東京博善株式会社(とうきょうはくぜん、: Tokyohakuzen Company, Limited.)とは、東京都内において6ヶ所の斎場(火葬場)を直営する企業である。広済堂ホールディングスグループの1つ。

東京博善株式会社
Tokyohakuzen Company, Limited.
種類 株式会社
略称 東博
本社所在地 日本の旗 日本
105-0023
東京都港区芝浦一丁目2番3号 シーバンスS館13階
設立 1921年4月
業種 サービス業
法人番号 6010001034362 ウィキデータを編集
事業内容 斎場・火葬場経営
代表者 和田翔雄
資本金 2億
売上高 93億4700万円
(2022年03月31日時点)[1]
営業利益 30億6800万円
(2022年03月31日時点)[1]
経常利益 31億7100万円
(2022年03月31日時点)[1]
純利益 21億2100万円
(2022年03月31日時点)[1]
総資産 369億1600万円
(2022年03月31日時点)[1]
従業員数 278名(2023年3月現在)
主要株主 株式会社広済堂ホールディングス100.00%
関係する人物 木村荘平
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概要 編集

1887年(明治20年)6月、実業家で政治家の木村荘平日暮里村につくられた火葬場を運営するために東京博善を創業。その後都内の斎場を次々と吸収合併していった。大正期になると、医学博士であり貴族院議員であった金杉英五郎が社長に就任。金杉は環境衛生医学者の立場から燃料研究と無煙無臭火葬の実現、且つ社会施設としての火葬場の尊厳を使命に経営にあたった。

その後、経営的観点ではなく、宗教的な精神に基づく運営が必要だという見解から、日蓮宗大本山法華経寺貫主の宇都宮日綱社長、日蓮宗堀之内妙法寺を代表し藤井教詮監査役らが任命され、宗教的・社会的使命の立場に立った運営がなされた。

1985年(昭和60年)になると経営は僧侶の手を離れ、1992年(平成4年)には廣済堂(現・広済堂ホールディングス)が筆頭株主となり、現在に至る。

沿革 編集

  • 1887年明治20年)6月 - 日暮里村の火葬場運営を請け負うため、木村荘平が東京博善を創業[2]。東京では前年にコレラが大流行し、遺体の累積と異臭問題で市民の間で火葬場移転の請願運動が勃発していた[2]
  • 1918年大正7年)12月 - 桐ケ谷火葬場を任せられ、博善株式会社が火葬業とともに葬祭業を始める[2][3]
  • 1921年大正10年)4月 - 町屋、砂町、落合、代々幡の各斎場を事業所として金杉英五郎を社長に東京博善株式会社を設立。
  • 1926年大正15年) - 妙香寺 (横浜市)住職で法華経寺貫主の宇都宮日綱が社長に就任、以降1985年まで、中山理々宇都宮鐵彦と僧侶の社長が3代続いた[4]
  • 1927年昭和2年)2月 - 株式会社天親館(現四ツ木斎場)を合併。
  • 1929年(昭和4年)11月 - 博善株式会社の火葬業(現桐ケ谷斎場)を合併。博善株式会社は神田鎌倉町に葬儀相談所を設け葬儀を専業として存続[2]
  • 1961年(昭和36年)12月 - 日進起業株式会社(現堀ノ内斎場)を合併。
  • 1965年(昭和40年)10月 - 砂町斎場を閉鎖。
  • 1983年(昭和58年) - 廣済堂創業者の桜井文雄(義晃)が筆頭株主となる[5]
  • 1985年(昭和60年)10月 - 桜井文雄が会長兼社長に就任[4][3]
  • 1989年平成元年) - 四ツ木斎場の煙突撤去と無煙化を皮切りに、堀ノ内、町屋、代々幡、桐ヶ谷、落合各斎場を随時建て替え(2000年まで)[3][5]
  • 1992年(平成4年) - 株式会社廣済堂(現・広済堂ホールディングス)が出資し、筆頭株主となる。
  • 1994年(平成6年) - 廣済堂取締役の大野孝に社長交代[4]
  • 2004年(平成16年) -浅岡眞知子が社長に就任[6]
  • 2016年(平成28年)11月 - 四ツ木斎場・お花茶屋会館建替え完成[3]
  • 2018年6月 - 法務省出身の西田博が社長就任[7]
  • 2019年令和元年)6月 - 渡邊義和が社長就任[7]
  • 2020年(令和2年)3月 - 廣済堂の完全子会社となる[8]。「東京博善の経営を尊重すること」「廣済堂のコア事業にエンディング事業を加えること」「廣済堂は東京博善を今後10年間は売却しないこと」が条件とされた[9]
  • 2022年(令和4年)4月- 根岸千尋が社長就任
  • 2023年(令和5年)6月 - 和田翔雄が副社長から社長に就任
    • 12月 - 東京博善労働組合が結成[10]

直営斎場 編集

同社は東京23区において約7割の火葬を行っており、直営斎場はどれも火葬場、葬祭ホール、遺体安置所、休憩室、喫茶室などがある総合斎場となっている。明るく近代的な建物・施設で環境問題にも配慮された無煙無臭火葬システムも導入している。

堀ノ内斎場、四ツ木斎場以外の斎場には「特別殯館」と呼ばれる区画があり、主にVIPの火葬に利用される。一般皇族も第二次世界大戦後は火葬とされたため、「特別殯館」がある斎場に運ばれる。2014年宜仁親王のケースでは落合斎場が使われた。また、四ツ木斎場には「特別殯館」よりも更にグレードの高い「貴殯館」と呼ばれる区画があり、火葬料金は1体28万円と日本一高額である。

関連項目 編集

脚注 編集

  1. ^ a b c d e 東京博善株式会社 第156期決算公告
  2. ^ a b c d 博善株式会社神田学会、2017年2月16日
  3. ^ a b c d 会社概要東京博善株式会社
  4. ^ a b c 村上ファンドはなぜ「廣済堂」に目をつけたのか 葬祭子会社「東京博善」の知られざる企業価値東洋経済、2019/02/19
  5. ^ a b コロナ騒動の裏側で麻生太郎の家業が「葬儀場利権」に触手を伸ばすワケ(前編)=坂田拓也エコノミスト、2020年5月20日
  6. ^ 東京博善株式会社(E04843)有価証券報告書
  7. ^ a b 東京博善株式会社 役員の状況どんぶり会計運営事務局
  8. ^ 当社が株式併合により廣済堂の完全子会社となることに関するお知らせ東京博善、2020年1月31日
  9. ^ コロナ騒動の裏側で麻生太郎の家業が「葬儀場利権」に触手を伸ばすワケ(後編)=坂田拓也エコノミスト、2020年5月21日
  10. ^ Twitter>東京博善労働組合

外部リンク 編集