江戸前の旬

江戸前の旬』(えどまえのしゅん)は、九十九森原作、さとう輝劇画の日本漫画。『週刊漫画ゴラク』(日本文芸社)にて1999年より連載中。当初は「銀シャリ!!」のタイトルだったが、単行本1巻分の連載後、「江戸前の旬」とタイトルを改めて本格連載となった。タイトルロゴには『江戸前の旬』の上に「銀座柳寿司三代目」とある[1]。2015年2月20日発売号で連載800回を迎えた。作中では、魚介類に関する知識や日本文化が紹介されることが多々ある。

江戸前の旬
ジャンル 料理・グルメ漫画
漫画
原作・原案など 九十九森(原作)
作画 さとう輝
出版社 日本文芸社
掲載誌 週刊漫画ゴラク
レーベル ニチブンコミックス
発表期間 1999年 - 連載中
巻数 既刊90巻(2017年10月現在)
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ポータル 漫画

目次

あらすじ編集

銀座・「柳寿司」の三男で高校生の柳葉旬は、父鱒之介が病に倒れ、一時的な入院を余儀なくされたことをきっかけに寿司職人の道を志した。鱒之介が入院して休業状態となった「柳寿司」の仕事場で、旬は独学で寿司職人としての修行をスタートさせる。祖父の代からの「柳寿司」の常連客である平政の協力、天才的な発想と努力で、旬はメキメキと腕を上げて行き、最終的に鱒之介の直弟子である直哉からも寿司職人としての才能を認められたことで、鱒之介は旬の高校卒業を待って「柳寿司」三代目としての本格的な修行をさせることを決意するのだった(以上、『銀シャリ!!』のエピソード)。

(江戸前の旬 本編)

時が流れ、二十歳となった旬は鱒之介の厳しい指導や、金子、八木沢ら常連を含む客達の抱えている問題を寿司を握ることで解決してみせるなど、順調に寿司職人としての腕を上げていた。 雑誌編集者の姉、真子が担当している小説家にして食通の池内正二郎、東都デパートの東堂会長などの大物も、たまたま訪れた「柳寿司」で、鱒之介の名人技や旬の才能や優しさに惚れ込み、新たな常連客となるなど、旬はその持って生まれた才能を一気に開花させようとしていた。 そんな時、旬の前に生涯のライバルとなる高級店「嘉志寿司」の四代目、吉沢大吾が現れる。当初は自分より年齢も下で修行のキャリアも少ない旬を「三流店の小僧」と見下していた大吾だったが、数々のイベント勝負で旬に決定的な勝利を収めることが出来ず、「全国握りずしコンクール」での旬との同率二位(優勝は『勘兵衛』の磯村)に甘んじたことがきっかけとなり、更なる高みを目指して京都の一流料亭へと修行に旅立つ。

その後、ライバルにして親友の宮城・気仙沼「森寿司」の森野石松との共同作業や、鱒之介の兄弟子の息子、北海道「鮨 結城」の跡取り、結城達也への指導などで更なる成長を遂げた旬は、池内の依頼で京都に出張して寿司を握ることになる。仕事の終了後、池内たちの誘いで京都でも一、二を争う高級料亭「さが美」へと招かれた旬は、追い回しとして屈辱に耐えながら京料理の真髄を必死で学び取ろうとしている大吾と再会、ひょんなことから寿司勝負を行うことになり、勝負を通して感じた大吾の成長に驚愕する。

