根本説一切有部律(こんぽんせついっさいうぶりつ、Mūlasarvāstivāda vinaya)とは、仏教に伝わる(vinaya)典籍の1つ。その名の通り、上座部系の根本説一切有部(Mūlasarvāstivāda)という部派の律である[1]。この部派は説一切有部(『十誦律』はこの部派のものとされる)よりは後に成立したことは分かっているものの、その詳細や説一切有部との関係は明らかになっていない。
漢訳における比丘の戒律は249条ある[1]義浄訳の『根本説一切有部毘奈耶』だけで五十巻あり、さまざまな仏教説話を収録した大部の律文献である[1]

上座部仏教(南伝仏教)のパーリ語経典に伝わる『パーリ律』、中国仏教(北伝仏教)に伝わる『四分律』『五分律』『十誦律』『摩訶僧祇律』(以上、「四大広律」)と並び、現存する6つの律の内の1つ。チベット仏教や高野山真言宗において継承・採用されている[2]

チベット大蔵経に収録されている。漢訳の大蔵経には、義浄訳の『根本説一切有部毘奈耶』関連の典籍が収録されている(大正新脩大蔵経1442-1459番・律部)。(ちなみに、唐招提寺にある『根本説一切有部戒経』等は、国の重要文化財に指定されている[3]。)

脚注・出典 編集

  1. ^ a b c 「根本説一切有部毘奈耶」 - ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典、Britannica Japan。
  2. ^ 上田天瑞「有部律について」『密教研究』第1932巻第46号、密教研究会、1932年、1-24頁、doi:10.11168/jeb1918.1932.46_12024年1月9日閲覧 
  3. ^ 国宝・重要文化財(美術品)- 根本説一切有部戒経”. 国指定文化財等データベース. 2022年4月7日閲覧。

関連項目 編集