熊本空港
熊本空港(くまもとくうこう、英: Kumamoto Airport)は、熊本県上益城郡益城町にある空港。2020年4月1日より、熊本国際空港株式会社に運営が移管され、コンセッション方式で民営化された[1][3]。国際航空輸送網又は国内航空輸送網の拠点となる空港として空港法に基づく区分では第4条第1項第6号に該当する空港として政令で定める空港(国管理空港)に区分されている[4]。愛称は阿蘇くまもと空港(あそくまもとくうこう)。
熊本空港 Kumamoto Airport | |||||||||
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![]() 熊本空港国内線旧ターミナル外観(2018年) | |||||||||
![]() 熊本空港空撮(2019年2月) | |||||||||
IATA: KMJ - ICAO: RJFT | |||||||||
概要 | |||||||||
国・地域 |
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所在地 | 熊本県上益城郡益城町小谷 | ||||||||
母都市 | 熊本市 | ||||||||
種類 | 商業 | ||||||||
運営者 | 熊本国際空港[1] | ||||||||
運用時間 | 7:30 - 21:30 | ||||||||
敷地面積 | 150[2] ha | ||||||||
標高 | 196 m (642 ft) | ||||||||
座標 | 北緯32度50分14秒 東経130度51分18秒 / 北緯32.83722度 東経130.85500度座標: 北緯32度50分14秒 東経130度51分18秒 / 北緯32.83722度 東経130.85500度 | ||||||||
公式サイト | 阿蘇くまもと空港 | ||||||||
地図 | |||||||||
熊本空港の位置 | |||||||||
滑走路 | |||||||||
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空港の一覧 |
概要編集
熊本市から北東へ約20kmの阿蘇山の山麓にある。空港ビルは益城町にあるものの、滑走路のほとんどは菊池郡菊陽町にあたる。 空港周辺が霧の多い場所であるため、ILSカテゴリーIIIb(CATIII-b)で運用しており、(規定以下の横風・機体側の装備・操縦士の保持資格が整えば)自動着陸が可能である。
国の一般会計からの繰り入れを考慮しない営業損益では、2011年度以降黒字となった[5][6]。空港は2020年4月から、熊本国際空港株式会社に運営が移管し、民営化された。これまでの国内線ターミナルビルを取り壊し、国内・国際線が一体となった新しいターミナルビルが、2023年春に開業予定である[3]。
陸上自衛隊の高遊原分屯地を併設し、また民間機と滑走路を共用しているため、自衛隊機の発着も見ることができる。CH-47J(A)、OH-6D、UH-1などのヘリコプターが多い。
イギリスの航空・空港関係格付会社スカイトラックス社「世界ベスト空港(World's Best Airport)」国内線部門(調査対象期間:2017年3月~2018年2月)において、熊本空港(当時)が世界第8位に選出された[7]。
統計編集
利用者数編集
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2016年度の年間利用客数は298万2,198人(国内線294万7,589人、国際線3万4,609人)[8] で、着陸回数、旅客数とも日本の空港で第13位、九州沖縄の空港では第4位となっている[9]。
歴史編集
旧空港(健軍飛行場)編集
- 1960年(昭和35年)4月1日 - 熊本飛行場(熊本市健軍町)供用開始(滑走路長1,200m)。全日空により、大阪 - 大村 - 熊本 - 大分 - 大阪便 (DC-3、毎日 1 便) の運航が開始された[10]
- 1970年(昭和45年)12月30日 - 大阪行きの全日空機(YS-11)が滑走路を離陸できずオーバーランする事故が発生。機体は滑走路端の草地に突っ込んだが乗員・乗客は無事[11]
現空港編集
- 1971年(昭和46年)4月1日 - 現在地に移転。熊本空港供用開始(滑走路長2,500m)
- 1972年(昭和47年)12月 - 全日空熊本乗員訓練所開所
- 1977年(昭和52年) - 滑走路長3,000mに延伸、供用開始
- 1979年(昭和54年)9月26日 - 日本航空による国際定期便(熊本 - ソウル、使用機材はDC-8)開設。国際線運用が開始
- 1983年(昭和58年)4月1日 - 国際線ターミナル供用開始
