永沢君』(ながさわくん)は、さくらももこ作の漫画。小学館の『ビッグコミックスピリッツ』及び『ビッグコミックスピリッツ21』に連載された。連載期間は1993年1月から1995年5月まで。全18話からなり、全1巻の単行本と、関連作品などをまとめた『てんこ盛り!!永沢君』が小学館から発売されている。2019年2月には、集英社から単行本の新装版と、『てんこ盛り!!永沢君』の増補版となる『永沢君、推し!!』が発売された。

内容編集

ちびまる子ちゃん』の登場キャラクターのひとり永沢を主人公におき、彼とその周りの人達の中学校生活を描いている。舞台は「清水市立桜中学校」。中学生男子の行動を視点にした作品であり、青年誌ならではのブラックユーモア下ネタともとれるギャグが多く、『ちびまる子ちゃん』とは異なる作風で楽しめる内容になっている。第1話の初めは、『ちびまる子ちゃん』の第1話と似たような始まり方になっている。『ちびまる子ちゃん』で用いられた、ナレーションが登場人物にツッコミを入れる手法は受け継がれていない。

主な登場人物編集

括弧内に付記のフルネームは『ちびまる子ちゃん』における設定。本作では名字または下の名前のみの設定が多い。

『ちびまる子ちゃん』で既出の登場人物編集

永沢君
この漫画の主人公、フルネームは永沢 君男(ながさわ きみお)。
特徴的なタマネギ頭に、サイズの小さな学生帽を着用している。体重は43kg。父親、弟の太郎も同様にタマネギ頭である。かなりの毒舌家で、結構嫌味な性格。お笑いが好きで、ラジオのギャグ投稿コーナーにハガキを出したことも。ペンネームは「キンタマネギ男(お)」。「キジフ・ゲルーシ」と言うハガキ職人に憧れている(正体は藤木)。投稿したハガキが宛先間違いで戻ってきたところを母親に読まれてしまい、その内容とペンネームで泣かれた事がある。藤木・小杉とは友人ではあるが二人を見下しており、ことあるごとに貶めている。小学3年生の頃に自分の家が火事になり、火がトラウマになっていたが、よその家が火事になろうが冷静でいられることに気付き克服している。城ヶ崎姫子に好かれているが気付いておらず、むしろ姫子のことは好きではないらしい[1]。修学旅行以来、同じお笑い好きな野口のことが気になっている。
最終話(第18話)で志望校に落ちてしまい、今まで自分があざ笑っていた連中(倉田、川口、ゲヘ、カツヤン)ばかりと一緒になる第二志望の高校に行くことになる。仲の良かった藤木や小杉とは違う高校に行くことになり、卒業式で藤木・小杉から「学校が変わっても友達だ」との励ましを受けるが、彼らの内心を察して嫌味で返答する。バレンタインには、「H・J」なる人物(城ヶ崎姫子)からチョコを靴箱に入れられたが、永沢は「H・J」を、ヒデじいだと思ってしまった。
本作での詰襟姿が、未来の永沢としてアニメ『ちびまる子ちゃん』に逆輸入されたこともある[2]
藤木 茂
永沢とは小学3年生の頃から仲良し。基本的にいい奴な反面、卑怯な性格。
本人は「卑怯者はスパイになれる」と言って開き直っている。英語で3点[3]をとるなど学業は不得意な反面、ユーモアセンスに富んでいてかなり永沢も憧れるほどのハガキ職人でもある。ペンネームは本名をもじった「キジフ・ゲルーシ」。当初永沢は正体が藤木であることを知らなかったが、それを知った時は「たかが藤木君のギャグで笑った自分が憎い」と強いショックを受けていた。
小学生時代から笹山かず子[4]が好きだったが、修学旅行以来一緒の班だった堀こずえが気になっている。また、バレンタインデーには「K・H」と名乗る人物からチョコレートを貰っているが永沢君からは平岡くさよだと言われた。
最終話では小杉(と城ヶ崎)とは同じ高校に行くことになるが、永沢は落ちたため卒業後は離れることになる。内心では永沢に愛想を尽かしていた節があり、小杉に永沢の長所を挙げることが出来ず、永沢と高校が離れた時には安堵の表情を浮かべていた。
花輪君(花輪 和彦)
お金持ちの家の息子。
英語のテストでは100点を取っており、成績優秀。相変わらずヒデじいが送り迎えをしている。堀こずえに好意を持っている。
ヒデじい
第12話に登場。
放課後に花輪のゲタ箱の中のチョコレートの山を持って帰ってくれと頼まれる。
ラストで永沢のゲタ箱にチョコレートを入れた相手だと彼に勘違いされる(本当は城ヶ崎姫子)。
冬田さん(冬田 美鈴)
城ヶ崎曰く、そのビジュアルの悪さが永沢とお似合いで羨ましいとのこと。本作では1コマ(第10話)しか登場していない。
太郎
第1話・第13話に登場。永沢の弟。
家が火事のときはまだ赤ん坊だったが、本作では成長して口が達者になっている。
兄と同じくタマネギ頭が特徴的で、兄よりは純真な性格らしい。
永沢の母
第1話から登場。
口うるさい所があるが、息子の成長を感じて「さびしいもんだねぇ」と涙を流す感傷的な一面も見せる。
永沢の父
第1話しか登場していない。タマネギ頭。

