東京盃(とうきょうはい)は、大井競馬場で行われる地方競馬重賞競走ダートグレード競走、JpnII)である。農林水産省が賞を提供、また「Road to JBC」に指定されているため正式名称は農林水産大臣賞典 Road to JBC 東京盃と表記される。

東京盃
開催国 日本の旗日本
主催者 特別区競馬組合南関東公営
競馬場 大井競馬場
創設 1967年7月11日
2024年の情報
距離 ダート1200m
格付け JpnII / 国際LR
賞金 1着賞金4000万円
出走条件 サラブレッド系3歳以上(指定交流)
出走資格も参照
負担重量 別定(本文に記載
出典 [1]
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副賞は農林水産大臣賞、日本中央競馬会理事長賞、日本馬主協会連合会長奨励賞、日本地方競馬馬主振興協会会長賞、地方競馬全国協会理事長賞、東京都馬主会理事長賞、特別区競馬組合管理者賞(2022年)[2]

概要 編集

1967年に創設された地方競馬では全国で初めての短距離重賞競走[3]で、創設時から大きく条件の変化はない。創設時は船橋報知グランプリカップと共にサラブレッド系だけでなくアングロアラブ系馬の出走も可能なオールカマーの重賞競走であった。1995年に全国指定交流競走となりJRAおよび他地区所属馬にも門戸が開かれたがアラブ系の衰退により1996年に南関東公営競馬でのアラブ系競走が廃止され、出走資格がサラブレッド系のみとなった。

1997年よりダート競走格付け委員会によりGIIに格付けされ、ジャパンブリーディングファームズカップ(JBC)が創設されたのに伴い2001年より「Road to JBC」に指定され、上位馬にはJBCスプリントへの優先出走権が与えられることとなった。

ダートグレード競走以前の時代は東京大賞典を目指す古馬、東京王冠賞を目指す3歳馬、全日本アラブ大賞典を目指すアングロアラブがこのレースを秋の本番前の足慣らしとして用いた為に例年南関東のオールスターが揃う、南関東の秋競馬を占う一大前哨戦となっていた。現在では南関東地区のスプリント王決定戦かつJBCスプリントへの前哨戦の意味合いが高い。

1974年には「アラブの魔女」と呼ばれたイナリトウザイがレコードタイムで優勝、1994年にはアングロアラブながら59kgの出走馬中最重斤量を背負ったトチノミネフジが2着に入るなど、時としてサラブレッドと互角以上に渡り合うアラブの活躍が見られた事でも知られる。最後に出走したアラブは1995年のランドアポロ(5着)である。この年の6着は後にスプリンターズステークスを制するヒシアケボノだった。

条件・賞金等(2023年) 編集

出走資格
サラブレッド系3歳以上。
負担重量
別定。3歳55kg、4歳以上56kg、牝馬2kg減(南半球産3歳馬1kg減)を基本に、本年9月29日より過去のGI・JpnI競走1着馬は2kg、GII・JpnII競走1着馬は1kg負担増となる(ただし2歳時の成績は対象外)[1]
賞金額
1着3500万円、2着1225万円、3着700万円、4着350万円、5着175万円[1]、着外手当20万円[4]
優先出走権付与
優勝馬にはJBCスプリントの優先出走権が付与される[1]

過去の賞金額 編集

中央競馬・地方競馬全国指定交流競走に指定された1995年以降
回数 総額賞金
(万円)
1着賞金
(万円)
2着賞金
(万円)
3着賞金
(万円)
4着賞金
(万円)
5着賞金
(万円)
第29回(1995年) 7,820 4,600 1,610 920 460 230
第30回(1996年)
第31回(1997年) 7,990 4,700 1,645 940 470 235
第32回(1998年) 8,225 564 376
第33回(1999年) 8,050 4,600 1,610 920 552 368
第34回(2000年) 8,280 1,058 644
第35回(2001年) 7,820 920 460 230
第36回(2002年)
第37回(2003年) 7,310 4,300 1,505 860 430 215
第38回(2004年)
第39回(2005年) 6,800 4,000 1,400 800 400 200
第40回(2006年)
第41回(2007年)
第42回(2008年)
第43回(2009年) 5,950 3,500 1,225 700 350 175
第44回(2010年)
第45回(2011年)
第46回(2012年)
第47回(2013年)
第48回(2014年)
第49回(2015年)
第50回(2016年)