登場人物編集

登場人物は、全員初期は顎が強調された厳つい顔つきだったが、物語が進むにつれて、すっきりとした顔立ちになっている。

柳葉家編集

家族は、魚に因んだ名前が多い。江戸っ子下町人情が残る店。銀座四丁目[2]にある【柳寿司】を経営している。なお、東京や神奈川に【柳寿司】が実在するが、本編の【柳寿司】とは無関係。源治と直哉と和彦は柳葉家の血筋ではないが、源治は鱒之介の同門であり、直哉は鱒之介の、和彦は旬の、其々の弟子であるために家族待遇となっているため、柳葉家に含める。札幌出身の結城達也、小樽出身の佐原直哉、津軽出身の和彦と、弟子は北日本出身者ばかりである。
柳葉 旬(やなぎば しゅん)
本編の主人公。昭和54年3月15日午前0時3分誕生[3]。物語開始時の第1話(1999年3月発表)では20歳と明記されている。銀座北高等学校卒業生。四人兄妹の末っ子だが、父・鱒之介が病に倒れたことをきっかけに、実家の寿司屋「柳寿司」の三代目を継ぐべく、鱒之介の元で寿司職人としての修行を始める。長年の修行の過程で、深川の親方、松ヶ根の親方、鱒之介の「兄弟子」結城哲らに師事、特に、深川の親方と松ヶ根の親方にとっては、最後の弟子となった。また、嘉志寿司の吉沢大吾とは終生のライバルかつ最高の親友となる。仕事にストイックなあまり自分の恋愛に対しては不器用ですれ違いなども多く、また相手が自分に抱いた好意に気付かずに終わることもあったが、後に紆余曲折を経て藍子と結婚した。仕事以外の趣味は釣り。たとえ相手が自分より年やキャリアが下でも、これまで培ってきた技術を惜しみなく伝授するなどの懐の深い面もある。修行の過程で日本中の数々の若手職人達とも交流を重ね、彼を中心に大きな横の繋がりが出来ている。基本穏やかで優しい性格もあり、当初は様々な理由から彼を嫌ったり憎んだりしていた若手職人も、最終的に彼に信服するようになる(完全な敵役、悪役としてほぼ一度しか登場しない職人は別)。客のために、江戸前に無い寿司ダネを握ることもある。河豚調理師の資格を取るため、お店の営業と並行しながら姉の真子の夫である哲也の下で修行し、試験に臨み、無事合格した。和彦を弟子に迎えてからは、優しく時に厳しい親方としての修業もこなしている。また、父親としての自覚も徐々に出てきたようである。みどりの育児と客の反応から自分の目指すべき寿司道がおぼろげながら見えてきた。そして、そのことの発端となった客との邂逅を経て鱒之介の模倣ではなく自分の目指すべき寿司の道を確立した。後に平政からは、食べるものを心から慈しみ安堵させる力があると称され、その立ち振舞から握りの姿形は菩薩のようだと表現された。
柳葉 藍子(やなぎば あいこ=旧姓・朝岡)
第37巻「マトウダイ」にて初登場。築地場外市場に店を構える「朝岡水産」の娘で、見かけは綺麗だがガラッパチで煮ても焼いても食えないキャラクターから「金魚」の異名も。紆余曲折を経て旬のプロポーズを受諾、結婚した。初めて柳寿司を手伝った際に、真子から渡された君江の着物姿をヒラマサに、「着物姿が君江にそっくり」と評された。「旬の役に立ちたい」と「義父(鱒之介)に美味しいフグチリを食べさせたい」という思いから、柳寿司での女将の職務の傍ら、旬や弟の一郎と共に哲也の下で、河豚調理師の修業を始め、試験に臨んだ。受験後に妊娠三ヶ月であることが判明した。試験は不合格だったが、徐々に母親としての自覚が出てきた模様。みどりを無事出産した。夫である旬の父親としての無自覚さに少々呆れ気味。インターネットを通じて集客を試みるが、旬に客の大切さを説かれた。
柳葉みどり(やなぎば みどり)
旬と藍子の第一子。2011年4月2日午前0時1分誕生。体重3700グラムの女の子。名付け親はヒラマサ。名前の由来は、ヒラマサ曰く「『李謐と孔藩』の故事から、勤勉さと謙虚な人間になって欲しい」という願いを込めたとのこと。母親の藍子と同じく、食い意地が張っている。また、予防注射の時は欠伸をしていた。
大河と同じ保育園に通っている。
柳葉 鱒之介(やなぎば ますのすけ)
旬の父。「柳寿司」二代目。「魚を扱う者は魚に生かされている。」「しっかりとした技・舌・心を持って握ったモノは、客の心を打つことが出来る。それは、土台を支える江戸前の技があったればこそ。」という思いから、江戸前の心を重んじていて、客の前では江戸弁をしゃべることがある。若いころは、江戸前に無い寿司ダネも客に頼まれて握ったことがある。そのため、旬が江戸前に無い寿司ダネを握っているのを黙認することもある。旬が高校3年生の時に病に倒れて(プレストーリー「銀シャリ!!」での出来事)以来、右半身が不自由になっており、長時間寿司を握り続けたりすると右手が震える症状がでることがあり、月に一回通院している。後述のスピンオフ作品「寿司魂」では20歳(1964年の物語開始時)の鱒之介が主人公であり、後に本作で与田良二郎が語った武勇伝も数多く残している。また深川の親方に紹介された中学を卒業した佐原直哉を一人前の寿司職人に鍛え上げた。なお本作では2002年に鱒之介の還暦祝い(実:58歳)が行われており、生年にズレが生じている[4]。柳寿司に来店し、一度でも交流したことがある客は、幾年過ぎても忘れない。最近では、藍子の食あたりの吐き気を妊娠の吐き気と勘違いするなど、そそっかしさも見られるようになっている。また、旬が「俺たちが子供のころはあんなに怖かったのに、孫には甘い。」というなど、昔に比べて物腰が柔らかくなっている。みどり誕生を機に引退の時期を見計らっていたが、手の甲に染みが見つかり「寿司職人が人様の前に出せないような手になった時は潔く引退する。」という新見清次郎(深川の親方)の教えを守り、67歳で引退した。その後、九条に請われ九条料理学校の日本料理の講師となった。平政からは、握る寿司は食べるものを圧倒する絶対的な力を持っていると称されており、不動明王のような力強さを持っている。
柳葉 君江(やなぎば きみえ=旧姓・紺野)*(故人)
旬の母。長野県出身。平成元年9月3日死去。享年42歳[5]。旬が小学校5年生の時に死去。柳寿司の二代目女将として佐原直哉や子供たちを温かく見守り続けた。穏やかな性格。結婚前は銀座のデパートで働いていた。父親は開業医。旬を妊娠した時、既に子供を産める体ではなかったが、「この子は神様からの贈り物。」と旬を産んだ。しかし、そのことがきっかけで真子の結婚式の時まで君江の両親は旬を逆恨みしていた[6]が、後に旬の優しさと君江直伝の旬の笹寿司に感動し、己の過ちを認め心の中で旬に謝罪した。君江の祖母は、娘の死の真相を旬に明かすこと無く息を引き取った。なお、祖母の通夜の時に、君江のお骨は鱒之介によって分骨した物を祖父に渡された。
柳葉 鱚一郎(やなぎば きいちろう)
柳葉家長男。1968年9月25日生まれ。名付け親は節子。旭東物産食品開発部勤務。母の死は父がしっかり看病しなかったせいだと反発し、商社マンとなった。しかし皮肉にも食品開発部に配され、家業と向き合うこととなった。後に父とは和解している。55巻では、鱒之介と君江に愛されていたことを誕生日に知り、涙ながらに感謝した。ちらし寿司をカップに入れたカップちらしを開発し、食品開発部部長となった。また、銀座に社命で創作寿司の店「SUSHI BAR F.E.Island」を開店。大盛況となる。
嘗て、鱒之介が運動会に出る自分たちのために巻物を作っていたことに感動し、旬に教えを請い、巻物を特訓した。その想いは、息子の誠にしっかりと伝わっていた。
妻の佳菜子とは大学の同期。その時の恋敵の応援で口説き落とした。
柳葉 佳菜子(やなぎば かなこ)
鱚一郎の妻。旬の義姉。神奈川県の三浦出身。「銀シャリ!!」では、朋子という名になっている。初期の容姿は若かったが、年月の経過もあり近年登場した際はいきなり老け込んだ容姿となっていた。
柳葉 誠(やなぎば まこと)
鱚一郎の長男。旬の甥。海苔が縁で東堂会長の孫である春彦と友達になる。また、友達の相談に良くのるなど懐は深い。七五三の時に鱒之介と鱚一郎が仲違いしていたため、お祝いをしていなかった。しかし、恵と祐樹の七五三の時に、母である佳奈子の実家の風習に倣い、鱒之介が贈った立派な着物を着て七五三を祝われた。また、帆立恵美に促されて受験勉強を頑張った結果、志望校(帆立恵美と同じ学校)に合格した。その後、彼女と共に大学の法学部で学んでいる。
柳葉 恵(やなぎば めぐみ)
鱚一郎の長女。旬の姪。佳奈子が柳寿司に来る途中で破水したため、帝王切開の手術で誕生した。
柳葉 鮭児(やなぎば けいじ)
柳葉家次男。1970年5月6日生まれ。名付け親は、鱒之介。放浪癖があり長いこと一つ所にいられない性格。18歳の時から家を離れて、大道芸をしたり偽薬を売ったりしながら世界中を回っているが、たまに家に帰ってくる(確認できるところでは母・君江の十三回忌(夢に君江が出てきた)と妹・真子の結婚式(リムジンで登場)、そして旬の結婚式(風呂上がりを泥棒と勘違いした藍子にモップでど突かれた。その後、圭斗たちと協力して旬と藍子のドッキリ披露宴を企画した))。眉毛の形が兄妹で唯一鱒之介似である。旬の結婚式後は長野で車エビの養殖に従事していたが、そこの社長に教えられた粗放養殖を東南アジアに広めるため、家族と日本に別れを告げて旅立っていった。
酒井 真子(さかい まこ=旧姓・柳葉)
柳葉家長女。旬より3歳年上。料理雑誌の編集者だったが、日本料理人の酒井哲也と結婚し退職、店を手伝う。後に祐樹という息子をもうける。その際に、夫の哲也が仕込み、鱒之介と旬が握った握り寿司に感動した。「銀シャリ!!」では、君江がお寿司屋さんのケーキとして出した卵焼きで鱒之介と和解した。後に、「江戸前の旬」では、その卵焼きで(父の日が哲也との結婚式であったため)、一日早く鱒之介に感謝の念を込めて出した。君江の両親には、結婚式の時に着用した白無垢姿を「35年前の君江の花嫁姿を見ているようだ。」と評された。旬と藍子の結納の時は、柳葉家の人間として出席した。
柳葉 鮃蔵(やなぎば へいぞう)
「柳寿司」初代。宮城県の松島の農家出身[7]。鱒之介の父親。旬の祖父。太平洋戦争中、衛生兵の後に米軍の捕虜になっていたが、昭和21年、日本に帰国し、東京・有楽町の寿司屋横丁に、「柳寿司」を開店。昭和39年、銀座に移転した。鱒之介と源治に魚に感謝することと江戸前の寿司職人の心意気を叩き込んだ。戦前は「巽寿司」で修行していた。「寿司魂」にも登場している。
源治(げんじ)
鱒之介の同門。旬が3歳の時に後述の直哉が入門した後に柳寿司から独立したと作中で語られる。2003年ごろの話で、勤めていた店の経営方針が変わったことを嘆いて包丁を返しに来るが、鱒之介に江戸前の心を諭され、寿司職人として生きる決意を新たにする。なお、柳寿司が開店してから鮃蔵が死ぬまでの間、【寿司魂】には一度も登場していない。
佐原 直哉(さはら なおや)
源治の独立直前に深川の親方の紹介で柳寿司に入門し、鱒之介の下で厳しい職人修行を積んだ。修業の様子は【寿司魂】で描かれているが、こちらでも「銀シャリ!!」での回想シーンとは齟齬が見られる。当初は人前でナイフを振りかざすなどの手のつけられない暴れん坊だったが、鱒之介の握る寿司を見て、弟子志願した。【寿司魂】では、親方である鱒之介に黙って築地仲卸業者から魚の捌き方を習ったり、給料で嘉志寿司に寿司を食べに行ったりしている。旬が小学校低学年の時に母親の病気のため地元小樽へ帰った後、小樽寿司屋通りで「直寿司」を経営する。「銀シャリ!!」では、旬に江戸前寿司職人としての才能があるかどうかを、鱒之介に頼まれて見極めている。真子の結婚式と旬の結婚式で家族待遇として呼ばれた。
和彦(かずひこ)
旬の弟子。青森県出身。謙虚だが芯が強い。元々は、別の会社に就職予定だったが、内定を断られ気落ちして柳寿司を父親と共に訪れる。そこで、直向きさを鱒之介に気に入られ弟子となる。かんぴょう巻きの出来と藍子の破水時の対応により、旬に認められる。まだ15歳のため、妹からの手紙で里心が起こり、青森に帰りかけたこともあった。また、親方の旬が悩んでいた時には旬のライバルである大吾に相談に乗って欲しいと相談しに行ったことがある。親方である旬への信頼は揺ぎ無い。普通の卵焼きは焼くことができるが、芝エビが入った卵焼きは美味く焼けなかった。しかし日々の仕事を通して客に対する責任と喜びを学び、旬の招待で半年ぶりに再会した両親に芝エビの入った卵焼きを振る舞い、旬夫婦及び両親を安心させた。姫野さくらが一時的に柳寿司で修行していた際は恋心を抱いていたが、さくらが帰るまでの間に仲が進展することはなかった。一度旬夫婦が留守の時に、食事は店屋物を取るように言われていたところ店の寿司ダネを使って自分の食事として寿司を握った(この件で後に旬から珍しく雷を落とされた)が、出来はまだまだ。真面目な性格で仕事も手を抜かず一生懸命こなすため、旬も前述のような例外を除けば仕事に対する「姿勢」の面ではほとんど叱ることはないが、技術的な面では卵焼きの件のように厳しく指導している。一方で「貝焼き味噌」のように、和彦がまかないなどで披露した料理が「柳寿司」にて和彦の担当として品書きに載ることもあり、これは仕事のやりがいを持たせるための旬の計らい。まだ若いことや真面目すぎる性格のためすぐ泣くが、アナゴの捌きの時に失敗して泣いた時はアナゴをさばいた手で涙を拭おうとしたため咄嗟に旬に殴り飛ばされた(アナゴやウナギの血には毒性があり、目に入ると失明の恐れもあるため)。作中で旬が和彦に手を上げたのは現時点ではこれが唯一。

