015年2月号)「最近の未熟児網膜症の発生頻度」末永英世。p.153
  9. ^ (『周産期医学』 & 2015年2月号)「未熟児網膜症のStage別眼底所見-網膜の解剖その特徴」齋藤雄太。p.137
  10. ^ 未熟児網膜症(日本小児眼科学会) 閲覧.2015-11-10
  11. ^ 大滝千秋、レーザー光凝固による未熟児網膜症の治療に関する研究 岡山医学会雑誌 1992年 104巻 1-2号 p.83-95, doi:10.4044/joma1947.104.1-2_83
  12. ^ 秋山智恵、大田尚美、徳島忠弘、未熟児網膜症の光凝固後に発症した近視性不同視弱視の検討 日本視能訓練士協会誌 2005年 34巻 p.171-178, doi:10.4263/jorthoptic.34.171
  13. ^ 若林憲章、未熟児網膜症の視機能における追跡調査 日本視能訓練士協会誌 1985年 13巻 p.40-48, doi:10.4263/jorthoptic.13.40
  14. ^ 宮崎洋次、平井淑江、鵜飼喜世子 ほか、未熟児網膜症患者に見られた内斜視の一症例 日本視能訓練士協会誌 1999年 27巻 p.117-121, doi:10.4263/jorthoptic.27.117

関連項目編集

外部リンク編集