回想シーンのみ編集

第8話の火事の記憶の回想シーン(2コマ)のみに登場した人物。

まる子(さくら ももこ)
『ちびまる子ちゃん』の主人公だが、本作では回想シーンしか登場していない。家が火事になった永沢を励ました。
第2話に、中学校時代のまる子に似た[5]女子が登場するが、彼女とは別人。
たまちゃん(穂波 たまえ)
まる子とは仲良し。家が火事になった永沢を励ました。
はまじ(浜崎 憲孝)
家が火事になった永沢を励ました。

『永沢君、推し!!』のみ編集

山根(山根 強)
『永沢君』本編には登場しないが、『4コマちびまる子ちゃん』の一部が『永沢君、推し!!』に収録されており、その中で数コマ登場している。

本作で初出の登場人物編集

以下の3人は後に『ちびまる子ちゃん』にも小学生キャラとして移入された。

小杉(小杉 太)
永沢・藤木と同じクラス。小学生時代と同様の肥満体型で、体重は永沢の倍の86kg。大らかで性格は良いが、永沢曰く愚鈍。
永沢とは小学3年生のときから同じクラスにいたことになっているが、仲良くなったのは中学の頃からである。永沢・藤木とは友人だが永沢の思いやりのなさに辟易している。一度もてたいためにやせようとしたことがあるが結局はやせていない。永沢と高校が離れた際には、藤木と同様に安堵の笑顔を浮かべていた。
食いしん坊で厚かましいという『ちびまる子ちゃん』において特徴的な性格設定は、本作では描写されていない。また、初登場時は眉毛が太かった。
城ヶ崎 姫子
第10話から登場。
成績優秀で何でもこなせる美少女。ハンサムな父とすてきな母から生まれたお嬢様。
学校のマドンナ的存在であり、花輪や2枚目の男子生徒とは仲良さげに話してはいるものの、実際は永沢に好意を寄せている。小汚い男に汚されたい願望を持つ、いわゆるマゾヒスト。永沢の前では気の強い女を演じているが、心の奥底では自分と永沢を、愛読する小説[6]の登場人物に見立て、永沢に汚されることを妄想している。その一方でゲヘからは好かれているものの、彼の事は非常に嫌悪しており、永沢の友人である藤木や小杉の事も好きにはなれないという。修学旅行では、永沢と野口が関係を持ったのでは、との疑念から何度も昏倒するなど、意外な精神的脆さも見せた。
永沢への妄執は常軌を逸しており、県でもトップレベルの進学校に行けたのに、永沢の第1志望校を受験するという行為にまで及んでいる。しかし、当の永沢からは相手にされておらず、永沢は第一志望校を落ちて自分は受かったため、同じ高校には通えなかった。
『ちびまる子ちゃん』本編においては永沢と対立関係にある気の強い女子として登場しているが、その裏で永沢に対しての歪んだ好意を覗かせている。また、藤木に対して笹山共々思いやりを見せたり、嫌いな給食を食べてくれる小杉にチョコレートを渡すなど、藤木や小杉を特に嫌悪している様子はない。永沢曰く、城ヶ崎にお似合いなのは「下品な男」、また藤木に永沢が城ヶ崎が好きになる本命は?と聞かれた際、永沢は「どうせろくでもない奴」と即答している。
野口(野口 笑子)
第15話から登場。
根っからの暗い性格な反面、かなりのお笑い好き。成績はかなり良く、大抵の事はそつなくこなす。英語が堪能。まる子との仲が続いていることになっている。修学旅行以来、不良の平井の行動の馬鹿馬鹿しさが気になって平井のことが気になっているが、野口本人は諦めている様子。
初登場(1994年8月)のときは、クラスの暗い女子でお笑い好きということは語られていなかった。『ちびまる子ちゃん』初登場(1994年11月)の時、まる子が野口はお笑い好きなのではということに気づくが、同時期のこの作品でも永沢が気づく。
ラジオが好きという設定は『ちびまる子ちゃん』と共通であり、修学旅行にもラジオを持ってきて、関西のローカルのラジオを聴いていた。
お笑い好きという共通点からか、最終的に永沢にとって気になる存在になるが野口は不良の平井のことが気になってる。永沢も認めるクラス1の美人の堀こずえと仲が良く堀こずえからは「のぐちん」と呼ばれている。

