構造力学

構造物が荷重を受けたときに生じる応力や変形などを解析するための力学

構造力学(こうぞうりきがく、英語:structural mechanics)は連続体力学の一分野であり、橋梁建築物ヴィークル類などの構造物が荷重を受けたときに生じる応力変形などを解析するための力学

研究対象 編集

構造力学は主に建築物、橋梁、船舶、航空機などの構造物に外力が加わったときに各部材に生じる内力と変形を分析する学問である[1]。単一部材での分析を基礎とする材料工学とは区別されているが重なり合うものもある[1]

建築工学土木工学の分野では根幹を成す学問分野であり基礎学科になっている[1]水理学地盤力学と合わせて「3力(さんりき)」と呼ばれることがある。

なお、平面板や曲面板のみからなる構造物や地盤のように3次元的に連続しているものは通常は構造力学ではなく弾性学の対象となる[2]

前提条件 編集

物理学における力学では変形しない物体を取り扱うが、構造力学では変形する現実的な物体を取り扱う[3]。変形しても微小なものであり、目に見えるほど大きな変形は構造力学の適用範囲を超える[3]

変形発生時には力の作用する向きは変わらず、変形前に平面だった部分は変形後も平面と見なすこと(平面保持の仮定)ことで微小な変形とする[3]。また、微小な変形においては加える力と変形量が比例する線形であり、力を除くと元の力に戻る弾性であると仮定する[3]

構造力学の問題を解くための三つの条件 編集

次の三つの条件を式にすることで、あらゆる構造を解くことができる。

力およびモーメントの平衡条件 編集

部材には水平力、鉛直力、モーメントがはたらくが、これらはつり合わなければならない。すなわち、次のつり合い条件式を満たさなければならない。(以下、変形を2次元で考える)

水平力  
鉛直力  
モーメント  

変位の適合条件 編集

部材や支持部は、それらに適した変位でなければならない。連続した部材は変位も(場合によってはたわみ角なども)連続している。

支持形式には、ローラー支点、ヒンジ支点、固定支点、自由端がある。これらが満たす境界条件を下にまとめる。u は水平変位、v は鉛直変位、dv/dx = θ はたわみ角である。


支持形式 変位に関する境界条件 支点反力に関する境界条件
ローラー支点 v = 0 H = 0, M = 0
ヒンジ支点 u = 0, v = 0 M = 0
固定支点 u = 0, v = 0, dv/dx = 0 -
自由端 - H = 0, V = 0, M = 0

力と変位の関係 編集

構造力学の原理 編集

構造力学の解法 編集

脚注 編集

  1. ^ a b c 島本進、島本明『構造設計のための材料力学』日刊工業新聞社、2013年、1頁。 
  2. ^ 島本進、島本明『構造設計のための材料力学』日刊工業新聞社、2013年、2頁。 
  3. ^ a b c d 伊津野和行・野阪克義 2009, p. 2.

参考文献 編集

  • 伊津野和行・野阪克義『構造力学』森北出版、2009年1月30日。ISBN 978-4-627-41511-9 

関連項目 編集

外部リンク 編集