※ここに示される総額賞金には、着外賞金(着外手当)は含まれていない。

歴史 編集

  • 1967年 - 4歳(現・3歳)以上の重賞競走・東京盃創設。現在と同じ大井競馬場ダート1200mで施行。
  • 1972年 - この年のみ、日本教育テレビ(略称:NET、現・テレビ朝日)より賞の寄贈を受け、NET盃に名称を変更。
  • 1986年 - この年のみ、内回りコースで施行。
  • 1995年
    • 中央競馬地方競馬全国交流競走に指定。
    • 南関東グレード制施行にともない、南関東G2に格付けされる。
  • 1996年 - 南関東公営競馬のアラブ系競走廃止に伴い、出走資格をオールカマー(混合競走)からサラブレッド系に変更。
  • 1997年 - ダート競走格付け委員会により統一GIIに格付け。
  • 2001年 - 「Road To JBC」に指定。
  • 2002年 - 大井競馬場のスタンド改修工事に伴いダート1190メートルで施行。
  • 2003年 - 大井競馬場のスタンド改修工事に伴いダート1190メートルで施行。
  • 2004年 - 出走条件を「サラブレッド系3歳以上9歳以下」から「サラブレッド系3歳以上」に変更。
  • 2007年 - 国際セリ名簿基準委員会(ICSC)の勧告により、格付けをJpnIIに変更。なお、南関東グレードは併記しないことになった。
  • 2021年 - COVID-19の流行により「無観客競馬」として開催。