『永沢君』のみの登場人物編集

堀 こずえ
永沢も認めるほどの清楚な美人。
野口を「のぐちん」とあだ名で呼ぶほど仲が良い。花輪のことが好きだが修学旅行以来、藤木のことが気になっている。藤木にバレンタインにチョコを渡したK・Hの可能性がある。
平井 やすあき
第3話から登場。
シンナーやタバコ、万引きや飲酒も平気でしていて、暴走族にも入隊しているが、永沢が憧れる本物の不良である。
かなり短気で喧嘩っ早く、気に入らない相手に対しては理非を問わず容赦しない。腕っぷしも強く、体重86kgの小杉を数メートル殴り飛ばすほど。一方で、高齢者の手を引き横断歩道を渡るという優しい一面もある。また、藤木がラジオ番組に投稿する予定のギャグを聞いて笑い、素直に褒めた事もある。実は堀こずえが好きだが、野口に好かれている。
別作品の『コジコジ』では一話だけ登場。アニメ版にも登場している(声 - 森訓久)。卒業後、高校進学せず飲食店に就職した。
倉田
一人前に眼鏡をかけているが、先生に眼鏡はゴミ箱に捨てろと言われるほど頭が悪く暗記も苦手。小杉よりも何十倍も愚鈍。性格も悪い。
川口
倉田とは仲良し。倉田に負けないほど頭と性格が悪い。
ゲヘ
いつも「ゲヘゲヘ」と笑うスケベな男。
城ヶ崎のことが好きだが、彼女からは見下されて嫌われている。カツヤンとは仲良し。下品というだけで倉田や川口ほど性悪ではなく、照れ屋の一面もある。
カツヤン
ゲヘと仲が良い。成績は悪いが勘が鋭く、親切で人当りが良い。
単行本には書き下ろし作品『ゲヘとカツヤン』が掲載されていた。さくらももこは本作の特集ページ内で、「ゲヘか倉田かカツヤンの中で誰かと結婚しろと言われたら、迷うがカツヤンがいい」と語っている。
平岡くさよ
作中で存在が語られる女子生徒。
吹き出しに1コマだけ登場しており、不美人な容貌をしている。永沢は藤木にバレンタインデーチョコを送った「K・H」は彼女ではないかと確信しており、小杉もその意見に同意したため、藤木は全く羨まれなかった。
サッちゃん
第13話に登場。永沢のいとこで、同い年の女子。永沢とは別の中学校に通う。
テニス部の主将で、色黒の肌(日焼けのため)に短髪、眼鏡の姿をしている。永沢は密かに好意を持っていた様子。父親(永沢から見ると叔父)と5年ぶりに永沢家を訪ねたが、予想と全く違う容姿の変貌ぶりに[7]、永沢親子はショックを受けた。永沢の弟の太郎曰く「男に似てる」とのこと。
2枚目の男子生徒
第10話から登場。名前は設定されていない。
城ヶ崎とは、恋人同士ではないが「姫」と呼ぶなど仲は良い。(永沢への)歪んだ恋愛願望を覗かせる彼女を案じている。

