海軍大将
海軍大将(かいぐんたいしょう、英語: admiral、仏語: amiral)は、海軍の階級の一つ。通常は海軍中将[1]の上に位置する。一般に将官の最高位であり、海軍軍人の最高位である。提督(ていとく)とも訳される。
名称編集
英呼称である“admiral”はアラビア語で「海の司令官」を意味するアミール・アルバール“amīr al-baḥr”に由来する。ほかの海軍将官の階級と区別するためフル・アドミラル (en:Full admiral)と呼称することもあれば、 オランダの様に国によってはアドミラルを元帥位とし、ルテナント・アドミラル (nl:Luitenant-admiraal)、それに類する呼称を使用することもある。
概要編集
海軍大将は、通常は海軍で最高位の将官である。ただし、元帥や上級大将などの階級を置く制度をもつ国もあり、例えばアメリカ海軍では海軍元帥が最高階級となる。またロシア海軍ではロシア連邦元帥が制度上の最高位であるが、これは連邦軍共通の階級であるため海軍のみとしては海軍上級大将が最上位である。
一方フランスにも元帥が存在するが、これはフランス元帥という称号であって階級ではない。さらに大日本帝国にも元帥は存在したが、ただ1人の例外(陸軍元帥西郷隆盛)を除いて陸海軍ともに称号として存在しており、例えば元帥号を贈られた東郷平八郎の階級はあくまで海軍大将であり、元帥海軍大将と呼ばれる。
また、小規模な海軍では大将がない場合もある。例えば、アイルランド海軍では海軍代将が最上級である。
海上自衛隊の最上階級である海将は、海軍中将に相当するが、統合幕僚長又は海上幕僚長たる海将は海軍大将に相当し、特別の階級章が定められている等している。
各国の海軍大将編集
アジア編集
欧州編集
- イギリス海軍:Admiral
- ドイツ海軍:Admiral
- フランス海軍:Amiral
- イタリア海軍:Ammiraglio di squadra con incarichi speciali
- ポルトガル海軍:Almirante
北アメリカ編集
南アメリカ編集
著名な提督編集
- フランシス・ドレーク: 16世紀の英国私掠船(海賊)提督。フェルディナンド・マゼランに次ぐ世界一周を成し遂げた。
- ジョン・ホーキンス: 16世紀英国の海軍軍人。ドレークと共にスペインの無敵艦隊を破った。
- ミヒール・デ・ロイテル: 17世紀オランダの海軍軍人。英蘭戦争でイギリス艦隊と戦った。
- マールテン・トロンプ : 同じく17世紀オランダの海軍軍人。
- ホレーショ・ネルソン: 英国18世紀 ナポレオン戦争を戦った英国海軍の提督。トラファルガーの海戦で海上を制覇する。
- ジョン・アーバスノット・フィッシャー:英国20世紀 弩級戦艦や巡洋戦艦、駆逐艦などの開発を推し進めたほか、艦艇燃料の石炭から石油への転換など、現代海軍の技術的基礎を作り上げた。
脚注編集
- ^ フランス海軍のように准将が無く、上級中将が他国海軍の中将位として制定されている例がある。
関連項目編集
- 大将
- 軍隊における階級呼称一覧
- 大日本帝国海軍軍人一覧
- 陸軍大将
- デビッド・ロビンソン (バスケットボール) - NBAで活躍したバスケットボール選手。海軍士官学校出身であり「提督」のニックネームを持つ。