清水潔 (ジャーナリスト)

清水 潔(しみず きよし、1958年 - )は東京都出身のジャーナリスト

1958年東京都生れ。

日本テレビ報道局記者/特別解説委員、早稲田大学ジャーナリズム大学院非常勤講師など。

新聞社、出版社にカメラマンとして勤務の後、新潮社「FOCUS」編集部記者を経て日本テレビ社会部へ。雑誌記者時代から事件・事故を中心に調査報道を展開。著書に『桶川ストーカー殺人事件―遺言』(「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」「JCJ大賞」受賞)、『殺人犯はそこにいるー隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』(「新潮ドキュメント賞」「日本推理作家協会賞」受賞)などがある。また、著書『「南京事件」を調査せよ』の元となるNNNドキュメント’15「南京事件―兵士たちの遺言」は「ギャラクシー賞優秀賞」「平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞」などを受賞。

経歴編集

1958年、東京都生まれ。

新潮社の写真週刊誌「FOCUS」編集部を経て、事件専門記者となった[1]1999年、「FOCUS」記者時代に埼玉県桶川市桶川駅前で起きた『桶川ストーカー殺人事件』では、埼玉県警察の捜査より先に事件の容疑者を割り出し、警察に通告。さらに、上尾警察署被害者告訴をもみ消していたことも、スクープした[2]

具体的には、清水は、遺族への取材交渉や被害者の友人への聞き込みからストーカーの事実を知り、その後は張り込みや聞き込みを繰り返し、ストーカーチームを割り出し、警察に情報提供をしていた。更に被害者の告訴状を埼玉県警が取り下げさせようとしていたことを突き止める成果も挙げた[3][4]

2001年の「FOCUS」休刊後、日本テレビへ移籍する。その後は日本テレビ報道局記者・解説委員を歴任する[1]

2005年、日本から海外逃亡した日系ブラジル人の強盗殺人犯を追跡し、ブラジルで発見する。犯人はその後、逮捕された[5]

2007年夏より、足利事件を含む北関東連続幼女誘拐殺人事件の取材を再開する。取材過程において、確定していた無期懲役囚は冤罪ではないかと、捜査の矛盾点や謎を継続報道し、DNA再鑑定を行うべきと提起し続ける[6][7]2009年6月に、日本で初めて行われたDNA再鑑定により、不一致だったことが判明、受刑者は釈放された[8][9]

2010年、「文藝春秋」10月1日号から数ヶ月にわたって『私は真犯人を知っている』と題したレポートを開始。2007年の足利事件についての取材で、真犯人と思われる男の目撃者とその目撃証言を掘り起こす。それを根拠に、冤罪報道を行なっていたことを公開する一方で、足利事件の真犯人を特定し捜査当局に伝えている[10][11]

2011年、「文藝春秋」4月1日号『これが真犯人の根拠だ!』で、清水が追い続けてきた男性のDNA型が、足利事件の真犯人のDNA型と一致することを明らかにしている。事件の再鑑定を行なった筑波大学の教授の鑑定結果と完全に一致していたという[12]

一方、ルポライターの小林篤が2011年4月15日発行の『g2』に寄せた足利事件関係のルポには、清水が『アールテレビ局』の『アル記者』という呼称で登場。アル記者は2007年夏に小林に電話をかけてきて、足利事件に関する小林の著書を読んで冤罪の可能性が高いと思ったことを告げ、「取材協力」や「レポーターとしての参加」を頼んできたという。小林によると、レポーターは辞退したが、取材先などのデータや独自に調査していた容疑者「X」の情報をアル記者に提供。それから2人は共同取材をするようになったが、アル記者が「私は真犯人を知っている」として文藝春秋2010年10月号で真犯人追及報道をした時から袂を分かったという[13]

2015年日中戦争時の「南京事件」を題材としたNNNドキュメント'15「南京事件〜兵士達の遺言」を放送した。その後同番組は「ギャラクシー賞」など合計7つの賞を受賞。翌2016年に著書「『南京事件』を調査せよ」を刊行。

