本間 丈太郎(ほんま じょうたろう)は、手塚治虫漫画ブラック・ジャック』に登場する架空の医師である。

概要 編集

幼少期に不発弾によって体がバラバラになったブラック・ジャック(以降、「BJ」と表記)を何とか救い出し、彼が医者になるきっかけを作った命の恩人である。「山下クミ」という娘(テレビアニメでは「本間久美子」)がおり、彼の死に目に会えずに中国から引き揚げて来た。BJと墓前で会うが、自らの出自を告げる事は無く去り、それ以降、原作では2度と登場しなかった。

作中では『ときには真珠のように』『本間血腫』などに登場(『後遺症』に登場する堀切の主治医は別人)。『満月病』では娘が登場する。キャラクター容姿は『火の鳥』に登場する猿田スターシステム)。

BJの恩師としてまず第一に名前が挙げられる人物だが、実はBJと直接の師弟関係にはない。BJは地方の三流医科大学であるポン骨大学の出身であり、本間は東亜大学の出身で名のある大病院に勤務していた。また、研修医時代にも師事していた描写がないことから、本間は技術面でBJを指導したわけではなく、医者を目指すきっかけになった「心の師匠」であると言える。

配役 編集

声優 編集

俳優 編集

エピソード 編集

ときには真珠のように 編集

BJの家に突如、奇妙な殻に包まれたメスが届く。宛名には「J・H」と書かれており、それが本間から届いたことに気付く。BJは急遽本間の家へと急ぎ、布団で寝たきりの本間を見舞う。

そこで本間は昔、BJの手術中に体内にメスを置き忘れ、再び手術をした際にカルシウムの殻につつまれたメス、すなわちBJの元に届いたメスを発見したことを話し、懺悔する。本間はそのことがきっかけで、生命の不思議さと医学の難しさに気づいたのである。

懺悔を終えた本間の意識は遠のき、「人間が生きものの生き死にを自由にしようなんておこがましいとは思わんかね」と言い残して意識を失う。

BJは本間を近くの病院へ搬送して手術するものの彼の意識は戻らず、まもなく死亡が確認される。死因は老衰、つまり限りなく自然に近い「人の死」だった。完璧な処置をしたにもかかわらず恩師を救えなかったことで悲嘆に暮れるBJの脳裏に、先述の本間の言葉が過るのだった。
テレビアニメ『ブラック・ジャック』ではBJは手術後、医師としての自分に迷いを抱くが、喫茶店でマスターと本間の娘・久美子の会話を聞いたことで「あなたの言うことは正しいのかもしれない。しかし、私は医者だ」と自分なりの答えを見出し、届いたメスを崖から海に向かって投げ、その場を去っていった。

本間血腫 編集

BJはとある病院から「本間血腫」という病気の患者を治すよう依頼されるが、現在の医学ではこの病気を治すことが不可能で、依頼を受けるかどうか悩んでいた。

本間血腫は文字通り本間がその存在を確認した病気で、心臓の左心室血栓が発生していくら除去しても次々に再発するという、世界でも稀な奇病だった。しかも、その病気にかかった患者は全員死亡している。本間はこの病気を解明するために手術を行うが、周りから手術は生体実験ではないのかと疑われる。「新しく発見された病気に治療法がない時、それを治そうと努力すればそれは生体実験になるのか」との本間の反論は、理解を得られなかった。そして本間は医学界を追われ、引退したまま亡くなる。

BJは本間血腫の謎を解明すべく本間の書庫に残された資料を調査し、その中から自分に宛てられた手紙を発見する。本間はその手紙で本間血腫の解明をBJに託すとともに、「この病気の正体が分かるまでは決して手術をしてはならない」という言葉を記していた。

後日、BJは依頼のあった病院に赴き、本間血腫の対処法として自作の人工心臓を患者に取り付けることを提案するが、いざ開胸してみた患者の体内にはすでに精巧な人工心臓が取り付けられていた。そして、本間血腫の原因が人工心臓の故障によるものだったと判明し、その代用品を用意していたにもかかわらず交換を諦め、手術は中止される。ここでBJは、人間にはどうすることもできない医学の限界を知る。

ブラック・ジャック21 編集

不死の研究「ノワール・プロジェクト」の主要メンバーだったが、未知の発電ウィルスBOPの実用化に際しさらなる研究が必要であるとして他のメンバーと対立。さらに、自身がプロジェクトで担当した臓器移植が原因のスキャンダルにより表舞台から姿を消した事になっている。また、BJの手術を行ったのはプロジェクトで人工臓器開発を担当していたシュタイン博士の薦めで、手術に際して彼から助言を受けていた事が明かされている。なお、詳細は不明だが、シュタイン博士とは後に決別している。本作では本間血腫のエピソードが第9話「心臓(ハート)の刻印」および第10話「紐育(ニューヨーク)の奇蹟」として改題・リメイクされている。原作と違いBJは、血腫の発生する人工心臓を最新の人工心臓に取り替えることで手術を成功させ、患者を救っている。さらに、患者に取り付けられていた人工心臓がBJの父である間影三の開発したものだったということが判明し、その後のエピソードへと物語が続いてゆく。

関連項目 編集