柴崎 友香(しばさき ともか、本名同じ、1973年10月20日 - )は、日本小説家

柴崎 友香
(しばさき ともか)
誕生 (1973-10-20) 1973年10月20日(50歳)
日本の旗 日本大阪府大阪市大正区
職業 小説家
言語 日本語
最終学歴 大阪府立大学総合科学部
活動期間 1999年 -
ジャンル 小説随筆
代表作 『その街の今は』(2006年)
寝ても覚めても』(2010年)
春の庭』(2014年)
主な受賞歴 咲くやこの花賞(2006年)
織田作之助賞大賞(2006年)
芸術選奨新人賞(2007年)
野間文芸新人賞(2010年)
芥川龍之介賞(2014年)
芸術選奨(2024年)
デビュー作 「レッド、イエロー、オレンジ、オレンジ、ブルー」(1999年)
配偶者 独身[1]
公式サイト 小説家:柴崎友香オフィシャルサイト
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経歴 編集

大阪府大阪市大正区出身。大阪府立市岡高等学校大阪府立大学総合科学部国際文化コース卒業。

母は広島県呉市の出身で、祖父は『わたしがいなかった街で』に書かれた通り、広島市原爆ドーム近くのホテルコックとして働き、原爆投下の直前、呉市に移り難を逃れ、後に大阪に出た[2]。『わたしがいなかった街で』に出てくる「赤い橋」は音戸大橋を指す[2]

小学校4年生の国語の教科書で、"たった三行でわたしに小説を書き続けるエネルギーをくれたのはジャン・コクトーの「シャボン玉」という詩だった"[3]という。高校時代から小説を書き始める。大学では写真部に所属[4]。大学で人文地理学を専攻したことは「風景」を意識する作風に大きな影響を与えた[5]。大学卒業後は4年ほど機械メーカーでOLとして勤めた。

1998年、「トーキング・アバウト・ミー」で第35回文藝賞の最終候補になる(受賞者は鹿島田真希)。1999年、短編「レッド、イエロー、オレンジ、オレンジ、ブルー」が『文藝別冊 J文学ブック・チャートBEST200』に掲載されて作家デビューする。

2004年、『きょうのできごと』が田中麗奈妻夫木聡の主演で行定勲監督により『きょうのできごと a day on the planet』のタイトルで映画化。2006年に第24回咲くやこの花賞(文芸その他部門)を受賞し、『その街の今は』で第23回織田作之助賞大賞を受賞。2007年、『その街の今は』で第136回芥川龍之介賞候補、第57回芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞[6]。同年、『また会う日まで』で第20回三島由紀夫賞候補、「主題歌」で第137回芥川龍之介賞候補。

2006年より名久井直子長嶋有福永信法貴信也とともに同人作家として同人活動も行なっている。作家の保坂和志から高い評価を受けるが、三島由紀夫賞選考では保坂との作風の類似も指摘されている(福田和也の評)。

2010年、「ハルツームにわたしはいない」で第143回芥川龍之介賞候補、『寝ても覚めても』で第32回野間文芸新人賞受賞[7]2014年、「春の庭」で第151回芥川龍之介賞受賞[8]

2018年、『寝ても覚めても』が東出昌大主演で濱口竜介監督により映画化[9]。同作は第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品された[10]

