果物籠を持つ少年』(くだものかごをもつしょうねん、: Fanciullo con canestro di frutta, : Boy with a Basket of Fruit)は1593年ごろの作品で、イタリアバロック期の巨匠ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョに一般的に帰属されている絵画である。現在ローマボルゲーゼ美術館に所蔵されている。

『果物籠を持つ少年』
作者カラヴァッジョ
製作年1593年ごろ
寸法70 cm × 67 cm (28 in × 26 in)
所蔵ボルゲーゼ美術館ローマ

概要 編集

この絵画は、生まれ故郷のミラノからローマに新たに到着したカラヴァッジョが、競争の激しいローマの芸術界に進出していた時期に遡る。モデルは彼の友人かつ仲間であったシチリアの画家マリオ・ミンニーティで、およそ16歳であった。この絵画は、シピオーネ・ボルゲーゼ枢機卿に押収されたジュゼッペ・チェーザリ、別名カヴァリエール・ダルピーノのコレクションに含まれていたため、カラヴァッジョがダルピーノの工房で「花と果物を描く」ために働いていた時期にまで遡るものなのかもしれない。しかし、もう少し後の時期のものである可能性もある。カラヴァッジョとミンニーティがダルピーノの工房を離れ(1594年1月)、画商のコスタンティーノを通じて絵画を販売する独自の方法を形成した時期である。確実なこととして、ミニーティがローマに到着した1593年より以前のことではありえないが、『女占い師』や『いかさま師』(どちらも1594年)など同じ時期の一層複雑な作品(モデルとしてミンニーティが出ている)よりも以前のものであると考えられている。『いかさま師』によって、カラヴァッジョは最初の重要な後援者となったフランチェスコ・マリア・デル・モンテ枢機卿の注目を集めた。ヴィットリオ・スガルビは、『果物籠を持つ少年』の画面に、ダルピーノの工房にいた他の画家をたやすく示唆しうる、ある種のムリーリョ風肖像画的特質に注目している[1]

ある意味、この絵画は少年の肌から桃の皮まで、服の襞から籠の編み目まで、すべてを描く画家の能力を誇示するように制作されたジャンルの作品である。果物は特に絶妙に描かれ、インディアナ州パーデュー大学の園芸・造園学部のジュール・ジャニック教授は、園芸学者の観点からそれらを分析した[2]

籠には...すべてほぼ完璧な状態の、非常に多くの果物が入っており、明るい赤味のある2色の桃が含まれている。ブドウの4つの房は、2つは黒、1つは赤、1つは「白」である。熟したザクロが裂けて開き、赤い種を露わにしている。 4つのイチジクがあり、そのうちの2つは熟していない黒いもので、両方とも割れており、残りの2つは明るい色である。 2つのセイヨウカリンがある。3つのリンゴがあり、2つは赤い。そのうちの1つは赤味が差し、もう1つは縞模様である。もう1つのリンゴは黄色で、あずき色の地に傷がある。小さなナシのある2つの枝があり、1つは真っ赤な部分のある5つの黄色のナシの枝であり、もう1つは半分隠れている、黄色いが赤味のある小さなナシの枝である。さまざまな病気を示している葉もある。真菌の斑点のある顕著なガラス質のブドウの葉と、斜めの縞模様のハマキガ(Choristoneura rosaceana)に似た白い昆虫の卵塊を持つ葉、およびさまざまな斑点のある桃の葉である。

分析すると、カラヴァッジョがリアルであることが示される。果物籠に入っているものだけを捉えることで、それらの熟度も配置も理想化していない。それでも、ほとんど奇跡的に鑑賞者は果物籠を見ることに引き込まれていく。鑑賞者にとって、非常に美しく絶妙な主題である。

外部リンク 編集

脚注 編集

  1. ^ Vittorio Sgarbi "Caravaggio", in FMR#9, 1985
  2. ^ Janick (n.d.). “Caravaggio's Fruit”. 2003年8月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年3月27日閲覧。