洗濯

衣類やリンネル類など布地を洗うこと
フランスのレアリスム画家 レオン・レルミット(1844-1925)が描いた洗濯の風景
物干し竿に着物を干す女性(左)とたらいで洗濯する女性(右) (日本、1925年)
イギリス イプスウィッチに残る、衣類を煮沸しつつ洗濯するためのかまど。
動画。歴史的な手動洗濯機で洗う様子。お湯で洗う。
現代の先進国にある共同洗濯場、コインランドリー
洗濯された衣類

洗濯(せんたく)とは、機械的作用と化学的作用を利用して衣類などの布地洗うこと[1]。洗濯には衣類等の衛生や保存だけでなく特に文明社会では社会的受容の目的もある[1]

洗濯は家事のひとつにも数えられる。顧客の衣類を洗濯する専門の業種は「クリーニング業」と呼ばれる。界面活性剤による洗濯のほか、ドライクリーニングなどの手法を用いて洗浄する。

歴史編集

古代編集

洗濯や洗浄剤の歴史は4大文明の黎明期には既にあり、特に古代オリエントには多くの記録が発見されている[1]。古代、人々は水辺に住んでその水を利用して洗濯していたが、水の乏しい地域ではでもんで洗濯をしていた[1]

最初の洗濯条件の改良は湯の使用で、冷水よりも温水のほうが汚れ落ちの効果が高いことは古くから知られていた[1]。『枕草子』には湯による洗濯の記述がある[1]

古代エジプトや古代ギリシャでは洗濯方法は踏み洗いが一般的だった[1]。古代エジプトでは洗濯は水中の2本の足の象形文字で表現された[1]。 また、古代ギリシャの叙事詩オデッセイには王女ナウシカ(ナウシカアー)が川で踏み洗いをする記述がある[1]。日本の平安時代末期の扇面古写経にも洗濯の様子が描かれているが、日本でも踏み洗いが一般的だった[1]。一方、『万葉集』には「ときあらい」という言葉があり着物をほどいて洗う方法も行われていた[1]

紀元前5000年頃には洗浄剤が使用されるようになった[1]。紀元前3000年頃のエジプトでは湖水から得られる天然炭酸ソーダが利用された[1]

紀元前3000年頃からはを溶かした灰汁が利用されるようになり19世紀後半まで最も一般的な洗浄剤だった[1]。日本でも『古事記』の「さねかずら」、『万葉集』の「さなかづら」や「さいかち」など植物の浸出液を洗濯に使っており、平安時代には灰汁も使われるようになった[1]

また重曹アンモニアが溶けて弱アルカリ性となった水は、汚れの皮脂成分の脂肪酸と反応して水溶性の鹸化物質となり汚れが落ちる。古代ローマでは回収して発酵させた尿を使って洗濯する業者がいたことが知られている[2]。またフラー土モンモリロナイトなど油に吸着性のある泥や土も用いられた。

中世〜近世編集

中世になるとヨーロッパでは湯沸かし、洗濯槽、たたき洗いに使用する石、洗濯板などを備えた共同の洗濯場が設置されるようになった[1]。一週間のうち主に月曜日が洗濯日とされ洗濯は社会的行事であった[1]。(イギリス、ドイツなど伝染病が広がった歴史のある地域では)都市部の家庭の女性が自宅内で洗濯する場合は、かまどで煮沸しつつ棒でかきまわしつつ洗濯したり、あるいは床においた金属性のタライに水と洗濯物を入れ、手で洗ったり足で踏んで、きれいな水ですすぐ、などといった方法が一般的だった。

江戸時代江戸では、木製の洗濯板で洗濯が行われた。川の水や井戸水を汲み、桶の中で手で洗い、竹などで作った物干し竿に干すのである。灰が用いられることもあった。

近現代編集

アメリカでは1930年代に一般家庭へ電気と水道が供給されるようになり電気洗濯機が普及した[1]。20世紀に先進国では洗濯機が実用化され普及した。

20世紀には、洗濯機が普及するとともに、状の合成洗剤も広まった。

洗濯用品編集

派生語編集

洗濯の語句は、転じて心身(特に心)をリフレッシュすることを比喩することもある。

  • 例: 命の洗濯

ギャラリー編集

脚注編集

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 二宮健一「洗浄と清潔の歴史概観」『繊維製品消費科学』第37巻第6号、日本繊維製品消費科学会、1996年、 292-299頁、 doi:10.11419/senshoshi1960.37.2922020年7月23日閲覧。
  2. ^ 排出されたばかりの尿にアンモニアは含まれないが、体外では土中の細菌などによってアンモニアに分解される。「尿を使って衣服を洗濯していた」など現代では想像できない古代ローマのトイレ事情とは?”. Gigazine (2018年4月5日). 2018年11月12日閲覧。

関連項目編集

外部リンク編集