東急5000系電車 (初代) > 松本電気鉄道5000形電車

松本電気鉄道5000形電車(まつもとでんきてつどう5000けいでんしゃ)は、松本電気鉄道(現・アルピコ交通)が保有していた電車。東京急行電鉄5000系電車の譲受車[1]である。

松本電気鉄道5000形電車
5000形(2003年7月)
基本情報
運用者 松本電気鉄道
種車 東急5000系(初代)
改造所 東横車輛電設
改造数 8両
運用開始 1986年
運用終了 2000年
主要諸元
編成 2両編成 (1M1T)
軌間 1,067 mm
電気方式 直流 1,500 V
全長 18,500 mm
全幅 2,740 mm
全高 4,120 mm
車体 高張力鋼
駆動方式 直角カルダン駆動方式
制御方式 抵抗制御
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概要 編集

1986年(昭和61年)に上高地線が架線電圧を750Vから1500Vに昇圧する際、これまで使用されていた10形を代替するため、8両が投入された[1]。 譲受に際し、下記の改造が実施されている。

  • ワンマン機器(バックミラー、出入口表示器等)の取り付け[1]
  • 前照灯のシールドビーム化
  • 両運転台化(モハ5007・5009)[1]
  • 電装解除(クハ5002・5004・5006)[1]
  • 塗色を白地に赤・青の帯・「MRC」のロゴの入ったものに更新
    なお、東急で譲渡工事終了後の試運転に際し、下塗りの白一色の状態で試運転されている。

形式は下記の通りである[1]。種車は全て東急在籍当時は制御電動車(デハ5000形)であった。

  • モハ5000形
    • 5001・5003・5005
      片運転台の制御電動車。クハ5000形と編成を組んだ。
 
5007と5009の連結部
    • 5007・5009
      両運転台の制御電動車。元の連結面側に前面貫通型の運転台を取り付けた「平面ガエル」。両運転台化用の機器は別の廃車されたデハ5000形の発生品を使用している。
  • クハ5000形
    • 5002・5004・5006
      片運転台の制御車。前述の通り種車はデハ(制御電動車)であるが、入線に際して電装解除されたものである。

編成は2両編成4本。番号は下記の通り(左側が新島々寄り)。

  • モハ5001-クハ5002、モハ5003-クハ5004、モハ5005-クハ5006、モハ5007+モハ5009

車両番号の変遷 編集

松電での車両番号 東急時代の車両番号
モハ5001 クハ5002 デハ5047 デハ5024
5003 5004 5051 5034
5005 5006 5055 5048
5007 モハ5009 5052 5050

入線後の動向 編集

入線以来、上高地線の営業列車として運用されてきた。しかし非冷房であったことや車体・機器の老朽化から車両の代替が行われることになり、1999年(平成11年)から翌2000年(平成12年)にかけて3000形(元京王電鉄3000系)に代替され、全車廃車となった。なお5007+5009は閑散時の1両運転を考慮して両運転台化されたものであったが、実際に1両で営業運転されることはなかった[要出典]

なお、2006年(平成18年)5月には上田電鉄がイベントに際して同社5200系の外観復元を行った際、本系列で使用されていたパンタグラフが譲渡された。

保存 編集

 
松本電気鉄道塗装時代(2011年6月)
 
グリーン時代(2012年1月)

廃車後は大半の車両が解体処分されたが、5005+5006編成のみは解体を免れ、新村駅隣の新村車庫に静態保存された。長年の屋外留置のため車体の傷みが目立つ状態となったため、地元・沿線ボランティア等による再塗装が2009年頃に完了し、現役当時の塗装に復元された。2011年7月には、首都圏や県内の鉄道愛好家有志によって東急時代の姿に復元するための作業が始まり、同年9月にグリーン一色となった姿で公開された[2]

2020年(令和2年)3月24日に新村車庫より搬出され、群馬県前橋市富士見町赤城高原へ陸送された。現在は同所に保存されているデハ3450形3499号車と隣り合わせの状態で設置されている。

脚注 編集

  1. ^ a b c d e f 鉄道ジャーナル』第21巻第12号、鉄道ジャーナル社、1987年10月、136頁。 
  2. ^ “「アオガエル」当時の姿に 上高地線新村駅の旧5000系”. 信濃毎日新聞. (2012年5月21日). http://www8.shinmai.co.jp/odekake/article.php?id=ODEK20120521000220 

関連項目 編集