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柚月裕子

日本の女性小説家、推理作家

来歴編集

岩手県釜石市の出身で[3]、小学2年生から5年生までの間は盛岡市で過ごし、盛岡市立山岸小学校で学んだ[3]。子どもの頃は転勤族で小学校を3回変わるなど[5]、岩手県内をあちこち転校していたという。少女時代からシャーロック・ホームズシリーズに親しむ[6][7]。成人するまでは岩手県で過ごし[5]、高校卒業後に父の転勤に伴って山形県山形市に転居。21歳で結婚し、ほどなく転勤で岩手に戻った両親をよそに同地に定住して、2児を設ける[8]

子育てが一段落した時に、山形市にて池上冬樹が世話人を務める「小説家になろう講座」の開催を知って、講師を務めるベテランの作家や編集者の話が聞きたいと講座に参加する。一方で地元タウン誌の手伝いで取材原稿を執筆して自分の文章を読んでもらえる喜びを知り、自分が思ったことを表現したいと小説の執筆を開始する。初めて講座に提出した短編で講師の志水辰夫に可能性を指摘されたことで地元・山形新聞社主催の「山新文学賞」への応募を決意し[8]、2007年、「待ち人」が同賞に入選する。

大人になり、著名作家の話を聞きたくて参加した「小説家(ライター)になろう講座」(文芸評論家池上冬樹が世話人)を受講したことが小説を書き始めたきっかけと語っている。『山新文学賞』で入選したのが自信となり、2008年、44歳の時に『臨床真理』で第7回『このミステリーがすごい!』大賞の大賞を受賞し、主婦業のかたわらで作家としてデビュー[9][10]

2013年、『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞を受賞。2016年、『孤狼の血』シリーズ3部作の第1作『孤狼の血』で4回目のノミネートだった第69回日本推理作家協会賞を受賞[3]。同作品は2018年に映画化され[11]、公開後の5月21日付けオリコン週間文庫ランキングでは同名原作小説が15位から9位にランクアップし、柚月にとって初のトップ10入りを果たした[12]。また、シリーズ第2作『凶犬の眼』をベースとした映画の続編が制作されることが発表されている[13][14]他、『岩手日報』にて2018年2月から2019年1月に連載した『孤狼の血』シリーズ3部作の完結編となる『暴虎の牙』[15]の連載が『夕刊フジ』で2018年10月1日から開始された[16]

人物編集

子どもの頃から男の世界といわれる物語が好きで[17]、初恋の人は映画『セーラー服と機関銃』で目高組の若頭を演じた渡瀬恒彦[15]。また、『仁義なき戦い』や『県警対組織暴力』の大ファン[17][18]。両作品の舞台は広島であるが、柚木は広島を「事件が起きるべくして起きる土地」ととらえており、『孤狼の血』にも暴力団が登場するため、リアリティーを出すために舞台を広島にした[3]。また、代表作である佐方貞人シリーズ[18]でも主人公の佐方を広島出身に設定している[17]

横山秀夫は尊敬する作家の一人であり、自身の著書『最後の証人』刊行時に帯に推薦文を書いてもらえたことに感動したという[7]

趣味はトールペイント[19]やソーイング[20]

家族は夫と1男1女[15]ヒマラヤンチンチラゴールデンのメス猫2匹を飼っている[21]

父の離婚と再婚にともなって、幼少期は生母と、後に義母と暮らした。28歳の時に生母ががんにより56歳で死去[5]、また東日本大震災による津波で岩手県宮古市の実家が流され父と義母を亡くしている[10]

受賞・候補歴編集

作品リスト編集

単行本編集

佐方貞人シリーズ編集

  • 最後の証人(2010年5月 宝島社 / 2011年6月 宝島社文庫 / 2018年6月 角川文庫
  • 検事の本懐(2011年11月 宝島社 / 2012年11月 宝島社文庫 / 2018年7月 角川文庫)
    • 収録作品:樹を見る / 罪を押す / 恩を返す / 拳を握る / 本懐を知る
  • 検事の死命(2013年9月 宝島社 / 2014年10月 宝島社文庫 / 2018年8月 角川文庫)
    • 収録作品:心を掬う / 業をおろす / 死命を賭ける / 死命を決する
  • 検事の信義(2019年4月20日 角川書店)

「孤狼の血」シリーズ編集

  • 孤狼の血(2015年8月 KADOKAWA / 2017年8月 角川文庫)
  • 凶犬の眼(2018年3月 KADOKAWA)

