渡辺大夢
日本の将棋棋士
渡辺 大夢(わたなべ ひろむ、1988年7月29日 - )は、日本将棋連盟所属の将棋棋士。石田和雄九段門下。棋士番号は290。東京都江東区出身(現在も在住)。
渡辺大夢 六段 | |
---|---|
名前 | 渡辺大夢 |
生年月日 | 1988年7月29日(35歳) |
プロ入り年月日 | 2012年10月1日(24歳) |
棋士番号 | 290 |
出身地 | 東京都江東区 |
所属 | 日本将棋連盟(関東) |
師匠 | 石田和雄九段 |
段位 | 六段 |
棋士DB | 渡辺大夢 |
2021年10月22日現在 |
棋歴 編集
5歳の時に祖父から教わったのをきっかけとし、将棋を始める[1]。将棋会館の将棋スクールで勝又清和の指導を受け、当初は勝又への弟子入りを希望するが、勝又は弟子を取らない方針だったことからこれを断り、代わりに勝又の師匠である石田を紹介、石田門下となる[2]。
- 2001年9月、6級で新進棋士奨励会に入会。三段まで順調に昇級・昇段を続け、18歳となった直後に三段に昇段し、第40回(平成18年後期)より三段リーグに参加。毎期コンスタントな成績を修めるも、なかなか四段昇段に結びつく好成績が出せなかった。
- 3期目(第42期)では5番手で最終日を迎え、トップの吉田正和、3番手の船江恒平が連敗し、2番手の田中悠一が1勝1敗だったため、渡辺が連勝していれば2位で四段昇段となるチャンスだったが、当期限りで年齢制限に伴う退会が決定していた会員に敗れ、次点をも逃した。
- 7期目(第46期)では6番手で最終日を迎え[3]、渡辺が連勝し、3番手の佐々木勇気が1勝1敗となり、4番手の森村賢平及び5番手の藤森哲也が連敗したため、2番手の牧野光則の結果次第では渡辺が2位で四段昇段となるところだったが、牧野が連勝したため実現には至らなかった。しかしながら、菅井・牧野に次ぐ3位の成績を修め、1回目の次点を獲得した。
- 12期目(第51期)では4番手で最終日を迎え、再び最終2局を連勝。これで上村亘(トップ)、宮本広志(2番手)、石田直裕(3番手)のうち2人が1敗以上すれば2位以内で四段昇段となるところだったが、結果は上村と石田が無敗で終えたためまたしても実現には至らなかった。しかしながら、宮本が連勝しなかったことにより、渡辺は3位の成績を修め、2回目の次点に伴いフリークラスに編入する権利を獲得。これを行使したことにより、2012年10月1日付けで四段昇段(プロ入り)[4]。
- 奨励会三段枠で出場した新人王戦及び加古川青流戦では、対局当時既にプロとなっていた棋士に3勝4敗、女流棋士に2勝0敗と好戦した。第43回(2012年)新人王戦2回戦では、絶好調の最中にあった中村太地五段[5]を撃破した。
- 2015年7月8日、竜王戦6組の昇級者決定戦5回戦で、伊藤博文に勝利し、フリークラスから順位戦C級2組への昇級を決めた[6]。
- 2020年12月25日、王座戦一次予選で門倉啓太五段と対局予定だったが、自身の骨折のために対局が行えず不戦敗となり、12月29日に予定されていた澤田真吾七段との王位戦予選での対局が延期となった[7]。また、2021年1月7日に予定されていた長岡裕也六段との順位戦C級2組の対局も延期となった[8]。
- 2021年6月2日、近親者に新型コロナウイルス感染者との濃厚接触の可能性が生じ、棋聖戦予選の神谷広志八段との対局、およびこの対局の勝者と千葉幸生七段との対局が延期となった[9]。
人物 編集
野球好きで読売ジャイアンツの大ファン。小学4年生のときに父親に東京ドームに連れて行かれてからの熱狂的ファンで、奨励会時代は年に30試合ほど観戦していたほか、棋士になってからも年10試合程度は観戦に出向く。実際プロ野球のシーズン中は成績が落ちる傾向があり、師匠の石田からも「プロ野球がはじまると成績が落ちる傾向にあるのは、困ったものです」と言われてしまっている。四段昇段を決めた際もプロ野球がシーズン中の9月の出来事だったため、兄弟子の勝又からは「まさかシーズン中に上がるとは」と妙な驚き方をされた。過去にはインタビューで「巨人が勝つと興奮して寝られなくなるので、翌日の対局に悪影響が出る」と語ったこともある[2]。
昇段履歴 編集
昇段規定は、将棋の段級 を参照。
主な成績 編集
在籍クラス 編集
竜王戦と順位戦のクラスについては「将棋棋士の在籍クラス」を参照
開始 年度 |
順位戦 | 竜王戦 | ||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
