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治療塔』 (ちりょうとう) は大江健三郎の長編小説である。 月刊誌「へるめす1989年7月号から1990年3月号に「再会、あるいはラスト・ピース」と題して連載され[1]、その後1990年岩波書店から出版された。2008年講談社文庫に収録された。

治療塔
著者 大江健三郎
発行日 日本の旗1990年5月24日 (岩波書店)
発行元 日本の旗2008年2月15日 (講談社文庫)
ジャンル 純文学
SF小説
日本の旗日本
言語 日本語
ページ数 304
前作人生の親戚
次作静かな生活
公式サイト http://www.bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2759810
コード ISBN 978-4-06-275981-6
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目次

あらすじ編集

21世紀前半、度重なる核戦争によって汚染された地球から、「選ばれた者」百万人が、大多数の人々を置き去りにしてスターシップ公社のロケットに乗って、「新しい地球」へと移住する。スターシップ公社の日本代表木田隆の息子朔はその特権的な立場によって、そのロケットに乗るという権利を与えられる。彼は地球に残留したリツコと結婚するが、それは周囲からは歓迎されていない。スイスの全寮制学校に在籍していたリツコは中東で発生した核戦争から逃れる為に日本行きの飛行機に乗ろうとしたヨーロッパで、複数の男性から強姦されてしまい、エイズへの感染を心配する状況に追い遣られていたのだ。朔は「新しい地球」で奇妙な建築物を発見する。その中に入ると人は若返って病気に強くなったので「治療塔」と名付けられた。その後、「選ばれた者」達は古い地球を侵略して植民地にしようと企てる。朔は父親の会社に反発し、公然とスターシップ公社を批判し始めるのだった。

登場人物編集

船団のパイロット。
リツコ
遡の妻で、物語の語り手。
スターシップ公社の日本代表。
科学者で隆の兄。

備考編集

大江は、本作と『治療塔惑星』はウィリアム・バトラー・イェイツを「主題のイメージ化の支え」にしたと回想する[2]

安部公房は大江に対し「あれはSFではないんじゃないの」という反応を示したという[3]。又、大江本人は後に女性を語り手とした事について触れ、ダンテにとってのベアトリーチェがそうだったように「イノセントな、明るく自立していて屈服しない、そういう女性像が、文学の世界でずっと書かれ続けてきたことにね、未来を予見させるものがないはずがない」と語っている[4]

関連項目編集

脚注編集

  1. ^ 大江健三郎、すばる編集部『大江健三郎・再発見』集英社、2001年、210-211頁
  2. ^ 「大江健三郎 自作解説」私の中の見えない炎
  3. ^ 大江健三郎、すばる編集部『大江健三郎・再発見』集英社、2001年、212頁
  4. ^ 大江健三郎『大江健三郎 作家自身を語る』新潮社、2007年、163頁