その他編集

  • 臨床真理(2009年1月 宝島社 / 2010年3月 宝島社文庫【上・下】)
  • 蟻の菜園〜アントガーデン〜(2014年8月 宝島社 / 2015年8月 宝島社文庫)
  • パレートの誤算(2014年10月 祥伝社 / 2017年4月 祥伝社文庫
  • 朽ちないサクラ(2015年2月 徳間書店 / 2018年3月 徳間文庫
  • ウツボカズラの甘い息(2015年5月 幻冬舎 / 2018年10月 幻冬舎文庫
  • あしたの君へ(2016年7月 文藝春秋
    • 収録作品:背負う者 / 抱かれる者 / 縋る者 / 責める者 / 迷う者(「旅立つ者」より改題)
  • 慈雨(2016年10月 集英社 / 2019年4月 集英社文庫)
  • 合理的にあり得ない 上水流涼子の解明(2017年2月 講談社)
    • 収録作品:確率的にあり得ない / 合理的にあり得ない / 戦術的にあり得ない / 心情的にあり得ない / 心理的にあり得ない
  • 盤上の向日葵(2017年8月 中央公論新社

アンソロジー編集

「」内が柚月裕子の作品

  • このミステリーがすごい!』大賞10周年記念 10分間ミステリー(2012年2月 宝島社文庫)「サクラ・サクラ」
  • しあわせなミステリー(2012年4月 宝島社)「心を掬う」- 佐方貞人シリーズ短編
    • 【改題】ほっこりミステリー(2014年3月 宝島社文庫)
  • 『このミステリーがすごい!』大賞作家書き下ろしBOOK(2012年8月 宝島社)「業をおろす」
  • 5分で読める! ひと駅ストーリー 降車編(2012年12月 宝島社文庫)「原稿取り」
  • ザ・ベストミステリーズ 2013 推理小説年鑑(2013年4月 講談社)「心を掬う」
    • 【分冊・改題】Symphony 漆黒の協奏曲 ミステリー傑作選(2016年4月 講談社文庫
  • もっとすごい! 10分間ミステリー(2013年5月 宝島社文庫)「お薬増やしておきますね」
  • 5分で読める! ひと駅ストーリー 夏の記憶 東口編(2013年7月 宝島社文庫)「チョウセンアサガオの咲く夏」
  • 『このミステリーがすごい!』大賞作家書き下ろしブック vol.2(2013年8月 宝島社)「死命を賭ける」
  • 短篇ベストコレクション 現代の小説2014(2014年6月 徳間文庫)「泣き虫の鈴」
  • 5分で読める! 怖いはなし(2014年6月 宝島社文庫)「初孫」
  • 5分で読める! ひと駅ストーリー 猫の物語(2014年9月 宝島社文庫)「愛しのルナ」
  • 5分で泣ける! 胸がいっぱいになる物語(2015年3月 宝島社文庫)「サクラ・サクラ」
  • 5分で凍る! ぞっとする怖い話(2015年5月 宝島社文庫)「チョウセンアサガオの咲く夏」
  • 5分で読める! ひと駅ストーリー 旅の話(2015年12月 宝島社文庫)「影にそう」
  • 5分で笑える! おバカで愉快な物語(2016年3月 宝島社文庫)「原稿取り」
  • 5分で驚く! どんでん返しの物語(2016年6月 宝島社文庫)「チョウセンアサガオの咲く夏」
  • 10分間ミステリー THE BEST(2016年9月 宝島社文庫)「サクラ・サクラ」
  • 警察アンソロジー 所轄(2016年10月 ハルキ文庫)「恨みを刻む」
  • 悪意の迷路(2016年11月 光文社)「背負う者」
  • 猫が見ていた(2017年7月 文春文庫)「泣く猫」
  • 推理作家謎友録 日本推理作家協会70周年記念エッセイ(2017年8月 角川文庫)※エッセイアンソロジー

単行本未収録短編編集

  • 正義を質す(宝島社『このミステリーがすごい!』2016年版)
  • 泣く猫(文藝春秋『オール讀物』2017年4月号)
  • 黙れおそ松(KADOKAWA『ダ・ヴィンチ』2017年11月号)

映像化作品編集

テレビドラマ編集

映画編集

メディア出演編集

DVD編集

  • ネコメンタリー 猫も、杓子も。(2019年4月17日 ポニーキャニオン PCBE-55989)「柚月裕子とメルとピノ」を収録。特典映像「もっとネコメンタリー」(未公開映像)