歴代優勝馬 編集

回数 施行日 優勝馬 性齢 所属 タイム 優勝騎手 管理調教師
第1回 1967年07月11日 アオイライコー 牡7 大井 R1:12.5 渥美忠男 森田正一
第2回 1968年07月25日 オリコ 牝5 川崎 1:12.3 佐々木竹見 三橋三吉
第3回 1969年09月21日 ヤシマナシヨナル 牡5 大井 R1:11.1 福永二三雄 中野要
第4回 1970年09月23日 リユウトキツ 牡3 川崎 1:12.4 佐々木吉郷 新貝一雄
第5回 1971年10月01日 オーナーズシユン 牡6 川崎 1:11.9 佐々木竹見 大沼五郎
第6回 1972年10月13日 ライトフアスト 牡4 大井 1:12.1 日尾米造 須田明雄
第7回 1973年09月21日 オーナーズタイフウ 牡3 川崎 1:12.8 佐々木竹見 照沼一二
第8回 1974年10月04日 イナリトウザイ 牝3 大井 R1:10.5 佐々木竹見 三坂博
第9回 1975年09月29日 オサイチテユーダ 牝3 大井 1:12.3 高橋三郎 高岩隆
第10回 1976年09月28日 オリオンタイガー 牡4 船橋 1:11.8 佐藤隆 吉田馨
第11回 1977年09月19日 トドロキヒリユウ 牡3 大井 1:11.1 岡部盛雄 岡部猛
第12回 1978年09月12日 トドロキヒリユウ 牡4 大井 1:12.0 岡部盛雄 岡部猛
第13回 1979年09月27日 エビチカラ 牡6 大井 1:11.9 山田秀太郎 武森辰己
第14回 1980年09月18日 カオルダケ 牝5 大井 R1:10.2 赤嶺本浩 須田明雄
第15回 1981年09月29日 タイムリーヒツト 牡4 大井 1:11.0 高橋三郎 田中利衛
第16回 1982年09月29日 レイクルイーズ 牝3 大井 1:11.2 山崎尋美 大山一男
第17回 1983年09月14日 スズユウ 牡5 大井 1:13.4 石川綱夫 朝倉文四郎
第18回 1984年09月19日 スズユウ 牡6 大井 1:12.4 石川綱夫 朝倉文四郎
第19回 1985年09月16日 マルゼンスター 牡5 大井 1:11.7 高橋三郎 大塚三郎
第20回 1986年09月19日 ハナキオー 牡3 大井 1:13.1 堀千亜樹 武森辰己
第21回 1987年09月15日 テツノヒリユウ 牡4 大井 1:13.6 秋吉和美 大山末治
第22回 1988年09月21日 イーグルシヤトー 牝5 大井 1:12.2 堀千亜樹 大山二三夫
第23回 1989年09月26日 ジングウブレーブ 牡4 大井 1:13.5 鈴木啓之 飯野貞次
第24回 1990年09月27日 ヒロツルチカラ 牡3 大井 1:14.3 的場文男 渥美忠男
第25回 1991年09月26日 テツノヒリユウ 牡8 大井 1:12.7 鷹見浩 大山末治
第26回 1992年09月30日 ナイキゴージャス 牡3 大井 1:12.7 的場文男 長沼正義
第27回 1993年09月27日 ハナセール 牡5 大井 1:11.5 高橋三郎 物井栄
第28回 1994年09月27日 サクラハイスピード 牡6 船橋 1:12.1 佐藤隆 川島正行
第29回 1995年09月27日 サクラハイスピード 牡7 船橋 1:12.0 佐藤隆 川島正行
第30回 1996年09月26日 トキオクラフティー 牝3 JRA 1:12.2 横山典弘 池江泰郎
第31回 1997年10月02日 カガヤキローマン 牡4 大井 1:11.8 石崎隆之 高柳恒男
第32回 1998年09月30日 カガヤキローマン 牡5 大井 1:11.7 森下博 高柳恒男
第33回 1999年09月23日 サカモトデュラブ 牡6 水沢 1:12.5 阿部英俊 伊藤和
第34回 2000年09月27日 ベラミロード 牝4 宇都宮 1:10.2 内田利雄 室井康雄
第35回 2001年09月27日 ノボジャック 牡4 JRA 1:10.9 蛯名正義 森秀行
第36回 2002年09月25日 アインアイン 牝5 大井 1:10.8 市村誠 赤間清松
第37回 2003年10月09日 ハタノアドニス 牡7 大井 1:10.6 内田博幸 高橋三郎
第38回 2004年09月29日 マイネルセレクト 牡5 JRA 1:10.9 武豊 中村均
第39回 2005年10月05日 アグネスジェダイ 牡3 JRA 1:11.2 小牧太 森秀行
第40回 2006年10月04日 リミットレスビッド 牡7 JRA 1:11.1 岩田康誠 加用正
第41回 2007年10月03日 リミットレスビッド 牡8 JRA 1:11.3 内田博幸 加用正
第42回 2008年10月08日 フジノウェーブ 牡6 大井 1:11.6 御神本訓史 高橋三郎
第43回 2009年09月30日 バンブーエール 牡6 JRA 1:11.3 松岡正海 安達昭夫
第44回 2010年10月06日 サマーウインド 牡5 JRA 1:10.6 藤岡佑介 庄野靖志
第45回 2011年09月28日 スーニ 牡5 JRA 1:10.9 川田将雅 吉田直弘
第46回 2012年10月03日 ラブミーチャン 牝5 笠松 1:11.2 濱口楠彦 柳江仁
第47回 2013年10月02日 タイセイレジェンド 牡6 JRA 1:11.0 内田博幸 矢作芳人
第48回 2014年10月01日 ノーザンリバー 牡6 JRA 1:10.2 蛯名正義 浅見秀一
第49回 2015年09月30日 ダノンレジェンド 牡5 JRA 1:10.9 M.デムーロ 村山明
第50回 2016年09月22日 ドリームバレンチノ 牡9 JRA 1:11.9 岩田康誠 加用正
第51回 2017年10月04日 キタサンミカヅキ 牡7 船橋 1:12.1 繁田健一 佐藤賢二
第52回 2018年10月10日 キタサンミカヅキ 牡8 船橋 1:12.1 森泰斗 佐藤賢二
第53回 2019年10月02日 コパノキッキング セ4 JRA 1:10.7 藤田菜七子 村山明
第54回 2020年10月07日 ジャスティン 牡4 JRA 1:10.8 戸崎圭太 矢作芳人
第55回 2021年10月06日 サクセスエナジー 牡7 JRA 1:10.3 松山弘平 北出成人
第56回 2022年10月05日 レッドルゼル 牡6 JRA 1:10.6 川田将雅 安田隆行
第57回 2023年10月04日 ドンフランキー 牡4 JRA R1:10.0 池添謙一 斉藤崇史

Rは、コースレコードを示す。

脚注 編集

参考文献 編集

注釈 編集

出典 編集

  1. ^ a b c d e 令和5年度 第11回大井競馬競走番組表(決定)” (PDF). 特別区競馬組合. p. 27. 2023年10月3日閲覧。
  2. ^ 大井競馬出走馬一覧表令和4年度第12回大井競馬第3日10月5日(水)” (PDF). 名古屋けいばオフィシャルサイト. 2022年10月3日閲覧。
  3. ^ 第49回 東京盃(JpnII) - レースと日程”. 東京シティ競馬 : TOKYO CITY KEIBA. 2015年9月25日閲覧。
  4. ^ 令和5年度 大井競馬番組” (PDF). 特別区競馬組合. p. 30. 2023年10月3日閲覧。

各回結果の出典 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集