権助芝居(ごんすけしばい)は古典落語の演目[1]。別題に一分茶番(いちぶちゃばん)、素人茶番(しろうとちゃばん)、素人芝居(しろうとしばい)、鎌倉山(かまくらやま)、[1]。本来の題は「一分茶番」または「一部芝居」であったが、作中の時代を明治以降として、サゲの金額の貨幣単位が銭や円となることが多くなったため、現代では「権助芝居」の題で演じられることが多くなった[1]

あらすじ 編集

中橋あたりのある大家の誕生日を祝うとして、店子たちが素人芝居をすることになった。内容は『有職鎌倉山』に決まったが、直前で「非人の権平」役の小間物屋が急用で出られなくなる。そこで店子の一人である吉兵衛は飯炊きの権助を一分(あるいは50銭や5円)で雇い、代役に立てる。

芝居が始まるが、田舎者で頭の悪い権助はセリフを覚えていないなど、様々な騒動を起こす。やがて『鎌倉山』の見せ場の1つである泥棒である権平が縄で縛られる場面となる。芝居であるため、本当に縛られているわけではないのだが、観客が「ざまあみろ、権平が縛られた」と掛け声を挙げると、真に受けた権助が「おらは縛られてなんかいない」と言って、縄目を解いてしまう。さらに踊りだしたために相手の役人役が怒り、本当に権助を縛り上げる。そのまま、芝居を続け、役人役が「さあ、誰に頼まれて盗んだのだ。白状しろ」と縄をきつくすると、苦しんだ権助は言う。

「吉兵衛さんに、一分で頼まれました」

脚注 編集

注釈 編集

出典 編集

  1. ^ a b c 東大落語会 1969, pp. 61–62, 『一分茶番』.

参考文献 編集

  • 東大落語会『落語事典 増補』(改訂版(1994))青蛙房、1969年。ISBN 4-7905-0576-6