2016年7月、文庫本に手書きのカバーを付けて中身を隠して販売された「文庫X」が出版され、全国47都道府県の650店以上の書店に拡大[14][15]。販売開始時点では初版3万部だったのが[14][15]、9月から重版がかかりはじめ[16]、12月初旬現在で累計18万部[16]のベストセラーとなった。12月9日に、これは盛岡市さわや書店フェザン店が始めた企画で、その本の中身が公開されたが清水の著書「殺人犯はそこにいる」だった、と発表された。2017年入ってからも刊行部数は増え続け、同年9月の時点で30万部を超えた。

受賞歴編集

  • 警視総監感謝状(「交通大戦争」雑誌連載企画)
  • 日本ジャーナリスト会議(JCJ)大賞(『遺言:桶川ストーカー事件の深層』)
  • 編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞(桶川事件報道2001年)
  • 日本民間放送連盟最優秀賞(足利事件報道 2010年)
  • ギャラクシー賞奨励賞(NNNドキュメント'10「検察…もう一つの疑惑〜封印された真犯人」 2010年11月21日放送)
  • 編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞(足利事件連載企画、2011年)
  • 日本民間放送連盟テレビ報道部門優秀賞(連続幼女誘拐・殺人事件に新事実 2011年)
  • 日本推理作家協会賞評論その他の部門(『殺人犯はそこにいる:隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』、2014年)
  • 新潮ドキュメント賞(『殺人犯はそこにいる:隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』、2015年)
  • ギャラクシー賞優秀賞(NNNドキュメント'15「南京事件〜兵士達の遺言」2015年10月4日放送)
  • 平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞(NNNドキュメント'15「南京事件〜兵士達の遺言」2015年10月4日放送)
  • 放送人グランプリ 2016(NNNドキュメント'15「南京事件〜兵士達の遺言」2015年10月4日放送)
  • メディアアンビシャス賞(NNNドキュメント'15「南京事件〜兵士達の遺言」2015年10月4日放送)
  • 日本民間放送連盟テレビ報道部門優秀賞(NNNドキュメント'15「南京事件〜兵士達の遺言」2015年10月4日放送)
  • 早稲田ジャーナリズム大賞公共奉仕部門(NNNドキュメント'15「南京事件〜兵士達の遺言」2015年10月4日放送)
  • 日本民間放送連盟テレビ報道部門優秀賞(NNNドキュメント'18「南京事件Ⅱ〜歴史修正を調査せよ」2018年)
  • 日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞(NNNドキュメント'18「南京事件Ⅱ〜歴史修正を調査せよ」2018年)
  • メディアアンビシャス賞(NNNドキュメント'18「南京事件Ⅱ〜歴史修正を調査せよ」2018年)
  • ギャラクシー賞奨励賞(NNNドキュメント'20「封印 ~沖縄戦に秘められた鉄道事故~」2020年6月21日放送)

著書編集

  • 『遺言:桶川ストーカー事件の深層』新潮社、2000年 『桶川ストーカー殺人事件:遺言』新潮文庫、2004年5月 ISBN 978-4101492216[注釈 1][注釈 2]
  • 『殺人犯はそこにいる:隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』新潮社、2013年 新潮文庫、2016年 ISBN 978-4101492223[注釈 3][17]
  • 『騙されてたまるか 調査報道の裏側』新潮新書 2015年 ISBN 978-4106106255
  • 『「南京事件」を調査せよ』文藝春秋、2016年 ISBN 978-4163905143
  • 鉄路の果てにマガジンハウス、2020年 ISBN 978-4838730971

