湾生

日本統治時代の台湾で生まれ、戦後に日本へ引き揚げた日本人

湾生(わんせい)とは、日本統治時代の台湾で生まれ、第二次世界大戦後に日本本土へ引き揚げ日本人を指す言葉である[1]

概要 編集

第二次世界大戦終結に伴い、日本の統治下にあった土地や占領地から多くの引揚者が日本本土へ引き揚げた。日本統治下にあった台湾でもこうした日本人引揚者は多く、軍人軍属を含めて約48万人いたと言われる。この内、湾生は約20万人いたとされる[1]

日本人のほとんどが戦後に本土へ引き揚げたが、湾生は生まれた土地が台湾であるため「私にとって故郷は台湾」と話す湾生もいる[1]

戦後数十年を経て台湾へ渡り、幼少期に過ごした場所や思い出の地を探し、その地を訪れる湾生も少なくない[2][3]

昭和20年の台湾での内地人の分類
兵士/軍の家族 8,214人
遺族、置き去りにされた家族 59,941人
一般日本人 215,956人
合計 284,111人
湾生日本人の本籍
排名 本籍 1930年 1920年 1915年 1905年
1 鹿児島県 9,274 4,089 2,583 595
2 熊本県 7,935 4,149 2,589 632
3 福岡県 4,286 1,963 1,159 209
4 広島県 3,553 1,944 1,271 317
5 佐賀県 3,377 1,591 935 239
6 山口県 3,224 1,795 1,134 263
7 宮城県 3,220 1,700 971 94
8 長崎県 2,640 1,174 766 218
9 東京府 2,583 1,663 1,238 357
10 大分県 2,171 997 615 140
11 新潟県 1,995 982 552 83
12 沖縄県 1,631 448 292 77
13 愛媛県 1,495 744 514 117
14 岡山県 1,483 757 532 81
15 兵庫県 1,450 965 742 199
16 大阪府 1,422 845 742 193
17 宮崎県 1,382 421 230 55
18 愛知県 1,371 824 608 162
19 福島県 1,228 701 417 58
20 高知県 1,136 627 465 112
21 岐阜県 1,127 593 414 92
22 石川県 1,103 667 593 102
23 茨城県 1,078 557 380 93
24 島根県 1,003 533 371 77
25 靜岡縣 924 465 295 64
26 香川県 915 518 311 65
27 長野県 876 450 254 42
28 千葉県 809 399 274 61
29 山形県 787 419 234 51
30 徳島県 776 416 254 51
31 和歌山県 760 406 295 69
32 福井県 744 461 346 52
33 京都府 740 438 304 91
34 三重県 723 436 283 64
35 神奈川県 667 395 291 72
36 鳥取県 648 355 269 66
37 滋賀県 594 343 239 57
38 群馬県 577 255 141 23
39 山梨県 545 300 219 58
40 富山県 527 305 230 40
41 栃木県 499 212 167 28
42 北海道 464 255 177 78
43 埼玉県 455 300 175 40
44 岩手県 394 212 122 23
45 秋田県 391 203 145 37
46 奈良県 334 222 166 34
47 青森県 141 66 46 17
不明 0 31 47 28
合計 75,457 38,591 25,314 5,776
 
1945年(昭和20年)台湾における32万人の日本人の分布図
臺生日本人出生地
州廳別 1930年 1920年
台北州 30,852 40.9% 16,043 41.6%
新竹州 5,234 6.9% 2,818 7.3%
台中州 9,915 13.1% 4,772 12.4%
台南州 13,666 18.1% 7,740 20.1%
高雄州 8,904 11.8% 4,387 11.4%
澎湖庁 718 1.0%
台東庁 1,509 2.0% 613 1.6%
花蓮港庁 4,659 6.2% 2,218 5.7%
合計 75,457 100.0% 38,591 100.0%

湾生を扱った作品 編集

映画 編集

小説 編集

脚注 編集

関連項目 編集