バンド (音楽)

音楽演奏の形態
楽団から転送)

バンド: band)または楽団(がくだん)、楽隊(がくたい)とは、楽曲演奏する集団のこと。

キング&カーター・ジャズ・オーケストラ、1921年1月テキサス州ヒューストンで撮影

概要

編集

単に「バンド」と言った場合は、ジャズロックなどポピュラー音楽を指すことが多いが、広義にはジャンルを問わない。ただし、オーケストラはバンドと区別されることが多い。差異は、電子楽器エレキギタードラムセットを使用しているか否かであると見られることが多い[誰によって?]

訳語として楽団(がくだん)がある。ただし楽団と呼称した場合はオーケストラ(管弦楽団)も含まれ、特に管弦楽団や吹奏楽団を指すことが多い。この場合は電子楽器やギター、ドラムセットはパートに加わっていない。

通常、大半が楽器演奏者からなる集団を指すが、ごく希に、ボーカルグループに対し使うこともある。楽器演奏者に限定せず使える語に、ユニットグループがある。

なお、英語の“band”は音楽バンドのみならず、一まとまりの集団をも意味する(「バンド・オブ・ブラザース」など)。

種類

編集
 
ギター・トリオの代表的バンドであるジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスギタリストジミ・ヘンドリックス)、ベーシストノエル・レディング)、ドラマーミッチ・ミッチェル)の3人編成。

ジャンルによるもの

編集

ロックバンド

編集

主にロックを演奏することを目的としたバンド。一般的には3人から5人、あるいはそれ以上のメンバーで編成されており(2人のこともある)、楽器の編成も多岐に亘るが、概ね以下に分類される。専任ボーカル不在の場合は、メンバーの誰か、あるいは何人かがボーカルを兼任する場合が多い[注 1]

3人編成
編集
ギター・トリオ
ギタリスト+ベーシスト+ドラマーの構成。
ロックバンドの基本とされる編成。スリーピースと呼称される場合もある。
キーボード・トリオ
キーボーディスト+ベーシスト+ドラマーの構成。
ギターでなくキーボードを入れるスリーピース。当然ながら、ギターのロックバンドではなくなる[注 2]
4人編成
編集
ギター・トリオ+ボーカル
スリーピースとボーカルを個別に揃える4人タイプ。担当するパートを個別で専任にすることができる、ロックバンドのもう一つの基本的なタイプ。
ギター・トリオ+ギター
ギターを2本入れるタイプ。スリーピースに比べ、ボーカルが派手にステージングしにくくなる代わりに、2本のギターで音に厚みが生まれる。
ギター・トリオ+キーボード
キーボードを入れるタイプ。同様にスリーピースよりも音が厚い。
5人編成
編集
ギター・トリオ+ボーカル+ギター
ギターは2本で、かつボーカルを専任とする5人編成。パートが多く、ボーカルも専任であるため、人数が多いが演奏自体は比較的楽となる。
ギター・トリオ+ボーカル+キーボード
ギター・トリオに、さらに専任ボーカルとキーボードを揃える。全員が別のパートを担当し、かつ専任なので、音の自由度が高い。
ギター・トリオ+ギター+ギター
ギターを3人とするタイプ。この形式では、額面通りギター3人が全てギターを担当するバンドは少なく、たいていの場合「ギターなどのマルチプレイヤー」が、内1人は入る。
ギター・トリオ+ピアノ+シンセサイザー
ギター・トリオにピアノとシンセサイザーが入る。
変則的なもの
編集
ギターなどのマルチプレイヤー+ドラム
2人組のユニットで、ビート感の強い音を鳴らせるロックバンドとしての最少編成。最も簡素な編成でありながら、比較的新しいバンドでこの編成をとるバンドが多い。
ギター・トリオ+キーボード+パーカッション(トランペット)、ギター
5人編成。楽曲に応じて変則的である。また、7人編成以降はボーカルと兼任している。旧編成は以下の通り。
6人編成:ギター・トリオ+ギター+キーボード+パーカッション(トランペット
7人編成:ギター・トリオ+ギター+ギター(ブルースハープ)+キーボード+パーカッション(トランペット)
8人編成:ギター・トリオ+ギター+ボーカル+ボーカル+ボーカル+ボーカル
ギター・トリオ+ギター+ギターなど+ボーカル
6人編成。これを超える人数の形式はロックバンドではほとんどない。
ギター・トリオ+ギター+ドラム(パーカッション)+キーボードなど
6人編成でドラマーを2人とするタイプ。2人のドラミングで音圧が増しパフォーマンス性も高いが、ドラム同士のコンビネーションが強く求められる。
ギター・トリオ+サックス+ボーカル+サイドボーカル+サイドボーカル
非常に珍しい7人編成。日本ではチェッカーズが初。解散以降はJAYWALKまで現れなかった。
ギター・トリオ+ギター+ドラム+キーボード+ボーカル
7人編成。ドラム2組、ギター2本、加えて全てのパートが存在する非常に珍しい大人数。現在、JAYWALK以外は確認出来ていない。