- 1995年(平成7年)9月14日 - カテゴリーIIIa運用開始[12]。釧路空港とともに日本初
- 1999年(平成11年)
- 2006年(平成18年)4月13日 - カテゴリーIIIbへ運用移行
- 2007年(平成19年)4月 - 「阿蘇くまもと空港」の愛称使用開始
- 2008年(平成20年)2月 - 新管制塔の運用開始
- 2012年(平成24年)10月 - 国内線ターミナルリニューアルオープン
- 2013年(平成25年)12月20日 - YS-11(JA8712)の展示開始
- 2016年(平成28年)
- 4月14日 - 熊本地震を受け、4月28日まで航空保安業務の24時間運用を実施[13][14]
- 4月16日 - 熊本地震によりターミナルビル被害により旅客便欠航。滑走路一部剥離、進入指示灯不点灯、計器散乱のため管制塔使用不能だが、運用可能なため管制業務は気象事務室から小型無線機により継続。滑走路は使用可能であるため、24時間運用され救援物資等の航空拠点になっている[15]
- 4月17日 - 支援物資を搭載したJAL臨時貨物便が着陸[16]
- 4月19日 - 午前7時30分から管制塔での業務再開。到着便の一部が運航再開し、午後3時からは一部出発便も再開[17]
- 6月3日 - 一部の国際線(高雄線のみ)が再開
- 2017年(平成29年)
- 2018年(平成30年)
- 2019年(平成31年・令和元年)
- 2020年(令和2年)
- 2021年(令和3年)7月16日 - FDA 静岡線が、1日1往復で10年振りに運航再開
- 2023年(令和5年)
施設編集
滑走路編集
誘導路を備えた長さ3,000メートルの滑走路1本がある。旧空港では1,200メートル、移転後に2,500メートルで供用を開始し、1977年に3,000メートルに延長された。
旅客ターミナルビル編集
国内線と国際線のターミナルビルがあり、いずれも運営は熊本県、熊本市などが出資する第三セクターの熊本空港ビルディング株式会社が行っている。
国内線ターミナル編集
2020年までの旧ターミナルビルは、現在地に移転した1971年に供用を開始。その後、5次にわたり増改築が行われてきた。1階に到着ロビーとチェックインカウンター、2階に出発ロビーと飲食店・物販店が、3階に展望デッキがある。
- ラウンジ
- サクララウンジ - JAL上級会員専用ラウンジ[23]
- ANAラウンジ - ANA上級会員専用ラウンジ[24]
- ASO - クレジットカード・有料ラウンジ ※現在はターミナルビル建て替えのため、共用ラウンジとなっている。
国際線ターミナル編集
1983年に供用を開始。1階に到着ロビーとチェックインカウンター、2階に出発ロビーと免税店がある。
民営化とターミナル建て替え編集
国土交通省は2018年3月、熊本地震からの復興の加速化や民間のノウハウを活かした利用促進・サービス向上を図るため、2020年4月から運営の民間委託を決定した。運営事業者は、三井不動産を筆頭とする11社によるコンソーシアムが出資する熊本国際空港株式会社である[25]。
熊本国際空港株式会社は、国内線・国際線が一体となった新ターミナルビルを整備し2023年春から運用開始する予定としていた[26][3]。
2023年(令和5年)3月23日に新ターミナルビルが開業した。
就航路線編集
航空会社名が2社以上の場合、最前の航空会社の機材・乗務員で運航する共同運航便(コードシェア便)となる。
※ 語末の★は、格安航空会社(LCC)
国内線編集
航空会社 | 就航地 |
---|---|
日本航空 (JAL) [27] | 東京/羽田、大阪/伊丹 |
全日本空輸 (ANA) [28] | 東京/羽田、名古屋/中部、大阪/伊丹、沖縄/那覇 |
ソラシドエア (SNA) ・ 全日本空輸 (ANA) | 東京/羽田 |
フジドリームエアラインズ (FDA) ・ 日本航空 (JAL) | 名古屋/小牧、静岡[29][30] |
ジェットスタージャパン (JJP) ★・日本航空 (JAL) (JAL国際線との乗り継ぎ時のみ) | 東京/成田 |
天草エアライン (AMX)・日本航空 (JAL) | 大阪/伊丹 |
天草エアライン (AMX)・日本航空 (JAL) ・全日本空輸(ANA) | 天草 |
かつての定期就航路線
行き先 | 旅客数 | 国内線順位 |
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東京国際空港 | 約183万人 | 上位8位 |
国際線編集
航空会社 | 就航地 |
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チャイナエアライン (CI)・ 日本航空 (JL) | 高雄(週3便)※運休中 |
