武夷岩茶(ぶいがんちゃ)は、中華人民共和国福建省北部の武夷山市で生産される青茶(烏龍茶)・他の種類。茶樹が山肌の風化した岩に生育しているためにこの名がある。中国十大銘茶のひとつ。

武夷岩茶
武夷岩茶の一種、大紅袍の茶葉と水色
各種表記
繁体字 武夷岩茶
簡体字 武夷岩茶
拼音 Wŭyí Yánchá
発音: ウーイーイェンチャー
英文 Wuyi Tea
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概要 編集

青茶の中でも最も貴重な物の1つで、香木にも似た独特な芳香に富み、渋みだけでなく甘みさえ感じる物が多い。また、その香りや味わいが、数煎目まで持続するといわれる。古くは南北朝時代南朝斉初から知られ、の時代には文人の孫樵が「晩甘侯」と賞美していることからも普及の度合いを知ることができる。

武夷岩茶の中には、自生している茶の樹及びその接木から作られる「大紅袍」などの著名な高級品もある。このため、一時は、隣接する江西省などを含め、産地にかかわらず武夷岩茶の名を使う例もみられたが、生産者および消費者の保護の観点から、2002年4月10日、中国国家品質監督検験検疫総局は『原産地地域産品保護規定』に基づいて、「原産地域産品専用マーク」を使用することを許可した。

これによって、「武夷岩茶」と表示できるのは、武夷山市内にある100余りの認可企業によって生産され、かつ、名岩区または丹岩区の原料を使用し、武夷岩茶としての特質、国家規格に合致しているものに限られている。また、2006年12月1日には、武夷岩茶の国家規格が改正され、原料の地区分け、茶の樹の品種分類、大紅袍の等級区分などを細かく改め、残留農薬や異物の許容量を、従来よりも厳しくした。

主な種類 編集

  • 大紅袍 - 最も貴重な茶葉。政府が管理している武夷山に自生するたった4本の茶樹から採取された第1世代は、一般に入手できることはまず無い。現在、一般に入手可能なものは、接ぎ木により生産された第2・第3世代の物である。
  • 小紅袍 - 大紅袍とは別の品種である。
  • 白鶏冠 - 新芽の縁が薄黄色ので縮れた感じが鶏のとさかに似ているため、この名前が付いた。
  • 水金亀
  • 半天腰
  • 鉄羅漢
  • 金駿眉 - 岩茶でも珍しい紅茶。一般に知られる「正山小種」よりも山の高い場所で取れる野生種の、厳選された茶葉のみで作られる。砂糖を使わなくとも甘く、蜂蜜または竜眼のような天然の香りがして長く持続するのが特徴。
  • 正山小種 - 岩茶の紅茶で、主にの木で薫香したフレーバーティーを指す[1]。輸出用は薫香が深く、中国の国内用は薫香が浅いとされ、全く薫香がなされないものもある。日本へは紅茶としてイギリス経由で輸入されるものが多い。

脚注 編集

  1. ^ 左能典代 2000, pp. 114–115.

参考文献 編集

  • 左能典代『中国名茶館』高橋書店、2000年4月。ISBN 4-471-40002-9 

関連項目 編集