期 | 名人 | A級 | B級 | C級 | F | 期 | 竜王 | 1組 | 2組 | 3組 | 4組 | 5組 | 6組 | |||
1組 | 2組 | 1組 | 2組 | |||||||||||||
2012 | 71 | F編 | 26 | 6組 | ||||||||||||
2013 | 72 | F編 | 27 | 6組 | ||||||||||||
2014 | 73 | F編 | 28 | 6組 | ||||||||||||
2015 | 74 | F編 | 29 | 5組 | ||||||||||||
2016 | 75 | C246 | 30 | 4組 | ||||||||||||
2017 | 76 | C212 | 31 | 4組 | ||||||||||||
2018 | 77 | C221 | 32 | 4組 | ||||||||||||
2019 | 78 | C216 | 33 | 4組 | ||||||||||||
2020 | 79 | C241 | 34 | 4組 | ||||||||||||
2021 | 80 | C237 | 35 | 4組 | ||||||||||||
2022 | 81 | C229 | 36 | 4組 | ||||||||||||
2023 | 82 | C228 | 37 | (開始前) | ||||||||||||
順位戦、竜王戦の 枠表記 は挑戦者。 順位戦の右数字はクラス内順位 ( x当期降級点 / *累積降級点 / +降級点消去 ) 順位戦の「F」はフリークラス (F編:フリークラス編入 / F宣:宣言による転出) 竜王戦の 太字 はランキング戦優勝、竜王戦の 組(添字) は棋士以外の枠での出場。 |
脚注 編集
注釈 編集
出典 編集
- ^ a b “新四段誕生(3人)のお知らせ|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2012年9月8日). 2021年10月22日閲覧。
- ^ a b “なぜ渡辺大夢はフリークラスを抜けることができたのか?【叡王戦24棋士 白鳥士郎 特別インタビュー vol.09】”. ニコニコニュースオリジナル. ドワンゴ (2018年10月17日). 2021年10月22日閲覧。
- ^ 当初トップの菅井竜也は最終日2局を残しプロ入りを内定させていた。
- ^ 2回目の次点獲得に伴うフリークラス編入の権利獲得は、伊奈祐介、佐藤天彦、伊藤真吾、吉田正和に次いで史上5人目であり、権利行使は、伊奈、伊藤、吉田に次いで4人目である。
- ^ 中村は当該2011年度に、勝率0.8511(40勝7敗)を記録し、将棋大賞の勝率1位賞を受賞。勝率8割5分以上は中原誠が1967年に記録した 0.8545(47勝8敗)以来史上2人目で、歴代2位の高率。なお、当該対局で中村が渡辺に勝利していれば、歴代1位となるところだった。
- ^ “渡辺大夢四段、 フリークラスからC級2組へ昇級|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2015年7月9日). 2021年10月22日閲覧。
- ^ “渡辺大夢五段の対局につきまして|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2020年12月25日). 2020年12月25日閲覧。
- ^ “対局延期のお知らせ|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2021年1月7日). 2021年10月22日閲覧。
- ^ “ヒューリック杯棋聖戦 神谷広志八段―渡辺大夢五段戦、千葉幸生七段-午前の勝者(東京)の対局延期について|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2021年6月2日). 2021年10月22日閲覧。
- ^ “渡辺大夢四段が五段に昇段|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2016年10月28日). 2021年10月22日閲覧。
- ^ “渡辺大夢五段が六段に昇段|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2021年10月22日). 2021年10月22日閲覧。