スターラックス航空 (JX) | 台湾/桃園(週3便)(2023年9月1日より就航開始予定)、 |
ティーウェイ航空 (TW) ★ | ソウル/仁川 (週7便) |
香港エクスプレス航空 (UO) ★ | 香港(週3便)(2023年11月1日より運航再開予定)[33] |
ラオス国営航空 (QV) | ルアンパバーン(週2便)(就航時期未定)、 |
上記の他、韓国のジンエアーやエアソウル、エバーなどによる国際チャーター便が多数飛来する。
就航都市編集
国内線編集
国際線編集
アクセス編集
- 九州産交バス
- 熊本 - 熊本空港線 西部車庫・熊本駅・熊本桜町バスターミナル発着便(グランメッセ熊本、自衛隊、熊本県庁、水前寺公園、通町筋経由)
- たかもり号 高森中央発着便
- 九州産交バス・宮崎交通
- たかちほ号・あそ号 延岡駅前バスセンター発着便(高森中央、五ヶ瀬町、高千穂経由)
- 九州産交バス・大分バス
- 九州産交バス
- 神園交通
- 大阿蘇大津タクシー
- 空港ライナー 肥後大津駅発着便 (無料連絡バス)
道路編集
空港アクセス鉄道計画編集
熊本県は豊肥本線の支線として空港に乗り入れる空港連絡鉄道の建設を検討している。分岐点として「三里木駅」「原水駅」「肥後大津駅」の3案が検討されたが、有識者による検討委員会で「肥後大津ルートが妥当」と判断された[35]。県は今後、国やJR九州と調整を進め、2034年度末の開業を目指す[35]。2022年11月29日、蒲島郁夫熊本県知事と古宮洋二JR九州社長が肥後大津ルートを採用することで合意した[36]。
旧熊本空港(健軍飛行場)について編集
熊本空港が現在地に移る以前の旧空港は現在の熊本市北東部(長嶺・月出地区)に存在した。この空港は戦時中に陸軍の飛行場(東町に存在した旧三菱重工熊本航空機製作所に付属)として建設された後、1960年に民間転用された。当時は住居表示実施前であり、空港敷地の地名は健軍町(滑走路の一部は熊本市合併前の飽託郡託麻村)であったので一般的には「健軍空港(健軍飛行場)」と呼ばれ、広く熊本県民に親しまれていた。滑走路の総延長は1200mであり、当時の東京までの所要時間(途中経由地あり)はプロペラ機で5時間15分であった。 市街地にも近く立地的には便利であったが、滑走路が短くジェット化に対応することが難しかったことから1971年に現在地(高遊原)に移転した。
現在、空港ターミナルの跡地は熊本県立大学のキャンパスとなり、滑走路の南側の一部は片側一車線の道路として転用されたが、のちの1999年に「国体道路」の一部として取り込まれた際に片側二車線に拡幅された。現在でも当時の滑走路部分(旧免許センター跡・ジョイフル熊本帯山店 - 市営長嶺団地・モスバーガー長嶺日赤通り店の場所)までは道路が一直線に伸びている。また、滑走路跡を公共用地として転用したことから、国体道路のこの部分の北側には道路に沿って旧免許センター・熊本県赤十字血液センター・熊本赤十字病院・日赤熊本健康管理センター・熊本県身体障害者福祉センター・熊本県児童福祉相談所・業務スーパー長嶺店(旧:RKKカルチャーセンター(解体済み))・市営長嶺団地と、公共の施設や公営団地が帯状に連なっている。
脚注編集
注釈編集
出典編集
- ^ a b c “熊本空港が民営化 国内4例目 23年春に新ターミナルビルへ”. 毎日新聞. (2020年4月1日). オリジナルの2020年4月1日時点におけるアーカイブ。 2020年4月1日閲覧。
- ^ “熊本空港”. 管内空港の現況と出先機関. 国土交通省大阪航空局. 2018年5月13日閲覧。
- ^ a b c d 伊藤秀樹 (2021年1月19日). “新ターミナルビルが着工”. 朝日新聞 2021年10月29日閲覧。
- ^ “空港法(昭和三十一年法律第八十号)第四条:国際航空輸送網又は国内航空輸送網の拠点となる空港の設置及び管理”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2020年1月26日閲覧。
- ^ “国管理空港の9割が赤字 黒字は熊本・新千歳・小松だけ”. 朝日新聞デジタル. (2013年9月11日) 2014年7月27日閲覧。
- ^ “国管理24空港が営業赤字=12年度収支試算結果-国交省”. 時事ドットコム. (2014年7月18日) 2014年7月27日閲覧。
- ^ World's Best Domestic Airports 世界ベスト空港(World’s Best Airport)
- ^ (PDF)『平成28年度空港管理状況調書』(プレスリリース)国土交通省航空局、2017年7月26日 。2018年5月13日閲覧。