脚注編集

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  1. ^ 宝島社HPプロフィールや出版済みの本等、読み仮名はひらがなでは「ゆづきゆうこ」、ローマ字では「Yuko Yuzuki」で統一されている。
  2. ^ 一般社団法人日本推理作家協会 会員名簿 柚月 裕子”. 一般社団法人日本推理作家協会. 2018年5月28日閲覧。
  3. ^ a b c d e f 柚月裕子 (2016年5月9日). 「孤狼の血」で待望の受賞 釜石出身の柚月裕子さん 盛岡で小学時代過ごす “裏の正義”描き出す 第69回日本推理作家協会賞. インタビュアー:相原礼以奈. 盛岡タイムス.. http://www.morioka-times.com/news/2016/1605/09/16050901.htm 2018年5月29日閲覧。 
  4. ^ 釜石応援ふるさと大使-釜石市”. 釜石市. 2018年5月28日閲覧。
  5. ^ a b c 柚月裕子 (2015年11月18日). 作家の読書道 第166回:柚月裕子さん. インタビュアー:瀧井朝世. WEB本の雑誌.. http://www.webdoku.jp/rensai/sakka/michi166_yuzuki/ 2016年11月11日閲覧。 
  6. ^ 柚月裕子. 嗜好と文化:第64回 柚月裕子さん「気がつけば少数派」. (インタビュー). 毎日新聞.. http://mainichi.jp/sp/shikou/64/01.html 2016年11月11日閲覧。 
  7. ^ a b 柚月裕子. 『BOOKトピックス』vol.15. (インタビュー). さくらんぼテレビ.. オリジナルの2013年1月9日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130109201657/http://www.sakuranbo.co.jp/special/topics/015.html 2018年5月29日閲覧。 
  8. ^ a b 柚月, 裕子 (2015年11月18日). 作家の読書道 第166回:柚月裕子さん. インタビュアー:瀧井朝世. 本の雑誌社/博報堂.. p. 4. WEB本の雑誌.. http://www.webdoku.jp/rensai/sakka/michi166_yuzuki/20151118_4.html 2019年5月14日閲覧。 
  9. ^ a b 第7回『このミステリーがすごい!』大賞は青春ミステリーと正統派サスペンスのダブル受賞”. 新刊JPニュース. オトバンク (2008年9月30日). 2016年4月21日閲覧。
  10. ^ a b 柚月, 裕子 (2012年8月5日). 40歳デビューの美人作家、実は主婦! ★柚月裕子著「検事の本懐」(宝島社). インタビュアー:大谷順. 産経デジタル.. zakzak by 夕刊フジ.. https://www.zakzak.co.jp/entertainment/ent-news/news/20120805/enn1208050734000-n1.htm 2019年5月14日閲覧。 
  11. ^ a b “『孤狼の血』役所広司主演で映画化 松坂桃李、真木よう子らが共演”. ORICON NEWS (oricon ME). (2017年4月3日). https://www.oricon.co.jp/news/2088557/full/ 2019年5月13日閲覧。 
  12. ^ “柚月裕子さん「孤狼の血」が実写映画公開で作品初&著者初のトップ10入り”. スポーツ報知. (2018年5月17日). https://www.hochi.co.jp/entertainment/20180516-OHT1T50161.html 2018年10月20日閲覧。 
  13. ^ 映画『孤狼の血』 続編製作決定!!”. 東映 (2018年5月25日). 2018年5月28日閲覧。
  14. ^ 映画『孤狼の血』続編製作決定 役所広司「第一作を遥かに超えるいい作品を期待」”. ORICON NEWS. オリコン (2018年5月26日). 2018年5月28日閲覧。
  15. ^ a b c d 柚月裕子 (2018年5月9日). こんな物語を私も書きたい「仁義なき戦い」が原点…「孤狼の血」柚月裕子さんインタビュー. インタビュアー:北野新太. スポーツ報知.. https://www.hochi.co.jp/entertainment/20180508-OHT1T50217.html 2018年8月20日閲覧。 
  16. ^ 浅野 (2018年10月1日). “「孤狼の血」シリーズ第3弾にして完結編!柚月裕子『暴虎の牙』連載開始”. ほんのひきだし. 日本出版販売. 2018年10月20日閲覧。
  17. ^ a b c 「暴力団抗争立ち向う2人の刑事 広島舞台に『男の世界』」『中国新聞』、2015年9月26日11面。
  18. ^ a b 柚月裕子 (2015年9月5日). 日の当たらないところの正義を描きたかった―『孤狼の血』柚月裕子インタビュー. インタビュアー:朝宮運河. ダ・ヴィンチニュース.. https://ddnavi.com/news/256616/a/ 2016年11月11日閲覧。 
  19. ^ 家具などの木製品に絵具を塗る手芸、フォークアート
  20. ^ MY WAY PEAPLE[要文献特定詳細情報]
  21. ^ a b ネコメンタリー 猫も、杓子(しゃくし)も。「柚月裕子とメルとピノ」”. NHKドキュメンタリー. NHK (2018年8月13日). 2018年10月20日閲覧。
  22. ^ “推理作家協会賞、柚月裕子さん「孤狼の血」など”. YOMIURI ONLINE. (2016年4月19日). オリジナルの2016年4月21日時点によるアーカイブ。. https://archive.is/9k2vL 2017年8月5日閲覧。 
  23. ^ “千葉雄大、異端の棋士役でNHK連ドラ初主演「少しでも残るものを」”. ORICON NEWS (oricon ME). (2019年5月13日). https://www.oricon.co.jp/news/2135360/full/ 2019年5月13日閲覧。 

外部リンク編集