海渡家編集

築地市場仲卸【海渡】を営んでいる。
海渡 謙介(かいと けんすけ)
当初は柳寿司を小規模店とバカにした態度をとっていたが、旬の職人としての腕を知り態度を改める。旬のいい兄貴分となる。「嘉志寿司」と「覇王寿司」との抗争では、嘉志寿司のランチのちらしを正当に評価したり、築地市場で李が金にモノを言わせてその日一番のマグロを競り落とそうと企んだ際、仲間と共に損を覚悟で競り合って阻止するなど、築地市場場内仲卸業者としての矜持を見せた。
海渡 静香(かいと しずか=旧姓・内山(うちやま))
元「魚銀」の主人の娘。謙介の幼なじみ。後に謙介と結婚し魚銀は海渡に吸収合併された。夫の不器用さに少々呆れ気味。両親は「寿司魂」に登場している。
海渡 勇太(かいと ゆうた)
第20巻「端午」に登場。謙介と静香の長男。誕生日は平成15年(2003年)4月29日。名付け親は静香の叔父さん(静香の父親の弟)。

吉沢家編集

【嘉志寿司】を経営している。以前は、「嘉志寿司」は銀座一の名店と評されていたが、作法にうるさく、特定の客にしか利益を還元していなかった。また、銀座一という看板に胡坐をかき、社長の龍男をはじめ従業員は皆慢心していた。そのことが仇になり、李の「覇王寿司」との抗争ではマスコミや一般客からの風評被害にも悩まされる。この時期に店を辞めた者も多い。しかし、大吾と「寿司懐石 榊」の従業員だけは屈辱に耐え抜き、新生「嘉志寿司」として頑張っている。
吉沢 大吾(よしざわ だいご)
「柳寿司」と同じ銀座の江戸前寿司店「嘉志(よし)寿司」の四代目(一時期、三代目という設定だったが、単行本第51巻の登場人物紹介では四代目と表記されている。)で、自分より格下(旬は3歳年下でキャリアも大吾より浅い)と思い込んでいる旬にたびたび寿司勝負に引き分けることに苛立ちを持っていた。しかしそれは自分の驕りから来たものと気付き、7年間京料理の世界で修行に励む。帰京後は嘉志寿司を継がずに母方の榊姓を名乗り「すし懐石 榊」を開き独立。自分の理想とする「一生一品」の寿司を目指すが、未だ澱のように残る旬の存在を消し去るために阿部が仕掛けた寿司勝負で旬と対決するが、その勝負の過程で旬との間に友情が芽生える。登場当時は傲慢で肥満体形なキャラクターだったが京都での修行時にはかなり絞り込まれ、榊姓を名乗るようになった独立以降は別人のような精悍な姿になっている。「覇王寿司」と嘉志寿司との抗争で、窮地に陥った嘉志寿司を救うために「榊」を閉店して嘉志寿司に復帰、抗争終結後は正式に「三代目」を父、龍夫から譲られる。嘉志寿司で出していた寿司と、大吾が「榊」で出していた寿司とは全く違うものだったが、父に「榊」での寿司を嘉志寿司の寿司として出すことを許された。「一生一品の寿司」を追い求めていたが、完全に行き詰っていた。しかし、詩織が見つけてきた栃木米「なすひかり」のおかげで一歩前進でき、詩織に感謝するとともに、結婚を申し込み、快諾された。しかし、未だ詩織の家族との溝は埋まっていなかったが、【寿司飯七分にタネ三分】で詩織の両親と兄姉を説得し、無事結婚した。嘉志寿司を経営する傍ら、河豚専門店で親方の下、河豚調理師資格取得のため修業し、試験に臨み、無事合格した。
吉沢 詩織(よしざわ しおり=旧姓・三枝)
旬の寿司に魅せられたお金持ちのお嬢様。初登場時では、柳寿司で働くのを希望していた。旬のことも憎からず思っていたが、いつの間にか厳しい修行に裏打ちされた自信を持つ大吾といい関係になった。阿部邸で行われた旬と大吾の寿司勝負にも立ち会った。旬や大吾と接していくうちに、漁師と仲卸業者と寿司屋の関係に理解を深めていく。大吾が「一生一品」の寿司を追い求める過程で行き詰っていた時に、力になりたいと思い栃木米「なすひかり」を見つけ、大吾に渡す。そのおかげで、大吾は「一生一品」の寿司に大きく前進できた。そのことに感謝した大吾から結婚を申し込まれ快諾した。しかし、未だに自分の家族の了承を得られていなかったが、大吾の【寿司飯七分にタネ三分】を通しての真摯な態度と祖父の助言で、無事に大吾と結婚した。大吾の河豚調理師試験後、妊娠三ヶ月であることが判明した。その後、無事に大河を出産した。
吉沢 大河(よしざわ たいが)
大吾と詩織の第一子。2011年4月2日午前0時3分誕生。3300グラムの男の子。名付け親は大吾。大吾曰く、「大河は最初は小さな湧き水だが海までの長い道のりで何本もの小さな川が集まり大河となる。人との和を大事にして人に愛されるような人間になって欲しい。」という願いを込めたとのこと。人見知りな所がある。
みどりと同じ保育園に通う。
吉沢 龍男(よしざわ たつお)
「嘉志寿司」三代目。「嘉志寿司」を過大評価したことが慢心に繋がり、VIPに出す寿司ダネは自分で調べるが、それ以外は板長の坂本に任せたり、その陰で坂本が私腹を肥やしていたことにも気付けなかった。「覇王寿司」との抗争の際も大吾から再三考えを改めるよう忠告されていたが、全く聞く耳を持たず、嘉志寿司の食品偽装が発覚した際も騒動の全てを大吾のせいにし、彼を執拗に殴りつけてしまう。止めに入った詩織も負傷させてしまうが、その最中に発作を起こし、入院。その後、息子の大吾が築地市場の仲卸業者に愛されていることを知ると、大吾たちに謝罪し、けじめをつけるために、大吾に代を譲り引退した。その後、大吾の結婚式では「息子同士が仲良くなるとは、人生とは皮肉なものだ。」と言い、鱒之介とがっちりとした握手を交わした。「寿司魂」にも登場しているが、そこでは二代目と表記されており、「寿司魂」の続編にあたるのが「江戸前の旬」だとすると、齟齬が見られる。また、このころは登場初期の大吾に似ていた。
坂本(さかもと)
龍男が現役時代の板長。表向きは龍男に従順な態度を取っていたが、龍男がVIPルームで使う寿司ダネ以外を調べないことを良いことに裏では築地の仲卸業者の社長と結託し二級品のネタを一級品と偽って納入し、その差額を受け取り私腹を肥やしていた。李建王の「覇王寿司」との抗争の際に結託していた仲卸業者の社員が李に買収されたことによりマスコミに事実を告発され、さらに大吾が彼の付けていた帳簿を調べたことにより悪事を暴かれる。自身はマスコミに事実を公表された直後に行方をくらましており、大吾が「嘉志寿司」の跡を継いだ後の動向は不明。

