悪狼(あくろう)[1]は、将棋の種類の一つ。本将棋にはなく、大将棋大大将棋摩訶大大将棋泰将棋大局将棋に存在する。すべて共通する動きで、前三方と真横へは動けるが、後ろ三方へは動けない[2]

駒の動き 編集

駒の動きの凡例
表示 動きの解説
当該マスへ移動可
 |  マス数の制限なく縦方向へ移動可
 ―  マス数の制限なく横方向へ移動可
 \  /  マス数の制限なく斜め方向へ移動可
当該マスへ移動可(駒の飛び越え可)
 00  移動不可

大将棋 編集

成ると金将となり、真後ろへ1マス動くことができる。大将棋の駒としては、成駒が元の駒の完全上位互換であるが、新たな動きが1マス追加されるだけの2種類の駒のうちの1つである(もう一つは醉象太子)。大将棋では、成って初めて後退ができるようになる6種類の駒(鐵将石将桂馬香車・悪狼・歩兵)の内の1つであるが、その中で唯一生駒の状態で横に動ける。

元の駒 動き 成駒 動き
悪狼(あくろう)
     
   
 
 
         
         
前、斜め前、横に1マス動ける。 金将(きんしょう)
   
 
 
       
縦横と斜め前に1マス動ける。

大大将棋 編集

成ることはできない。

元の駒 動き 成駒 動き
悪狼(あくろう)
     
   
 
 
     
     
前、斜め前、横に1マス動ける。 なし - -

摩訶大大将棋・泰将棋 編集

成駒の奔狼は、前三方と真横は飛び越えない限り何マスでも動けるが、後ろ三方へは動けない。

元の駒 動き 成駒 動き
悪狼(あくろう)
     
   
 
 
     
     
前、斜め前、横に1マス動ける。 奔狼(ほんろう)
   
   

     
     
前三方と横へは何マスでも動けるが、飛び越えたり、後ろへは動けない[3]

大局将棋 編集

成駒の毒狼は本将棋の玉将と同じく八方向すべて1マス動ける。

元の駒 動き 成駒 動き
悪狼(あくろう)
     
   
 
 
     
     
前、斜め前、横に1マス動ける。 毒狼(どくろう)
     
   
 
 
   
     
全方向に1マス動ける。

脚注 編集

  1. ^ 象戯図式』『諸象戯図式』などでは、「悪」は「西」+「心」で書かれている。
  2. ^ 象戯図式』および元禄九年版『諸象戯図式』では、斜め四方と前方に動けるとしている。これは銀将と同じ動きである。
  3. ^ 象戯図式』では、前後と斜め四方には何マスでも動け、左右は5マスまで進める(他の駒を越えては行けない)となっている。元禄九年版『諸象戯図式』では、左右は5マスまで進める(他の駒を越えては行けない)となっている。また、『象棋六種之図式』では、斜め前、左右、後ろの5方向に、何マスでも動けるとなっている。

参考文献 編集

関連項目 編集

大将棋の駒(自陣初期配置・括弧内は成駒)
        仲人
(醉象)
          仲人
(醉象)
       
歩兵
(金将)
歩兵
(金将)
歩兵
(金将)
歩兵
(金将)
歩兵
(金将)
歩兵
(金将)
歩兵
(金将)
歩兵
(金将)
歩兵
(金将)
歩兵
(金将)
歩兵
(金将)
歩兵
(金将)
歩兵
(金将)
歩兵
(金将)
歩兵
(金将)
飛車
(龍王)
飛龍
(金将)
横行
奔猪
竪行
飛牛
角行
(龍馬)
龍馬
角鷹
龍王
飛鷲
奔王 龍王
(飛鷲)
龍馬
(角鷹)
角行
(龍馬)
竪行
(飛牛)
横行
(奔猪)
飛龍
(金将)
飛車
(龍王)
  猛牛
(金将)
  嗔猪
(金将)
  悪狼
(金将)
麒麟
(獅子)
獅子 鳳凰
(奔王)
悪狼
(金将)
  嗔猪
(金将)
  猛牛
(金将)
 
反車
鯨鯢
  猫刄
(金将)
  猛豹
(角行)
  盲虎
飛鹿
醉象
太子
盲虎
(飛鹿)
  猛豹
(角行)
  猫刄
(金将)
  反車
(鯨鯢)
香車
白駒
桂馬
(金将)
石将
(金将)
鐵将
(金将)
銅将
(横行)
銀将
(竪行)
金将
(飛車)
玉将 金将
(飛車)
銀将
(竪行)
銅将
(横行)
鐵将
(金将)
石将
(金将)
桂馬
(金将)
香車
(白駒)