清水物語

日本の江戸時代前期の仮名草子

清水物語』(きよみずものがたり)は、朝山意林庵による江戸時代前期の問答体仮名草子[1][2][3]。出版者は敦賀屋久兵衛[4]

概要 編集

1638年寛永15年)刊行、2巻本[1][2]。当時のベストセラー[1]、本書を受けて執筆された『祇園物語』によれば、京田舎で二、三千部も売れたという[5][4]

上巻は清水観音での巡礼者と老人との問答、下巻は上人と男との問答などをそれぞれ聞書きにした、という問答体の形式をとり、仏教を批判し儒教道徳を説いたもので、教義問答体小説の先駆となった[6]。序文には「文章のよきをこのむ人は、三史文選などを見るべし。(略)今此物語は、一つの心ざす所ありと見るべし。心ざす所の他は、いずれも古の草紙には劣れるならん」と書かれている[7]

出典 編集

  1. ^ a b c "清水物語". ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典. コトバンクより2022年12月19日閲覧
  2. ^ a b "清水物語". 世界大百科事典 第2版. コトバンクより2022年12月19日閲覧
  3. ^ ARC古典籍ポータルデータベース 検索結果”. www.dh-jac.net. 2020年11月19日閲覧。
  4. ^ a b 清水物語 2巻”. 国立国会図書館デジタルコレクション. 2022年12月19日閲覧。
  5. ^ 小椋嶺一「近世文学と仏教思想――『清水物語』の創作意識をめぐって」『研究紀要』第15号、京都女子大学宗教・文化研究所、51頁、2002年2月。hdl:11173/1769ISSN 0914-9988 
  6. ^ 冨士昭雄「清水物語」『国史大辞典』。 
  7. ^ 小椋嶺一「近世文学と仏教思想――『清水物語』の創作意識をめぐって」『研究紀要』第15号、京都女子大学宗教・文化研究所、52頁、2002年2月。hdl:11173/1769ISSN 0914-9988 

外部リンク 編集