受賞歴 編集

作品一覧 編集

小説 編集

  • きょうのできごと』(2000年、河出書房新社/2004年、河出文庫)
    • レッド、イエロー、オレンジ、オレンジ、ブルー(『文藝別冊 J文学ブック・チャートBEST200』)
    • 途中で(『文藝』1999年冬号)
    • ハニーフラッシュ、オオワニカワアカガメ、十年後の動物園(書き下ろし)
    • きょうのできごとのつづきのできごと(文庫版のみ/『文藝』2004年春号)
  • 『次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?』(2001年、河出書房新社/2006年、河出文庫)
    • 次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?(『文藝』2000年夏号)
    • エブリバディ・ラブズ・サンシャイン(『文藝』2001年春号)
  • 『青空感傷ツアー』(2004年、河出書房新社/2005年、河出文庫)
    • 初出:『文藝』2002年夏号
  • 『ショートカット』(2004年、河出書房新社/2007年、河出文庫)
    • ショートカット(『文藝』2003年秋号)
    • やさしさ(『文藝』2004年夏号)
    • パーティー(書き下ろし)
    • ポラロイド(書き下ろし)
  • 『フルタイムライフ』(2005年、マガジンハウス/2008年、河出文庫・ISBN 4309409350
    • 初出:『ウフ.』2004年5月号~2005年2月号
  • 『その街の今は』(2006年、新潮社/2009年、新潮文庫・ISBN 4101376417
  • 『また会う日まで』(2007年、河出書房新社/2010年、河出文庫) 
    • 初出:『文藝』2006年春号
  • 『主題歌』(2008年、講談社/2011年、講談社文庫) 
    • 主題歌(『群像』2007年6月号)
    • 六十の半分(『朝日新聞』関西版2006年1月5日、12日、19日、26日)
    • ブルー、イエロー、オレンジ、オレンジ、レッド(『Melbourne 1』2006年11月)
  • 『星のしるし』(2008年、文藝春秋ISBN 978-4163274805
  • 『ドリーマーズ』(2009年、講談社/2012年、講談社文庫) 
    • ハイポジション(『群像』2005年5月号)
    • クラップ・ユア・ハンズ!(『Иркутск2』〔イルクーツク2〕2007年12月)
    • 夢見がち(『esora vol・2』2005年7月)
    • 束の間(『esora vol・3』2006年4月)
    • 寝ても覚めても(『esora vol・5』2008年8月)
    • ドリーマーズ(『群像』2009年6月号)
  • 寝ても覚めても』(2010年、河出書房新社/2014年、河出文庫) 
  • 『ビリジアン』(2011年、毎日新聞社/2016年、河出文庫)
  • 『虹色と幸運』(2011年、筑摩書房/2015年、ちくま文庫)
  • わたしがいなかった街で』2012年、新潮社/2014年、新潮文庫)
    • わたしがいなかった街で
    • ここで、ここで
  • 『週末カミング』2012年、角川書店/2017年、角川文庫)
    • 蛙王子とハリウッド(『野性時代』2006年8月号)
    • ハッピーでニュー
    • つばめの日(『野性時代』2008年12月号)
    • なみゅぎまの日
    • 海沿いの道
    • 地上のパーティー
    • ここからは遠い場所
    • ハルツームにわたしはいない(『新潮』2010年6月号)
  • 『星よりひそかに』(2014年、幻冬舎
  • 春の庭』(2014年、文藝春秋/2017年、文春文庫)
    • 春の庭(『文學界』2014年6月号)
    • 糸(文庫版のみ/『新潮』2013年5月号)
    • 見えない(文庫版のみ/『窓の観察』2012年9月)
    • 出かける準備(文庫書き下ろし)
  • パノララ』(2015年、講談社/2018年、講談社文庫)
  • 『きょうのできごと、十年後』(2016年、河出書房新社/2018年、河出文庫)
  • 『かわうそ堀怪談見習い』(2017年、KADOKAWA/2020年、角川文庫)
  • 『千の扉』(2017年、中央公論新社/2020年、中公文庫)
  • 『公園へ行かないか?火曜日に』(2018年、新潮社)
  • 『つかのまのこと』(2018年、KADOKAWA)
  • 『待ち遠しい』(2019年、毎日新聞出版/2023年、毎日文庫)
  • 『百年と一日』(2020年、筑摩書房/2024年、ちくま文庫)
  • 『続きと始まり』(2023年、集英社)

随筆 編集

  • 『ガールズファイル~27人のはたらく女の子たちの報告書~』(2007年、マガジンハウス
    • ガールズファイル(『ハナコ・ウエスト』2005年6月号~2007年8月号)
    • 毎日、寄り道。(『ハナコ・ウエスト』2004年5月号~2005年5月号)※小説
  • 『見とれていたい わたしのアイドルたち』(2009年、マガジンハウス)
  • 『よそ見津々(しんしん)』(2010年、日本経済新聞出版社)
  • 『よう知らんけど日記』(2013年、京阪神エルマガジン社
  • 『宇宙の日』(2020年、ignition gallery)

対談集 編集

  • 『ワンダーワード』(2008年、小池書院ISBN 978-4862253071
    • ワンダーワード(『大阪芸術大学 大学漫画』vol.1~vol.9)特別編含む。
    • 京都観光 2024原作/柴崎友香・作画/田雜芳一(『河南文藝 漫画篇』vol.3)
    • 上條淳士とふたたび and 2008 Now――(新録書き下ろし)