朝岡家編集

築地市場場外【朝岡水産】を営んでいる。
朝岡 国一郎(あさおか くにいちろう)
藍子、一郎の父で、旬の義父。娘にも引き継がれたそそっかしい一面を持つ。一見がさつで礼儀知らずに見えるが、本質は繊細で涙もろい人情家。
朝岡 幸江(あさおか さちえ)
国一郎の妻で藍子と一郎の母。いつも夫と子を温かく見守っている。
朝岡 一郎(あさおか いちろう)
藍子の弟にして、旬の義弟。仕事のできる父や姉にコンプレックスを抱くことも。しかし、鱒之介に、仲卸業者としての矜持を諭され、ふっきれた顔つきで父に教えを請うことを決意する。初めて締めた魚を柳寿司で寿司にしてもらい、朝岡家全員で食べた。その味は、一家そろって涙するほどの美味い味で、一郎は鱒之介に感謝した。その後、藍子が結婚した後はイクラの醤油漬けを看板商品にするなど、築地の仲卸業者として、仕事を楽しむようになる。朝岡水産での仕事の傍ら、姉の藍子と義兄の旬と共に、和食料理屋【さかい】で河豚調理師の資格取得のため修業し、試験に臨み、無事合格した。

酒井家編集

和食料理屋【さかい】を営んでいる。【さかい】は、以前は、福井の名料亭だった。
酒井 哲也(さかい てつや)
真子が料理雑誌の記者として来店した際に、寿司を手づかみで食したのに感動し、少しずつ惹かれていった。後に、母との葛藤を経て真子と結婚、旬の義兄となり、祐樹をもうける。旬と藍子と一郎に河豚調理師資格取得のための手ほどきをしている。
酒井 真子(さかい まこ=旧姓:柳葉)
哲也の妻で祐樹の母。詳細は、柳葉家参照。
酒井 祐樹(さかい ゆうき)
哲也と真子の長男。2006年12月20日生まれ。誠や恵と一緒に、七五三を祝われた。

寿司職人編集

野田 良幸(のだ よしゆき)
大阪の寿司職人。「招かざる客」の回に登場。大阪の寿司屋で修業し独立したが行き詰まり上京。2週間、住み込みで柳寿司で働き江戸前の心を掴み大阪へ帰っていった。
磯村 慎治(いそむら しんじ)
神田【勘兵衛】主人。日本橋【勘兵衛】から30そこそこの若さで暖簾分けを許された。大学教授の父親に反発して寿司職人となったが、後に旬を通して和解した。鮪に強い拘りを持ち、特にキハダマグロヅケは絶品で、旬も教えを乞うた。東都デパート主催の「全国握り寿司コンクール」で優勝した。
巽 英一(たつみ えいいち)
旬の祖父、鮃蔵が戦前に修行していた新宿【巽寿司】職人。父は東京の寿司通の間では知らぬ者のいない名人である巽次郎。東西すし祭りの東京代表を巡って旬と車エビを題材に勝負した。結果的には勝利して東京代表の座を獲得したが、自身よりも旨い寿司を握りながら「巽さんがいなければこの発想は出なかったから」との理由で旬が自分から負けを認めて代表を辞退したことによるものであり、旬の潔い身の引き方に感服する。その後の東西すし祭りでは当初は大吾に歯が立たず、一時は出店すら見合わせるという体たらくだったが、旬の協力で勢いを盛り返し、結局準優勝に終わるが、寿司を通して学んだ数々の出来事に感謝し、自身の店も父の代同様に繁盛するようになった。なお父親の次郎は「松ヶ根ずし」の親方に惚れ込んで、無理矢理弟子入りした経緯がある。
森野 石松(もりの いしまつ)
気仙沼【森寿司】職人。旬にとっては大吾と共にライバルであり親友でもある。気仙沼名物のフカヒレ寿司を得意とする。直前の大吾との初対面が最悪だった反動か、旬とは初対面からウマが合い、東都デパート銀座本店での「全国握り寿司コンクール」では、配達のトラブルからマグロを使えなくなった旬のために、磯村と共に自分のマグロの余り分を旬に提供した。小手返しの使い手で、旬は彼の握りに触発されて小手返しの練習に取り組み、コンクールでは小手返しを使うことでロスした時間を取り戻すことに成功した。福岡支店で開催された「全国握り寿司祭り」にも登場。再会した大吾がかつての非礼を詫び、年を重ねてやや落ち着いた彼も快く水に流した。豪快な性格で、わずかだが下ネタを口走るなど好色な面もあり、福岡で臨時ボーナスが支給された時は風俗店の数々を思い浮かべてにやついていた。
清瀬 鮎美(きよせ あゆみ)
金沢の寿司店【鮨 清瀬】の二代目。気の強い性格とともに父の遺した加賀前寿司を守ろうとする余り、店の応援にやって来た江戸前寿司の職人である旬を毛嫌いしていたが、次第に心を開いていき、好意を持つまでになり、旬が東京に帰る時には涙ぐんでいた。なお旬自身は鮎美のことは好きだが、それはあくまで寿司職人としてであり、恋愛対象としてでは無かった。「全国握り寿司祭り」には途中参加の可能性(中村談)を含ませつつも参加できなかったが、旬の結婚式には大吾、森野、中村、達也、太一、灘との寿司職人仲間の一員として参列した。
中村(なかむら)
【鮨 清瀬】の従業員。店の応援にやってきたが鮎美に反発されていた旬に親身になっていた。生真面目で引っ込み思案だが徐々に職人としての自信をつけている。また、修業の結果、「正統・本手返し」を会得した。鱒之介は彼の生真面目さを、周囲の人間にとって息が詰まるだけの中途半端な生真面目さではなく、周囲の目が尊敬に変わるまでとことん突き詰めた生真面目さと評した。鮎美のことを一途に想っている。「全国握り寿司祭り」にも登場。
菊川 英二(きくかわ えいじ)
【鮨 清瀬】の看板を狙う菊川水産社長・菊川守彦の弟。商売人の父や兄と違い天才的な職人。加賀前の看板をかけた寿司勝負で中村に敗れる。敗因を装飾過多なことを旬に諭され修行に出る。しかし岡山【すし重】での修行の後、「全国握り寿司祭り」にて再び自分の信条である「足し算」の寿司で旬と勝負する。その後、上海に渡り、李建王の展開する覇王寿司銀座店の板長として、大吾や旬の前に立ちはだかる。しかし、李建王が築地仲買人の反感を買ったことを知ると、あっさりと覇王寿司を辞めた。その後、旬のライバルに相応しい存在になることを目指し、旅に出る。最終的には北海道で自身の店「英(はなぶさ)」を開店した。後に、東都デパートで開かれた物産展で自身の勝負に拘るちっぽけなプライドを恥じ、自然な笑顔を出せるようになり、後に旬夫婦を北海道の自身の店に招待している。旬の目指す寿司道と自分の寿司道は相容れないとしており、旬のことを「甘い」と断じるが、その一方で「その甘さ、嫌いじゃない。」とも考えている。
「北の寿司姫」にも登場しており、函館の木古内で寿司店を経営している。そこで、主人公の姫野さくらを大北海道握り寿司新人コンテストで優勝させるために一ヶ月特訓した。その際に、掌の温度を自由に変えられるさくらに驚愕した[8]
小松の親方(こまつのおやかた)
深川の親方と並び称される昭和の大名人で、北陸に小松ありと言われた寿司職人。全国に直弟子孫弟子合わせて数百人の弟子を持つ。金沢にて、【鮨 清瀬】と【鮨 菊川】の勝負に割り込み、菊川英二の豪華な見た目に踊らされ、鮨の本質を見抜けなかった審査員たちを戒めた。能登で隠居生活をしている。
新見 清次郎(にいみ せいじろう)
【すし清】の親方。通称「深川の親方」とも呼ばれたる、荒くれで有名な築地の男たちが思わず立ち止まって深々とお辞儀をするほどの伝説の寿司職人。目標である鮃蔵が逝去して寿司が握れないほど落ち込んでいた鱒之介を弟子に引き取り、彼に再び寿司の奥深さを教えた(修業の様子は「寿司魂」に描かれている)。また、戦後の闇市が東京に数多く出ていた中で、「寿司屋はまっとうな商売でなくちゃいけねぇ。」という信念を持っていた。2003年時点は米寿(88歳)であり、このころ原因不明の病で両目を失明する。37年前(1966年)51歳、鱒之介が22歳の時点でも彼の尊敬を受けている。旬に「目で魚を見て握っているようじゃ、寿司職人としては半人前。」という教えを授けた。また、この時に自身が生涯かけて追い求めていた理想「寿司と一体になる」を成し得た。今際の際に、約束通り最後の弟子となった旬の“名残りのシンコ”を食べて、旬に感謝しながら、旬・鱒之介・松ヶ根の親方・蔦屋の女将に看取られて逝去した。享年89。
松ヶ根の親方(まつがねのおやかた)
【松ヶ根ずし】の親方。深川の親方と並び称される昭和の伝説の寿司職人。鱒之介と旬は、深川の親方と松ヶ根の親方にとって直弟子であり、特に旬は最後の弟子となった。江戸前寿司が昔の庶民的な食べ物から高級品になったことに嫌気が差し、大阪ずしに転向した寿司職人。鱒之介と旬と巽次郎に大阪ずしを教えた。
結城 達也(ゆうき たつや)
鱒之介の兄弟子(ただし鱒之介は既に職人として一本立ちして年も上だったため実質的には弟弟子のようだった)である小樽【鮨 結城】主人・結城 哲(ゆうき てつ)の息子で、旬の下に預けられる。おとなしそうな風貌の陰ではかなり腹黒い性格で旬も手を焼くが、旬の情熱により改心し(というより、自分のしたことを思わず白状しそうになるなど、根っからのワルではなかった)、北海道に戻ってからは人が変わったように修行に精を出し、後に「鮨 結城」すすきの分店を任されている(「北の寿司姫」は、そのすすきの分店が舞台)。真子の結婚式や「全国握り寿司祭り」にも登場。父・結城 哲は「寿司魂」にも登場しており、このころから巻物が得意。達也は旬にとって弟弟子になるが、父親の哲は旬の希望に応えて自身の細工巻きを伝授しており、旬にとっては師匠の一人となる。
磯山 太一(いそやま たいち)
第40巻「サンマ丼」にて初登場。藍子の伝で、仕事が休みの日に柳寿司を手伝うようになった職人。肥満体。弱気で泣き虫だが実は天才的な腕前を秘めている。当初は魚が捌ければ一人前になれると考えていたが(柳寿司に通っていたのも、すし華で兄弟子たちが自分に雑用しか与えず技術を身につけられないと考えたから。)、旬の魚と客に対する真摯な態度に感服し、旬のような寿司職人になりたいと考えるようになる。宅配寿司店の職人と名乗っていたが、実は新橋の江戸前寿司店【すし華(はな)】の下っ端職人。跡取り息子ら兄弟子達に柳寿司通いがばれてしまいリンチを受け、それに怒って店に出向いた旬も負傷するが、隠居していた親方にその場を救われる。その後、旬が改めて店に挨拶に向かった際、親方の計らいでツケ場に立ち、一同に腕前を認められ、以後は親方と共にツケ場を任されるようになる。旬の「全国握り寿司祭り」による不在時は柳寿司の留守を担った。すし華で働く傍ら、謙介の下で、築地市場の除毒所にて河豚調理師資格取得の修業をし、試験に臨み、無事合格した。また、既成概念に捉われず、半夏生の夏蛸や秋刀魚の炙り、鰤の燻製を試すなど素材の新たな美味しさを引き出すことに積極的に挑戦している。親方から独立を提案されるが、己の寿司道を見つけた旬を見てショックを受け、親方に「自分は子烏賊にもなれていない。」と、引き続き【すし華】での修業を望んだ。その後、京都の老舗料亭【桐乃家】の主人に請われ、香りを重視する己の寿司道確立のため、京都に旅立って行った。
灘 信行(なだ のぶゆき)
「全国握り寿司祭り」編に登場した福岡【玄海】主人。父親が親友の寿司職人・森田(後に灘の師匠となる)と共に東京へ出かけた際、鱒之介の寿司を食べてショックを受け、失意のうちに亡くなったことから、旬を父の敵として狙っていたが、勝負を通じて改心。涼子という妹がいる。後に涼子、森田と共に柳寿司を訪れ、客が喜んでくれる寿司を握ることを目指す。