共著編集

ブログ・連載編集

  • 足利事件に関するブログ - ウェイバックマシン(2009年3月16日アーカイブ分)「日本テレビ ACTION」
  • 清水潔記者が主人公の漫画『VS.(ヴァーサス)-北関東連続幼女誘拐・殺人事件の真実-』が「週刊ヤングジャンプ」に2009年10月21日発売号から連載されている。原作:髙野洋、漫画:橘賢一、監修:日本テレビ報道局「ACTION」取材班
  • 上記連載単行本『VS. ―北関東連続幼女誘拐・殺人事件の真実-』ISBN 978-4-08-782271-7
  • 文藝春秋[2010年10月1日号]菅家さん冤罪足利事件『私は真犯人を知っている』
  • 文藝春秋[2010年11月1日号] 菅家さん冤罪足利事件『真犯人は幼女五人連続誘拐犯』
  • 文藝春秋[2010年12月1日号] 菅家さん冤罪足利事件『検察が隠蔽する「真犯人のDNA」』
  • 文藝春秋[2011年1月1日号] 連続キャンペーン『足利事件、国会で明らかになった重大事実』
  • 文藝春秋[2011年2月1日号] 足利事件キャンペーン・菅家利和の告白『なぜ真犯人が野放しなのか』
  • 文藝春秋[2011年3月1日号] 菅家さん冤罪足利事件『真犯人のDNA型が二つあった!』
  • 文藝春秋[2011年4月1日号] 足利事件キャンペーン・決定的新事実『これが真犯人の根拠だ!』
  • 文藝春秋[2011年5月1日号] 足利事件キャンペーン・『ついに総理と被害者家族が動いた』
  • 文藝春秋[2011年6月1日号] 足利事件キャンペーン・『五つの被害家族が初めて会った日』
  • 新潮45[2011年7月号] 伝えきれなかった「津波の現実」
  • 新潮45[2014年7月号] 「飯塚事件」再審棄却司法は何を隠蔽したのか

外部リンク編集

脚注編集

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注釈編集

  1. ^ 2002年10月28日、日本テレビの『スーパーテレビ 情報最前線・特別版』で同名タイトルでドラマ化され放送された。清水役に椎名桔平、友人役に内藤剛志など。
  2. ^ 2012年9月26日 - 日本テレビの ザ!世界仰天ニュース『桶川女子大生ストーカー殺人事件の真相!警察の大失態』で3回目のドラマ化。清水役に篠原さとし
  3. ^ 岩手県盛岡市の「さわや書店フェザン店」が、ブックカバーでタイトルや著者名を隠して販売するという企画を行って話題となった「文庫X」がこの本である。

出典編集

  1. ^ a b 「殺人犯はそこにいる」著者紹介より(新潮文庫)
  2. ^ 朝日新聞2010年11月5日2P
  3. ^ 選挙戦ではいつのまにやら氏の単独スクープとなり、次に今回のペンの力発言
  4. ^ 桶川ストーカー事件、足利事件の真相を突き止めた記者が語る「警察、司法発表に依存しない取材、報道」のススメLITERA 2015年9月15日
  5. ^ 日本テレビ特番ACTION
  6. ^ 日本テレビ特番ACTION
  7. ^ 冤罪足利事件「らせんの真実」を追った四〇〇日(下野新聞編集局)
  8. ^ 「調査報道がジャーナリズムを変える」第一部第一章(花伝社)
  9. ^ 冤罪足利事件「らせんの真実」を追った四〇〇日(下野新聞編集局)
  10. ^ 2010年文藝春秋年10月1日号(文藝春秋)
  11. ^ “永田町ディープスロート 反省無き警察が踏みにじる 足利事件菅家利和さんの「心残り」と市民の「不安」”. 現代ビジネス. (2011年1月19日). http://gendai.ismedia.jp/articles/-/1973 2013年12月18日閲覧。 
  12. ^ 2011年文藝春秋年4月1日号(文藝春秋)
  13. ^ 2011年『g2』vol.7(講談社)掲載ルポ「真犯人のDNA」P199ー200
  14. ^ a b 謎の本「文庫X」ヒット=カバーで書名隠し販売-9日タイトル公表・盛岡の書店、時事ドットコム、2016年12月3日 14:34。
  15. ^ a b 正体明かす 異例の18万部はノンフィクション 岩手から全国へ、毎日新聞2016年12月10日東京朝刊。
  16. ^ a b 【話題の本】「文庫X」覆面で60部→18万部 『殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』、産経ニュース、2016年12月10日 11:03更新。
  17. ^ 文庫X 正体は「殺人犯はそこにいる」(新潮文庫) 毎日新聞 2016年12月9日