- ^ “平成28年度(年度)空港別順位表” (pdf). 国土交通省. 2018年5月4日閲覧。
- ^ 航空統計年報 昭和35年、運輸省航空局、P100、昭和35年民間航空略史
- ^ 離陸できず突込む 熊本空港でYS11『朝日新聞』1970年(昭和45年)12月30日朝刊 12版 18面
- ^ “DIK経済日誌(新聞記事より) 8月15日~9月14日の主な出来事”. DIKウインドゥ 1995年10月号 (地域流通経済研究所) (1995年10月).pp39
- ^ “24時間運用中の熊本空港が被災地支援の拠点として活用されました”. 国土交通省 (2016年4月25日). 2016年5月13日閲覧。
- ^ “熊本県熊本地方を震源とする地震について(第28報)” (PDF). 国土交通省. p. 23 (2016年5月2日). 2016年5月13日閲覧。
- ^ “熊本県熊本地方を震源とする地震について(第5報)” (PDF). 国土交通省. p. 37 (2016年5月2日). 2016年5月16日閲覧。
- ^ “熊本県熊本地方を震源とする地震について(第10報)” (PDF). 国土交通省. p. 39 (2016年4月19日). 2016年5月16日閲覧。
- ^ 熊本空港、旅客ビルの部分再開で利用に注意呼びかけ 出発便も再開 フライチーム、2021年10月31日閲覧
- ^ 空港サプライズ!国産旅客機YS-11
- ^ 大阪/関西〜熊本線を10月27日から就航 約2年7ヶ月ぶり復活 Traicy、2018年7月19日、2021年10月31日閲覧
- ^ 熊本〜大邱線就航 11月29日から週3便 Traicy、2018年8月22日、2021年10月31日閲覧
- ^ “熊本空港国内線、7日から別棟で運用 ターミナルビル建て替え期間中”. 熊本日日新聞. (2020年4月6日). オリジナルの2020年5月14日時点におけるアーカイブ。 2020年5月14日閲覧。
- ^ 新ターミナルビルオープン 熊本国際空港株式会社、2023年3月20日、2023年5月28日閲覧
- ^ “国内線ターミナルビルの建て替えに伴い、2020年4月6日に閉館”. 2021年4月10日閲覧。
- ^ “国内線ターミナルビルの移転に伴い、2020年4月7日以降ANA LOUNGE閉鎖中”. www.ana.co.jp. 2021年4月10日閲覧。
- ^ “会社概要-企業情報”. 熊本国際空港株式会社. 2021年10月29日閲覧。 “九州電力、九州産業交通ホールディングス、テレビ熊本、再春館製薬所、九州産交運輸、双日、日本空港ビルデング、サンケイビル、ANAホールディングス、日本航空の11社である。”
- ^ “熊本空港民営化、地元企業連合と契約”. 日本経済新聞. (2019年5月31日) 2019年6月3日閲覧。
- ^ ジェイエアの機材・乗務員で運航する便あり
- ^ ANAウイングスの機材・乗務員で運航する便あり
- ^ FDA便名に限り青森と花巻への乗継運賃が設定される。熊本=青森 乗継 運賃
- ^ フジドリームエアラインズ 熊本=いわて花巻 乗継 運賃
- ^ “札幌-九州間に4路線新設 日本エアが免許申請”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 1. (1992年4月16日)
- ^ (PDF)『航空輸送統計年報の概要 令和元年度(2019年度)分』(プレスリリース)総合政策局情報政策課交通経済統計調査室、2020年6月30日。 オリジナルの2020年8月31日時点におけるアーカイブ 。2020年8月31日閲覧。
- ^ HK Express Japan 公式twitter
- ^ 鎌倉淳, ラオス航空が熊本~ビエンチャン・ルアンパバーン線を開設へ。 2021年10月31日閲覧。
- ^ a b “熊本空港アクセス鉄道、肥後大津ルートに 県検討委判断”. 日本経済新聞 (2022年11月9日). 2022年11月14日閲覧。
- ^ “熊本空港アクセス鉄道整備ルートで合意 大手半導体TSMC進出受け:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル (2022年11月29日). 2023年3月14日閲覧。
外部リンク編集
- 阿蘇くまもと空港 - 熊本国際空港株式会社
- 空港運営会社公式サイト - 熊本国際空港株式会社
- 交通政策課 - 熊本県
- 熊本空港 - 国土交通省 大阪航空局
- 阿蘇くまもと空港 (@kumamoto_airport) - Instagram
- 阿蘇くまもと空港ライナー - 熊本県
- 地図 - Google マップ