常連客など編集

平政(ヒラマサ)
柳葉家とは長い付き合いである柳寿司一番の常連客。基本的には一人で来店するが、時々夫婦そろって来店することがある。家族は妻と息子の一夫、娘の明子がいる[9]。時には厳しくまた優しくアドバイスをし、旬の成長を見守っている。旬は彼を「じっちゃん」と呼び、祖父のように慕っている。銀座の靴店「タイラ靴店」の主人で、他の常連客もご隠居と呼ぶなど近所ではかなりの顔とされている。釣りが趣味。ヒラマサはあだ名で、姓は平(たいら)らしいが本名はめったに出てこない。「寿司魂」にも登場しているが(物語開始時36歳)、白髪や皺が少ない以外は容姿はさほど変わらない。鱒之介には、鮃蔵のように死ぬ直前までツケ場に立っていてほしいと思っている。また、柳寿司に四代目が生まれ、鱒之介(二代目)と旬(三代目)と共に、ツケ場に立つ姿を見るまでは何があっても絶対に死なないと鱒之介に誓った。小学校卒業と同時に革靴問屋に丁稚奉公に入った。旬と藍子の結婚式では仲人を務めた。また、旬と藍子が子宝に恵まれるようにと、カツブシ入りの小柴産のシャコで願かけもした。旬と藍子の子供であるみどりの名付け親。『李謐と孔藩』の故事に因んで勤勉さと謙虚さを身に付けてほしいと願い命名した。一時期、心臓発作を起こし意識不明の重体になったが、旬が毎日握ったヒラマサの寿司を食べる夢を見て意識を取り戻した。
圭斗(けいと)
旬の銀座北高等学校の同級生であり親友。月島西仲通商店街にある【もんじゃハウスMIYAKO】でもんじゃ職人として働いている。旬の結婚式には、大吾や謙介と一緒に披露宴のドッキリを企画したり、司会も務めた。また、幼少のころに病気で入院した際に、旬に寿司ネタで何を食べたいかと聞かれた際にイクラの軍艦巻きと答えた。それ以来、柳寿司では旬の天然ものを扱う中で唯一イクラだけは一年中冷凍物を使っている。一時期、内装を今風にしたり新メニューを考えたりして客を呼ぼうと考えたが、どれも上手くいかず、自暴自棄になっていた。しかし、「手間暇をかけて食材の旨味を引き出す」ことを念頭に置いて仕事をしている旬に対し、「旨味調味料を使った方が効率的。」という考え方を持ち、互いの意地をかけて玉子焼き勝負をするが、その結果、手間暇をかけることの大切さを痛感する。彼女がいないことを悩んでいたが、旬と海に行った際に出会った夏子を助けたことがきっかけで交際するようになる。だが後年、いつの間にか別れており、様々な事情から男性不信になった、銀座のキャバクラ嬢の奈央に惚れ込み、いつか心を開いてくれることを信じて追いかけている。
頭(かしら)
本名不明。鉄骨鳶一番組の頭。モヒカン。鯛(てえ)と河豚が大好物。旬の結婚式の時には、お練りをした。江戸っ子気質の豪快な性格。いつも一番の文字が入った半纏を着ている。「寿司魂」にも登場しているが、その時は父親が頭を務める鉄骨鳶一番組の若頭だった。東京タワーと霞が関ビルの建設に携わっている。また、ヒラマサ同様、容姿の変化はほとんどない。
宇佐美の旦那(うさみのだんな)
工芸和菓子【宇佐美】の親方。余計なものを省くことでより本質的な美しさを引き出せる“引き算”こそが和菓子の美学だという信念を持っている。快気祝いに柳寿司を訪れた際に、石本のお茶の淹れ方に感服し、彼を【宇佐美】に引き取った。弟子に対しては厳しいが、反面、素直に耳を傾ける優しさもある。
宮森 徹(みやもり とおる)
心臓外科医の世界的権威。ペンキ屋だった父の後を継ぐのが嫌で、誰からも尊敬され、かつ、お金も手に入れられるという理由で医者になった。しかし、数年ぶりに再会した父に、自分がいかに鼻持ちならない存在であったかを諭された。柳寿司には、母のために京ちらしを作ってもらおうと来店したのがきっかけで常連客となった。その後、「すし華」の兄弟子たちにリンチを受けた太一や負傷した旬を治療したり、ヒラマサの指を治療したり、藍子の叔母の心臓の病気を完治させたりしている。また、旬と藍子の結婚披露宴にも出席した。T大の教授となり、他方、白根を弟子にしている模様。2メートル近くの大男。
金子(かねこ)
AZUMA製作所株式会社勤務。常連客のサラリーマン。「柳寿司の寿司はいわゆる一流店にも負けない」と信頼しており、接待などにもしばしば利用する。
新井 雅彦(あらい まさひこ)
AZUMA製作所株式会社勤務。金子の後輩。典型的な体育会系でお調子者の傾向があり、それでミスをしてしまい金子がフォローすることも多い。一時期北海道の支社に転勤していたが東京本社に戻った。年老いた母親を心配するあまり転勤を拒否しかけたり、ただの軽い風邪で、しかも注射一本で全快したにもかかわらず、無理やり入院させたことがある。そのため、マザコンだと言っていた有野に「自分以上。」と評された。しかし、それは母親が41歳の時に自分を産んだことや自分を大学に行かせるために日雇いや新聞配達の仕事などの苦労をして育ててくれたことを知っていたからであり、誕生日になると感謝の念を込めて母と一緒に過ごしていた。柳寿司に訪れた時に、母を偲んで具も山葵もない、寿司飯を海苔で巻いただけの海苔巻きを食べながら、40歳を過ぎても結婚できなかったことや孫を抱かせてやれなかったことを悔い、号泣していた。しかし、有野や金子の計らいで母が良く食べさせてくれた明日葉を使った寿司を食べ元気を取り戻し、また、それが縁で同じく落ち込んでいた畑野洋子と知り合う。
有野 孝昭(ありの たかあき)
AZUMA製作所株式会社勤務。金子の後輩。当初は母親が会社についてくるほどのマザコンだったが、一本立ちして後輩に指導するほどになる。接待した社長に一度決まりかけた契約を、社長との信頼関係が築いていないため、しっかりとした信頼を得てから契約してほしいと言ったり、協力してくれた旬や金子に素直に感謝するなど、気骨のある人物。
小野寺(おのでら)
AZUMA製作所株式会社勤務。金子の同期。以前は男性に負けまいと仕事に打ち込んでいたが、金子や旬のアドバイスにより生来持っていた才能「人を繋ぐ力」を活かし、心機一転頑張っている。新井の母親の葬儀の時に再登場した。
鹿野 昭夫(しかの あきお)
八木沢たちの上司(課長)。イヤミな性格で食べ物の蘊蓄話が好き。だが意外と部下からは慕われており、助け舟を出されることもしばしば。柳寿司で食べ物の蘊蓄話をしては、キャバクラに意気揚々と出かけていく。しかし、風向きが悪くなると用事を思い出したふりをしたり腹痛を訴えたりして、そそくさと退散してしまう。自称「営業の神様」。
【ヒゲダラ】では名前が大塚になっている。
八木沢(やぎさわ)
鹿野の部下。鹿野の蘊蓄話に辟易している。しかし、エイプリルフールの時は(それと知らずに)、転勤になると聞いた鹿野のために柳寿司で送別会を行ったこともある。三流大学卒で同期からバカにされていたが、上司の話を聞いて発奮し、成績を残した。同じ三流大学卒の綾瀬にその話をして励ます。
斉藤(さいとう)
八木沢の同僚。単行本51巻「寿司とワイン」では、良二郎に助けを求めた。
綾瀬 いずみ(あやせ いずみ)
鹿野や八木沢の会社の新入社員。千葉の銚子出身。三流大学卒の自分のことを研修の時からバカにしていた一流大学卒の同期に煙たがられているが、八木沢たちの励ましを受けて、日々奮闘している。
良次郎からの熱烈なアプローチをあしらい続けている。
桜井 淳(さくらい じゅん)
真子が結婚前まで勤めていた出版社日文書房勤務。阿部や中手川を担当している。緑内障が完治した祖母の快気祝いを柳寿司でしたり、風邪で入院した阿部から【粥】をテーマにした料理のお題を出されて、ヒントを得るために旬から田麩を教えてもらっていたりする。阿部邸で行われた旬と大吾の寿司勝負にも立ち会った。