共著 編集

  • 『いつか、僕らの途中で』(2006年、ポプラ社)共著・イラスト、田雜芳一
    • 田雜芳一との往復書簡。『河南文藝 漫画篇』2004年初夏号~2005年新春号連載。
  • オールマイティのよろめき(extra flight!)(Иркутск2〔イルクーツク2〕)
  • 『大阪建築 みる・あるく・かたる』(2014年、京阪神エルマガジン社)共著・倉方俊輔
  • 『大阪』(2021年、河出書房新社)共著・岸政彦

アンソロジー 編集

ムック 編集

  • もうひとつの、きょうのできごと(2004年3月、河出書房新社・ISBN 430901626X
    • 映画出演者によるイメージ写真と、柴崎友香の書き下ろし短編小説から成っている。

単行本未収録作品 編集

  • ランドスケープ(『文藝』2003年夏号)
  • あと少し(『文藝』2004年冬号)
  • 小さな覗き窓(『集英社WEB文芸RENZABURO』連載中)※フォトエッセイ
  • お餅の焦げたところ(『ODD ZINE』Vol.4)
  • 知らなかった、と人々は言った(『文學界』2021年2月号)

出演 編集

ウェブ番組 編集

脚注 編集

  1. ^ 【BOOKセレクト】柴崎友香著「春の庭」 : 社会 : スポーツ報知
  2. ^ a b 論ステーション:戦争は遠いけれど 野樹かずみさん/柴崎友香さん. 毎日新聞 2013年08月09日 大阪朝刊. <オピニオン opinion>”. 毎日新聞 (2013年8月9日). 2014年7月28日閲覧。
  3. ^ 柴崎友香『よそ見津々』(日本経済新聞出版社)p.232で書いている。

    シャボン玉の中には
    庭は入れません
    周囲(まわり)をくるくる回っています

    同時に、コクトーが初めて書いた小説『ポトマック』もこの詩と同じ"世界のきらめきへの感動に満ちた眼差し"があるという。
  4. ^ あの頃が作品に生きている(作家・柴崎友香)|わたしの20代|ひととき創刊20周年特別企画|ほんのひととき|note”. note(ノート). 2022年4月29日閲覧。
  5. ^ 第91回:柴崎友香さんその4「風景に興味を持つ」 - 作家の読書道|WEB本の雑誌”. WEB本の雑誌. 2022年4月29日閲覧。
  6. ^ “芸術選奨、文部科学大臣賞に森山良子さんら17人”. asahi.com (朝日新聞社). (2007年3月16日). http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY200703160291.html 2018年5月9日閲覧。 
  7. ^ “野間三賞の受賞作品がそれぞれ発表、野間文芸新人賞に柴崎友香と円城塔”. CINRA.NET (株式会社 CINRA). (2010年11月5日). https://www.cinra.net/news/2010-11-05-204832-php 2018年5月9日閲覧。 
  8. ^ “第151回「芥川賞」は柴崎友香氏の『春の庭』 「直木賞」は黒川博行氏『破門』”. ORICON NEWS (oricon ME). (2014年7月17日). https://www.oricon.co.jp/news/2039912/full/ 2018年5月9日閲覧。 
  9. ^ “東出昌大、主演映画「寝ても覚めても」で初の一人二役 ヒロインは唐田えりか”. スポーツ報知 (報知新聞社). (2017年7月5日). https://web.archive.org/web/20170706131533/http://www.hochi.co.jp/entertainment/20170704-OHT1T50234.html 2018年4月5日閲覧。 
  10. ^ “是枝裕和&濱口竜介が、世界的名匠たちと競い合う!第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品決定”. NewsWalker (KADOKAWA). (2018年4月12日). https://moviewalker.jp/news/article/143566/ 2018年5月9日閲覧。 
  11. ^ 2016年度日本地理学会賞受賞者 - 日本地理学会”. 日本地理学会 - 公益社団法人日本地理学会は,地理学に関する学理及びその応用の研究に関する事業を行い,地理学の進歩普及を図り,もってわが国の学術の発展と科学技術の振興に寄与するとともに,地理教育の推進,社会連携の推進,国際協力の推進を図り,社会の発展に資することを目的としています. (2021年5月18日). 2022年4月29日閲覧。

外部リンク 編集