本田 隆行(ほんだ たかゆき、1982年昭和57年)7月6日 - )は、日本科学コミュニケーターである。

来歴 編集

1982年昭和57年)7月6日枚方市で生まれる[1]神戸大学大学院自然科学研究科地球惑星科学専攻で理学修士の学位を取得した[2]。大学院では天文学を専攻しており、小惑星探査機『はやぶさ』の研究チームに所属し[3]、文部科学大臣・宇宙開発担当大臣から「はやぶさ感謝状」を授与された[4]。しかし、このころ「自分は研究者向きでない」と悟り、就職を決意[2]。学芸員の資格を取得しており、大学院修了後は博物館や科学館での就職も視野に入れていたが、学芸員の募集がなかったため、やむなく枚方市役所に就職する[3]。枚方市役所では5年間公務員として勤務し街づくりに取り組む[3]

29歳のときに自分のこれからを考えるようになり[5]、東京で「科学コミュニケーター募集」の張り紙を偶然目にして受験する[3]。受験した日本科学未来館[2]、全国の科学館の中でも最難関であり、不合格を予想したうえでの「記念受験」のつもりだったが合格[3]2012年4月から[2]、公務員を辞めて転職した[5]

科学館に転職してから2年目の半ば、任期は5年だったが、館長の毛利衛から「今の仕事に覚悟はあるか」と問われたことがきっかけになり、フリーランスとして独立[5]。当時、フリーランスの科学コミュニケーターは全国的にも珍しく[2]、科学館の同僚からも正気かと疑われた[3]。本田によれば、「本当に社会に必要な存在なら科学館に所属しなくても成り立つ仕事だ」と考えて、フリーランスでも科学コミュニケーターという肩書だけで仕事ができるのか自分自身を使って実験するためだったという[3]。当初はなかなか仕事がなかったが、科学館時代の同僚らの伝手で徐々に仕事が増えていき、高校や大学での講義、科学館や博物館のプロデュース、絵本や本の監修など、幅広く科学と一般社会をつなぐ活動を行っている[3]

2013年には、NHKサイエンスZEROにおいて、「初代キング・オブ・サイエンスコミュニケーター」に選出[4]。また、2017年には日本で初めて、サイエンスコミュニケーション協会の奨励賞を受賞した[4]。同年には、一般社団法人知識流動システム研究所のフェローにも就任している[6]

コミュニケーターとして 編集

大阪を拠点として、全国で活動している[3]横浜こども科学館静岡科学館サイエンスヒルズこまつ福井県児童科学館福岡市科学館福岡県青少年科学館など、全国の科学館で講師として指導をしたり、展示の改修をサポートしている[7]。このうち、横浜こども科学館では指定管理者選定評価委員に選ばれている[8]。また、2015年から日本大学理工学部で、2019年からは大阪成蹊大学教育学部で非常勤講師を務めた[7]。その他にも京都大学大阪大学などで講義を実施している[7]

科学コミュニケーターは、科学者と一般人との間をつなぐ仕事であるため、両者の視点を理解するように努めることが大切だと考えている[5]。大学院での専門は天文学だったが、自分の興味よりもお客さんの興味が重要だと考え、天文・宇宙に限らず、相手の興味に合わせて科学全般の知識を習得するように心がけている[3]。また、知ったかぶりをしないことを心がけており、知らないことに興味を持ち続けるようにしている[3]

著書 編集

  • 山本省三著、本田隆行監修『月をめざしてしゅっぱつ!』小学館、2016年。
  • 本田隆行『宇宙・天文で働く』ぺりかん社、2018年。
  • 山本省三著、本田隆行監修『もしも恐竜とくらしたら』WAVE出版、2019年。

ほか共著あり。

出演 編集

など。

脚注 編集

出典 編集

  1. ^ 本田隆行. “プロフィール”. 2021年11月18日閲覧。
  2. ^ a b c d e 大阪府枚方市・本田隆行さん”. TIP*S. 独立行政法人・中小企業基盤整備機構. 2021年11月18日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k 科学コミュニケーター本田隆行さんに聴く「一つひとつの仕事で関わった人との関係を大切にする」とは”. ビィーゴ (2021年10月4日). 2021年11月18日閲覧。
  4. ^ a b c 12/17(月)コミュ力ってなんだ?~学校では習わないコミュニケーションの話~ <講師プロフィール>”. 福岡市科学館 (2018年12月17日). 2021年11月18日閲覧。
  5. ^ a b c d 「科学コミュニケーター」は職業にできる?」(2/2) 本田隆行先生の講義レポート”. 北海道大学 (2019年3月3日). 2021年11月18日閲覧。
  6. ^ 役員およびフェロー”. 知識流動システム研究所. 2021年11月18日閲覧。
  7. ^ a b c 本田隆行. “ポートフォリオ”. 2021年11月18日閲覧。
  8. ^ 横浜こども科学館 第4期指定管理者公募”. 横浜市 (2021年8月30日). 2021年11月18日閲覧。

外部リンク 編集