西島(にしじま)[10]
日文書房編集長。真子の嘗ての上司で、桜井の今の上司。時々、桜井と共に柳寿司を訪れる。阿部邸で行われた旬と大吾の寿司勝負にも立ち会った。
「部下の失敗は上司の責任」という考え方を持つ。
立場上、食に対しての拘りを持ち、柳寿司にて天然物と養殖物の違いや蟹の種類を瞬時に見分けた。
中手川(なかてがわ)
俳優であり作家。旬が作った海鮮丼に感動して以来、時々来店する。阿部邸で行われた旬と大吾の寿司勝負にも立ち会った。
東堂(とうどう)
東都デパート会長。以前は納豆売りをしており、柳寿司の納豆巻きに感激して以来、通うようになった。春彦という孫がいる。両親は鳥取県出身。
山本 鈴音(やまもと すずね)
東都デパート社員。かつてはホステスだったが東堂会長に交渉能力を見込まれ、転職。決して美人とは言えない顔つきだが、文化的な素養は高い。「全国握り寿司祭り」では、企画終了後に東都デパートを退職しようとしたが、東堂会長の計らいにより、引き続き東都デパートで働くことを決意する。東都デパートに20代の女性ファッションフロア新設に伴い、売り子の教育担当を東堂から一任される。福岡県北九州市小倉出身。二卵性双生児の妹、琴音がいる。
淳也(じゅんや)
祖父の代から続く、bar xyzの若きオーナー兼バーテンダー。
佐々本 拓海(ささもと たくみ)
東都デパート社員。再会した小学校の同級生の田口咲と交際するも、彼女の祖母である八千代に色々と難題を出されてしまう。しかし、「絶対に咲と結婚し、幸せにする。」と心に堅く誓っており、八千代の難題にも積極果敢に挑んでいく。「全国握り寿司祭り」を企画。会場での旬の話を通して、江戸前寿司職人の心意気に感動する。東都デパートの屋上に造った庭園で咲にプロポーズして快諾された。
田口 咲(たぐち さき)
佐々本の小学校の同級生で、初恋の相手。八千代の孫。佐々本の真摯な気持ちに惚れ、交際をするようになる。八千代に佐々本との結婚を認めさせようとしている。東都デパートの屋上に造られた庭園で佐々本にプロポーズを受けて快諾した。
田口 八千代(たぐち やちよ)
料亭「京料理 美山」の女将で咲の祖母。旬こそが咲の夫として相応しいと考えていたが、藍子と結婚したため諦めた。佐々本に難題を出し続けるものの、どこかしら佐々本を認めていることを窺わせる描写が多々ある。
池内 正二郎(いけうち しょうじろう)
編集者時代の真子が担当していた食通の大作家。登場人物の中で唯一、毎回和服を着ている。旬と大吾が生涯の好敵手、そして勝負を通じての最高の親友となるきっかけを作った人物。初めて柳寿司に来店した際に、鱒之介の出した【五味五色】の寿司に感動して以来、常連客となる。阿部邸で行われた旬と大吾の寿司勝負にも立ち会った。旬と真子の結婚披露宴にも出席した。
昔は新聞記者をしながら執筆活動をしていたが、当時師事していた作家が泊まっていた宿の仲居をしていた田口八千代に叱咤激励されて本格的に小説家の道を歩み始めた。
阿部 如雲(あべ じょうん)
女性に人気の「癒しのカリスマ」といわれる画家であり詩人。しかしその作風とはギャップのある風貌で茶目っ気のある人物。毎年、自宅の茶室で翌年の仕事をどの出版社とするかを決めるため、茶会を開き、その場でお題を出して真意を汲み取った編集者とのみ仕事をしている。旬と真子の結婚披露宴にも出席した。四代続く江戸っ子。旬と大吾の寿司勝負の際には、能舞台に似た舞台を自宅の敷地内に宮大工に作らせた。後に、好きな時間に好きなモノを書きたいと思い、引退した(単行本61巻)。
海原 慎太郎(うなばら しんたろう)
祖父(本編では故人)の代からの蒔絵師。鈴音とは微妙な関係。蒔絵に魅せられ、その魅力を表したいと思うも十全に発揮できず悩んでいたが、父(誠一郎)から「蒔絵は心で描くものだ。物事に感動し、その感動を蒔絵を通して人々に広く伝えたいという想いと木地師と塗師が込めた想いを深く感じ取らねばならない。」との助言を受け、一流の蒔絵師として成長していく。祖父が晩年認知症を患い、母親に「下の世話」などの介護を押し付けて外出することが多かったのを後々まで後悔している。なお、祖父と父は寿司魂にも登場。同作中では祖父が叙勲を受賞することが決まるも、職人の矜持が大事と断り、鱒之介と君江の結婚の際に、二人のために特別に拵えた蒔絵の調度品を贈った。
坂本 翔子(さかもと しょうこ)
愛称ショッコ。元は【料亭吉川】の仲居。旬とはいい雰囲気になったが、擦れ違いが多くあまり仲が進展しなかった。その後結婚し一男をもうける(名前は、旬の人柄に惹かれたという夫により「旬太郎」と命名)(初登場時は三崎姓)。
麻生夏海(あそうなつみ)
旬の高校時代の同級生。旬に淡い恋心を抱いていたが、本心を打ち明けられずにいた。画家を目指してフランスに留学するも、自分の能力の限界を感じて帰国した。
マイク
プロレスラーのようないかつい風貌だが実はアメリカの貿易商。小夜子という着物姿が似合う恋人がいる。小夜子とは十五夜のお月見を共にしたが、その後連絡が取れなくなったことで嫌われたと思っていた。しかし、実際には小夜子がマイクと結婚できるか悩んでいただけだった。大の日本通。旬と藍子の披露宴では、小夜子と共に出席した。アメリカでは“悪魔の魚”と言われているタコが苦手だったが、旬が握ったタコの握り寿司に感動し考えを改める。後に、日本嫌いの母親を、自ら心を開いて説得し、共に柳寿司を訪れた。また、アメリカやフランスなどの仕事上の付き合いのある外国人に寿司と日本文化の素晴らしさを伝えるため、共に柳寿司を訪れることがある。
じゃこ平(じゃこへい)
たまに柳寿司に訪れる湊家一門会の落語家。旬にすごい顔と言われるほど泣き顔がひどい。旬と藍子の披露宴に出席した。落語【時そば】を稽古した時は、そばとうどんの違いを音だけで演じ分けるため、一日三食全てそばを食べ続けた。そのため、久しぶりに柳寿司を訪れた時には、物凄い勢いで旬の握ったすしを食べ続けた。その甲斐もあり、落語は大いに大盛況となった。
昔は、テレビのバラエティ番組ばかり出ていたが、後に父親を超える芸を身につけるために落語家一本で生きることを決意する。
与田 良二郎(よた りょうじろう) / 丸山良二郎
鱒之介の幼馴染である良太郎の息子。良太郎は、以前は貸しビル業を営んでいたが、詐欺によって借金を抱え、一家そろって祖母の実家の大分に夜逃げした。しかし、そこにも借金取りが現れ、耐えかねて松の木で首つり自殺をしようとしたが松の枝が折れてしまい、しかも根元から温泉がわき出たため、それを基に、3件の温泉旅館を経営することに。良二郎は柳寿司にトイレを借りに来店した後、旬達に上記の話をする。更には、「寿司魂」にも描かれている鱒之介の若かりしころの武勇伝を話した。また、ワインにも詳しく、常連客がワインと寿司のセットでの接待をした際に、色々と知恵を授けた。銀座一丁目に住んでおり、銀座のビジネススクールに通っている。そのビジネススクールに通っている同級生の畑野洋子が里心がついて故郷の八丈島に帰りたいと落ち込んでいた時、八丈島産の明日葉を使った寿司を旬に依頼、元気を取り戻してもらって良い所を見せようとしたが同じく落ち込んでいた新井と洋子が意気投合してしまったため、想いは伝えられなかった。ソムリエ試験合格のために勉強をしていたが、東都デパートの外商部に就職した。
いずみに熱烈にアプローチしているが、その度に軽くあしらわれている。
単行本54巻「梅雨アナゴ」では、「丸山良二郎です」と挨拶している。

