武楽(ぶがく)は、「武の美」を主題に、武士が研鑽した武芸や、武士のたしなみであった茶の湯などの武士文化を融合した総合芸術である。2005年に源光士郎(みなもと こうしろう)が創案した。

概要 編集

武楽は、「武の美」を主題に、当時の武士が実際に稽古した古武術や、武士のたしなみであった能や茶の湯などの武士文化を融合させ再構成し、琵琶和太鼓といった和楽器の演奏を組み合わせた文化芸術。[1]

演武の形は、能装束を着用し、居合刀薙刀木剣舞扇を使って、武道の技と技の間を能の舞の所作で連環している。

雅楽公家歌舞伎民衆を中心に愛されたが、室町時代に足利将軍家に庇護され大成したは、武士の美意識を強く反映しており、武術にその能の要素を融合して美しさという観点から武士文化の芸術性を再構築したものである。[2]

主題「武の美」 編集

武楽が主題とする「武の美」の要素

  1. 術理の美:技や型、磨き上げられた身体操法に現れる機能美
  2. 間の美:時間・空間・音の余白、間と均衡(きんこう)の美、静謐(せいひつ)と閃耀(せんよう)の美
  3. たしなみの美:武士が文武両道の教養人として身に着けていた能や茶の湯、香道詩歌などのたしなみの美
  4. 刀剣武具・装束の美:武士の祈り思想哲学、美意識が込められた意匠
  5. 生き様の美:己を磨き他者を敬愛し、勇気と覚悟、正義感と自制心を持って信念を貫く求道の美
  6. 平和思想:「(ほこ)を止むるを武となす」に現れる平和を求める心

など。

武楽は、形の美だけでなく、こうした「武」の機能美や武士のたしなみ、死生観、生き様や精神性、思想哲学までをも含む武士美学の要素を「武の美」としてまとめ、それぞれを個々にではなく、パブロ・ピカソの絵のように多面的に和(あ)えて一つの作品上に構成し、芸術文化として再構築した表現体系である。[3]

主な演目 編集

など[4]

脚注 編集

  1. ^ 「武の美展~武士の美意識~」パンフレット「『武の美』― Introduction to Bunobi」、2017年
  2. ^ 「ぶ ー江戸かぶく現代―」 源 光士郎 インタビュー P44-45 (KAPUKI/オークラ出版)、2018年(ISBN 978-4-7755-2759-7
  3. ^ 月刊武道」2018年7月号(通巻620号)、シリーズ武道の可能性を探る :源 光士郎「『武楽』平和で美しい世界を求めて―― 武道における芸術性の活用と実践」(日本武道館)、2018年
  4. ^ 武楽公式サイト:http://bugaku.net/

参考文献 編集

  1. 武楽公式サイト:http://bugaku.net/
  2. 「武の美展~武士の美意識~」パンフレット「『武の美』― Introduction to Bunobi」、2017年
  3. 月刊武道 2018年7月号(通巻620号) シリーズ武道の可能性を探る 「『武楽』平和で美しい世界を求めて―― 武道における芸術性の活用と実践」源 光士郎、pp26-29(日本武道館)、2018年
  4. 月刊武道 2012年10月号(通巻551号) 随筆 「武の美が奏でる音楽」源 光士郎、pp114-115(日本武道館)、2012年
  5. 「ぶ ー江戸かぶく現代―」 源 光士郎 インタビュー pp44-45 (KAPUKI/オークラ出版)、2018年(ISBN 978-4-7755-2759-7
  6. インタビュー:FM「銀座ロイヤルサロン」源 光士郎 インタビュー記事&動画 http://ginza-royal.jp/koushiro-minamoto/
  7. 月刊秘伝 2016年7月号(通巻343号) 巻頭グラビア+特集「武の美を世界へ発信するサムライアート」pp3, 44-48 / レポート「武楽×セッタンジェリ:サムライアート展」(BABジャパン)、2016年
  8. 月刊秘伝 2017年12月号(通巻360号) レポート「ゲーム『信長の野望』からリアルの世界へ!『GAME SYMPHONY JAPAN 三越伊勢丹」開催」pp128-130(BABジャパン)、2017年
  9. GAME[要曖昧さ回避] SYMPHONY JAPAN 24th CONCERT - KOEI TECMO SPECIAL シブサワ・コウ35th」2017年9月2日開催(神奈川/ミューザ川崎シンフォニーホール)公演パンフレット「織田信長公として舞う― 武楽『敦盛』と「桃山勝利鼓」共演の旅」源 光士郎 pp15-16 (AIMVILLAGE)、2017年

外部リンク 編集