書誌情報編集

小学館発売分編集

  • さくらももこ『永沢君』 小学館〈スピリッツボンバーコミックス〉、単巻
    1995年5月1日発売、ISBN 978-4-0917-9122-1
  • さくらももこ『永沢君』 小学館〈イッキコミックス〉、単巻
    2003年4月30日発売、ISBN 978-4-0918-8342-1
    ※ボンバーコミックス版の実質再発売。当時、ボンバーコミックス版が入手困難との苦情が多数寄せられており、それに応えたものと作者は説明している[8]
    2013年4月30日には、電子書籍版も配信が開始された[9]
  • さくらももこ『てんこ盛り!!永沢君』 小学館〈スピリッツボンバーコミックス〉、単巻
    2013年5月30日発売、ISBN 978-4-0918-5325-7

集英社発売分編集

  • さくらももこ『永沢君』 集英社〈愛蔵版コミックス/MOMOKO BOMBER COMICS〉、単巻
    2019年2月25日発売、ISBN 978-4-0879-2041-3
  • さくらももこ『永沢君、推し!!』 集英社〈愛蔵版コミックス/MOMOKO BOMBER COMICS〉、単巻
    2019年2月25日発売、ISBN 978-4-0879-2042-0

実写化編集

2013年4月1日から9月30日TBSテレビで実写ドラマ(ショートコントドラマ)化。月曜 - 木曜23時53分[10] - 23時58分(JST)の5分枠・全101回で放送。同局で放送された『コジコジ』グッズが小道具として紛れている時がある。

キャスト編集

スタッフ編集

TBSテレビ 月曜 - 木曜23:53 - 23:58枠
前番組 番組名 次番組
永沢君
番組ナビ[16]

脚注編集

[脚注の使い方]
  1. ^ 理由は「もう少し美人がいいんだ」。
  2. ^ アニメ『ちびまる子ちゃん』「ある日の太郎」の巻(2020年1月19日放送)
  3. ^ 最初は教師の採点ミスで1点だった。
  4. ^ 本作では、会話で名前が挙がるのみで出番はない。
  5. ^ 漫画版『ひとりずもう』第3回より。
  6. ^ その小説の内容はお金持ちの夫人が性格は暗く不器量で、家が火事になったことにより借金まみれになっている使用人に体を汚される。犯される。というもの。
  7. ^ 永沢は、小学校時代の姿(おかっぱで、眼鏡はかけていない)を基本に、美人に成長していると予想していた。
  8. ^ 集英社文庫『ももこのよりぬき絵日記2』70 - 72頁。
  9. ^ “『永沢君』(電子書籍版) BookLiveの製品紹介”. https://booklive.jp/product/index/title_id/207246/vol_no/001 2020年6月23日閲覧。 
  10. ^ 実際の放送開始時刻は23時54分。
  11. ^ 毎週火曜日は裏番組の『中居正広のミになる図書館』に出演しているため、OPの映像には目に棒線が入っていて本編には登場しない。
  12. ^ まるまるちびまる子ちゃん〜20年後の同窓会』(フジテレビ)でも大人になった野口さんを演じていた。
  13. ^ 不定期火曜日に登場。この状態は藤木にしか見えず他の人には普段の永沢として見えている。第39話では森永君として本物の永沢と会話した。
  14. ^ a b ドラマオリジナルキャラ
  15. ^ 公式サイトには掲載無し。
  16. ^ 一部番組表では『NEWS23』に内包扱い。

外部リンク編集