その他編集

加治(かじ)
包丁の研ぎ師。旬曰く、鱒之介にとっては心の師。
李建王(リー・ジェンワン)
上海の覇王グループ代表。日本の大学に通っていたころ、握り寿司を食べて以来寿司の虜になったが、友人とお洒落をして行った憧れの嘉志寿司で自分たちが中国人だと知った板前に侮辱され、嘉志寿司を見返すために、中国に帰国後、上海にて事業を展開し、「上海の寿司王」と呼ばれるまでになった。満を持して、嘉志寿司の目の前に覇王寿司を開店、マスコミを利用して注目を集め、また築地市場で金にモノを言わせて一番のマグロを手に入れようとしたり、仲卸業者を買収して嘉志寿司の板長・坂本が行っていた食品偽装の事実を突き止め、嘉志寿司が風評被害を受けるように仕向けたりなどしたが、謙介達仲卸業者の大吾への加勢により形勢が逆転、さらに仲卸業者を敵に回したことで板長を任せていた英二も離反してしまう。嘉志寿司との抗争の同時期に北京でビルの手抜き工事をし、そこで得た資金を横流ししていた事実がビルが倒壊したことで発覚し中国の警察に逮捕された。
九条宗正(くじょう むねまさ)
九条料理専門学校の御曹司。嘗てはショッコを巡って旬と恋敵となったこともある。58巻では結婚しており、九条料理専門学校の経営を引き継いでいる。従来の料理学校の在り方に疑問を持ち、引退した鱒之介に講師を請うた。
神田宏明(かんだ ひろあき)
築地場内市場で鮪専門の大物屋を営んでいる。当初は小物(鯵など)を扱っていたが、やがて鮪専門に切り替えた。しかし、中々思うように結果が出ず、更に他の大物屋からは雑魚物屋と蔑まれていた。だが、鱒之介の言葉に触発され、その後大きく飛躍することになる。【江戸前の旬】では、築地を代表する大物屋になっていたが、自身気付かぬうちに天狗になっていた。そのことを鱒之介に諭されてからは、築地の未来を担う若者たちに積極的に鮪の講習を行っている。

前作およびスピンオフ作品編集

銀シャリ!!編集

正式タイトルは『銀座 柳寿司 三代目奮闘記 銀シャリ!!』 1998年9月から1999年1月まで「週刊漫画ゴラク」に連載された、本作のプレストーリー。 鱒之介が病に倒れ、高校3年生の旬が店を継ぐことを決意し、様々な難問にぶつかりながらほぼ独学で寿司のことを覚えて行く過程が描かれている。単行本は全1巻。Gコミックス「江戸前の旬 スペシャル」では、本作も「江戸前の旬」の1エピソードとして扱われている。

〈江戸前の旬〉特別編 寿司魂編集

「別冊漫画ゴラク」で連載されていた。旬の父、鱒之介の若き日の修行時代を描く。当初は、1964年東京オリンピック開催前後の昭和39年を舞台とし、後に父鮃蔵との死別や、寿司清での修行、後の妻となる君江との出会いなどが描かれる昭和41年以降が舞台となった。また「江戸前の旬」の登場人物のうち、ヒラマサや頭たちの若かりしころも描かれている。連載が進むにつれて、「別冊漫画ゴラク」と「週刊漫画ゴラク」の最新号がほぼ間を置かず発売された場合、「江戸前の旬」と「寿司魂」の最新エピソードがリンクすることがあった。一方で、「寿司魂」は後付けのため、初期の「江戸前の旬」の描写といくつかの齟齬も見られる。「別冊漫画ゴラク」が2015年2月号をもって休刊になったため最終回は駆け足で時間が流れ、旬の誕生から君江の死まで一気に描かれ、「銀シャリ!!」「江戸前の旬」への繋がりも明記されて終了した。