ジャズバンド

編集

主にジャズを演奏することを目的としたバンド。

ジャズコンボ
少人数の編成によるバンド。バンドの構造はロックバンドと共通する点が多いが、ブラス/ホーンが加わる例が多いため、編成の種類はロックよりも多岐に亘る。また、従来のジャズバンドは生楽器による編成が基本とされていたが、マイルス・デイヴィス以降は電気/電子楽器の導入も稀ではなくなった(ウェザー・リポートチック・コリアハービー・ハンコックなど)。
ビッグバンド
大人数編成のバンド。
スウィング・ジャズバンド
スウィング・ジャズを主に演奏するためのバンド。

オーケストラ

編集

管弦楽団交響楽団とも呼称される。主にクラシック音楽及び非ポピュラー音楽の演奏を目的とした楽団。ただし「ボストン交響楽団」と「ボストン・ポップス・オーケストラ」の様な形で複数のジャンルを演奏する場合もある。ウィーン・フィルベルリン・フィルなど、活動拠点を名称にしている場合が多い。

またオーケストラのための楽曲で、舞台上のオーケストラとはなれた場所に別動隊として小編成のアンサンブルが同時演奏することがあり、この小編成のことをイタリア語でバンダと呼ぶ。詳細はバンダ (オーケストラ)を参照。

ポピュラーオーケストラ

編集

ポピュラーバンドポップスオーケストラとも呼称される。主にポピュラー音楽の演奏を目的とした楽団であり、指揮者自身がリーダーである場合が多い。

吹奏楽団

編集

人数によるもの

編集
  • 重奏団(デュオ、2ピースバンド)
  • 三重奏団(トリオ、3ピースバンド)
  • 四重奏団(カルテット、4ピースバンド)
  • 五重奏団(クインテット、5ピースバンド)
  • 六重奏団(セクステット、6ピースバンド)
  • 七重奏団(セプテット、7ピースバンド)
  • 八重奏団(オクテット、8ピースバンド)
  • 九重奏団(ノネット、9ピースバンド)
  • 十重奏団(デクテット、10ピースバンド)

その他

編集
女性ボーカルバンド
女性ボーカルを担当するバンド。レベッカLINDBERGJUDY AND MARYDREAMS COME TRUEなど多数。
ガールズバンド
原則として女性だけで編成されたバンド[1]
バックバンド
原則として伴奏を受け持つバンド。
ジャム・バンド
ステージにおいて即興演奏を行うことを主体とするバンド。
コピーバンド
または「クローンバンド」。任意の有名なバンドに似せた演奏を行うバンド。演奏内容だけでなく、衣装やステージアクションなどもコピーする例もある。ファンによるリスペクトや、諸事情でオリジナルのバンドを呼べない場合の代替手段など、存在理由は多岐にわたる。
コミックバンド
バンドの名称にもある通り情勢・身内・時事などをネタにした内容の演奏を行うバンド。主な具体例としてはクレージーキャッツザ・ドリフターズ[注 4]ずうとるびイモ欽トリオ、事実上一人バンド扱いのギタリスト・王様ビジーフォーがある。
アンサンブル
主にクラシックの数人から十数人程度の小編成の演奏団体に対して用いられる用語。時にはジャズを演奏する団体に対しても用いられる。
サウンド・システム
レゲエのバンドのこと。名前の由来はスピーカーなどの音響機器を含めて提供していたため。現在[いつ?]は音響機器を持っていなくてもサウンド・システムと呼ばれる。
インディーズバンド
大手レコード会社(メジャーレーベル)に所属せず、インディーズレーベルを中心に活動しているバンド。
アマチュアバンド
アマチュアによるバンド。

脚注

編集

注釈

編集
  1. ^ ただし、ロックバンドにボーカルが必須という訳ではなく、ベンチャーズフォーカススティーヴ・モーズ・バンドなど、インストゥルメンタル主体のロックバンドも存在する。
  2. ^ ただし、エマーソン・レイク・アンド・パーマーによる「タルカス」の一部や「悪の教典#9 第1印象」で、キーボーディストが演奏の低音部を片手で担当し、ベーシストがギターを担当するという例もある。
  3. ^ 結成からジェフ・ベックの脱退まで。
  4. ^ コメディアングループとしての活動が著名だが本来はバンド。

出典

編集

関連項目

編集