無人島に生きる十六人

無人島に生きる十六人』(むじんとうにいきるじゅうろくにん)は、航海専門家の須川邦彦による日本の海洋冒険譚。1899年明治32年)に中川倉吉(のちに東京高等商船学校教官)が体験した遭難と漂流、そして流れ着いた無人島での生存譚を須川が記した。

月刊少年雑誌『少年倶楽部』に1941年(昭和16年)10月から翌年10月まで海洋事実物語として連載された作品(挿画:北宏二)[1]で、最初の単行本は1943年(昭和18年)に「少国民の日本文庫」の一冊として発行され、その年の「野間文芸奨励賞」を受賞した。

物語編集

1899年(明治32年)、千島列島と内地とを結ぶ帆船である龍睡丸は、海が氷に閉ざされる期間の船舶の有効活用として、太平洋に新規資源開拓に駆り出されるが、これが同年5月20日にミッドウェー近海のパールアンドハーミーズ環礁にて座礁する。

乗員である16名は環礁の小島にたどり着き、そこで他船による救助を希望に、文明から断絶された生活基盤を固めていく。

登場人物編集

16名[2]

船長
中川倉吉
運転士
榊原作太郎(榊原作郎)
運転見習
松村鈷一
国府孝作
川口磊三
信澤與一郎
池本善太郎(池本善郎)
水夫長
安岡丑五郎
漁業長
鈴木孝吉郎
漁夫
高崎和平
浅沼文八
小笠原島住民
ウ井リヤムエレン(ウ井リヤム、イレン)
ケレツプウエブ
シヨ子ーウエブ
練習生
藤田堪太郎
東野長作

舞台編集

座礁・沈没した龍睡丸の乗員の16名が流れ着いたのはパールアンドハーミーズ環礁であり、この中でも体験内容の「本部島」に最も近い形状の島はサウスイースト島とされている。サウスイースト島は小島であるが、ハワイモンクアザラシウミガメアホウドリが生息している。

評価編集

椎名誠新潮社の編集者にこの本の話をしたことをきっかけに、2003年に新潮文庫の1冊として刊行された[3]。椎名誠の選ぶ漂流記のベスト1であると評価している[4]

受賞編集

出版物編集

  • 『無人島に生きる十六人』大日本雄弁会講談社〈少国民の日本文庫〉、1943年6月。全国書誌番号:20997829。NCID BA42023811
  • 『無人島に生きる十六人』講談社、1946年。全国書誌番号:45017459
  • 『海洋冒険物語 無人島に生きる十六人』大日本雄弁会講談社、1948年10月。全国書誌番号:20535898
  • 『海洋冒険物語 無人島に生きる十六人』松田穣絵、講談社北海道支社、1948年10月。全国書誌番号:45012641
  • 『無人島に生きる十六人』村上松次郎絵、講談社〈少年少女評判読物選集 8〉、1952年2月。全国書誌番号:45037883。NCID BN0953370X
  • 『無人島に生きる十六人』中村英夫絵、講談社〈少年少女講談社文庫 C-2〉、1972年7月。全国書誌番号:45001338
  • 『無人島に生きる十六人』新潮社〈新潮文庫〉、2003年7月。全国書誌番号:20421926。ISBN 9784101103211。NCID BA62681013
  • 『無人島に生きる十六人』フロンティアニセン〈フロンティア文庫 79〉、2005年4月。全国書誌番号:20968235。ISBN 9784861970788

脚注編集

  1. ^ 『少年世界』「漂流顛末龍睡丸」(事実談)(武田櫻桃筆記)」第6巻第5号(明治33年4月15日)p52-56、第6巻第6号(明治33年5月15日)p62-66、第6巻第8号(明治33年7月15日)p66-70、第6巻第11号(明治33年9月15日)p69-74
  2. ^ 『出にっぽん記』第11巻『千島探検録・龍睡丸漂流記』
  3. ^ 太平洋の無人島に漂着した16人の日本人が腹いっぱい堪能した「牛肉よりうまい動物」の名前 海水で煮た潮煮は最高だった | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン). 2021年9月19日閲覧
  4. ^ 椎名誠 旅する文学館 > Blog Archive > 『活字の海に寝ころんで』. 2021年9月19日閲覧

外部リンク編集