「寿司魂」の登場人物編集

ここでは、にのみ登場する人物を紹介する。その他の人物は「江戸前の旬」登場人物を参照。

柳葉節子(やなぎば せつこ)
柳寿司初代女将。鮃蔵の妻、鱒之介の母、君江の義母、旬らの祖母。柳寿司の場所は彼女の実家が持っていた土地。寿司屋の女将としての誇りを持っている。息子鱒之介の職人としての成長を暖かく見守っており、結婚後の、「嫁」君江との関係も良好だった。最終回の旬の誕生までは生きており、その後君江の死までの10年の間に亡くなった模様。
鳴瀬(なるせ)
築地署勤務の「蝮」の異名をとる刑事。昔、学生時代に、自主映画を撮影していたことがある。
小雪(こゆき)
【芸は売っても身は売らない】が信条の新橋一の小粋な芸妓。実家が貧乏だったため、幼少のころに新橋の芸者小屋に引き取られた。鱒之介にとって初めての「女」になり、その後熱海の大親分に身請された。鱒之介が宗像と君江を巡ってトラブルになり、様々な嫌がらせを受けていることを知り、陰で大親分の力を借りて宗像に矛を収めさせた(力を貸す代わりに鱒之介とは将来的にも一切会わないよう約束してのことだったため、鱒之介は彼女の尽力を知らない)。後に本編に年老いた姿で登場。熱海の大親分が90歳を超える大往生を遂げたことでようやく自由の身になり、鱒之介のいる「柳寿司」を訪ねることができた。記憶力の低下など、僅かではあるが認知症の兆候が出てきていたが、鱒之介と、お互い再会を喜び合う。
拓(たく)
鉄骨鳶一番組の鳶。お調子者だが、鳶職人としての誇りはある模様。気が荒く、頭(本作では若頭)とも何かといえば喧嘩腰になるが、職人として大きな信頼を置いている。誰にも真意を明かさずに一番組を辞め、更に東京を去って行った。
宗像(むなかた)
君江の最初の婚約者。財閥の御曹司。君江の前では好青年を演じていたが、実際は「虎の威を借る狐」で、DVをしていた。君江に鱒之介との婚約を諦めさせるために柳寿司に火を点けさせたり(ヒラマサと良太郎が消火)した。しかし、熱海の大親分に身を退くように脅され諦めた。
熱海の大親分(あたみのおおおやぶん)
宗像の父親の渡世の兄貴の叔父貴。身請けした小雪に頼まれて宗像の鱒之介と君江への嫌がらせを阻止した。後年本編で小雪が登場した際、90歳を超える長寿で大往生したことが語られた。その際、鱒之介を助けた恩があったとはいえ、その後の鱒之介への接触禁止などの制約を強制し続けていたこともあり、小雪には恨みに近い感情を抱かれている。
良太郎(りょうたろう)
銀座の大地主の息子で大学生。留年している模様。柳寿司の常連客だが、幼馴染である鱒之介には店内でも「与太」と呼び捨てにされ、面と向かって「金持ちのバカ息子」呼ばわりまでされる程気安い関係。本編にも初老となった姿で夜逃げ(詳細は良二郎の項目を参照)先の大分から上京し、鱒之介と再会を果たす。
北見三四郎(きたみさんしろう)
北海道の松前から歌手を目指して上京してきた。中々歌手になるきっかけが掴めず「流し」が精一杯で一時は浮浪者同然に身を落としていたが、柳寿司の常連客であり呉服商の佐伯にその才能を見出され、様々なサポートを受けて遂にデビュー、紅白歌合戦出場も決めた。恩人の佐伯は三四郎に入れあげている間に妻に浮気されて逃げられ店も失うが、彼は佐伯を発奮させるためわざと冷たくあしらい、佐伯もその真意を理解しており再び事業を始めてすぐに軌道に乗せることに成功した。鱒之介と君江の結婚の祝いの席で祝いの歌を披露した。キャラクターは北島三郎がモチーフだが、「江戸前の旬」本編の初期には同じ北島三郎モチーフで別人が「演歌界の大御所」として登場しており、こちらは「嘉志寿司」の常連である模様。

北の寿司姫編集

「食漫」に連載されていた。結城達也の任されている店が舞台。本作では、「大将」である達也もまた、一職人として修行中の身である点が強調され、研究や精進を続ける姿が描かれる(全くの素人である主人公さくらに対してさえ競争心を持つことがある)。「食漫」が2010年12月号をもって休刊になったため、同作品も以降は新作が発表されていない。第三巻のラストには「第一部完」とある。

さくら達【鮨結城 すすきの分店】メンバーの一部は、2013年2月に「江戸前の旬」連載700回記念のストーリーにゲスト出演している。

「北の寿司姫」の登場人物編集

結城達也、菊川英二については、「江戸前の旬」登場人物を参照。

姫野さくら(ひめの さくら)
北海道最南端の城下町・松前町出身。父親が営む【寿司ひめの】で寿司職人を目指していたが、父親の逝去に伴い結城達也が営む【鮨結城 すすきの分店】で職人修業を始める。どんな困難にもめげずに持ち前の明るい性格と大胆かつ独創性のある発想力で乗り越えていく。一度【鮨結城 すすきの分店】を辞め、松前の料理店で修行をやり直し、菊川英二の下での修行を経て鮨結城に戻った。掌の温度を自由に変えたり、目隠しをして寿司を握るなどの特技を身に付けている。前述のように、後に「江戸前の旬」本編にも登場。達也の許可と、その達也自身の旬への頼みもあり、一時的に念願の「柳寿司」での修行も実現する。その時点でのさくらの腕前について達也は、旬との二人きりでの会話で「今はこうやって師匠ヅラしているが、自分もいつ追い抜かれるか分からない。」と評している。
吉田桃子(よしだ ももこ)
【鮨結城 すすきの分店】の従業員(接客係)。さくらの入店以来、何かと力になっている。さくらをアパートの自分の部屋に同居させている。
田丸(たまる)
【鮨結城 すすきの分店】のNo.2板前。
薫(かおる)
元暴走族のリーダー。7年かけて、ようやく【鮨結城 すすきの分店】のツケ場に立つことが出来た板前。そのため、入店まもなく頭角を現し始めたさくらに脅威を感じ、何かと因縁を付けてくる。しかし、姑息なやり方は男らしくない、と真正面から正攻法で堂々と勝負を挑むことにしている。一時はさくらと和解し協力してことに当たったこともあったが、さくらの成長に精神をかき乱され、見た目とは裏腹に女には絶対に手を上げない信念を持ちながら、このままではさくらを殺してしまいかねない精神状況にまで追い詰められ、それを自ら防ぐために一時は退職願いを出して店を飛び出した。この一件でさくらは相手の気持ちを考えずに突っ走り、結果そこまで薫を追い詰めた自分を恥じ、自分が店を辞めるから戻って欲しいと薫に謝罪した。
立川(たちかわ)
【鮨結城 すすきの分店】に五年前に入店した板前。田丸が実家の寿司屋を継ぐため【鮨結城 すすきの分店】を退店することに伴い後継者としてさくらと海胆の寿司勝負をした。基本的に争いごとを好まない、温和な資格。

江戸前の旬〜旬と大吾〜編集

『別冊漫画ゴラク』休刊後に新たに創刊された『漫画ゴラクスペシャル』にて2016年8月号まで連載された。単行本は全3巻。本編では既に日本を代表する寿司職人に上り詰め、お互いを認め合うライバルにして親友となった旬と大吾の、まだ未熟だったころの修行と、互いへの確執や勝負が描かれる。旬は本編初期より若干幼く描かれ、旬と大吾が高校の同級生であるなど(本編では大吾の方が3歳年長)、こちらもまた本編とは齟齬が見られる。

江戸前の旬 外伝 虹のひとさら編集

『漫画ゴラクスペシャル』にて、2016年10月号から2017年10月号まで連載。単行本は既刊1巻(2017年7月現在)。主人公・篠崎沙羅は短大卒業後に料理専門学校で鱒之介に寿司を教わり、「魚一」コーポレーションに就職。回転寿司の商品開発に携わっていたが、ある日グループの回転寿司店・銀座「江戸一」責任者に任命される。責任者として赴くも店長の藤岡との賭けに負けたため職人として働くことになり、「お客さんが虹を見た時のようなときめきや幸福感を味わえる『虹のひとさら』」を追求することになる。

書誌情報編集

*他、コンビニコミック版で「江戸前の旬スペシャル」が多数発売されている。

脚注編集

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  1. ^ 初期は「銀シャリpart II」
  2. ^ 単行本第60巻第2話約束の日(前篇)では、銀座一丁目となっている。
  3. ^ 寿司魂第14巻最終話より
  4. ^ 1949年に制定された年齢のとなえ方に関する法律以前の数え年の可能性もある
  5. ^ 寿司魂第14巻最終話より
  6. ^ 逆恨みであることは二人とも頭では分かっていた。
  7. ^ 寿司魂 第七巻 第七話 新婚旅行
  8. ^ 「北の寿司姫」第三巻第十八話・第十九話。
  9. ^ 「江戸前の旬スペシャル」母の卵焼き編、銀シャリ!!
  10. ^ 名前は、単行本第34巻【見立て寿司】で判明。